「何をしても楽しくない」
…60代を迎えてこのような感情を抱いていませんか?
60代は仕事の退職や子供の独立、健康面の不安といった様々な変化が起こり、ネガティブな気持ちになりやすい時期です。何をしても気が晴れずに憂うつな気分が続くようなら、医療機関に相談するのも1つの方法です。
毎日を楽しく過ごすために「何をしても楽しくない」と感じやすくなる原因と、憂うつな気分を改善する方法をみていきましょう。
60代からも生き生きとした日々を過ごすためのヒントになれば幸いです。
「 何をしても楽しくない」と60代で感じる理由
60代は、定年退職や子育ての終了などのライフイベントが生じる年代です。
生活環境が変わると同時に気持ちも変化します。また、加齢による身体的な不安を感じる場面も出てきます。これらの生活の変化は、心の動きにも大きく影響するのです。
社会的な役割が減った
多くの方は60代で仕事の定年退職を迎えます。退職によって起こる環境の変化によって、下記のようなことが起こりがちです。
- 人とコミュニケーションをとる機会の減少
- 社会的な役割を失うことによる喪失感
- 変化した生活リズムへの適応困難
また、子供が結婚や一人暮らしなどで独立し、実家を離れる経験をする方もいらっしゃるでしょう。いわゆる「空の巣症候群」の状態になり、親の役割や子育ての目標がなくなって喪失感を覚えることがあります。
今まで一生懸命に育ててきた子が独立すると寂しいですよね💦
健康面に不安がある
加齢によって筋肉量はだんだん減っていき、20歳頃の筋肉量から10年ごとに約6%低下します。そのため、60代になると若い頃よりも体力が落ちて疲れやすくなり、行動を起こそうと思っても「疲れるからやめておこう」と消極的になりがちです。
「体力がないから、心配だから」と新しいことに挑戦しにくくなり、今までやっていたことに対しても「同じようにできるだろうか」と不安を覚えることもあるでしょう。
また、病気にかかる機会も若い頃に比べて増えます。直接命に関わる病気でなくとも、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、年齢と共に有病率が高くなります。
健康面の不安から「今までのように楽しめない」と感じることがあるかもしれません。
精神的な不調がある
「何をしても楽しくない」という無気力状態は、うつ病の症状としても起こります。
一時的に感じることは良くありますが、2週間以上憂うつ感が続き、それまでの生活が出来なくなっている状態であれば要注意です。
うつ病の大きなきっかけになりやすいのが下記のような環境要因だと言われております。
- 退職
- 子供との別居
- 自身の病気や怪我
- 家族の病気や死去
このようなライフイベントは、60代で経験する方が多いと考えられます。悲しい出来事だけでなく、たとえば子供の結婚のような嬉しい出来事も要因になる可能性があることに注意しましょう。
「何をしても楽しくない」と思うようになった時期を振り返ってみて、同時期に起こった環境の変化に心当たりはないでしょうか。自分では気づかないうちに、精神的な不調が起こっているかもしれません。
「 何をしても楽しくない」と感じたら試したいこと
「何をしても楽しくない」と感じる60代の方に、まず試して頂きたいことを3つご紹介します。
これらを試しても気分が変わらない時は、精神的な不調を起こしている可能性があります。医療機関の受診を検討するのもよいでしょう。
下記の記事では「人生つまらない!」という時の対策を紹介しています。合わせてご覧ください。
夢中になれる「生きがい」を見つける
自分の時間がとりやすくなる60代、何か新しく夢中になれるものを見つけてみましょう。
「今までは仕事や子育てで出来なかったけど、実はやってみたかった」ということはありませんか?
具体例は下記のようなものがあげられます。
- ピアノやオカリナなどの楽器
- 英語や中国語などの語学
- 書道
- コーラス
- ヨガ、社交ダンス、スイミングといった運動
今はオンラインも含めてたくさん教室があり、習い事のハードルも下がっていますよ。
新たに「趣味」として何かを始めなくても、庭のガーデニングに凝ってみる、好きな俳優が出演している作品を楽しむ、といったことでもいいでしょう。
やっていて辛くなるものでは本末転倒になってしまいますので、ご自身が「楽しい」「負担にならない」と思えることを選んでみてください。
「やってみたかったな…」と思ったことに挑戦してみるのもいいでしょう!
