朝の吐き気はなぜ起こる?疑いのある病気、吐き気が続くときの対処法




朝の吐き気は、誰もが経験するありふれた症状ですが、深刻な影響を及ぼすこともあります。たとえば、集中力の低下や通勤の困難など、仕事や日常生活への支障を感じている人もいるかもしれません。

朝の吐き気の原因には、自律神経の乱れが考えられます。また、自律神経失調症や過敏性腸症候群などの病気によって、症状があらわれることもあるでしょう。

この記事では、朝の吐き気が起こる原因朝の吐き気が起きたときの対処法について解説します。朝の吐き気で病院を受診する判断基準も紹介するので、病院に行くか悩んでいる人は参考にしながら、早めの治療を検討してくださいね。

朝の吐き気が起こる原因

朝に吐き気が起きる原因には、自律神経の乱れにあります。

自律神経は、活動するときに働く「交感神経」と、休息するために働く「副交感神経」の2つの神経から成り立っています。ストレスや不規則な生活習慣などによって、自律神経のバランスが崩れると、吐き気を引き起こす恐れがあるのです。

朝起きて、めまいや動悸などの症状を感じるのも、自律神経の乱れが原因です。[1]朝早いルーティンや、ストレスの強い仕事などが重なると、自律神経のバランスがさらに崩れやすくなります。

そのため、ストレス管理や生活習慣の改善などにより、自律神経の調整する力を取り戻すことが大切です

もし日常的に気分が落ち込んだり、夕方から調子が戻ったりするならば、うつ病の可能性もあります。以下の記事も合わせてご覧ください。

朝の吐き気で疑いのある病気

朝の吐き気が続くときは、以下の病気が考えられるでしょう。

それぞれの病気について詳しく見ていきます。

自律神経失調症

自律神経失調症は、朝の吐き気を引き起こす病気のひとつです。病気がないにも関わらず、神経や免疫などを調整している自律神経の働きが乱れる状態をいいます。[2]たとえば、朝起きたときに吐き気を感じたり、頭痛や肩こりなどの症状が出たりすることがあるのです。[1]

発症する原因には、ストレスや生活習慣の乱れが考えられますこれらの要因が重なると、自律神経のバランスが崩れやすくなり、朝の吐き気などの症状につながる可能性が高くなります。

自律神経失調症を改善するには、生活リズムを整えたり、睡眠時間を確保したりすることが有効です。[1]

こころちゃん
こころちゃん

疲れがたまっているのかも💦

過敏性腸症候群

朝の吐き気を引き起こす病気には、過敏性腸症候群があります。腸の動きが敏感になって、吐き気だけでなく、腹痛や下痢などの症状もあらわれる病気です。20~40代に発症しやすく、年齢が上がるとともに発症率が低下する傾向にあります。[3]

過敏性腸症候群の原因は、まだ明らかにされていません。ただし、ストレスや食生活の乱れなどが関係すると考えられています

治療は、食事療法と薬物療法の2つがあります。治療中は、刺激の強い食べ物を食べたり、夜中に食べ過ぎたりするのを避けましょう。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、朝の吐き気を引き起こします。検査で異常がないにも関わらず、胃もたれや胃の不快感などの症状があらわれる病気です。

発症する原因には、ストレスや不規則な食生活、遺伝などがあります複数の要因が関係して、胃や腸の機能が乱れ、朝の吐き気につながる可能性が高くなるのです。[4]

治療においては、胃酸が出るのを抑える薬、胃の動きを良くする薬などが使われます。また、暴飲暴食を控えたり、カロリーが高いものを控えたりすることも大切です。[4]

朝の吐き気が仕事や日常生活に与える影響

朝の吐き気が続くと、以下のような支障が出てくる可能性があります。

  • 通勤が難しくなる
  • 仕事の生産性が下がる
  • 家事や育児ができなくなる

朝の吐き気が強いと、電車やバスの中で気分が悪くなったり、運転中に吐き気がつらくなったりするでしょう。途中で休憩が必要になり、会社に遅刻してしまうかもしれません。

また、仕事の生産性が低下する可能性があります。集中力が下がるため、ミスの増加や納期遅れなど、仕事上のトラブルにつながりやすくなるでしょう

さらに、日常の家事や育児にも支障をきたすことがあります。食事の準備や片付け、子どもの世話などに集中できなくなり、終わらせるのが難しくなってしまうでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

