発達障害と聞くと日常生活を過ごすのが難しそうなイメージがあるかもしれません。
しかし、タレントや歌手、スポーツ選手や起業家などの多数の有名人が発達障害をカミングアウトして活躍しています。
このように活躍している有名人が、発達障害を患う人が多い背景を知る人はあまりいないのではないでしょうか。
そこで、今回は発達障害の主な症状や発達障害が有名人に多い理由、発達障害の芸能人を解説します。
後半に、発達障害の人の傾向や発達障害の人への接し方もご紹介するので、発達障害が気になる人や発達障害の人が身近にいる場合はぜひ参考にしてみてください。
発達障害は脳の発達の違いで生じる
発達障害は、先天的な脳機能の発達の違いで生じる障害です。[1]
他人とのコミュニケーションや周囲との人間関係をつくるのが苦手なため、他者から自己中心的な人や変わっている人だと誤った認識を持たれやすい特徴があります。
代表的な発達障害は広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)の3つです。[1]
それぞれの特徴は下記のとおりです
広汎性発達障害は、コミュニケーション能力、周りの人々に対する態度や行動に関連する脳の分野に関係する発達障害のことです。
人に対する興味が薄く、文字や図形、物体に興味があったり、特定のことに強い関心やこだわりがあったりするのが特徴です。
広汎性発達障害の中でも代表的なものとして、自閉スペクトラム障害やアスペルガー症候群などがあります。[2][3][4]
注意欠陥多動性障害は、障害がない人と比べると、一つのことに集中できず次々と周囲のものに関心を持つ障害です。
不注意なためケアレスミスが多かったり、依頼されていた仕事を忘れたりすることがあります。[2][3][4]
また、落ち着きがないため他の人が話している間に入って会話を始めたり、遅刻や忘れ物をしたりすることも多いです。
学習障害は、知的発達に遅れはないものの学んでいるのにも関わらず、聞く・話す・理解する・書く・読む・計算する・推論するなどの能力の中で極端に苦手な項目があり、学習に障害が出るのが特徴です。[2][3][4]]
書くのが難しい場合はサイズやマス目が大きいノートを使用したり、計算が苦手な場合は数字だけでなく絵や文字を使って、問題内容を見てわかる形式にしたりするなど工夫する必要があります。[5]
有名人は発達障害を「キャラ」として利用できる
有名人で発達障害が多い理由は、発達障害を公表しやすい環境になり、自分の「キャラクター」として発達障害を活かせるようになったためです。
社会的に成功している起業家が発達障害であること、発達障害者で日常生活を過ごせる能力が低くても別の高い能力がある人がいることが広まり、発達障害=特別な人という印象が定着しつつあります。
そのため、発達障害に対するイメージが向上し発達障害者本人がカミングアウトしやすくなり、発達障害者であることが「特別感」を演出する「キャラ」として利用されやすくなっています。
個性を活かして仕事にできますね♪
発達障害の有名人一覧
有名人は発達障害を公表しても、ファンから人とは違う才能がある人物として認められたり、周りから協力を得たりして活動を続けている人が多くいます。
ここからは、発達障害の代表的な有名人を、発達障害の種類ごとに紹介します。(敬称略)
それぞれの障害を持つ有名人を確認していきましょう。
1.広汎性発達障害を持つ有名人
広汎性発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害を抱える有名人は、以下のとおりです。
- イチロー(元プロ野球選手)
- 山口尚秀(パラ競泳選手)
- 米津玄師(歌手)
- 島崎遥香(元アイドル・タレント)
- 栗原類(タレント)
- スティーブ・ジョブズ(appleの創業者・起業家)
- イーロン・マスク(テスラなどの共同設立者・起業家)
- スーザン・ボイル(歌手)
広汎性発達障害の人は特定の分野で高い能力や才能を発揮するため、個人の特性が活かせる仕事に就くと大成する確率が上がるでしょう。[4]
2.注意欠陥多動性障害(AD/HD)を持つ有名人
注意欠陥多動性障害の有名人は、次のとおりです。
- 長嶋茂雄(元プロ野球選手)
- 黒柳徹子(タレント)
- さかなクン(タレント・魚類研究家)
- ジミー大西(タレント・画家)
- SEKAI NO OWARIの深瀬慧(ミュージシャン)
- ウィル・スミス(俳優)
- マイケル・フェルプス(競泳選手)
- シモーネ・バイルズ(体操選手)
注意欠陥多動性障害の人はこだわりが強く能動的であるため、適性に合った仕事に就くと才能が伸ばせる可能性があります。[4]
すごい方々ばかりですね✨
3.学習障害(LD)を持つ有名人
学習障害の有名人は、次のとおりです。
- ミッツ・マングローブ(タレント)
- スティーヴン・スピルバーグ(映画監督)
- トム・クルーズ(俳優)
学習障害は、絵を用いて内容を理解したり、文字が読めなくても音声で録音して内容を把握したりと、シーンによっては自身の苦手な能力を克服するための工夫が必要です。[4]
日常生活でこんなことがある人は発達障害かも?
