「このまま復職できる気がしない」
「正直、退職するつもりでいるけれど、それでいいのかな」
休職中、このような気持ちを抱えながら過ごしていませんか。
休職したまま退職するつもりだと、周囲から「逃げていると思われないかな」「ずるいって言われるかな」と不安に思うでしょう。
休職してもこころが回復しないときは、そのまま退職を選ぶこともあります。
この記事では、休職のまま退職するつもりでいることは問題なのか、退職するときの伝え方・挨拶・荷物の扱いなどを解説します。
今後の行動をどうするべきかを考える参考になりますと幸いです。
休職のまま退職しても問題はないのか
休職のまま退職することは、制度上認められています。
休職したまま退職することを「違法にならないかな」「会社に迷惑をかけるかな」と心配になる方は少なくありません。
日本では職業選択の自由があり、休職中でも退職したいと伝えることは法律で認められています。[1]
たとえば、こころの不調で休職し療養を続けても、医師に「復職は難しい」と判断されることもあるでしょう。
ただし、休職制度自体は法律で一律に定められたものではなく、会社の就業規則に基づいて作成されています。[1]
そのため、休職のまま退職するつもりなら、まず勤めている会社の就業規則を確認してください。
復職してもまた休職するのが心配なときは、下記の記事もあわせてご覧ください。
休職中に退職するつもりは「ずるい」「逃げている」と感じているあなたへ
休職中に「また働ける気がしない」「退職するつもりでいる」と感じることは、おかしなことではありません。
休職中に退職するのは「ずるい」「逃げている」と思われるのではと不安に感じることもあるでしょう。
とくに、まじめで責任感が強い人ほど罪悪感を抱いてしまう傾向があります。
こころの不調で休職しても、なかなか体調が回復しないことがあります。
また、復職しても同じような不調を繰り返すのではないかと、不安に感じる方も少なくありません。
こころの不調で休職したあとは、あなたの体調や置かれている状況に合わせて考えることが大切です。
ただし、休職期間が長くなると会社の就業規則に従って、休職中にそのまま退職扱いになることもあります。[1]
実際に退職するときは、就業規則の確認や手続きが必要です。
そのため、今はムリに答えを出そうとせず、あなたの心身の状態に合わせて考えましょう。

あなたのこころと向き合って考えましょう
休職のまま退職するときの伝え方【例文あり】
退職するときは、感情ではなく「事実と感謝」を伝えると、必要以上に話がこじれるのを防ぐことができます。
また、退職理由をすべて正直に話す必要はありません。
休職中の退職では「体調面の理由で復職が難しい」という事実をもとにした説明で十分です。
ここでは、メールと電話での伝え方の具体例を紹介します。
メールでの伝え方
退職についてメールで連絡するときは、以下のように伝えるとよいでしょう。
件名:退職のご相談
お疲れさまです。〇〇です。
お休みをいただいており、誠にありがとうございます。
休職中にもかかわらず恐れ入りますが、体調面を考慮し復職が難しいと思い、退職を考えております。
これまでご配慮いただいたことに感謝しております。
退職日や今後の手続きについて、ご相談のお時間をいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
伝えにくいことほど「感謝の言葉→伝えたい事実→感謝の言葉+相談したいこと」の順で伝えると、相手によい印象を与えることができます。[2]
メールの内容が大丈夫か心配なときは、家族や友人など身近な人に相談してみるのもよいでしょう。
電話での伝え方
退職について電話で連絡するときも、流れは「感謝の言葉→伝えたい事実→感謝の言葉+相談したいこと」です。
お忙しいところ失礼します。〇〇(部署)の〇〇です。
休職中にもかかわらず、お時間をいただきありがとうございます。
本日は、今後のことについてご相談がありお電話しました。
体調面を考慮し復職が難しいと思い、退職を考えております。
休職中、さまざまご配慮いただいたことに感謝しております。
退職日や必要な手続きについて、どのように進めればよいかご相談させていただけますでしょうか。
完璧に伝えられなくても大丈夫です。
「報告」ではなく「相談」しているというニュアンスで伝えましょう。
退職挨拶や荷物はお願いしてもよい
休職したまま退職するときは、必ず退職挨拶をしなければならないわけではありません。
体調が悪く休職している状況で、ムリに会社に行き挨拶をして荷物をまとめるのは、精神的な負担がかかるでしょう。
あなた自身で対応が難しいときは、以下のような方法があります。
- 荷物は会社の人に郵送してもらう
- 家族や友人などに取りに行ってもらう
もし、会社から貸与されている物があるときは、返却方法を人事に確認してください。
体調を優先して、できる範囲の対応しましょう。
まとめ|休職のまま退職するつもりは「逃げ」ではない
休職中に「復職は難しいかもしれない」「退職するつもりでいる」と考えるのは、おかしなことではありません。
こころの元気が出ないとき「退職」という選択を考える人は多いでしょう。
休職のまま退職することは違法ではなく「ずるい」「逃げている」と責められるものでもありません。
大切なのは周囲の目を気にすることよりも、あなた自身の体調や今後の生活をどう守るかです。
退職を伝えるときは事実と感謝を伝えて、あなたのできる範囲で対応しましょう。
仕事のことを考えて不安が続くときは、医療機関に相談するのもひとつの方法です。
おおかみこころのクリニックでは、働き方や伝え方についての相談も受け付けています。
一緒にどのように伝えたらよいのか考えましょう。家から受診できるオンライン診療も行っています。お気軽にご活用ください。
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【参考文献】
[1]退職、解雇、雇止めなど|確かめよう労働条件 厚生労働省
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_taisyoku.html
[2]フィードバック 定義から近年の議論まで,木村武司,錦織宏 p258
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mededjapan/54/3/54_255/_pdf/-char/ja
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士として精神科で17年の臨床経験を積み、現在は訪問リハビリに従事。経験を生かしメンタルヘルスを中心に、やさしく寄り添う文章を心がけて執筆しています。









