子どもが学校に行きたくないと言うんです。これは甘えでしょうか
すべてが甘えとは言い切れないよ。記事の中で解説するね
学校に行きたくないと言われると「なにかあったのかな」と心配になってしまいますよね。
休日は元気に過ごしている様子を見ると「甘えなんじゃないの」と感じてしまうかもしれません。
しかし、学校に行きたくないというのは子どもにとって精一杯のSOSサインです。
記事の中では、学校に行きたくないのが甘えではない理由や、学校を休ませるべきサイン、親の適切な行動とNG行動について解説します。
記事の最後ではよくある質問にも回答しているので、ぜひ最後まで目を通してくださいね。
学校に行きたくないのは甘えではない
学校に行きたくないのは甘えではありません。
子どもが「学校に行きたくない」と打ち明ける背景には、漠然とした不安や友人関係のトラブルなどの問題を抱えているのです。
実際の不登校の要因としては、以下のようなものが挙げられます。[1](表1)
無気力・不安 | 51.8% |
生活リズムの乱れ、遊び、非行 | 11.4% |
いじめ以外の友人とのトラブル | 9.2% |
親子の関わり方 | 7.4% |
その他 | 5.0% |
引用:令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
「学校に行きたくない」というのは、子どもの心のSOSです。
助けを求める子どもを「甘えだ」と突き放してしまうと、さらに追いつめられてしまいます。
まずは、子どもが勇気を出して伝えてくれたSOSを受け入れましょう。
学校に行きたくない子どもを休ませるべきサイン
「学校に行きたくない」という子どもを休ませるべきサインは以下のとおりです。(図1)[2]
子どもは「親を困らせたくない」「知られると恥ずかしい」という気持ちから、ひとりで悩みを抱え込むことがあります。
無理をさせると心身に不調が出たり、自分の身体を傷つけたりする可能性もあるため、早めに休ませて心のケアを優先しましょう。
おおかみこころのクリニックでは、学校の問題を抱える子どもの相談をお待ちしています。ぜひお気軽にご相談ください。
子どもが学校に行きたがらないときの対応
子どもが「学校に行きたくない」と言ったときには、以下のような対応を心がけましょう。
それぞれ解説します。
家庭を安心できる居場所にする
子どもが「家庭=安心できる居場所」と思える雰囲気を作りましょう。[3]
不登校の中には「家にも学校にも居場所がない」と悩む子どもが少なくありません。
子どもが好きなゲームや推し(好きなアイドルやキャラクター)について教えてもらったり、一緒にお菓子作りや料理をしたりして家庭の中にホッとする居場所を作りましょう。
自分の好きなものの話を聞かれると嬉しいですよね!
以下のような声掛けも効果的です。
- 疲れてそうだから今日はゆっくり休むといいよ
- 勉強のことは元気になったら考えよう
親が自分の味方になってくれると分かると、子どもはとても心強く感じます。
家庭をホッとする環境に整え、学校で頑張るエネルギーを充電できるようにしましょう。
家族で同じ方向を向く
家族の間で登校に対する考え方を共有しましょう。
母親が「行けるときに行けばいいよ」と言い、父親が「学校に行かないと勉強がわからなくなるぞ」と言うようでは、子どもが混乱してしまいます。
家族仲もギクシャクしてしまい、子どもが「自分のせいで家族の雰囲気が悪い」と自分を責める原因にもなりかねません。
家族間で登校に対する考え方を共有することで、子どもの混乱や不安を軽減できるでしょう。[3]
信頼できる相談者を探す
子どもが「学校に行きたくない」と言ったときは、信頼できる相談者を探しましょう。
「信頼できる相談者」と「避けるべき相談者」の特徴は以下のとおりです。[2]
いじめや先生との関係などの問題は、第三者(例:スクールカウンセラー)の助けが必要なときもあるでしょう。
子どもが「親には話せない」と感じていることもあるかもしれません。
家族ですべてを抱え込まずに学校や医療機関に相談し、問題をよい方向に向かわせることが大切です。
子どもが学校に行きたがらないときの親のNG行動
以下の行動は子どもを追い詰めるため、家庭内でやらないよう注意しましょう。
それぞれ解説します。
無理やり登校させる
嫌がる子どもを無理に登校させるのは止めましょう。
学校を休まない方がよいことは、子ども自身がいちばんよく分かっています。
それでも学校を休みたいのは「行くべきだ」という気持ちを上回るほどのつらさを抱えているからです。[2]
親が子どもの気持ちに共感せず、ただ学校に行くことを強制すると子どもはますます追いつめられてしまいます。
「子どもを学校に行かせなければ…」と焦ってしまう方は、自分自身に以下のような不安がないか確認しましょう。
- このまま学校に行かなくなるかも
- 勉強についていけなくなるかも
- ママ友になにか言われるかも
