中学生の娘が不登校なのですが、理由を聞いても教えてくれないんです
中学生は心身や環境の変化が大きい時期だから、女子ならではの理由があるかもしれないよ。記事の中で解説するね
女子中学生が不登校になる理由には、女子ならではの不安や気づかれにくい発達障害が関係していることがあります。
今回は、女子中学生が不安に感じやすいことや女子特有の発達障害のパターンについて解説します。
記事の最後では親ができることについても解説するので、最後まで目を通してくださいね。
中学生が不登校になる理由は無気力が最多
小・中学生にもっとも多い不登校の理由は「無気力・不安」です。(図1)[1]
約半数(51.8%)が「無気力・不安」を訴えていますが、なぜ不安なのかを本人がわかっていないケースも多くあります。
学校での様子や女子中学生が感じやすい不安について周囲が把握し「どうして不安なのか」を本人が理解できるようサポートすることが大切です。
女子中学生の不登校につながりやすい3つの不安
女子中学生が感じやすい不安として、以下の3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
友人関係
女子中学生は、友人関係の不安を感じやすいとされています。
以下では、実際に女子中学生が不安だと感じていることを見てみましょう。
- 小学校のときより友達を作るのが難しい
- 相手の心を読み取るのが難しい
- 友人関係がうまくいかない
思春期の女子は友達同士でグループを作って行動しますが、必ずしも本人が望んだものではなく表面的な関係性の場合があります。
「友達に合わせなきゃいけない」「自分だけ違ってはいけない」というプレッシャーが大きなストレスとなり、登校がつらくなることがあるのです。[2]
中学生女子の友だち関係は複雑ですよね💦
勉強
女子中学生は、勉強に関する不安も感じやすいとされています。
中学校では小学校よりも成績を重視するため、悩みを抱える子どもが増えるのです。
勉強に関する実際の声を見てみましょう。[3]
- テスト結果が上位でないといけないと思っていた
- いい成績をキープできるかプレッシャーを感じる
- 先生が授業ごとに違ってついていけない
小学生の頃から「いい子」として育ってきた子は「できない自分を許せない」と感じることがあります。
周囲はできているのに自分はできないという体験が強い劣等感や焦りを感じさせ、自信を失い気力が低下してしまうのです。
生活習慣
生活習慣の変化に不安を感じるケースもあります。
女子中学生が実際に感じている不安は以下のとおりです。
- 姉のように寝る時間が遅くなるのか心配
- 暇な日がなくて小学校のときより疲れる
- やることが増えて寝る時間が遅くなった
とくに中学校生活に慣れていない時期では、小学校よりも忙しくなることや寝る時間が遅くなることに対する不安を感じています。
「休みたいけど休めない」「自分だけ休むと周りに置いていかれる」という生活は、子どもにとって大きなストレスになるでしょう。[2]
そのため、数日休むと学校に行きにくくなり、不登校につながることがあるのです。
不登校につながる女子中学生の発達障害3パターン
女子中学生の不登校には、発達障害が関係している場合があります。
女性の発達障害は症状が目立ちにくいですが、本人は強いストレスや苦痛を感じているのです。
例として、以下の3パターンについて見てみましょう。
それぞれ解説します。
女子同士の話についていけない
発達障害の女子は「女子同士の話についていけない」と悩むことがあります。
例として、以下のような場面が挙げられるでしょう。
- 興味のないおしゃれや恋愛、アイドルの話に苦痛を感じる
- 聞いているふりをするけど「どう思う?」と聞かれると困る
- 「可愛くない」と正直に言って周りが静かになってしまった
発達障害では特定の分野に強い興味を持っていたり、人の気持ちを想像したりすることが苦手なため、同年代の女子と話が合わないことがあります。
その結果、人と関わることに苦手意識を持つようになり、学校に行けなくなるケースがあるのです。[4]
悪気はないのに相手を怒らせてしまう
発達障害は相手の気持ちや状況を読み取ることが苦手なため、悪気はないのに相手を怒らせてしまう場合があります。
例として、以下のような場面が挙げられます。
- 友達に「最近太ったね」と言った
- 保健室の付き添いを「嫌だ」と断った
- Aちゃんの悪口を直接Aちゃんに伝えた
思春期の女子に特徴的な「暗黙の了解」や「仲間意識」を理解しづらいため、居心地の悪さを感じやすいのです。
本人は「理由はわからないけど、相手に嫌がられてしまう」と悩み、人との関わりを避けるようになるケースがあります。[4]
性トラブルに巻き込まれる
発達障害の女子は、性トラブルに巻き込まれやすい傾向があります。
言葉を文字通りにとらえて騙されやすかったり、適度な距離感が取れず相手に誤解されたりするためです。
