感情のコントロールが難しくて困っているんです。
もしかしたら「心のコップ」がいっぱいになっているのかも。
情緒不安定な状態は、コップの上限ギリギリまで水が入り、水滴が垂れただけで中身があふれるようなものです。
つまり、ささいな出来事(例:冗談を言われた)があっただけで、感情が爆発(例:涙があふれる、怒鳴り散らす)する状態といえます。
今回は心というコップに余裕を作り、感情を安定させる方法を紹介します。
心と体それぞれにアプローチする「ココロ編」と「カラダ編」に分けて紹介するので、取り組みやすい方法から試してみてください。
記事の最後ではうつ病の初期症状についても解説するので、自分にあてはまるものがないか確認してみてくださいね。
情緒不安定の治し方〜ココロ編〜
心に働きかけ情緒不安定を治すには、以下のような方法があります。
ひとつずつ紹介していきます。
感情の容量をメンテナンスする
心のコップがあふれ出そうなときは、中身を減らしてみましょう。
限界が近いときは物を入れないことが重要だからです。
現代に生きる誰もがタスクを投げ出したり、減らしたりすることに臆病になりがちですが、以下のような方法で心に余裕を作りましょう。
- 仕事を断る
- もっと楽にできる方法を探す
- 助けてくれる人を探す
また、自分の時間の確保も心の余裕につながります。
自分を大切にするとストレスが軽減され、脳と心にゆとりが生まれるのです。
意識的に感情の容量をメンテナンスし、心に余裕を作っておきましょう。
頭の中をすべて紙に書き出す
気分が不安定なときや心のモヤモヤが大きいときは、考えていることをすべて紙に書き出してみましょう。
これは「ブレインダンプ」という作業で、自己理解を深める効果があります。
頭の中にある感情や悩み、つい後回しにしていることなどをすべて紙に書き出してみましょう。
心を乱すものが可視化され対処法が浮かんだり、現状のモヤモヤした気分に納得感が得られたりする効果が期待できます。
ネガティブな感情を認める
ネガティブな感情を持つのは悪いことではありません。
感情を持つ自分が悪いのではなく、感情への反応の仕方に問題があるのです。
「不安定な自分は役立たずだ」
「いつも元気なあの人のようにできない自分が嫌いだ」
このような負の連鎖におちいる前に、以下のような言葉でネガティブな感情を認めましょう。
「そう感じる自分も悪くない」
「感情を持つのは自然なこと」
「感情を持つのは弱さの表れではない」
自分の中にスッと入ってくる言葉で、ネガティブな感情を認めてあげてくださいね。
メンタルの救急箱を用意する
「メンタルの救急箱」として対処法リストを作成しましょう。
ポイントは、気持ちが落ち着いているときにリストアップしておくことです。
情緒不安定なときは混乱したり判断力が低下して、何をすればよいか分からなくなってしまうため、事前の準備が肝心です。
- 家族や友人の写真を見返す
- お気に入りのチョコレートを食べる
- 散歩をする
自分なりの方法をスマホやノートにメモしておき、調子が崩れそうなときに試してください。
また、公的機関や医療機関を頼るのもよいでしょう。
以下の窓口は電話やSNSで相談が可能です。
もちろん、当院もあなたの相談をお待ちしています。
LINEでは24時間予約が可能なので、気軽な気持ちでメンタルの救急箱に入れておいてくださいね。
24時間予約受付中
情緒不安定の治し方〜カラダ編〜
体へのアプローチは以下の方法が有効です。
ひとつずつみていきましょう。
深呼吸する
気持ちが不安定になると呼吸が浅く早くなるため、深呼吸しましょう。
ゆっくり深く呼吸すると、副交感神経が活性化され気持ちがリラックスします。
手軽に自律神経のバランスを整える「4-4-8」呼吸法を試してみてください。
4秒かけて鼻から吸う
4秒息を止める
8秒かけて鼻から吐く
この呼吸法は睡眠の質を高める効果もあるため、寝る前に練習するのがおすすめです。
日頃のストレスを軽減でき、情緒不安定になったときも効果的に深呼吸ができるようになるでしょう。
心地よさを作る
意識的に心地よさを作ると、気持ちに余裕を作り出すことができます。
運動は不安で取り込みすぎた酸素を消費する効果があります。
ストレス軽減には、太陽の光を浴び自然に囲まれた場所で体を動かすのがよいでしょう。
その他にも以下のような方法が有効です。
- スキンシップを取る
- ペットを撫でる
