境界性人格障害からターゲットにされやすいのはどんな人?対処法も解説

境界性人格障害からターゲットにされやすいのはどんな人?対処法も解説

他者から見捨てられることに強い不安を感じ、対人関係が不安定である境界性人格障害。病気の特性から、頼りたい理想の人であるターゲットを探す傾向があります。

境界性人格障害の人が職場やコミュニティーにいる場合「ターゲットにされるのはどんな人か知りたい」「ターゲットになったらどう対処すればよいか」と悩む人もいるでしょう。

今回は境界性人格障害の人がターゲットにする人の特徴や、ターゲットにされたときの対処法について解説します。

境界性人格障害の人とうまく付き合って、人間関係の悩みを減らすための参考になれば幸いです。

境界性人格障害の人からターゲットにされやすい人の特徴5つ

境界性人格障害の人から「昨日は笑顔で接してくれたのに、今日はとことんこき下ろされた」とか「1日中ひっきりなしにメールや電話が来る」など思い当たることはありませんか。

境界性人格障害の人がターゲットにする人の特徴には以下の5つがあります。

ひとつずつ順番に確認しましょう。

面倒見の良い人

困っている人を放っておけないという人は、境界性人格障害の人からターゲットにされやすいかもしれません。

面倒見の良い人ほど、仕事からプライベートまでさまざまな相談に乗ってあげる傾向があります。

境界性人格障害の人は「相手に愛情や関心を持ってもらいたい」という強いこだわりがあります。自分によく関わってくれると、自分を助けてくれる人だと強く感じるのです。

そのため、ターゲットにされやすく要求がどんどんエスカレートします。

自分に自信が持てない人

自分に自信が持てない人は、境界性人格障害の人と互いに依存し合う可能性があります。

なぜなら、境界性人格障害の人から頼られると「自分が必要とされてる」と、自分自身に存在価値を見い出す傾向があるからです。[1]

自信がない人は、他人からのあらゆる要求に応えようとするため、自分のことは後回しにして、相手のことを優先して考えるようになります。

そうなると、境界性人格障害の人はますます依存するようになり、気づいたときには過剰に依存しあう「共依存」の状態になっているのです。[1]

同情してくれる人

境界性人格障害の人は、同情してくれる人に対して「自分を受け入れてもらえる」という気持ちを抱きやすいでしょう。

同情する人のなかには、感情移入して過剰な反応をとってしまうケースがあります。すると、境界性人格障害の人は、自分のつらい部分を見せればまた共感して助けてもらえると勘違いしてしまうのです。

ターゲットに対して、境界性人格障害の人はより不安な様子やつらい気持ちをさらけ出すようになります。

責任感の強い人

周囲から信頼されていて、リーダーシップに優れた責任感の強い人は、境界性人格障害の人からみて依存しやすい対象になりやすいです。

責任感の強い人は「自分が助けてあげよう」とか「自分の言動が悪かったのではないか」と思い、境界性人格障害の人に寄り添おうとします。

境界性人格障害の人は、寄り添ってくれた人を理想化してしまうため、依存する頻度が増えてしがみつくようになるのです。

周りの意見に流されやすい人

職場やコミュニティーで波風を立てないように過ごしている人は、境界性人格障害の人からの激しい感情の変化に振り回されるかもしれません。

境界性人格障害の人は相手を持ち上げていても、ちょっとしたことで悪い人だと思い込み、周囲の人に言いふらすことがあります。

周りの意見に流されやすい人は、悪い人だと認定されないようにその場しのぎで優しく対応することがあります。

自分の意見が弱いと、境界性人格障害の人からさらに強い態度を取られたり過度な要求をされたりするでしょう。

境界性人格障害の人がターゲットを決める理由

境界性人格障害の人がターゲットを作る理由は、心の奥深いところに見捨てられることへの不安があるからです。

境界性人格障害の人は、愛情を与えてくれる存在を常に探している状態であるため、ふさわしいと感じた人が現れると相手への期待が大きくなり「理想の人物=ターゲット」になってしまうのです。