具体的には、以下のような場面が想定されます。
- 「好き」と言われて男子に身体を触られた
- 「ちょっと休もう」とホテルに連れていかれた
- 「すぐ消す」と言われ裸の写真を送ってしまった
発達障害の子どもは、自分の気持ちを言葉にするのが苦手だったり、被害にあったのは自分のせいだと思い込んだりして周囲に相談できない場合があります。[5]
ひとりで悩んでいるうちに抑うつ状態になり、登校できなくなる場合があるのです。
不登校の女子中学生に親ができる3つのこと
不登校の女子中学生に親ができることとして、以下の3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
家庭を居心地のよい場所にする
不登校中は、家庭を居心地のよい場所にするよう心がけましょう。
学校にうまく適応できなかった子どもは「自分はダメな人間かもしれない」と感じ、心が非常に疲れている状態です。
子どもがだらだら過ごしているのを見ると「何かしなくて大丈夫?」と心配になるかもしれませんが、今は心の回復が最優先です。
「今は休むことがこの子の仕事」「ある程度だらだらしたら自分で何かするだろう」と考え、子どもが心から安心できる環境を作りましょう。
最近の子どもは忙しいので、ゆっくりとだらだらする時間も大切です。
別室登校を提案する
子どもの様子を見ながら別室登校を提案しましょう。
別室登校とは、保健室や相談室などの教室以外の場所に登校することです。
女子は別室登校への抵抗感が低く、男子の約6倍の割合で別室登校していることがわかっています。[6]
本人の心を安定させるためには自分のペースを守り、ひとりでも安心できる時間が必要です。
無理して教室に登校させず、本人のペースを守りながら別室で学校生活を再開しましょう。
病院の受診を勧める
子どもが発達障害の特性で悩んでいたり気分の落ち込みが続いたりしている場合は、病院の受診を勧めましょう。
病院では自分の特性について理解を深めたり、性被害やいじめなどから自分を守る方法を学んだりします。
病院で医師や心理士と話すことで「自分は自分のままで大丈夫かも」「自分なりにまたやってみよう」と気持ちに変化が現れるはずです。
おおかみこころのクリニックは一人ひとりに合った治療を行い、学校やフリースクールなどの社会に戻るサポートをします。お気軽にご相談ください。
まとめ
女子中学生が不登校になる理由として挙げられるのは、友人関係や勉強、生活習慣の変化などです。
発達障害を持つ女子は、思春期の女子に特有の仲間意識や暗黙の了解を理解しづらいため、友人関係で苦労している可能性があります。
「どうして相手を怒らせてしまうのかわからない」と悩み、人付き合いを避けるようになるケースもあるでしょう。
女子は男子に比べて別室登校への抵抗感が少ないため、別室登校という選択肢を用意するのもおすすめです。
おおかみこころのクリニックでは、一人ひとりに合わせた治療やサポートを行い、再び学校やフリースクールなどに戻るお手伝いをさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
【参考資料】
[1]文部科学省|令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 4.小・中学校の長期欠席(不登校等)の状況 ③不登校の要因
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf
[2]中学校進学前後の女子生徒の心理状態と対処行動に関する質的調査 Ⅳ考察
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjahca/15/2/15_153/_pdf/-char/ja
[3]中学校進学前後の女子生徒の心理状態と対処行動に関する質的調査 Ⅲ結果 2 分析結果 1)中学校進学前後の心理状態
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjahca/15/2/15_153/_pdf/-char/ja
[4]国立障害者リハビリテーションセンター 女子グループに入れないhttp://www.rehab.go.jp/ddis/aware/lady/younglady/join/
[5]国立障害者リハビリテーションセンター 性トラブルに巻き込まれやすいhttp://www.rehab.go.jp/ddis/aware/lady/younglady/sex/
[6]中学生の不登校傾向と幼少期の父親および母親への愛着との関連 考察https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/52/3/52_264/_pdf
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