「勉強についていけない」
「新しい友達を作るのが難しい」
中学校に入ると、こういった悩みを抱える子どもが増えます。
「中1ギャップ」とは学習面や対人関係など、小学校との環境の違いで起こり、不登校のきっかけにもなる現象です。
この記事では、中1ギャップの原因や対策について解説しています。
小学生の段階でできる対策もまとめているので、最後まで読んでみてください。
お子さんが感じる戸惑いを和らげるお手伝いができれば嬉しいです。
中1ギャップとは
中1ギャップとは、小学校から中学校に進んだ子どもが新しい環境になじめず、不登校やいじめなどの問題にぶつかることです。[2]
これといった定義はなく、小6から中1にかけていじめや不登校が増えるように見えるために、「便利に」用いられている言葉です。[1]
中1ギャップのサインとして主に見られるのは以下の3つです。
- 元気がない
- イライラしている
- 朝になると体調が悪くなる
こうした様子が見られたら、中1ギャップの可能性があるので、普段の子どもの言動に注意しておきましょう。後半では対処法も解説しています。すぐに見たい方はこちらからご覧ください。
小学校から中学校に上がったときの環境の変化によって生じる現象ですね!
中1ギャップの原因
中1ギャップの原因として以下の2つが挙げられます。
詳しく見ていきましょう。
勉強が難しくなる
中学生になると、さまざまな点で勉強が難しくなります。[1][3]
小学校との違いは以下の通りです。
- 定期テストが始まる
- 勉強する教科が増える
- 授業のスピードが早い
中学生になると、定期テスト対策のための勉強が必要です。また、分からないところは自ら質問しにいくなど、主体性が求められます。
中学校では、授業についていけなくなっても待ってもらえません。履修する範囲が広がるためです。
必然的に授業のスピードが上がるため、勉強が遅れがちになる子どももいます。
人間関係が複雑になる
新しい人間関係も、中1ギャップの原因の1つです。
- 先生との関係
- 先輩との関係
- 友人との関係
中学生になると、関わる先生の数が増えます。相性の合わない先生がいると、先生との関係にストレスを感じるでしょう。[2][3]
また、中学校で部活動に入ると先輩ができます。小学校とは違って縦社会の中に入ることになり、戸惑いを感じる子どももいます。
別の小学校からやってきた同級生もいるため、新しい友人関係を作るのも大変です。
中学生になると「先輩」ができますよね💦
中1ギャップが起こったときの対処法
実際に中1ギャップが起こったときはどうすれば良いのでしょうか。
家庭でできる対処法を3つ解説します。
1つずつ見ていきましょう。
子どもの心に寄り添う
まずは子どもの話を聞いてあげましょう。
ただし、気になるからといって学校生活への質問ばかりは避けてください。中学生は思春期で、大人には知られたくないこともあるはずです。
あくまでも子どもが主体の会話時間を作るようにしてみてください。
あなたが根気強く子どもの気持ちをじっくり聞く姿勢を見せれば、学校での悩みごとや不安について少しずつ話してくれるようになります。
学校と連携する
中1ギャップが起こったら、学校に相談してサポート体制を整えましょう。
中1ギャップは学校生活の中で起こるからです。
担任の先生や、必要に応じてスクールカウンセラーへの相談も検討してみてください。
勉強や人間関係のことで行き詰まっていないか、家庭でも普段から観察することが大切です。
専門の機関に相談する
学校のほかにも、相談できる場所はたくさんあります。
民間のカウンセリング施設や地方自治体が設置している教育相談センター、心療内科などです。心の専門家ならではのアドバイスがもらえます。
「わが子のことだから自分で何とかしよう」とひとりで悩まず、積極的に困りごとや疑問を投げかけてみましょう。
子どもの心を穏やかにするための関わり方がわかります。
入学前にできる中1ギャップの対策3つ
現在子どもが小学生なら、中学校に入る前に中1ギャップに備えましょう。
以下の対策が有効です。
順番に解説します。
家庭学習の習慣をつける
中1ギャップは、勉強の遅れから感じるケースが多々あります。
入学前の段階で、少しずつ予習復習の習慣をつけておくと良いでしょう。
たとえば以下のような方法があります。
- その日の復習をする
- 1科目だけ予習する
- 夕食までに宿題を済ませる
はじめは短い時間でも大丈夫です。子どもが無理なく毎日勉強できる習慣づくりを心がけてみてください。
子どもとの時間を増やす
子どもと話す時間を増やしましょう。
子どもの世界は学校と家庭が大きな割合を占めています。親が自分を見てくれていると感じられれば、子どもは「守られている」と安心できます。
以下を参考に、子どもとの時間を作りましょう。
- 一緒に買い物に行く
- 今日あったできごとを伝え合う
- 子どもの好きな場所に出かける
親はいつも味方だと伝えることが大切です。
身近に味方がいると心強いですね!
中学校生活について話しておく
あらかじめ「中学校はこんなところ」と伝えておきましょう。
いきなり中学校で環境の変化にさらされると、中1ギャップを感じる可能性が高まるためです。
具体的には以下の通りです。
- 勉強の進め方を伝える
- 周りとの関わり方について伝える
- 親の中学時代の体験を伝える
別の小学校からも多くの生徒が入学することや、教科担任制、勉強の難易度についてもしっかり伝えておきましょう。
プレッシャーになると逆効果なので、親の体験談などを交えて気軽に伝えると子どもも聞き入れやすくなります。
まとめ
中1ギャップは、小学校との違いにより勉強や人間関係にぶつかる現象です。
不登校に発展するケースもありますが、対処法はいくつもあります。
まずは勉強の難しさや人間関係に戸惑う子どもの気持ちに寄り添い、受け入れてあげましょう。家族が一番の味方だと伝えることが大切です。
親の力だけで何とかしようとせず、学校と連携したり専門家への相談も検討してみてください。
中学校は、小学校の世界とは大きく変わります。子どもの新しいスタートと挑戦を、温かく見守っていきましょう。
【参考文献】
[1]文部科学省 国立教育制政策研究所 生徒指導リーフ 「中1ギャップ」の真実
https://www.nier.go.jp/shido/leaf/leaf15.pdf
[2]中央教育審議会初等中等教育分科会「小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理」
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/09/10/1325226_1.pdf
[3]小中一貫した教育課程の編成・実施に関する手引
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/08/29/1369749_1.pdf
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