認知症が一気に進む原因|家族に知ってもらいたい6つのこと

認知症は、誰もがなり得る病気です。

認知症の進行や、症状の出かたには、個人差があるといわれています。

しかし認知症が一気に進行してしまうと、人が変わってしまったようで、家族はショックを受けてしまうことでしょう。

また、認知症が進行すると寝たきりになるリスクも高くなるため、家族の介護負担が増えてしまいます。[1]

この記事では認知症が一気に進む原因や、認知症について知っておきたいことを詳しく解説しています。ぜひ最後までお読みください。

下記の記事では、認知症になりやすい人の口癖や生活習慣などを解説しています。気になる方は合わせてご覧ください。

認知症が一気に進む4つの原因

認知症が一気に進んでしまう原因として、以下の4つがあげられます。

詳しく解説していきます。

環境やライフステージの変化によるストレス

入院や配偶者との死別などにより、認知症が一気に進むことがあります。

とくに配偶者との死別は、孤独を深め、高齢者のうつ病の原因にもなるため注意が必要です。

ストレスは、記憶や感情の抑制などをつかさどる前頭前野の働きを低下させます。

とくに周囲に対する適応力が低下しやすい高齢者は、強いストレスを抱えやすいといえるでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

大きなストレスは身体によくないですね💦

考える機会の減少

認知機能が低下する一番の原因は加齢です。

しかし「年だから」といって、考えることを面倒くさがると、物事を判断したり理解したりする力(認知機能)が衰えてしまいます。[3]

認知機能の低下は、服の着方がわからなくなったり、会話が理解できなかったりと生活に支障をきたします。

その結果「反応が薄い」や「できないことが増えたな」と感じることもあるでしょう。

身体的な機能低下

体に痛みや麻痺があると、外に出かけるのが億劫になり外出を避けるようになります。

また、耳が聞こえづらいと話が聞こえないなど、コミュニケーションに支障が出ることも。

家に閉じこもり人と会話をしない生活が続くと、外部からの刺激が得られず、認知症が進んでしまうことがあります。

こころちゃん
こころちゃん

身体の健康を保って、コミュニケーションをとることが大切ですね

認知症様症状をきたす病気の発症

脳血管性認知症は、脳の血管が詰まったり出血したりするとその部位の脳細胞が死んでしまうため、認知症が一気に進んでしまいます。[2]

死んでしまった脳細胞は元には戻らないため、出血や梗塞を起こさないための予防が欠かせません。

また、頭を打ったりぶつけたりしたときに起こる慢性硬膜下血種や、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症なども、急激に認知症のような症状が現れます。[2]

しかし、これらの病気は早急に治療すると症状が消失するため【治療可能な認知症】とも呼ばれています。[2]

認知症が一気に進んだと思ったときの受診の目安

「認知症が一気に進んだような気がする」「なんだか前と違う気がする」と感じたら速やかに医師の診察を受けましょう。

認知症が一気に進んでしまうと、今まで通りの生活を維持するのが困難になります。

認知症の症状は個人差が大きいため、家族が違和感を覚えたときが病院を受診するタイミングです。

「まだ大丈夫だろう」という楽観的な判断は、受診するタイミングを逃してしまいます。

普段から行動や会話のメモを取っておくと、経過を見返すときに役立ちますよ。

こころちゃん
こころちゃん

身近な家族が感じた違和感はだいたい合っています。

そのタイミングで受診をしましょう。

認知症が進んだときに家族がやってはいけない3つのこと

家族の認知症が一気に進んでしまったと思ったら、手伝いたい、少しでも元に戻って欲しいと思いますよね。

しかし、家族の思いが強いゆえに認知症を持つ本人にプレッシャーをかけてしまっていることもあるのです。

ここでは、認知症を持つ人にやってはいけないことを解説します。

できることを取り上げる

認知症に大切なのは「できることは自分でやってもらう」ことです。

新しいことを覚えることより、今現在できることに目を向け、持っている力を低下させないことの方が認知症には重要です。

できることを取り上げる行為は、脳への刺激を低下させ、認知症がさらに進んでしまう原因にもなります。

認知症だからといって、先回りしてなんでもやってしまわないようにしましょう。

こころちゃん
こころちゃん

できることは自分で頑張ってもらいましょう!

