強迫性障害とは、自分ではやりすぎだとわかっていても「せずにはいられない」「考えずにはいられない」状態になる病気です。
特定の考えや行為により、日常生活に支障を来したり、周囲の人が困ったりしているときは、医療機関を受診しましょう。
強迫性障害について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
今回の記事では、強迫性障害の治療法である「曝露反応妨害法」について解説します。
記事の最後では、成功のポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
参考:
知ることからはじめよう こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=MiyHEH6ZUZDxDeYX
曝露反応妨害法とは
曝露反応妨害法は、認知行動療法の一種です。
治療効果の高さや、再発予防効果の高さでも知られています。
以下では、曝露反応妨害法について具体的に説明していきます。
あえて不安に自分を曝す(さらす)治療
強迫性障害は、強迫行為(不安を打ち消す行為)によって不安を一時的に下げています。
しかし、不安はすぐに再燃するため、再び強迫行為をするという悪循環に陥ってしまうのです。
引用:厚生労働省(https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2015/153091/201516018B_upload/201516018B0018.pdf)
曝露反応妨害法では、このパターンを崩していきます。
あえて自分自身を不安な状況にさらす
↓
不安をしずめるための強迫行為を我慢する
↓
不安が下がるのを待つ
という体験を繰り返すうちに、強迫行為や強迫観念が徐々に消失していくのです。
参考:
知ることからはじめよう こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=MiyHEH6ZUZDxDeYX
厚生労働科学研究成果データベース
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2015/153091/201516018B_upload/201516018B0018.pdf
曝露反応妨害法の具体例
具体的にどんなことするの?
それぞれの症状ごとの具体例をチェックしてみよう!
確認行為がやめられない方
目標:確認の回数を減らす
→いつもは5回確認する家の戸締りを1回にしてみる
ルールの逸脱が怖い方
目標:自分に強いているルールを破ってみる
→いつもと違う手順でシャワーを浴びる
加害恐怖の方
目標:自分や他人を守るための行動をやめてみる
→1品だけ包丁を使って料理をしてみる
上記はあくまで一例です。
実際の治療では、個々の状態に合わせたペースで進めていきます。
不安階層表の作成
上の具体例を見て「自分にはできそうにない」と感じた方もいるかもしれません。
その場合、曝露反応妨害法では、不安が小さく取り組みやすい課題から挑戦するのをおすすめします。
その際に活用されるのが「不安階層表」です。
不安階層表とは、不安を感じる状況を0(不安を感じない)~100(非常に強い不安)にレベル分けしたものです。
不安が小さい課題から取り組み、余裕が出てきたら次のレベルへ挑戦します。
「つらい」と感じるときもあるかもしれませんが、治療への取り組みは、確実に回復への自信につながります。
曝露反応妨害法には行動分析が不可欠
曝露反応妨害法は、大きなエネルギーが必要な治療法です。
「自分のために自分で治そう」というモチベーションが治療の支えになります。
そのため、以下のような行動分析を行い、強迫行為にいたるプロセスを理解しましょう。
① 先行刺激 | 外出先から帰宅した |
② 強迫観念 | 「身体にウイルスがついているかも」と考える |
③ 強迫行為 | 何十分もかけてシャワーを浴びる |
④ 結果 | 一時的に不安が下がる |
このプロセスを患者と治療者が共有し、どの部分への働きかけが必要か明らかにします。
ストレスや幼少期の体験などが強迫症状に関係している場合は、それらをターゲットとした治療介入が有効です。
行動分析により、解決の道筋が見えるようになり、治療へのモチベーションを高められます。
「絶対に早く治してやる!」と治療に全力を注ぐと悪化しやすいため、治療と休息のバランスが大切です。
参考:公益社団法人 日本精神神経学会
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=22
曝露反応妨害法は自力でやるのは難しい
曝露反応妨害法は、医療機関を受診し、治療者とともに進めていくのがよいでしょう。
曝露反応妨害法には、即効性がありません。
長い時間をかけて、少しずつ症状改善を目指すため、治療者との励まし合いが治療のサポートとなります。
曝露反応妨害法は、恐怖に立ち向かうため、大きな精神エネルギーが必要です。
強迫性障害の方は、うつ状態を併せ持つことが多く、無理は禁物です。
思考のクセや思考力の低下もみられるため、症状悪化のリスクがあります。
自己流での取り組みは、パニック発作の原因にもなるため、治療者とともに無理なく進めていきましょう。
おおかみこころのクリニックでは、24時間予約を受け付けています。ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
強迫性障害は、強迫行為や強迫観念に生活の自由を奪われる病気です。
曝露反応妨害法は、あえて自分を不安にさらすため、大きなエネルギーを必要とします。
しかし、生活の自由度が上がり、心身が楽になる効果的な治療法です。
自己流での取り組みは、パニック発作や症状悪化をまねくため、治療者とともに取り組みましょう。
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