男子中学生が不登校になる3つの理由|男子特有の考え方や親にできること

 

中学生の息子が不登校なのですが、理由を聞いても教えてくれないんです

浅田先生

不登校の理由には、男子ならではの考え方が影響しているかもしれないよ。記事の中で解説するね

男子中学生は「不登校であることを認めたくない」という思いから、学校に行けない理由を周囲に話さないことがあります。

そこで今回は、男子中学生に特徴的な考え方不登校になりやすい要因について解説します。

記事の最後では親にできることについても解説するので、最後まで目を通してくださいね。

目次

中学生が不登校になる理由は無気力が最多

小・中学生が不登校になる理由としてもっとも多いのは「無気力・不安」です。(図1)[1]

図1:中学生男子 不登校の要因

環境の変化に適応できない子どもが増えるため、小学校6年生から中学校1年生では不登校が約1.3倍に増えることがわかっています。[2]

不登校の中には「自分がどうして不安なのかわからない」「わかっているけど話したくない」というケースもあるでしょう。

気持ちを言葉にしたり人に頼ったりするのが苦手な子どものために、周囲の大人が悩んでいる様子に気づくことが大切です。

中学生男子の心の中での葛藤があります💦

男子中学生が不登校になる3つの要因

中学生男子が不登校になる理由として、以下の3つが挙げられます。

それぞれ解説します。

友人関係のトラブル

不登校のきっかけとして、友人関係のトラブルが挙げられます。

例として挙げられるのは、以下のようなケースです。[3]

  • 「自分の思っていることは我慢し相手にばかり譲る」という居心地の悪さを感じるようになった
  • 病気で2週間ほど学校を休んだ後、友人に「なんで学校に来たの?」と言われてショックを受けた

思春期は親から自立したい気持ちが高まるのと同時に、親から離れる不安を感じる時期でもあります。

不安の解消を目的に友人と一緒に行動するため、友人関係のトラブルは思春期の子どもに大きなダメージを与えるのです。[4]

アニメ・ゲームの影響

アニメやゲームも不登校に影響します。

男子は女子に比べてゲームの使用率が高く、成績の低下や昼夜逆転などの問題につながりやすいのです。(図2)[5]

図2:ゲームの使用率や問題行動の男女比

以下のように、アニメの影響を受けるケースも少なくありません。[3]

アニメに影響を受け「ズル休み=かっこいい」「アウトロー」と考え、学校に行かなくなった

とくにひとり親や共働きで子どもの様子を見られない場合は、アニメやゲームの時間が増えがちです。

子どもの生活に支障をきたさないように、付き合い方を考える必要があります。

こだわりの強さ

こだわりの強さも不登校の要因のひとつです。

発達障害の特性を持つ子どもは、こだわりの強さから学校生活を苦痛に感じることがあります。

例として以下のような場面が挙げられるでしょう。[2]

  • 教科ごとの先生の違い(ルールの違い)に納得できない
  • テストの問題用紙と解答用紙が分かれることに適応できない
  • 部活内の上下関係が理解できない

また、環境の変化による不安が強迫行為(何度も手を洗う、入浴に何時間もかける)となって現れ、登校できなくなるケースもみられます。

小学生から中学生になると自分を取り巻く環境が大きく変化するため、適応できなくなる子どもが増えるのです。

男子中学生の特徴的な不登校のとらえ方

不登校の男子中学生は、自身の不登校に対して以下のようなとらえ方をしています。

それぞれ解説します。

不登校の人と一緒にされたくない

不登校の男子中学生は「他の不登校の人と一緒にされたくない」という気持ちを持つことがあります。

以下では、実際の声を見てみましょう。

  • 不登校の人みたいに見られるのが嫌
  • 自分は「学校に行っていない」以外は普通
  • 学校に行っていないことを自分で認めたくない

男子中学生は自分が不登校になりながらも、不登校に偏見を持つことがあります。

「自分は他の不登校の人とは違う」と自分に言い聞かせた結果、周囲に相談できずにひとりで悩んでしまうのです。[3]

ダメな自分や状況を変えたい

不登校の男子中学生が感じているのは「自分はダメだ」「このままではいけない」という気持ちです。

例として、以下のような発言があります。 

  • 学校に行っていないのがやっぱり嫌だった
  • 中卒でがんばる気力はないって思ってた
  • ずっとこのままなわけはないからすごく不安だった

不登校の子どもたちは、学校に行けない状況を肯定しているわけではありません。

「これからどうしよう」という不安「変わらなきゃいけない」という気持ちの間で葛藤しているのです。[3]

