不登校とひきこもりってどう違うんですか?不登校の子どもがひきこもりになりそうで不安なんです。
不登校とひきこもりは『人との交流そのものを避けるかどうか』という点が違うよ。記事の中で解説するね!
ひきこもりになったきっかけとして約40%の人が不登校を挙げていますが、すべての不登校がひきこもりになるわけではありません。
適切な対策により不登校からひきこもりになる事態を避け、再び学校や社会に戻ることができます。
今回は、不登校とひきこもりの違いや不登校がひきこもりにつながる3つの原因について解説します。
記事の後半では、不登校・ひきこもりの子どもに親ができる3つのことを解説しているため、日頃の子どもとの関わりの中で参考にしてくださいね。
この記事では不登校やひきこもりを解決するヒントを詰め込んでいるため、家族や本人の気持ちを軽くできるお手伝いができれば幸いです。
不登校とひきこもりの違い
不登校とひきこもりの違いは「人との交流そのものを避けるかどうか」です。
それぞれの特徴を以下で解説します。
不登校とは
不登校とは、心身の問題や家庭の手伝いなどにより1年間で30日以上欠席した児童・生徒(病気や経済的な理由を除いたもの)です。[1]
不登校の例として以下が挙げられます。
- 無気力で登校できない
- 友だちや先生との関係が悪く登校できない
- 家族を介護したり家事をしたりして登校できない
不登校の子どもは学校を休みがちですが、人との交流を避けているわけではありません。
家族との外出や習い事へは行けるため、人との交流を保つことができるのです。
ひきこもりとは
ひきこもりとは、学校や仕事に行かず人との交流を避け、家庭で過ごす日が6か月以上続いている状態を指します。[2]
家族との外出や習い事への参加ができる不登校とは違い、ひきこもりは人との交流そのものを避けます。
ひきこもりは日本に約115万人(=国民の100人に1人)ほどいるとされており、決して珍しい状態ではありません。[3]
ただ、ひきこもりの長期化は家庭内暴力や深刻な精神疾患につながりやすいため、早めの対策が必要です。
不登校が原因のひきこもりは40%
ひきこもりになった原因として、約40%の人が不登校を挙げています。
これは「こころの不調・病気・障害(約75%)」に続いて多い原因ですが、すべての不登校がひきこもりになるわけではありません。[3]
不登校の中学3年生の高校進学率は85.1%(文部科学省・2014年)であり、データからも多くの不登校が家庭の外に出ていることがわかるでしょう。[4]
スクールカウンセラーの配置や通信制高校の増加など、不登校が社会とつながりやすい環境は年々整ってきているため「不登校=将来はひきこもり」と心配しすぎないでくださいね。[4]
不登校がひきこもりにつながる3つの原因
不登校がひきこもりにつながる原因として、以下3つが挙げられます。[3]
それぞれ解説します。
孤立しやすくなる
不登校になると、本人や家族は社会から孤立しやすくなります。
本人は学校に行けないことへの罪悪感や、自分が不登校だと認めたくない気持ちから、なかなか周囲に相談できません。
家族も地域やママ友とのつながりが薄れたり「育て方が悪いと言われるかもしれない」という不安があったりして、周囲に相談できないのです。
家族で問題を抱え込むうちに不登校が長期化し、ひきこもりにつながってしまいます。
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心身の元気がなくなる
心と身体の元気がなくなってしまうのも、ひきこもりにつながる原因です。
不登校は本人ががんばりすぎて元気が失われている状態のため、外の世界とつながる気力が残されていません。
もう一度動き出すためには時間をかけて心身の元気を取り戻す必要がありますが、焦って学校に戻ろうとするとかえって気力が失われてしまいます。
再登校のチャレンジと失敗を繰り返すうちに「やっぱり自分は学校に戻れない」「外の世界が怖い」と自信を失い、ひきこもりになってしまうのです。
学校に戻りづらくなる
学校への戻りづらさを感じてしまうと、ひきこもりにつながりやすくなります。
不登校が学校にもどりづらいと考える場面として、以下が挙げられます。
- 傷つくのが怖くて外に出られない
- 勉強がわからなくて学校に行きづらい