社会とのつながりを持ち続ける
特に仕事を退職した方は、仕事上でのやりとりが急減して社会とのつながりを失いやすくなります。家族以外の人と交流できる環境は、自分の社会的な居場所や役割を持つ上で非常に大切なものです。
- 友人と定期的に会話する
- 習い事や趣味のサークルで定期的に顔を合わせる
- ボランティア活動に参加する
- 再就職して短時間でも働く
こうしたコミュニケーションを意識して行い、社会とのつながりを持ち続けるようにしましょう。「地域に相談できる人がいる」と答えた人のほうが、健康状態が良いと感じているといった調査結果もあります。
心身の健康に気を配る
これまでご紹介したように、心の不調から「何をしても楽しくない」と感じている可能性があります。また、体力の低下や病気などの慢性的な身体の不調も同じように原因となります。
- 適度な運動
- 十分な睡眠
- バランスの良い食生活
- 日光を浴びる、深呼吸する
上記のような生活習慣を心がけ、心身の状態の回復を図りましょう。誰か信頼できる人に、自分の気持ちを話して聞いてもらうのもいいですね。
もし「試してもなかなか改善しない」「行動に移す気が起こらない」というときには、医療機関の受診も考えてみてください。
「元気が出ない」「毎日憂うつ」といった心の悩みを気軽に相談できる場所ですよ。
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精神科・心療内科の受診で改善することも
「何をしても楽しくない」「やる気が起こらない」といった無気力が続くときは、精神的な不調が原因の可能性があります。
ご紹介したような色々な方法を試しても、気持ちが上向きにならないことがあるかもしれません。
2週間ほど様子を見ても気力が湧いてこないときは、精神科や心療内科の受診を検討しましょう。適切な対処によって改善する可能性があります。早めに相談して対策をとると、回復も早くなりますよ。
歯医者さんの定期健診ぐらい気軽に相談に来ていただいて大丈夫ですよ♪
まずはセルフチェックで自分の状態を知ろう
まず、医療機関を受診すべきかどうか自分の心の状態を知りましょう。
以下のような変化を自分で感じていませんか?
▢ 悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分
▢ 何事にも興味がわかず、楽しくない
▢ 疲れやすく、元気がない(だるい)
▢ 気力、意欲、集中力の低下を自覚する(おっくう)
▢ 寝つきが悪くて、朝早く目がさめる
▢ 食欲がなくなる
▢ 人に会いたくなくなる
▢ 夕方より朝方の方が気分、体調が悪い
▢ 心配事が頭から離れず、考えが堂々めぐりする
▢ 失敗や悲しみ、失望から立ち直れない
▢ 自分を責め、自分は価値がないと感じる
もし心当たりがあれば、1度精神科や心療内科で相談することをおすすめします。
こちらの記事で詳しいセルフチェックができますよ。
気軽に受診しても大丈夫
「心療内科」と聞くと、何となく「受診しにくいな」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、心配はいりません。心療内科も皮膚科や耳鼻科と同じように「不調を相談しに行く場所」です。
早めの受診が早めの回復につながりますので、ぜひ遠慮せずに受診しましょう。
おおかみこころのクリニックは、「毎日を楽しく過ごすために何とかしたい」と思ったその日に予約可能です。夜間や休日でも診療していますので、お気軽にご連絡ください。
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まとめ
60代は、大きなライフイベントや身体の不調が起こりやすい年代です。
「何をしても楽しくない」と感じるのは、生活環境の変化が原因かもしれません。
「夢中になれることを見つける」「人とのつながりを保つ」「心身に良い生活習慣を心がける」ことで、ネガティブな感情が改善する可能性があります。
もしセルフケアを試しても気持ちが晴れないときには、医療機関の力を借りてみましょう。身体の調子が悪いときと同じ感覚で、心の調子が優れないときに受診して大丈夫です。楽しく日常生活を送れるようにサポートしてくれますよ。
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参考文献
[1]こころの健康を保つためには|東京都保険医療局https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kensui/kokoro/tamotsu.html
[2]心の健康のためのサービスガイド|京都府精神保健福祉総合センターhttps://www.pref.kyoto.jp/health/health/health02_a.html
[3]運動機能の老化|健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka/undoukei-rouka.html
[4]生活習慣病の状況(40歳以上)|(診療報酬改定に向けた)年代別・世代別の課題https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000528279.pdf
[5]2 うつ病の主な症状と原因|こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002/
[6]体の不調はうつ病でも現れます。かかりつけ医へ相談してみましょう|e-ヘルスネット
[7](4)ライフイベント,変化によるリスク【第1章 スタッフがメンタルを病むリスクを押さえておこう】[特集:診療所職員のメンタルヘルス対策
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=6961
[8]「うつ」に気づいたときの対処法は?|e-ヘルスネット
[9]うつ病を知っていますか? (国民向けパンフレット 案)|地域におけるうつ対策検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126-5d.html