発達障害を抱えながら活躍している有名人が多数いるため、自分や身近な人が発達障害である可能性も否定はできません。発達障害か否かをチェックできる傾向を、自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害)と注意欠陥多動性障害に分けて一部紹介します。
当てはまるからと言って、必ず発達障害という訳ではありません
自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害)を抱える人の傾向は以下のとおりです。[6]
✔ 適切な距離感で他者とコミュニケーションをとれない
✔ 会話が一方通行になる
✔ 非言語コミュニケーションが苦手である
✔ 年齢相応の対人関係を構築できない
✔ 身体を揺すったり指を鳴らしたりする癖がある
✔ 話している相手と同じ言葉を繰り返す
✔ ルーチンに突然の変更が生じるとパニック状態になる
✔ 柔軟な思考がしづらい
一方、注意欠陥多動性障害を抱える人の傾向は次のとおりです。[6]
✔ 細かい箇所に注意を払えず単純なミスをする
✔ 仕事に集中できない
✔ やるべきことを順を追って整理できない
✔ 仕事や学校で必要なものを失くす
✔ 注意散漫になりやすい
✔ 衝動的に行動する
✔ じっと待てない
✔ 人が話していても平然と割り込んで話す
今回ご紹介した傾向は一部ですが、これらの傾向が日常生活で繰り返されており発達障害なのか心配な場合は、発達障害者支援センターなどの適切な機関で診断をしてもらうのがいいでしょう。
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発達障害の人に対する適切な接し方
最後に、発達障害の人に対する適切な接し方を以下4つ紹介します。[4][7]
それぞれの接し方を詳しく見ていきましょう
1.情報を視覚化して具体的に短文で提示する
発達障害の人の中には、言葉や文字ではなく、見てわかるような形にして情報を示すほうが内容が理解しやすい人たちがいます。相手がわかっている言葉、図・イラストや写真を用いて説明すると内容が伝わりやすくなるでしょう。
さらに、短文でより具体的に手順を示すとスムーズな理解につながります。
2.安心できる環境づくりを心がける
発達障害の人たちの中には雑音や刺激が苦手で、大勢の人がいる場所、電車の通る音や工事の音、スマ―トフォン・PCの光などの刺激を不快に感じる人たちがいます。これらの空間に近づいて嫌悪感を煽ることがないよう、安心できる環境づくりを心がける必要があります。
3.ルールや善悪をきちんと伝える
発達障害を持つ人は、社会のルールや一般常識を理解できないことがあります。
他人に迷惑をかける行為や道徳的に善い・悪い言動は、とるべき行動と一緒に伝えることで、ルールに沿った振る舞いができるようになるでしょう。
4.周りと一緒にサポートする
発達障害は種類や個々によって特性が異なるため、本人のことを理解している家族や専門家から支援のポイントを聞いたり共有したりしておくと、サポートがしやすくなります。
本人の得意なことや苦手なことを把握したうえで工夫を加え、周りの人たちと一緒にサポートしていくのがいいでしょう。
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まとめ
今回は発達障害の概要や発達障害が有名人に多い理由、発達障害の芸能人を解説しました。
発達障害は、脳機能の発達が関係する障害で育ち方に関係なく生じる障害のため、実は身近な人が障害を抱えている可能性があります。
そのため、自分には関係がないと無関心でいるのではなく、発達障害のことを理解しておく必要があるでしょう。また、発達障害の人が身近にいる場合は、ご紹介した接し方を参考にコミュニケーションをとってみてください。
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参考文献
[1]「発達障害」とはどんな障害?|発達障害って、なんだろう?|政府広報オンラインhttps://www.gov-online.go.jp/featured/201104/
[2]主な「発達障害」の特徴は?|発達障害って、なんだろう?|政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/featured/201104/
[3]発達障害ごとの行動の特徴は?|大人になって気づく発達障害 ひとりで悩まず専門相談窓口に相談を!|政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202302/1.html#thirdSection
[4]発達障害の特性(代表例)|発達障害のある方と共に働く上でのポイントと障害特性 |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/e-learning/hattatsu/characteristic.html
[5]限局性学習症(学習障害)(LD)|こころの情報サイト|国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=MbkmLbVbTEhSpxyE
[6]診断前のチェック、DSM-5の診断基準とは|大人の発達障害「グレーゾーン」とチェックするポイントを診断基準から解説|Neuro-Dive
https://neuro-diversity.biz/blog/blog_211209.html#ASD
[7]発達障害の人に接するときの配慮は?|発達障害って、なんだろう?|政府広報オンラインhttps://www.gov-online.go.jp/featured/201104/