うまくいかなくてストレスになりますね💦

朝に吐き気が起きたときの対処法

朝の吐き気が起きたときには、3つの対処法があります。

詳しく説明していきます。

水分をとる

朝の吐き気が起きたときの対処法として、まず水分をとることが大切です。

吐き気や嘔吐によって、体内の水分が失われやすくなるため、水分補給が必要です。水分補給は脱水を防ぐだけでなく、体内の老廃物を排出するのにも役立ちます。[5]とくに朝は、睡眠中に失われた水分を補給するため、起床後に飲むとよいでしょう。

常温の水や経口補水液を少しずつ、ゆっくり飲んでください。一度に大量の水分をとると、かえって胃に負担をかけてしまう可能性があります。ムリをせず、体調に合わせて適切な量を飲むようにしましょう。

安静に過ごす

朝の吐き気が起きたときは、安静に過ごしましょう

急な動きや激しい運動をすると、吐き気を悪化させる可能性があります。ゆっくりと体を動かし、できるだけ安静な状態を保つことが大切です。とくに起床直後は、急に起き上がらず、ゆっくりと体を起こすようにしましょう

安静に過ごすときは、以下のポイントを意識してみてください。[6]

  • 横になったり座ったりして、深呼吸をする
  • 食後に吐き気を感じたら、頭を高くして横になる
  • 部屋の温度や明るさを調整する

快適な環境を整えることも、吐き気を落ち着かせるために有効です。

こころちゃん
こころちゃん

ゆっくりと、のんびりな生活をしてみましょう

ゆとりのある服に着替える

ゆったりとした服に着替えることは、朝の吐き気を和らげるのに有効です。[6]

きつい服や締め付けの強い下着は、胃や腹部を圧迫し、吐き気を悪化させる可能性があります。そのため、体を締め付けないゆったりとした服装に着替えると、症状が改善するでしょう。

たとえば、ウエストがゴムになっているパンツや、サイズが大きいTシャツに着替えてみてください。また、下着も緩めのものに変更したり、外したりすると、胸部の圧迫感を軽くできます。

服装を変えると体への負担が軽減され、リラックスした状態になります体調に合わせて、快適な服装を選ぶようにしましょう。

朝の吐き気で病院を受診する判断基準

朝の吐き気が続いていると、いつ医療機関を受診するべきか判断するのが難しいでしょう。以下のような症状があるときは、病院を受診してください。[7]

  • 喉がとても渇く
  • 立ちくらみがおきる
  • 38℃以上の熱がある
  • 頻繁に下痢をしている
  • 皮膚や唇が乾いている
  • 徐々に吐き気が強くなっている
  • 尿の量が減ったり、色が濃くなったりしている

受診の際は、症状の経過や生活への影響などを詳しく説明することが大切です。あらかじめメモをしておいて、受診の際に持って行くといいでしょう。医師はそれらの情報をもとに、原因の特定や適切な治療方法の提案をしてくれます。

朝の吐き気が改善しないときは、早めに医療機関を受診してくださいね。

まとめ

朝の吐き気の原因には、自律神経の乱れがあります。また、自律神経失調症や機能性ディスペプシアなどの病気を発症していると、朝に吐き気が起こることがあるでしょう。

朝に吐き気が起こったら、水分をとったり、ゆったりとした服に着替えて安静に過ごしたりしましょう喉の渇きや高熱などの症状もあれば、お近くの病院を受診してくださいね。

ストレスが原因で病気を発症し、朝の吐き気を引き起こす可能性もあります。少しでもストレスを和らげたい人は、おおかみこころのクリニックにお越しください。カウンセラーもおりますので、悩みや不安について相談してくださいね。

【参考文献】
[1]自律神経失調症|千葉県医師会
https://www.chiba.med.or.jp/general/millennium/pdf/millennium52_1-4.pdf

[2]自律神経失調症:用語解説|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1591/

[3]過敏性腸症候群(IBS)|慶應義塾大学病院 KOMPAS
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000779.html

[4]患者さんとご家族のための機能性ディスペプシアガイド2023|日本消化器病学会
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/fd_2023.pdf

[5]健康のために “こまめに”水を飲もう!!|八代市
https://www.city.yatsushiro.lg.jp/kiji00318235/3_18235_120161_up_np7z3lc6.pdf

[6]つらい吐き気と嘔吐・・・自宅でできる対策は?|北海道医療センター
https://hokkaido-mc.hosp.go.jp/column/cancer_018.html

[7]緊急度判定プロトコルVer.1 救急受診ガイド(家庭自己判断)|消防庁
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento121_03_kateiprotocolv1.pdf

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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