箱庭療法で何がわかる?なぜ箱庭療法は統合失調症禁忌と言われているのか




「何かいい治療法ないかな~?」って調べていたら、箱庭療法って出てきたけど…何をするんだろう?

浅田先生
浅田先生

箱庭療法は歴史のある心理療法でなんだ!今回は、箱庭療法について解説していきましょうね♪

「統合失調症の人には向かない」って出てきたけど…なんでなの?向き不向きがあるのかなぁ?

浅田先生
浅田先生

そうだね。それについても説明していきますね!

箱庭療法とは、箱の中に入った砂に人形やおもちゃなどを自由に置いていく心理療法です。

「砂の上におもちゃ置いていくだけで何がわかるの?」

「本当に治療として効果があるの?」

「どんな人に向いているの?」

と思う方は多いと思います。

今回は、箱庭療法とは何なのか箱庭療法をすることで何がわかるのかについて解説していきます。

箱庭療法が気になっている方の参考になりますと幸いです。

箱庭療法ができる病院やクリニックは、そんなに多くありません。「ちょっとやってみたいな」と思った場合は下記の記事のアプリを利用してみるのもおすすめです。

箱庭療法とは

箱庭療法は、1929年にイギリスの小児科医Lowenfeldによって世界技法として考案され、1965年に河合隼雄によって日本で紹介された歴史ある心理療法です。[1]

外側を黒く、内側を青く塗った長方形の箱(52×72×7㎝)に砂を入れて、掘ったり盛ったりしながら、多くのミニチュアのおもちゃ(人、動物、乗り物、建物、石など)から好きなものを選び、箱の中に治療対象者(以下:クライアント)が自分のイメージを自由に表現していきます。[2]

適応年齢・対象疾患

3歳〜大人までと幅広い年齢層が利用できます。[2]

自己啓発を目指す人から、神経症〜精神疾患の方まで多くの方が対象です。

ただし、内なるイメージを表出することで、そのイメージが自分自身に破壊的に働く場合は禁忌とされています。こちらは、後ほど詳しく解説しますので先に見たい方はこちらからご覧ください。

箱庭療法の流れ

箱庭療法を含む心理療法を行う上で、最も大切なのは治療者との信頼関係です。誰でも箱庭を作ったら治るわけではなく、治療者とクライエントの信頼関係を土台にして、クライエントの心的表現を意識することが大切になります。

箱庭療法の大まかな流れは下記の通りです。

  1. 「ちょっとこれでも作ってみませんか?」と箱庭を作り始める。
  2. 箱庭作成中は、原則的に治療者はクライエントに干渉することない。
  3. 箱庭作成後、クライエントが箱庭の内容を説明する。

箱庭療法は、決して強制されて行うものではありません。また、表現された箱庭の中の世界は、クライエントにとって守られた世界である必要があります。[3]

自分の無意識の世界を誰にも阻害されることなく、クライエントがじっくりとその世界を味わうことが大切なのです。

頻度・効果が表れるまでの期間

箱庭療法を行う回数や頻度には個人差が大きく影響します。箱庭療法などの心理療法は一回で治療が完了することは難しく、「3回目から効果がでます」などの明確なルールもありません。箱庭を何度か作っていき、シリーズとして見ていく場合もあります。[3]

箱庭療法で何がわかるのか

結局、箱庭療法をすると何がわかるの?

浅田先生
浅田先生

ここでは、箱庭療法で何がわかるのか説明していきますね!

箱庭療法を行うことで、クライエントにどのような効果があるのか、治療者は箱庭から何を感じ取るのか、箱庭療法を行うことでの治療効果の実例などを詳しく解説していきます。

無意識を表現することで自分と向き合うことができる

誰もが無意識に考えていることに気づくことは難しいです。

箱庭療法では、箱庭を置くことで無意識のイメージを表現し、目で見て確認しながらクライエントが治療者に説明することで、自分自身を客観的に見るきっかけになるのです。

無意識を意識することで、自分の中にある不安や攻撃性が形になり、自分自身と向き合い、今まで気づかなかったことへ意識をむけ、心が軽くなるきっかけになることがあります

実際に、クライエント自身が箱庭作成後に、自身の作った箱庭を振り返り「自分はこんなにも美しい物を作っていたんだ」と驚くこともあるのです。[2]

治療者は作られた箱庭をどのようにみるのか

治療者は作られた箱庭を下記のように見てクライエントを理解しようとします。[3]

統合性:箱庭全体からうけた印象(作品のまとまり、流動性、生命力、機械的、貧しい など)

空間配置:箱庭を一つの世界として見る(ミニチュアが置かれている場所や置かれていない場所 など)

主題:箱庭の中になにかテーマがあるのか

象徴:箱庭の中におかれた内容を象徴的に見る

その他にも、箱庭を作成している過程や説明するときの気づきなどにも注目しています。

治療効果の実例を紹介

箱庭療法を行うことで、自分と向き合い、自分自身が分かるようになります。

ここで、実際に箱庭療法がどのようにクライアントの気づきになるのかを紹介していきます。下記は、あくまでも治療の一例です。個人差があり内容はひとり一人変わってきます

うつ傾向の方の場合
箱庭を作り、箱庭から自分の領域を守っている印象を強く受ける。
そこから、自分は劣等感や自立への苦悩に耐えられず、無意識に自己防衛を強めていたことに気づくことができ、治癒のきっかけとなる。[2]
失感情症の方の場合
砂も触ることで、心身が動き退行現象(幼少期の感覚)を思い出して良い治療効果が期待できる。[2]

なぜ箱庭療法は統合失調症に禁忌なのか

統合失調症に限らず、無意識を意識することで治療の妨げになる方や、心と身体のバランスが取れなくなる方には注意が必要です。[3]

もしも、クライエントの中のイメージが破壊的なものだった場合、表現することで症状の悪化クライエントや治療者に危険が及ぶ可能性も考えられるためです。

箱庭療法で何がわかる?|まとめ

心の病気になった方は、多くのストレスを抱えていることに気づかずに心身ともに負担がかかり、抱えきれず心が悲鳴をあげ病気になってしまうことが多くあります。

箱庭療法では、気づいてない無意識のイメージを表現することで、自分自身と向き合い新たな気づきを見つけるきっかけになります。

ぜひ、みなさんも自分に合った治療法を探してみてくださいね。

おおかみこころとのクリニックは、あなたの心が少しでも軽くなるお手伝いをさせていただきます。「自分にはどの治療法が合っているのか分からない…」と悩んでいる方はお気軽にご相談ください。

24時間予約受付中

参考図書

[1]箱庭療法の心層-内的交流に迫る- 中道泰子 2010年4月20日 創元社

参考サイト

[2]箱庭療法の基礎と症例事例|松田真理子

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/61/2/61_139/_pdf/-char/ja

[3]心身症に対する箱庭療法の適応と限界|河野 博臣

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/19/2/19_KJ00002383369/_pdf/-char/ja

この記事の執筆者
柚木ハル
作業療法士。精神科での16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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