「夢の中にいるよう」
「生きている感覚がない」
そのような感覚の正体が分かれば少し安心できますよね。
このような非現実的な感覚は、離人感とよばれるものです。
強いストレスにより誰もが経験しうるため、一過性であれば大きな問題はありません。
しかし、この感覚が長期間持続したり何度も繰り返したりすると「離人症」とよばれる状態になります。
今回の記事では、2つのセルフチェックを通して離人症や自分の状態について理解を深めていきましょう。
他の精神疾患との違いや症状との付き合い方も解説するので、ぜひ最後まで目を通してくださいね。
下記の記事では、離人症の概要や具体的な症状などを解説しています。気になる方は合わせてご覧ください。
離人症のセルフチェック
以下の特徴があてはまる場合は、離人症の疑いがあります。
自分にあてはまるかチェックしてみましょう。
- 自分の感覚や感情が身体から切り離され、生きている実感がない
- 「夢の中にいるよう」「現実との間に膜やガラスのようなものがあるよう」だと感じる
- 自分の感じ方は事実ではなく「そう感じているだけ」と自覚している
- 虐待やいじめ、レイプなどのトラウマ体験や、身近な人との別れのような衝撃的な体験をしている
- 非現実的な感覚が繰り返されたり、長期間持続したりしている
- 症状により強い苦痛を感じたり、学業や仕事に支障をきたしたりしている
いかがでしたか?
以下のフローチャートを参考に自分の状態を客観視してみてください。
多くの問いに当てはまっても、症状が一時的であれば大きな問題ではありません。
しかし、5、6のように症状が反復したり持続したりして日常生活に悪影響が出ている場合は、医療機関での治療が必要です。
次の項目では、夢診断を用いて自分の状態について理解を深めましょう。
【夢診断】解離のセルフチェック
離人症は「解離」という状態の一種です。
解離とは、自分の心と体や周囲の世界との繋がりが切り離される状態のことをいいます。
ここでは、夢診断を用いて解離の可能性があるかチェックしてみましょう。
1.うとうとしているときに眠っている自分の姿が見える
① なし
② 年に数回ある
③ 月に1‐2回ある
④ それ以上ある
2.うとうとしているときに近くに誰かの気配を感じる
① なし
② 年に数回ある
③ 月に1‐2回ある
④ それ以上ある
3.うとうとしているときに自分の体がふわりと浮くように感じる
① なし
② 年に数回ある
③ 月に1‐2回ある
④ それ以上ある
4.自分がスクリーンに登場するような夢を見る
① なし
② 年に数回ある
③ 月に1‐2回ある
④ それ以上ある
5.夢の中で離れた場所から自分を見ている
① なし
② 年に数回ある
③ 月に1‐2回ある
④ それ以上ある
6.触覚や聴覚などが生々しい夢を見る
① なし
② 年に数回ある
③ 月に1‐2回ある
④ それ以上ある
7.自分が殺されたり、飛び降りたり、追いかけられたりする夢を見る
① なし
② 年に数回ある
③ 月に1‐2回ある
④ それ以上ある
8.夢の続きを見ることがある
① なし
② 年に数回ある
③ 月に1‐2回ある
④ それ以上ある
いかがでしたでしょうか?
