適応障害の原因は母親?母親との関係に疲れてしまったときの対処法

「母親と話すのがつらい」「適応障害って伝えても理解してもらえるか心配」

このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

令和元年の国民生活基礎調査によると、約14%の人が家族関係にストレスを感じているという調査結果があります。[1]

この結果から、家族が必ずしも心を許せる存在ではないことがわかります。

一番身近な存在の母親が適応障害の原因になることもありえるのです。

母親が病気に対して理解がなかったり感情的になりやすかったりする場合、どうやって病気のことを伝えればいいのでしょうか。

この記事では、適応障害だと母親や家族に伝える方法や、関係に疲れてしまったときの対処法を説明します。

母親が適応障害の原因になる3つのケース

母親との関係が原因で適応障害を発症する場合があります。[2]

順番に解説していきます。

過度な期待や過干渉

母親が将来に対して過度な期待をすると、子どもは精神的な息苦しさを感じてしまいます。

干渉的な態度も「あなたのためを思っているのに」「立派な大人になってくれるか心配」などと思っているため、あなたが負担に感じているなんて思いもしません。

大人になっても価値観を押し付け、いちいち口だしをしてくる母親に対してイライラしたり、衝突したりすることもあるでしょう。

過度な期待や干渉は精神的な負担になると同時に、人生が母親にコントロールされてしまう感覚に襲われてしまうのです。

高圧的な態度

母親に「子どもは親の言うことを聞くべきだ」という考えが根付いている場合も、適応障害の原因になり得ます。

「しつけ=叩く」という環境で育てられた場合、子どもは親の顔色をうかがい、意見を言えなくなるのです。

このような親は「子どもは親の物だ」と無意識に捉えがちで、子どもの気持ちを考えられません。

また相談してもまともに話を聞いてくれなかったり、責めたりするため「自分のつらい気持ちは母親にはわかってもらえない」と感じるようになります。

こころちゃん
こころちゃん

気持をわかってもらえないのはツラいです💦

自己中心的

母親が自己中心的で周囲の人を振り回す場合、親との距離が近ければ近いほどストレスがたまります。

たとえば『母親が温泉に行きたいと言ったから連れてきたのに「そんな気分じゃない」と言われた』と、母親の気分次第で人を振り回します。

当然、周囲は不快になり、イライラすることも少なくありません。

文句を言うと「怒る」「逆ギレをしてくる」というヒステリックな一面がある場合「話し合うのも面倒」「関わりたくない」と距離感に悩むこともあるでしょう。

母親以外の原因が重なっているケース

適応障害の原因は一つだけとは限りません。

複数のストレスが重なって適応障害を発症するケースもあるのです。[3]

そのため、適応障害の治療には、ストレスの原因を特定することが欠かせません。

たとえば、『母親の期待に応えようと、入りたくもない大学に浪人して入学。勉強や人間関係に慣れず、次第に学校がストレスになり適応障害を発症。』というのがこのケースです。

この場合、ストレスの原因は母親だけでなく、勉強、人間関係も原因になります。

適応障害と診断され休学しても、母親との距離が取れなければ、ストレス状態は改善しないのです。

こころちゃん
こころちゃん

まずは、何がストレスになっているのかを考えましょう

適応障害になりやすい家庭環境の特徴

適応障害はストレス以外に、個人の性格や性質(気質)も関係しています。

個人の気質は親子関係や育った環境に影響を受けるため、問題の多い家庭環境で育った子どもは適応障害のリスクが高まる可能性があります。

適応障害になりやすい家庭環境の特徴は以下です。[2]

  • 両親の仲が悪かった
  • 幼いころにかまってもらえなかった
  • 完璧さを求められていた
  • 兄弟と比べられていた
  • 親が常に干渉してきた
  • 精神的・身体的な暴力を受けていた

両親の仲が悪かったり、暴力を受けたりする家庭環境だと、家庭=ストレスだと認識してしまい、家庭が安らげる場所だと思えません。

幼いころに、母親からかまってもらえなかった場合、自分は受け入れられない存在だと思い込んでしまいます。[2]

その経験から、他人を信じられなかったり、親しくなるのを避けたりするのです。

兄弟と比べられたり、常に完璧さを求められたりしていた場合は、常に緊張して自分らしく過ごすことができずに疲れ切ってしまいます。

母親や家庭に対してネガティブな感情を持つ場合、心は不安定になり、少しの物事に対してもストレスを抱えやすくなるのです。

こころちゃん
こころちゃん

母親や家族に適応障害の病状を伝える方法

適応障害の治療には家族のサポートが欠かせません。

しかし、母親が適応障害の原因である場合「どのように病状を伝えたらいいかわからない」と悩む方もいるのではないでしょうか。

ここでは、母親や家族に病状を伝える方法を解説します。

手紙や連絡ツールを使う

母親と話したくない、母親が感情的になるのを避けたいという場合、手紙や連絡ツールを使って伝えてみましょう。

手紙や連絡ツールを使うと、自分の感情や病状を冷静に伝えられます。

たとえば

最近、動悸や息切れ、不安感が強く、眠れなくなったので〇日に精神科を受診しました。
診察の結果、先生から適応障害だと診断されました。
学校の勉強についていけないストレスと、周囲のプレッシャーが原因だそうです。
適応障害は、ストレスの原因から距離をおくことが大切だと先生に言われたため、まずは休学してしばらくゆっくり過ごすことが治療だといわれました。
適応障害はストレスに対して、自分で対処できなくなってしまった病気だそうです。
今は話すのもしんどいので、連絡はメールだと助かります。