本人のためになりますよ♪

怒鳴ったり叱ったりする

認知症が進むと意思の疎通が図りづらくなったり、今言ったことも忘れてしまったりします。

何度も聞かれることに対し「さっきも言ったでしょ!」や「いいかげんにしてよ!」といいたくなるときもあるでしょう。

しかし、認知症を持つ本人は「なんでそんなに怒るのだろう」「怖い」という感情を持ってしまいます。

その結果、介護する家族のことを「いつも怒る怖い人」と認識するようになったり、関わりを拒否したりすることもあるため、注意が必要です。

子ども扱いをする

家族の認知症が進み、できないことが増えたからといって子ども扱いをしてはいけません。

誰かから必要とされたり、認められたりすることで気持ちが満たされるのは認知症を持つ人も同じです。

しかし、嫌がることを強要したり、子ども扱いしたりすると認知症を持つ本人のプライドが傷ついてしまいます。

たとえ失敗してしまっても、決して子ども扱いはせず「大丈夫だよ」と穏やかな気持ちでサポートしてあげましょう。

認知症が進んだときに家族にすすめる3つのこと

認知症が進んだと思うと、どこに相談すればいいのか、誰に助けを求めればいいのか分からなくなりがちです。

ここでは、認知症が進んだと感じたときに覚えておいてほしい3つのことを解説します。

速やかに受診する

「最近攻撃的になってきた」「トイレの失敗が増えてきた」など以前と比べて違和感を覚えた場合は、速やかにかかりつけ医を受診しましょう。

速やかに受診することで、認知症の進行を遅らせることができる場合があります

かかりつけ医では認知症の検査や、必要に応じて認知症の専門医へ紹介してくれることもあります。

もし、かかりつけ医がいないという場合は、物忘れ外来などを受診してみてもよいでしょう。

「どの病院を受診していいかわからない」「とりあえず相談したい」という場合は、地域の包括支援センターや、地域の高齢福祉課などに相談してみるのもよいでしょう。

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一人で抱え込まない

認知症の高齢者と一緒に同居している場合、認知症や介護について相談できる場所を知っておきましょう。

大切なのは、家族が一人で悩みを抱え込まないことです。

常に目が離せない、会話の疎通が図れない、暴言を吐かれたり、何度も同じ話をされたりすると次第に心も体も疲れきってしまいます。

その結果、介護疲れや高齢者虐待、うつ病などを発症してしまうこともあるのです。

認知症について相談できる場所を以下にまとめました。

こころちゃん
こころちゃん

ぜひ参考にしてくださいね

更年期うつの症状には、以下のようなものがあります。

相談できる機関
・地域包括支援センター[4]
介護に関する困りごとや、保健医療に関することなど相談ができます。

・自治体の高齢者福祉課
高齢者の相談、介護保険に関することや福祉に関する相談ができます。

・認知症カフェ(オレンジカフェ)
認知症を持つ人やその家族、専門職などが集まり、認知症について相談したり学んだりする場所です。

・認知症についての電話相談[7]
公益社団法人 認知症の人と家族の会では、研修をうけた介護経験者が無料で電話相談を実施しています。(携帯・スマートフォンは通話料が有料になります)
公益社団法人 認知症の人と家族の会

介護サービスの活用

認知症が進み、家庭内だけでは対応が難しいと思った場合は、介護サービスの導入を検討しましょう。

介護サービスを利用すると、介護に関する支援が受けられるとともに家族の精神的・体力的な負担が軽減されます。

介護サービスを利用するには、お住まいの自治体の窓口(介護福祉課など)で要介護・要支援の認定をうける必要があります。[8]

要支援や要介護など認定された介護の区分に応じて、利用できるサービスが異なるため注意しましょう。

こころちゃん
こころちゃん

自治体の窓口で相談すると教えてくれます

介護保険で利用できる主なサービス[5]
・介護サービス利用の相談や介護サービス計画(ケアプラン)の作成
・ホームヘルパー等の生活支援サービス
・デイケアやデイサービスなど日帰りで行うサービス
・訪問や通所、宿泊を組み合わせた複合的なサービス
・短期間の宿泊ができたり施設に入所できたりするサービス
・住宅に手すりをつけたり福祉用具の利用ができたりするサービス

まとめ

認知症は、環境やライフステージの変化で一気に進むことがあります。

また、病気や外部から受ける刺激が少なくなることで認知症が一気に進むこともあるのです。

認知症が一気に進んでしまうと、つい焦って元のように戻って欲しいと思いがちですが、過度な期待は本人のストレスにつながります。

家族は、認知症に対して抗うのではなく、受け入れ対処していくことが大切だと言えるでしょう。

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参考サイト

[1]第5話 寝たきりの原因疾患 |地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センタhttps://www.tmghig.jp/about/hiketsu/5-genin/

[2]CQ1-3 認知症の原因にはどのようなものがあり、どのように分類するか|第1章 認知症全般:疫学,定義,用語|認知症疾患診療ガイドライン2017
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_01.pdf

[3]資料7-1 認知症と軽度認知機能障害について |厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-siryou7-1.pdf

[4]福祉・介護 認知症に関する相談先 |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076236_00003.html

[5]公表されている介護サービスについて |厚生労働省
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/

[6]認知症の人の状態や気持ちとは|周囲の関わり方で状況は変わります |石川県羽咋市
https://www.city.hakui.lg.jp/soshiki/shiminfukushibu/chiikihoukatsu/2/4/1027.html

[7]電話相談|公益社団法人 認知症の人と家族の会

[8]サービス利用までの流れ |厚生労働省
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/flow.html

この記事の執筆者
小久保有希
医療ライター。看護師経験15年。4年間精神科に勤務し、病棟・訪問看護に携わる。相手の気持ちに寄り添う記事が得意。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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