ターゲットとなった人に愛情や安心感を求めて、依存するようになりますが、相手の状況を推しはかれず度を超えた要求をします。[2]

しかし、ターゲットにした人が要求に応えられず拒否反応を示すようになると、見捨てられることに対する強い不安から、なりふり構わない行動に出たり、感情が爆発したりするのです。

境界性人格障害の人からターゲットにされやすいときの対処法【逃げたほうがいいの?】

境界性人格障害の人からターゲットにされやすい人は、お互い傷つかないように過ごしたいと考える人も多いでしょう。

職場やコミュニティーでトラブルをできるだけ小さく済ませるために、接し方のコツは3つあります。

ひとつずつ詳しくみていきましょう。

いきなり相手と離れない

急に距離をおくと拒絶されたと受け取られてしまい、一気に悪い人だと認定されて、暴言や攻撃される可能性があります。[3]

境界性人格障害の人は、見捨てられることに対する不安が強いため、いきなり距離をおかれると、それまでの好意が一気に裏切られた感情に変わるのです。

トラブルを避けるために、近づきすぎたら少しずつ距離をとり、適度な距離感を目指しましょう。

要求に対しては「できること」と「できないこと」を明確に伝えるようにします。その際は、見捨てるのではなく、まともな付き合いをしたい考えがあることも添えると良いです。

言葉をそのまま受け取らない

境界性人格障害の人は、感情のままに暴言を吐くことがありますが、病気が原因であることを理解しましょう。

本人は意図的であったり、悪意を持ったりして言ったわけではありません。見捨てられることに対する強い不安から気持ちのコントロールができず、衝動をどうにもできない状態なのです。

暴言に対して、境界性人格障害の人を「否定する」「説教する」などの行動をとると、攻撃的になったり問題行動を起こしたりします。

すでに困っているときは、企業や自治体の相談窓口などの第三者に相談しましょう。

曖昧な態度を取らない

境界性人格障害の人からの度を過ぎた要求や問題行動に対して、おどおどしていると同情してもらえると勘違いされてしまいます。

その場しのぎの曖昧な態度を取っていると、見捨てられる不安からなりふり構わない行動に出てくるため、結果的に振り回されることになります。

境界性人格障害の人とかかわるときは、できる範囲をルール化しておくことが重要です。職場やコミュニティー内であれば、トラブルを防ぐために全員で対応を統一します。

できないことを伝えるときは、理由をはっきり伝えて見捨てることではないことを理解してもらうようにしましょう。

まとめ

境界性人格障害の人は、他者から見捨てられたくないという強い不安があるため、常にターゲットを探しています。

ターゲットにされやすいのは、親身な優しい人です。

しかし境界性人格障害の人は、相手の状況を推し量ることが苦手であるため、自分を助けてくれる人に対して度を過ぎた要求をしてしまいます。

身近にいる境界性人格障害の人と上手に付き合っていくには、できることとできないことを明確に伝えることが大切です。

境界性人格障害の人との関係ですでにつらい思いをしている人は、早めに専門家へ相談してみましょう。

おおかみこころのクリニックでは、それぞれの状況に合わせたカウンセリングを実施しています。少しでも悩まれている方は、ぜひ気軽にご相談くださいね。

24時間予約受付中

参考文献

[1]共依存していたんだ|厚生労働省 心の耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/over/864/

[2]パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか
https://amzn.asia/d/5jdQTE2

[3]よくわかる境界性パーソナリティ障害 こころのクスリBOOKS
https://amzn.asia/d/7LPsBBe

この記事の執筆者
保坂大貴
理学療法士として急性期・回復期病棟に勤務経験あり。医療・健康分野を中心にライターとして活動中。医療知識をわかりやすく使える記事が得意。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

関連記事一覧

予約方法