- テストを受けておらず進学できるかわからない
学校や病院への相談を本人が強く拒否すると、家族もどうすればよいかわからないため腫れ物に触るような対応になってしまいます。
時間の経過とともに本人はますます学校に戻りづらくなるため、ひきこもりにつながりやすくなるのです。
不登校・ひきこもりの子どもに親ができる3つのこと
不登校・ひきこもりの子どもに親ができることとして、以下3つが挙げられます。[3]
それぞれ解説します。
何気ない会話を大切にする
家庭内での何気ない会話を大切にしましょう。
「いつ学校に行くの?」「勉強大丈夫なの?」という会話だけでは家庭が息苦しい場所になり、家族の交流がなくなってしまいます。
「暑くなってきたね」というような何気ない日常会話が大切ですが、心配事で頭がいっぱいのときは何を話せばよいかわからないかもしれません。
そのようなときにおすすめなのは、近所を散歩したりテレビをみたりして会話の種を探すことです。
「あそこに新しいお店ができるんだって」「外で猫が寝てて可愛かったよ」など、何気ないことを伝えましょう。
子どもからの反応を期待せず、親の負担にならない範囲で関わりを続けることが大切です。
直接の会話が難しいようであれば食事に手紙を添えて、家庭内の気軽な交流が途絶えないように意識してください。[3]
存在を認める
子どもの存在そのものを認め「ここにいていいんだよ」というメッセージを子どもに伝えましょう。
不登校やひきこもりの本人は「家族に申し訳ない」という気持ちを持つため、家庭内に安心できる居場所を作ることが大切です。[2]
以下の声かけを参考にしてください。
- おはよう、おやすみ
- ご飯できたから食べてね
- 今日は暑いから水分取ってね
子どもの将来を考えて学校に戻る方法を考えるのは自然なことですが、いまは子どもが「自分はここにいていいんだ」と思えることが大切です。
挨拶や食事などの声かけに「あなたは大切な家族だよ」というメッセージを込め、子どもの存在そのものを認めましょう。
家族に存在を認められるのは、すごく嬉しいですね
家族が社会とつながる
不登校やひきこもりの改善には、家族が社会とつながることがとても大切です。
問題を家族で抱え込むと、孤立が深まり状況がよくなりません。
本人が学校や医療機関への相談を嫌がる場合は、家族だけでも相談するようにしましょう。
まず親が相談することで「病院の先生、あなたと同じ漫画が好きなんだって。話してみたいって言ってたよ」と、子どもを相談につながるきっかけが作れるかもしれません。
おおかみこころのクリニックでは、子どもの相談だけなく「私自身の気持ちを何とかしたくて…」という相談も大歓迎です。ぜひお気軽にご連絡ください。
まとめ
ひきこもりのきっかけとして約40%が不登校を挙げていますが、すべての不登校がひきこもりになるわけではありません。
不登校の中学3年生の約85%が高校に進学しており、多くが社会に戻っていることがわかります。
ただ、家族で問題を抱え込み孤立してしまうと、不登校の解決が難しくなりひきこもりへとつながるリスクがあります。
学校や医療機関への相談を本人が嫌がる場合は、家族だけでも相談するようにしましょう。
本人が身動きを取れなくても、家族が動くことで問題が少しずつ解決に向けて進み始めます。
本人の不登校やひきこもりに焦点を当てる前に、家族が感じているつらい気持ちについて相談するのもよいでしょう。
ぜひお気軽におおかみこころのクリニックにご連絡ください。
【参考文献】
[1]文部科学省
児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説:文部科学省 (mext.go.jp)
[2]厚生労働省
まず知ろう!「ひきこもりNOW」!|ひきこもりVOICE STATION (mhlw.go.jp)
[3]厚生労働省
ひきこもりVOICE STATION|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
[4]文部科学省「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1349956.htm
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