朝だけ登校しぶりは発達障害なのか?対処方法と考えられる病気を解説

朝になると突然「学校に行きたくない」と言い出す子ども。このような「朝だけ登校しぶり」に悩む親は少なくないでしょう。

朝だけ登校をしぶる背景には、学校生活への不安や身体的な不調など、さまざまな要因が隠れています。また、知的障害や発達障害などが関係している可能性もあります。

この記事では、朝だけ登校しぶりの原因対処方法について詳しく解説します。子どもが安心して学校に通えるようなサポートに役立てれば幸いです。

目次

朝だけ登校しぶりの原因

朝だけ登校しぶりとは、子どもが抱えるさまざまな不安や問題が、朝に顕著に現れる現象です。おもな原因には、学校生活への不安、身体的な不調、生活リズムの乱れがあります。[1]

学校生活への不安は、友人関係のトラブルや勉強の遅れなどから生じます。登校をしぶる子どもは、朝になると「学校に行かなきゃいけない」と現実味を帯び、心理的負担が増えるのです。

身体的な不調としては、起立性調節障害といった体調の問題が挙げられます。生活リズムの乱れも大きな要因です。夜更かしにより、朝の起床が辛くなり、登校を渋ってしまうのです。

これらの原因を理解して適切に対応すれば、朝だけの登校しぶりを改善できる可能性が高まります。

朝だけ登校しぶりのサイン

朝だけ登校しぶりには、いくつかの特徴的なサインがあります。

身体的なサインとしては、朝になると頭痛や腹痛、吐き気などの症状を訴えることがあります。たとえば、「お腹が痛い」「頭が痛い」といった訴えが増えるでしょう。[2]

精神面のサインには、朝になると不安そうな表情を見せたり、イライラしたりすることがあります。「学校に行きたくない」と直接伝えたり、黙り込んだりしてしまうのです。[3]

登校しぶりのサインに気づいたら、子どもの様子をよく観察し、適切なサポートを行いましょう。

無理強いはせずに適切なサポートが大切です。

朝だけ登校しぶりへの対処方法

朝だけ登校をしぶる子どもへの対処法には、以下の3つがあります。

それぞれの対処法について詳しく説明します。

学校と連絡を取り合う

重要なのが、学校側と密に連絡を取り合うことです。

子どもの状況を学校の先生やスクールカウンセラーに伝え、学校での様子を確認します。たとえば、友人関係のトラブルや学習の遅れがないかなど、具体的な情報を共有しましょう。子どもの状況を共有すれば、学校側も適切な対応ができます。

スクールカウンセラーとは、子どもへのカウンセリング、子どもへの対応について先生や親にアドバイスをする、心理の専門家です。学校でのトラブルや不安になる要素を早期に把握し、対策が可能になるのです。[4]

学校と協力して対策を考えれば、子どもに適した支援体制を整えられます定期的な情報交換を行い、家庭と学校が一丸となって子どもをサポートしていきましょう。

学校と情報共有することで、行き違いを減らすこともできます。

無理に学校に行かせない

注意したいのが、子どもを無理に学校に行かせないことです。

朝だけ登校をしぶる背景には、さまざまな原因が考えられます。無理に登校させると、かえってストレスが増大し、問題が深刻になるでしょう。

とくに体調不良を訴えている場合は、休養を取らせることが大切です。無理強いせず、まずは家庭でリラックスできる環境を整え、心身のリセットをさせましょう

ただし、長期間の欠席は学習の遅れにつながるため、状況に応じて適切な判断が必要です。登校できない期間が長くなりそうであれば、学校側と相談してみてください。

行きたくない理由を聞いてみる

朝だけ登校をしぶるときは、子どもに学校に行きたくない理由を尋ねてみましょう

子どもの気持ちに寄り添い、丁寧に話を聞けば、登校しぶりの本当の原因が見えてくることがあります「友達とうまくいかない」「授業についていけない」など、具体的な悩みが明らかになるでしょう。

理由がわかれば、具体的な対策を考えられます。ただし、子どもが理由を話したがらないときは無理に聞き出そうとせず、話したくなったときに話せる雰囲気を作りましょう。[5]

朝だけ登校をしぶるときに考えられる病気

朝だけ登校をしぶるときは、気分の問題ではなく、何らかの病気が隠れている可能性があります。ここでは、朝の登校しぶりに関連する可能性のある3つの病気について説明します。