対面で話すと感情的になりそうなことも、顔が見えなければ淡々と伝えることができるでしょう。

母親とのやりとりが苦痛になってきたら、一時的に返信をやめればいいだけなので、必要なことは伝えられるのです。

こころちゃん
こころちゃん

メールやLINEなど自分に合った連絡手段を選んでくださいね

専門家の診察を一緒に受ける

自分でうまく病状を説明できない、自分の病気を母親や家族に理解してほしいという場合は、医師の診察に同行してもらうのも手です。[4]

医師が母親や家族にもわかりやすく病状を説明してくれるため、適応障害について正しい知識が得られます。

医師に直接、病状について質問できるため、家族が気を付けることに関するアドバイスを受けられます。

家族とともに診察を受けると的確なアドバイスが得られやすく、適応障害の回復にも期待できるでしょう。

適応障害で母親や家族に疲れてしまったときの対処法

適応障害だと母親や家族に伝えると必要以上に気にかけすぎたり、早く治るようにと望んでいないアドバイスや説教をしたりするかもしれません。

そんな母親や家族の対応に、疲れてしまったときの対処法をご紹介します。

コミュニケーションは最小限に

母親によっては、自責の念から病状を心配しすぎて、逆にコミュニケーションが増えてしまうこともあるでしょう。

一方「たったそんなことで悩んでいたの?」と母親や家族に理解のない言葉をかけられるかもしれません。

いずれにせよ、自分の心を守るためコミュニケーションは極力最小限にとどめ「疲れているからゆっくりさせてほしい」と伝え、会話や連絡を減らしてみましょう。

適応障害の治療の基本は、ストレスの原因から離れることです。

「今はゆっくりするのが治療、必要以上に心配しないでほしい」と説明しましょう。

母親や家族から物理的な距離をとる

ストレスの原因から離れると適応障害は元気を取り戻すため、まずは母親と物理的な距離をとりましょう。

母親と顔を合わせる時間を極力減らすのが有効ですが、同居している場合は難しいかもしれません。

そんなときは、友人の家に泊まったり、可能であればホテルに泊まったりしてゆったりと過ごしてみるのもよいでしょう。

周囲に気兼ねなく休め、治療ができるストレスケア病棟を併設している病院もあるため、検討してみてもよいかもしれません。

こころちゃん
こころちゃん

自分だけの時間を作るのもいいでしょう

信頼できる人や専門家に相談する

母親といると疲れると感じた場合は、信頼できる人や医師など信頼できる専門家に相談しましょう。

大半の人は母親と衝突した経験があるため、悩みを話しても「たったそんなことで?」「そんな経験誰にでもあるよ」と軽くあしらわれてしまうことも。

適応障害のストレスは、他人には理解しづらいこともあるのです。

周囲に相談しづらいという方は、限界を感じる前に当院にご相談ください。

一緒に解決方法を見つけましょう。

24時間予約受付中

まとめ

この記事では、適応障害の原因が母親だった場合について解説しました。

ストレスの原因が人によって違うように、母親や家庭環境が原因で適応障害になるケースは少なくありません。

その一方で、母親を含む複数の要因が重なり合っていることもあります。

母親や家族に適応障害だと伝えにくい場合、手紙や連絡ツールを使用したり、医師の診察を一緒に受けたりする方法があります。

母親との関係に疲れてしまったら、コミュニケーションの頻度を減らしたり、距離をとったりして、心がゆったり休めるようにしましょう。

誰にも相談できずにつらい、という場合は気兼ねなく当院にご相談ください。

24時間予約受付中

(参考サイト)
〔1〕令和元年国民生活基礎調査|e-Stat 政府統計の総合窓口
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003442290

〔4〕ご家族にできること|こころの耳|厚生労働省
https://kokoro.mhlw.go.jp/families/

(参考文献)
〔2〕親子の愛着関係と青年期における 気分状態・心身状態との関連性 |澤村 寛太 岡本 永佳 浅川 徹也 水野(松本)由子
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhep/40/2/40_253/_pdf

〔3〕適応障害の診断の治療 |平島 奈津子
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1200060514.pdf

(参考書籍)
・わが子、夫、妻…。大切な家族が「適応障害」と診断されたとき読む本|浅井 逸郎

・新版 適応障害のことがよくわかる本|貝谷 久宜

この記事の執筆者
小久保有希
医療ライター。看護師経験15年。4年間精神科に勤務し、病棟・訪問看護に携わる。相手の気持ちに寄り添う記事が得意。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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