不登校になってよかった

男子中学生が共通して感じているのは「振り返ってみると不登校になってよかった」という気持ちです。

例として、以下のような発言があります。

  • 学校に行っていたら不登校に対して偏見を一生持っていたと思う
  • 不登校をやってよかった、なってよかったと思う
  • 自分が不登校にならなかったら、今周りにいる人に会えなかった

ただ、不登校に対するこれらの肯定的な気持ちは、不登校の問題が解決したあとに生じています

フリースクールや通信制高校への進学など、新たな居場所が心に余裕を作り、これらの肯定的な気持ちが芽生えさせるのです。[6]

不安や葛藤を乗り越えた後に気づきます。

不登校の男子中学生に親ができる3つのこと

不登校の中学生男子に親ができることとして、以下の3つが挙げられます。

それぞれ解説します。

無理して登校させない

不登校で悩んでいる子どもを無理やり登校させないようにしましょう。

男子の親は女子の親に比べて、不登校の子どもを登校させようとする傾向があります。

現代社会では「男性は外で働く」というイメージが浸透しているため、男子の親は子どもの不登校を「将来に直結する問題」としてとらえ、強い危機感を抱くのです。[7]

ただ、無理に登校を促すと子どもは「親は自分の味方ではない」と心を閉ざしてしまうでしょう。

学校にも家庭にも子どもの居場所がなくなってしまうため、無理に登校を促さず本人の回復を優先させてください。

親の考えを伝える

子どもにきちんと親の考えを伝えることが大切です。

不登校の子どもは登校を促されるのを嫌がりますが、全面的に拒否している訳ではありません。

親が不登校に対して何も言わないと「自分は親に諦められた存在なんだ」と感じ、自信を失ってしまうのです。[3]

そのため、以下のように親の考えを伝えましょう。

  • 親としてはできれば学校に戻るのがよいと思っている
  • 支援室やフリースクールという選択肢も考えている
  • あなたが笑顔でいられる場所を一緒に探したいと思っている

親の考えを押し付けず「いくつかの選択肢の中から自分で選んでいいんだよ」と伝えることが大切です。

登校を強制したり放任したりせず、子どもを見守れる適度な距離感を保ちましょう。

医療機関に相談する

子どもの気力がなかなか回復しなかったり、暴言や暴力がみられるときは医療機関に相談しましょう。

とくに、暴言や暴力には注意が必要です。

子どもは自分のつらさを抱えきれなかったり、誰かのせいにしたりしたいときに親に暴言や暴力を浴びせる場合があります。

ただ「子どもだってつらいんだから…」と我慢する必要はありません。

「そんなふうにされるとつらい」という親の気持ちを伝え、次に暴言や暴力があれば警察に連絡することをきっぱりと伝えましょう。[8]

そのうえで早めに医療機関を受診し、治療法や対策を考えることが大切です。

おおかみこころのクリニックでは、ご家族からの相談もお待ちしております。お気軽にご相談ください。

まとめ

男子中学生の不登校の理由として、友人関係やゲーム・アニメ、こだわりの強さなどが考えられます。

男子中学生は「自分が不登校であることを認めたくない」という気持ちを持ちやすいため、周囲に相談できないこともあるでしょう。

登校を強制したり放任しすぎたりすると、子どものエネルギーは回復しません。

「いくつかの選択肢の中から自分で選んでよい」というメッセージとともに親の考えを伝え、適度な距離感で見守りましょう。

暴言や暴力などの問題行動がある場合は、すぐに病院の受診が必要です。

おおかみこころのクリニックでは、ご家族からのご相談もお待ちしてお待ちしております。お気軽にご連絡ください。

【参考資料】
[1]文部科学省|令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について  4.小・中学校の長期欠席(不登校等)の状況③不登校の要因
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf

[2]文部科学省 国立教育政策研究所|「中1ギャップ」の真実
https://www.nise.go.jp/nc/wysiwyg/file/download/1/4632

[3]不登校現象にみられるジェンダー問題  4.不登校に直面した子どもの「語り」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jschildstudy/12/0/12_3/_pdf/-char/ja

[4]e-ヘルスネット 1. 自立と仲間関係
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-002.html

[5]久里浜医療センター ゲーム障害について ゲーム障害の実態
https://www.mhlw.go.jp/content/12205250/000759309.pdf

[6]不登校現象にみられるジェンダー問題 5-3.不登校経験に対する肯定的評価
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jschildstudy/12/0/12_3/_pdf/-char/ja 

[7]不登校現象にみられるジェンダー問題 5-2.母親の登校促進に見られるジェンダー差異https://www.jstage.jst.go.jp/article/jschildstudy/12/0/12_3/_pdf/-char/ja

[8]登校しぶり・不登校の子に親ができること|下島かほる 講談社

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