まずは親自身の不安を脇に置いて「学校に行きたくない」という子どもの気持ちを受け止めましょう。
子どもの言動を改めさせる
学校に行かない子どもの攻撃的な言動が気になっても、注意して改めさせるのは避けましょう。
子どもの心も不安や混乱でいっぱいになり、気持ちのやり場に困っているのです。
「本当はどうしてほしかったの?」と子どもの本当の気持ちに焦点を当ててください。[2]
子ども自身も自分の気持ちに気づいていない場合も多いため、正確な答えが返ってこないかもしれません。
ただ「自分は本当は何がしたいんだろう?」と自分と向き合うきっかけを与えられるでしょう。
子どもの内面を見ることで「親が自分を理解しようとしている」という安心感を子どもに与え、親子の信頼関係を深めることができます。
ゆっくりと子どものペースで話してくれるのを待ちましょう
原因探し・犯人探しをする
学校に行きたくない原因を特定するのはやめましょう。
親としては子どもが心配で原因探しをしたくなりますが、あまり理由を話したがらない子や、学校に行きたくない理由がわからない子もいます。
さまざまな出来事が積み重なって「学校に行きたくない」につながっているため、原因はひとつではないことがほとんどです。[3]
また「なんで学校に行かないの?」という質問によって、子どもは家にいることを責められているように感じます。
家庭を安心できる場所にしておき、子どもの方から学校での悩みを打ち明けられるようにしておきましょう。
Q:学校に行っていない子どもを遊ばせてもいいの?
学校を休んでも、子どもがリフレッシュできる遊びをして問題ありません。
学校を休む目的は、心と身体のエネルギーを充電することです。
「学校を休んだから遊んではいけない」と部屋にひきこもると、以下のような考えが浮かんで余計に不安になってしまいます。
- 休んだことを友達にどう思われているのかな
- 学校を休んじゃった自分は悪い子なのかな
- 明日も学校に行きたくないな
ストレスの多い学校生活から離れて遊んで過ごすことで、子どもは再び登校できるエネルギーを作りだせるでしょう。
Q:学校を一回休んだら休み癖がつかない?
適切な保護者のサポートがあれば休み癖がつくことはありません。
家族のルールとして「各学期に〇日までは、リフレッシュのために休んでよい」と決めるのもよいでしょう。[2]
心の疲れは、風邪に例えると理解しやすいかもしれません。
風邪の引き始めの段階で休息を取ればすぐ回復しますが、がんばりすぎて風邪をこじらせてしまうと1週間休んでも回復しない…という事態になってしまいます。
心も同様に、大きく調子を崩す前に休憩を取ることが大切です。
「こんなことがあってちょっと疲れたから、今日は学校を休みたい」という思いを受け止め、甘えだと言わずにリフレッシュさせてあげてください。
「自分が困ったときには親が味方になってくれる」という絶大な安心感を感じた子どもは、心の充電をしてまた元気に登校できるでしょう。
まとめ
子どもが学校に行きたくないというときには、不安や無気力などの心の問題や友人関係のトラブルなど、子どもなりの理由を抱えていることがあります。
無理をさせると心身に問題が生じたり自分の身体を傷つけたりすることもあるため、SOSサインを出していないかよく観察しましょう。
子どもが学校に行きたくないと言ったときには、無理やり学校に行かせたり原因探しをしたりせず、家庭を居心地のよい居場所にすることが大切です。
子どもがリラックスできる過ごし方をしたり、家族で登校に対する考え方を共有したりして子どもが安心できるように配慮してください。
すべてを家族で抱え込まず、力を貸してくれる適切な相談者を探すことも大切です。
「学校に行きたくない」と伝えてくれた子どものSOSを受け入れ、子どもの心身の負担を軽くできる方法を一緒に考えましょう。
おおかみこころのクリニックでは、本人やご家族の相談をお待ちしています。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
【参考文献】
[1]令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 4.小・中学校の長期欠席(不登校等)の状況 ③ 不登校の要因
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf
[2]学校では教えてくれない自分を休ませる方法 井上祐紀 KADOKAWA
[3]奈良教育大学 子ども・若者支援専門職養成研究所 不登校の理解と対応 ガイドブック =保護者編=
https://4afbf42c-c75f-4079-b483-9a5e1c532a1d.filesusr.com/ugd/bf1f83_bc7da517df9541c89d263a8906092a4f.pdf
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