境界性人格障害は幸せになれないのか?幸せになる5つの方法を解説!

境界性人格障害は幸せになれないのか?幸せになる方法3つを解説

境界性人格障害の方は、感情が不安定になる傾向があるため、人間関係がうまくいかないと悩んでいるかもしれません。

人間関係をうまく築けないと「どうして自分だけ苦しいのか」「周囲に迷惑をかけてばかりでつらい」と、幸せを感じにくくなってしまうでしょう。

そこで今回は、境界性人格障害の方が幸せになれない理由幸せになる方法について解説します。

自分が幸せになれるか不安な方は、この記事を参考にして、幸せになる一歩を踏み出してみてくださいね。

境界性人格障害の方が幸せになれない3つの理由

境界性人格障害の方が幸せになれない理由を3つ紹介します。

それぞれ解説していきます。

感情をコントロールできない

境界性人格障害の方は、感情をコントロールできない傾向があります。[1]

機嫌が良いと思ったら、突然怒りを爆発させることがあり、感情が不安定になりやすいです。ときには「物を投げつける」「殴ってケガをさせる」場合もあります。

自分自身も感情や衝動をコントロールできないことに苦しんでおり、自分の思い通りに物事が進まないと、幸せを感じにくくなります。

青年期(15〜24歳)に発症すると、身近な存在である家族に感情をぶつけることが多くなるため、家族関係にも影響を与えてしまうでしょう。[1][2]

対人関係がうまくいかない

境界性人格障害の方が幸せになれない理由に、対人関係がうまくいかないことが挙げられます。

感情をコントロールできず、怒りをぶつけられてしまうと、まわりの人たちは「関わりたくない」と本人を避けていくのです。

また、境界性人格障害の方は相手への思い込みが強いことがあります。[1]

相手を「自分と同じ存在」「自分の理想の存在」と見て、関わりを強く求めるようになります。しかし、自分とは違う存在と分かると、相手を見下すようになってしまうのです。

このように関わってくれる人がいなくなることで、人間関係の面からも幸せを感じにくくなるでしょう。

他の精神疾患と合併しやすい

境界性人格障害の方は、他の精神疾患と合併しやすいことがさまざまな研究で分かっています。

Grantら(2009)は、境界性人格障害の方が生涯で併発する精神疾患について調査しました。

大うつ病性障害や双極性Ⅰ型障害などの「気分障害」や、限局性恐怖症や心的外傷後ストレス障害といった「不安障害」が境界性人格障害と併発しやすいと分かりました。[3]

また、境界性人格障害の方は、生涯にうつ病を経験する割合は約90%であるという報告もされています。

対人関係のトラブルが頻繁に起きてしまうことも、抑うつ感情をもたらしやすいと考えられています。[1]

うつ病や不安障害などを併発することで、ネガティブに考えやすいです。自分に自信がもてずに幸せになれないこともあるでしょう。

幸せになれない境界性人格障害の方の特徴

境界性人格障害の方には、幸せになりにくい特徴がいくつかあります。

こころちゃん
こころちゃん

それぞれ見ていきましょう♪

考えや行動が極端である

境界性人格障害の方は、考えや行動が極端になりがちです。[1]

物事を善悪でしか判断できず、一般的な考え方に気づきにくいのです。まわりから意見されただけでも、自分が全面的に否定されたと思ってしまいます。

極端な考えになると、それに行動も伴います。たとえば、人間関係においても「敵」「味方」で判断するため、うまくいきません。

味方だと思っていた人が素っ気ない態度をとると、急に相手を悪く言うようになってしまうのです。

自分と異なる考えに対して、攻撃的になってしまう人は注意が必要です。

虚無感を抱きやすい

虚無感を抱きやすいことは、境界性人格障害の方によくあります。[1]

虚無感とは「生きていても虚しい」「自分は無力だ」と感じることです。

とくに「怒りといった激しい感情が出たとき」や「対人関係がおかしくなったとき」などに、強い虚無感に襲われます。

虚無感を埋めるために相手と過剰に関わろうとしますが、うまくいかないと反動で激しい怒りや抑うつ感が起きてしまいます。

このように虚無感を感じやすい人は、気分も落ち込みやすく幸せに気づけないことも多いでしょう。

自分を害する行為をしてしまう

幸せになれない境界性人格障害の方は、自分を苦しめる行為をしがちです。

たとえば、以下のような行動をとってしまいます。

・自傷行為

・性行為

・過食

自傷行為をするきっかけの多くは、対人関係から生じるストレスや悩みだと考えられています。[1]

「相手を選ばない性行為」や「食べきれない量を食べる過食」も、短期的には幸せになれるかもしれません。ただ長い目でみると、後悔が残ったり身体に影響を与えたりして不幸を引き起こす可能性もあります。

幸せになるためには、自分を傷つけない行動を選んでいきましょう。

境界性人格障害の方が幸せになる方法5選

境界性人格障害の方が幸せになる方法を5つ紹介します。

こころちゃん
こころちゃん

できることから試してね!