ほとんどの問いに①か②をつけた方は、解離の可能性が低く、とくに心配する必要はありません。
一方で、多くの問いに③か④をつけた方は解離の可能性があると考えられます。
離人症と他の精神疾患との違い
離人症は、他の精神疾患と共通した症状が現れることがあります。
しかし、本人の感じ方や症状の背景、行動に込められる気持ちは他の精神疾患とは明らかな違いがあります。
以下では、離人症と精神疾患の具体的な違いを見ていきましょう。
統合失調症との違い
離人症と統合失調症では、共通して自分以外の「誰か」の存在を感じています。
しかし、その「誰か」についての認識が異なるため、以下で比較してみましょう。
- 思考
- 離人症:「誰かに操られているようだ」と感じるだけで、確信はしない
統合失調症:「誰かに操られている」と確信している
- させらせ感
- 離人症:誰かに操られているような感覚があるが、それを背後から見ている意識もある
統合失調症:誰かに操られていると確信し、その「誰か」に逆らえないと思っている
このように、現れている症状が似ていても本人の認識は明確に異なります。
うつ病との違い
離人症はうつ病でも現れる場合がありますが、症状が現れる背景が異なります。
- 離人症:トラウマ体験や強いストレスの影響により、離人症の症状が現れる。現実感の喪失に関する不安が強く、社会生活に支障をきたすこともある
うつ病:うつ状態に伴い、離人症の症状が現れる。気分の落ち込みや気力の低下により社会生活に支障をきたし、自分の人生であるという実感が薄らぐ
このように症状が現れる背景が大きく異なります。
パーソナリティ障害との違い
離人症やパーソナリティ障害のなかには、自傷行為を繰り返す方がいます。
以下では、両者の自傷行為の目的に焦点を当ててみましょう。
- 離人症:「現実感を取り戻す」「苦しい現実から逃れる」という目的で自傷行為に及ぶ。現実世界の他者にしがみつかず、孤独な気持ちが強い
パーソナリティ障害:「死ぬ」「死んでやる」と執拗に表明し、怒りや絶望などを訴えるために自傷行為に及ぶ。現実世界の誰かにしがみつきたい気持ちが強い
自傷行為という現れは同じですが、行動に込められた意味は大きく異なります。
セルフチェックをふまえた離人感との付き合い方
セルフチェックや他疾患との比較を通して、自分の状態がなんとなく見えた方もいるかもしれません。
ここでは、以下のパターン別に離人感との付き合い方を解説します。
ひとつずつ見ていきましょう。
離人症の可能性が低い方
離人症や解離のセルフチェックにあまり当てはまらなかった方は、一過性の離人感を経験している可能性があります。
以下のような体験が一時的であれば問題ありません。
- 何かに感動したり目的をもったりせず、同じ毎日がただ過ぎて行く
- 他人をテレビのように遠くから見ている感じがする
- 学校や仕事に通う自分が意思を持たないロボットのようだと感じる
この状態であれば、夢と現実の区別がつき「過去、現在、未来」といった時間の感覚も保たれているはずです。
一時的な離人感を自覚した場合は「ストレスを感じて疲れ気味」という心のサインとして受け取り、意識的に休息をとるようにしましょう。
離人症の可能性が高い方
離人症や解離のセルフチェックに多く当てはまった方は、離人症の可能性を考えた方がよいでしょう。
離人症が悪化した場合、以下のような状態が考えられます。
- 無気力になり抑うつ感が強くなる
- 夢と現実が入り混ざり、他者との会話が成り立たなくなる
- 自傷行為や多量の飲酒、性的逸脱で現実感を取り戻すようになる
上記のように日常生活に支障をきたす前に医療機関を受診しましょう。
当院では24時間365日予約を受け付けています。
「コラムの離人症セルフチェックをしたら多くの項目に当てはまってしまって…」とお気軽にご相談くださいね。
24時間予約受付中
他疾患の可能性を考えた方
他疾患の特徴に当てはまると感じた方も、症状が悪化する前に医療機関を受診してください。
離人感に悩んでいること、他疾患の可能性も考えていることをそのまま伝えるとよいでしょう。
精神科の問診では、本人の感じ方が何よりも大切な情報です。
お話しをしながら、あなたの苦しさを軽減する方法を一緒に考えていきましょう。
なんでも話して大丈夫ですよ。
まとめ
今回は、セルフチェックや他疾患との比較を通して離人症について解説しました。
一時的な離人感であれば大きな問題にはなりませんが、反復や持続する離人感を放置すると日常生活に支障をきたすようになります。
また、離人症は他の精神疾患にも合併して現れたり症状が似ていたりするため、自分の状態が分からず不安になる方もいるかもしれません。
しかし、自分ひとりで答えを出さなくて大丈夫です。
当院では、専門の知識と経験を持った医療スタッフがあなたをサポートします。
「現実感がなくなってしまって…」「離人感があるけどうつ病っぽい気もして…」「自分でもよくわからないけど不安でたまらない…」と気軽な気持ちで当院にご相談くださいね。
24時間予約受付中
参考文献
[1]離人感・現実感消失症|MSDマニュアル
[2]解離性障害のことがよくわかる本|講談社 柴山雅俊 著
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
メンタルヘルスの記事を中心に執筆する看護師・保健師ライター。 精神科勤務での患者さんとの関わりや自身のうつ病経験から「人の心についてもっと知りたい」と思い、上級心理カウンセラーの資格を取得。 エビデンスに基づいた読者の心に寄り添う記事を心がけている。