中学生の子どもが不登校なのですが、自宅で何をさせればよいのでしょう?
不登校中は『何かをさせる』というよりも、子どもが『やってみよう』と思えることが大切だよ。記事の中で解説するね
子どもが不登校で家にいると「何かをさせなきゃ」と親が焦ってしまいますよね。
ただ、親が考えた過ごし方は、子どもにとっては受け入れづらいルールや日課が組み込まれていたり、子どもの自立を促す効果がなかったりします。
今回は、不登校中の過ごし方を子どもと一緒に考えるポイントや、不登校中に注意すべき親の関わりについて解説します。
記事の最後では再登校につながる過ごし方についても解説するので、ぜひ目を通してくださいね。
不登校中は過ごし方を一緒に考える
不登校中の過ごし方は、子どもと一緒に考えましょう。
とくに中学生では、自分で決めた約束を守り自立を促す関わりが必要です。
以下を参考にしてください。
それぞれ解説します。
最低限のルールを決めて生活する
不登校は子どもの心身を休める期間ですが、最低限のルールは必要です。
子どもと話し合いながら、以下のようなルールを決めましょう。
- ○時までに寝る
- 毎日お風呂に入る
- 朝ごはんを一緒に食べる
このときに大切なポイントは、親の「こうしてほしい」ではなく子どもの「これならできそう」という気持ちを大切にすることです。[1]
子どもが納得できないルールは「やらされている」感覚となり、再登校に向けたエネルギーの回復につながりません。
「自分が決めたルールを守っている」という事実が子どもの自信につながるため、必ず子どもと一緒に考えましょう。
自分で決めたルールなら守れそうですね!
よりよい過ごし方を一緒に考える
子どもと一緒に不登校中の「よりよい過ごし方」を考えましょう。
不登校は長期化しやすいため「焦っても登校できない」と割り切り、エネルギーの充電期間として前向きに過ごす必要があります。
以下の例を参考にしてください。
- 1日10分程度の運動をする
- 子どもが担当する家事を決める
- フリースクールについて調べる
子どもが以下のような交換条件を出す場合がありますが、はっきり断るようにしましょう。
- 教室に入れたらお小遣いをもらう
- ゲームを買ってくれたら先生に会う
- 土下座して頼むなら学校に行ってやる
学校は自分のために行く場所であり、親のために行くものではないことを伝えましょう。[1]
ゲーム・ネットとの付き合い方を考える
ゲームやネット(スマホやPC)との付き合い方を考える必要があります。
ゲーム・ネットの長時間使用は昼夜逆転の原因になったり、依存や課金などの別の問題を引き起こしたりするためです。
例として、以下のような約束事が挙げられます。
- 1日○時間というルールを決める
- やるべきことが終わってから使う
- ○時〜○時までというルールを決める
子どもの様子や家庭の事情に合わせ、お互いが納得できるルールを決めましょう。
アンケートから見える不登校の中学生の過ごし方
不登校の中学生に多い過ごし方は以下のとおりです。(図1)[2]
不登校中はインターネットやテレビなどを使い、自宅内で過ごしている子どもが多いことがわかります。
SNSを通して不登校の仲間とつながり「リアルな友達よりも心が許せる」「自分だけじゃないと安心する」というケースも多いでしょう。
不登校中の子どもは孤独感を抱えているため、ネットでの出会いにのめり込む場合があります。
お互いに影響を与え合って心身の状態が悪化するケースがあるため、使用のルールを決めることが大切です。
不登校中に親がやってはいけない3つのこと
不登校中に注意すべき親の関わりとして、以下の3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
一方的な提案をしない
親が考えた提案を一方的に押し付けないようにしましょう。
「何かさせないと」と思って親が考えたプランは、子どもにとっては納得できないことだったり、ハードルが高すぎたりします。
「親は自分の気持ちをわかってくれない」と子どもが心を閉ざす場合もあるため、一方的な提案は控えてください。
何かさせたいときは「お風呂掃除をしてくれて、ありがとう」「夕飯づくりを手伝ってくれて、助かった」など、日常の中で嬉しかったことや助かったことを伝えましょう。
感謝の気持ちと合わせて「これからもたまにやってくれると助かるよ」と役割を与えることで、子どもに自信をつけたり自立を促したりできます。[3]
子どもを否定しない
子どもを否定する以下のような言葉に注意が必要です。