それぞれの特徴と、朝の登校しぶりとの関連性を見ていきましょう。

ダウン症

ダウン症は、染色体の異常によって起こる先天性の障害です。

ダウン症の子どもは、身体的な特徴だけでなく、知的発達や言語能力の遅れがみられることがあります。子どものIQが平均100であるのに比べ、ダウン症の子どもの平均値は約50です。[6]

学習の遅れに対する不安や、コミュニケーションの難しさから友人関係に悩むことがあります。ダウン症を含む知的障害のある子どもは、状況をうまく読み取れず、適切な行動が分からなかったり、コミュニケーションを取れなかったりしてしまいます。[7]心理的な緊張や不安などが朝に強く表れ、登校を渋ってしまうのでしょう。

起立性調節障害

起立性調節障害は、自律神経の働きが乱れによって起こる病気です。

症状は起きたときのめまいや立ちくらみ、朝の起床困難などがあります。とくに朝に症状が強く現れるため、朝の登校しぶりの大きな要因となります。夕方や午後に症状が改善するため、夜に元気になると眠れなくなり、翌日の朝に起きられなくなる負のスパイラルに陥ることがあるのです。[8]

学校に行くのがつらく、遅刻が多かったり、午前中は居眠りしたりしてしまいます。本人にそのつもりはなくても、家族や周囲から「怠けている」「サボっている」と誤解されがちです[9]

病気が隠れていそうだな…と心配になったら、おおかみこころのクリニックにご相談ください。

注意欠如・多動症

注意欠如・多動症(ADHD)は、注意力の低下や多動性、衝動性を特徴とする発達障害です。

発達障害と不登校について調査を行い、高い割合で関連していると指摘されています。[10]ADHDの子どもは、「気が散りやすい」「物をなくしやすい」「じっとしていられない」などの特徴があります。[11]たとえば、授業に集中できない、忘れ物が多いなど、学校生活においてさまざまな困難に直面してしまうのです

学校に対する不安や苦手意識を生み出し、朝の登校しぶりにつながる可能性があります。

まとめ

朝だけ登校しぶりをする原因には、学校生活への不安、身体的な不調などが挙げられます。ただし、子どもによってはダウン症や注意欠如・多動症などの病気の可能性があります。それぞれの病気の特徴が見られるようであれば、医療機関の受診を検討してみてください。

子どもが朝だけ登校しぶりをする時は、無理に学校に行かせず、家庭の様子を学校側と共有しましょう学校と共有すれば、学校側もどのように対策したらいいかを考えられます。

おおかみこころのクリニックでは、16歳以上の方に限り受診を行っています。カウンセラーもおりますので、悩みや不安を話したい方はぜひ相談にお越しください。

【参考文献】
[1]不登校対策にかかるQ&A集ー不登校の未然防止ときめ細やかな支援に向けてー|山口県教育委員会
https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/77950.pdf

[2]発達障害児の「登校しぶり」への包括的支援ー子どもと母親の関係の再調整を中心としてー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tokkyou/51/1/51_51/_pdf

[3]不登校・登校渋り 保護者のためのハンドブック~不登校を通して見る子どもの成長と変容~|世田谷区教育委員会
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kodomo/009/003/002/d00185647_d/fil/handbook.pdf

[4]不登校を通して見る子どもの気持ちと保護者の思いー子どもの心と成長を考えるー|西東京市教育委員会https://www.city.nishitokyo.lg.jp/kosodate/kosodate/futoukouhandbook.files/handbook.pdf

[5]1早期発見と早期対応のために|千葉県
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shidou/seitoshidou/ijimemondai/documents/6dai4syou.pdf

[6]ダウン症候群(21トリソミー)|MSDマニュアル家庭
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/23-小児の健康上の問題/染色体異常と遺伝子異常/ダウン症候群-21トリソミー

[7]登校を渋る知的障害を有する子どもの学校適応に関する事例報告ー遊びを通した担任教師との関係づくりー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjec/6/1/6_41/_pdf/-char/ja

[8]起立性調節障害とは?子ども・大人別に特徴を解説|一般社団法人 起立性調節障害改善協会

[9]それって起立性調節障害かも|福島県立医科大学
https://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/kouhou/vol_26.pdf

[10]発達障害と不登校の関連と支援に関する現状と展望
https://rose-ibadai.repo.nii.ac.jp/record/10198/files/20100040.pdf

[11]ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療|e-ヘルスネット(厚生労働省)

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