自分を客観的に見る

境界性人格障害の方が幸せになるためには、客観的に自分を見れるようにしましょう。

強い感情によって衝動的になってしまうときは、自分のことだけに集中してしまいます。周りから見たときに、今の自分がどんな感じなのかを理解すると、衝動を抑えることにも役立ちます。[1]

客観的に自分を見るには、セルフモニタリング(自己観察)を繰り返しおこなってみてください。

セルフモニタリングの方法

1日、1週間、1か月のなかで「自分らしく振舞えたこと」を1つメモする
 (例)好きな洋服を着て出かけた

ポジティブなテーマを選ぶ
 →ネガティブなテーマでは「なぜその感情になったか」「どんな行動したか」を振り返る

(例)職場で苦手な人から悪口を聞こえるように言われてむかついた。
そのときは怒鳴りたくなったが、その場を離れて深呼吸をして気持ちを落ち着かせた

定期的に振り返ることで、どんな時に、どんな感情が起こるのかを把握できるようになるでしょう。

自分を傷つけないようにする

自分を傷つけないようにすることは、幸せへとつながります。

とくに自傷行為をしてしまう方は、以下のような方法でつらい感情を落ち着かせてみてください。[1]

・皮膚に赤い色をぬる

・傷つけたいところを輪ゴムではじく

・皮膚に氷や保冷パックをあてる

・クッションを激しく叩く

・新聞紙を思いっきり破く

自傷行為は、一時的につらい感情を紛らわせたり、忘れさせてくれたりします。ですが、つらくなるたびに自傷行為をしていると、自分に対する自信や誇りが持てなくなってしまうでしょう。

自分を傷つけないためにも「自傷行為」はしないようにしてください。

幸せの基準を下げる

幸せをあまり感じにくい方は、幸せの基準を下げてみましょう。

境界性人格障害では「お金はあるほど幸せ」のように極端な考えになりやすいため、幸せの基準が高くなっている可能性があります。

「ご飯が美味しい」「天気や気温がちょうどよくて気持ちいい」など、日常の小さなことでも喜びを感じてみてください。

小さな幸せを多く感じると、日々の暮らしが充実したものになるでしょう。

まわりと適度な距離を保つ

まわりと適度な距離を保つことは、良好な対人関係につながるでしょう。

境界性人格障害の方は、相手に対して近づきすぎたり離れたりします。そのため距離感が安定しづらいです。[1]

近づきすぎると怒りを抑えられずに相手を傷つけてしまい、離れすぎると相手を強く求めようとしてしまいます。

相手に依存しなくなると、気分の沈み込みも少なくなるためネガティブな考え方も減るでしょう。まわりとは適度な距離を保って、接するようにしてみてください。

治療を受ける

境界性人格障害の方は、治療を受けることで症状が改善していきます。治療は「薬物療法」と「精神療法」の2種類です。[1]

薬物療法では、まだ有効な有効な薬は見つかっていません。

ですが、症状に合わせて以下の薬を使用します。

  • 抗うつ薬
  • 気分調整薬
  • 非定型抗精神病薬

精神療法には、以下のような治療方法があります。

  • 認知療法
  • 弁証法的行動療法
  • メンタライゼーション療法

境界性人格障害の治療法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

幸せになれない境界性人格障害の方への接し方のポイント

家族や恋人が境界性人格障害のときには、接する際に3つのポイントがあります。[1][4]

・一定の態度で接する

・病気が原因であることを理解する

・周囲が責任を感じすぎない

境界性人格障害の方に対しては、一定の態度で接してみてください。本人の調子が良い時も悪い時も、変わらずに接することがサポートに繋がります。

そして感情がコントロールできなかったり、衝動的に行動したりしてしまうのは、病気が原因であることを理解してあげましょう。わざと周囲を困らせようとしているのではなく、本人自身も苦しんでいるのです。

周囲が責任を感じすぎないことも、接し方のポイントのひとつです。「お前のせいでつらい」「助けてくれないなら飛び降りる」など、境界性人格障害の方は相手のせいにしようとする場合があります。

「周りの人が悪い」と本人が責任を押しつけるのではなく、自分の行動にも責任があることを伝えてみましょう。周囲の人は「本人の言いなり」にならないように気を付けてみてください。

まとめ

境界性人格障害の方が幸せになれない理由には「感情をコントロールできない」「対人関係がうまくいかない」などが挙げられます。

幸せになる方法は「もう一人の自分を育てる」「自分を傷つけないようにする」などがあるので、自分に合うものから試してみましょう。

症状に悩んでいる方は、医療機関に相談に行ってみてください。境界性人格障害は治療を受けることで、症状の改善につながるとされています。

おおかみこころのクリニックでは、毎日22時まで診療しているので、お気軽に相談しに来てくださいね。

24時間予約受付中

【参考文献】

[1]よくわかる境界性パーソナリティ障害 こころのクスリBOOKS
https://amzn.asia/d/7LPsBBe

[2]Ⅱ生活指導及びメンタルヘルスケア|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-03.pdf

[3]Prevalence, Correlates, Disability, and Comorbidity of DSM-IV Borderline Personality Disorder: Results from the Wave 2 National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions – PMC
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2676679/

[4]パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか
https://amzn.asia/d/5jdQTE2

この記事の編集者
保坂大貴
理学療法士として、急性期・回復期病棟勤務経験あり。医療・健康分野を中心にライターとして活動中。医療知識を分かりやすく伝える記事が得意。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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