- 甘えてないで学校に行きなさい
- そんな理由で休むなんて恥ずかしい
- このままじゃ高校に行けなくなるよ
家族による否定は、子どもが「自分はダメな人間なんだ」「存在そのものを否定された」と感じるほど強烈な力を持っています。
再登校に向けた子どもの気力や自信を奪うため、子どもを追いつめる言葉をかけるのはやめましょう。
心の充電期間中に攻められると凹んじゃう💦
親の不安をぶつけない
親の不安を子どもにぶつけないようにしましょう。
親が不安になりやすい例として、以下の3つが挙げられます。
- 体力が落ちてしまうかも
- 行ける高校がなくなるかも
- 友達の中に戻れなくなるかも
不登校になりいちばん不安なのは、学校という社会から離れてしまった本人です。
わかっていてもできないことを親から指摘されると、子どもはますます追いつめられてしまうでしょう。
ただ、親が我慢し続けて爆発しないように、学校や相談窓口、医療機関などに相談して親自身の不安を軽減させることが大切です。
おおかみこころのクリニックでは、不登校の子どもを持つご家族のサポートをしています。お気軽にご相談ください。
親にできる再登校につながる3つのきっかけ作り
再登校につながる親の関わりとして、以下の3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
学校とのつながりを保つ
欠席が続くと学校への連絡を憂鬱に感じるかもしれませんが、つながりを保つために連絡を続けることが大切です。
毎日の連絡が負担になる方は、学校と相談して曜日を決めて連絡するのもよいでしょう。
家庭訪問を子どもが拒否する場合でも、親だけは教師と顔を合わせて子どもの様子を報告したり、学校の近況を聞いたりしてください。
「〇〇ちゃんがあなたの登校を待っているみたいだよ」「保健室の先生と遊んでもいいみたいだよ」などの情報が再登校のきっかけになることもあります。
子どもが拒否した場合でも、親だけは関わりを保ち続けるようにしましょう。[1]
子どもの「好き」を尊重する
子どもの好きなものを尊重しましょう。
親は「くだらない」と感じるものでも、子どもにとっては心の支えになる大切な存在です。
好きなものを通して友達のコミュニティに入りやすくなったり、フリースクールに馴染むきっかけになったりするかもしれません。
子どもの世界は「好き」を通して広がっていくため、制限したり取り上げたりしないことが大切です。[1]
「好き=子どもの強み」としてとらえ、一定の理解を示しましょう。
好きなものの話をするときのお子さんの表情を見てください!
キラキラしてますよ♪
親自身の世界を広げる
親自身の世界を広げることが大切です。
親子ふたりで過ごす時間が長くなると、子どものことが気になりすぎて過干渉になる可能性があります。
親がひとりで外出したり不登校の親のコミュニティに参加したりして、子ども以外に関心が向く時間を作りましょう。
親子のほどよい距離感は、子どもの自立を促すきっかけにもなります。[1]
積極的に親自身が自分の時間を作り、子どもの不登校と関係のない時間を作るよう意識しましょう。
まとめ
不登校の中学生の過ごし方は、子どもと相談して決めましょう。
自分が決めたルールを守ることで、子どもの中に自信や自立心を育むことができます。
ゲームやネットは昼夜逆転や依存、課金などの新たな問題を引き起こすため、必ず親子で使用のルールを決めましょう。
不登校は長期化しやすいため「焦っても登校につながらない」と割り切り、心の充電期間として子どもとゆっくり向き合う必要があります。
親が自分の時間を作って息抜きしながら、子どもを否定したり親の不安をぶつけたりしないよう注意しましょう。
不登校の子どもに関する不安を抱えているときは、おおかみこころのクリニックがサポートさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
【参考資料】
[1]登校しぶり・不登校の子に親ができること|下島かほる 講談社
[2]文部科学省|不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書 2‐3‐5 学校を休んでいる間の過ごし方
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318_03.pdf
[3]不登校・登校しぶり|藤枝静暁 ナツメ社
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