- ぼーっとする
心地よい経験はストレスのサイクルを断ち、環境への適応力を高めます。
体を休める
休息は脳と心にゆとりを作るため、心身の健康に必要不可欠です。
休むことに罪悪感がある方は、以下の手軽な方法から始めてはいかがでしょうか。
・仕事の合間に空を見上げる
・5秒間だけ目を閉じる
・首や肩を回すストレッチをする
隙間時間を使って上手に体を休めてみてください。
情緒不安定になる原因
心を形成する「精神・身体・環境」のバランスが崩れると、情緒不安定に陥ってしまいます。
それぞれについて詳しくみていきましょう。
精神的な原因
一つ目はストレスや不安などの精神的な原因です。
これらは知らぬ間に積み重なるため、自覚したときには限界が近いこともあるでしょう。
- やるべきことを後回しにしている
- 通勤電車が混んでいる
このようなささいな出来事が積み重なると、心の余裕を奪います。
無意識に積み重なるストレスがないか振り返ってみてください。
身体的な原因
二つ目の原因は身体的なストレスです。
- 睡眠不足や疲労
- アルコールやカフェインの摂りすぎ
- 持病の痛みや不安
- 生理や妊娠、閉経などのホルモンバランスの変化
このような不調が心身のバランスを乱し、感情のコントロールを困難にします。
体の調子が悪い時は無理せず休み、コンディションを整えましょう。
環境的な原因
最後は環境要因です。
人間は他者との関わりの中で生きる「社会的動物」であるため、環境から多大な影響を受けています。
- 家族や恋人との別れ
- 職場や家庭の人間関係
- 役割の変化(結婚、出産、仕事の昇格、降格)
- 喪失体験(仕事、財産、健康)
このように私たちは多様な出来事から影響を受けています。
自分を苦しめる要因がある場合は、可能な限り距離を取りましょう。
すぐに泣くのはうつの初期症状かも
「ささいなことで泣いてしまう」
「理由なく泣きたい気持ちになる」
上記はうつ病の初期症状です。
うつ状態になると幸せホルモンである「セロトニン」の分泌量が減るため、ちょっとしたことにも敏感に反応してしまうのです。
以下のうつ病の初期症状に目を通し、当てはまるものがないか確認してください。
✔ 憂うつな気分が続く
✔ 好きなことにさえ興味を持てない
✔ イライラや焦りがある
✔ 罪悪感があり自分を責める
✔ 思考力が低下する
✔ 睡眠が浅く良く眠れない
これらの症状が2週間以上続いている場合は病院を受診しましょう。
体に様々な不調をきたす「自律神経失調症」や、ホルモンバランスの変化によって起きる「更年期障害」などでも情緒不安定の症状がみられます。
心身の不調が続く場合は、お気軽に当院にご相談ください。
24時間予約受付中
情緒不安定の受診の目安
気持ちの浮き沈みが激しく、自分を責めるような気持ちが2週間以上続く場合は病院を受診しましょう。
中途覚醒や早朝覚醒などの睡眠障害が「週に3回以上、1ヶ月続く場合」も受診が勧められています。
うつ病をはじめとする精神疾患は、早期治療により症状が改善しやすいものです。
「この程度で受診してもいいの?」
「もっと苦しんでいる人もいるはず」
そう思う方もいるかもしれませんが、あなたが少しでも苦しいと感じるなら、その苦しみを人と比べる必要はありません。
「この程度で受診していいのか迷ったんですけど…」と素直な気持ちを診察室で話してみてください。
当院ではあなたの心を楽にするお手伝いをさせていただきます。
ぜひ気軽な気持ちでご相談くださいね。
24時間予約受付中
まとめ
情緒不安定を改善するためには、感情の容量に余裕を持たせることが大切です。
今回ご紹介した7つの方法をもう一度確認しておきましょう。
✔ 感情の容量をメンテナンスする
✔ 頭の中をすべて紙に書き出す
✔ ネガティブな感情を認める
✔ メンタルの救急箱を用意する
✔ 深呼吸する
✔ 心地よさを作る
✔ 体を休める
取り組みやすいものばかりなので、試しやすいと思うものから生活に取り入れてみてください。
ただ、情緒不安定はうつ病の初期症状と関連する場合があります。
気分の浮き沈みや自分を責める気持ちが2週間以上続く場合は、無理せず病院に相談してください。
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参考図書
心の容量が増えるメンタルの取扱説明書 エマ・ヘップバーン著 Discover
参考サイト