ADHDとASDは併発する可能性も!特徴や3つの対処法を詳しく解説




ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)はいずれも発達障害のひとつです。

「ADHDとASD、どっちなんだろうか?」と悩むことがあるかもしれません。

いずれの症状も似ており、どちらか判断することが難しいです。また、両者は併発することもあるとされています。

この記事では、ADHDとASDを併発する可能性特徴対処法について解説しました。ADHDとASDを併発している恐れがあり、不安を感じているあなたの悩みを解決できるきっかけになれると幸いです。

ADHDやASDの検査は、下記の心理検査教室でも紹介しています。あわせてご覧ください。

ADHDとASDは併発する可能性

ADHDとは「不注意と多動・衝動性を主な特徴とする発達障害」であり、ASDとは「生まれつきの脳機能障害が原因で起こる発達障害」です。[1]

ADHDとASDはいずれも発達障害であり、両者の違いがわからない方もいるでしょう。それぞれの症状や特徴をみていきましょう。

ADHDASD
分類発達障害発達障害
発症する割合成人の2.5%
(小児では3~7%)
日本人の1%
症状や特徴(不注意)
・活動に集中できない
・気が散りやすい
・物をなくしやすい

(多動・衝動性)
・じっとしていられない
・静かに遊べない
・待つことができない
・言葉が遅れる
・会話が成り立たない
・コミュニケーションがとれない
・特定のことに強い関心を持つ
・行動にこだわりがある

参照元:e-ヘルスケアネット|厚生労働省

ある調査によると、発達障害のある成人(20〜70歳)838名のうち26.8%がADHDとASDを併発するとされています。[2]

ただし、ADHDとASDは症状が似ているため判別は難しいです

たとえば、ASDと診断され治療をしていたものの実はADHDであったり、ADHDの治療をしていたが再検査するとASDを併発していたりするケースもあります。

そのため、ADHDとASDは併発する可能性があると知っておくと、違和感を覚えた際にスムーズに精神科や心療内科に相談できるでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

知らなかったら「相談しよう」と思えないので「知っておく」ことは大切なのです。

ADHDとASDを併発したときの特徴

ADHDとASDは、それぞれ症状が似ており併発したときに気づきにくいとされています。両者を併発したときの特徴を知ることがうまく対処できるための第一歩です。

下記の記事では、さまざまな発達障害の特徴を紹介しています。ADHDとASD以外の特徴は下記の記事よりご覧ください。

話にまとまりがなくうまく説明できない

「話にまとまりがなく、うまく説明できない」ことは、ADHDとASDを併発した方にみられる特徴のひとつです。

ADHDの方は、思いついたことをそのまま話すため、話にまとまりがなく相手にうまく伝えられません。一方で、ASDの方は「自分のことは相手も知っているはず」「言わなくても分かるだろう」という前提で話をするため、コミュニケーションをうまくとりにくいです。

また、ADHDとASDを併発する方は説明が苦手なため、会議やプレゼンテーションをする場で悩むことがあります。

空気が読めずに相手を傷つける

ADHDとASDを併発すると、空気が読めずに家族や友人を傷つけてしまう恐れがあります。

深く考えずに思ったまま発言してしまったり、相手がどのように受けとるか考える力が弱いためです。

悪気はありませんが、ADHDとASDを併発している方は相手が自身の発言で傷ついていると気づきにくいでしょう。

そのため、家族や友人、同僚などとうまく付き合えず人間関係に問題を抱えるケースもあります。

物事を順序よく進められない

ADHDとASDを併発すると、物事の段取りをつけて進められません。

というのも、両者には「注意力が低い」「柔軟な対応ができない」といった共通点があるのです。

また、途中で計画が変更になると、ASDのこだわりの強さが出るため不満を感じたり、混乱したりします。

さらにこの状況にストレスを感じることで、うつ病やパニック障害などのこころの病気を発症して、社会生活を送りにくくなることもあります。

こころちゃん
こころちゃん

物事を順序だてて考えるのって難しいですよね💦

人との距離感が近い

ADHDの方は、初対面の人でも気にせず話しかけられる長所がある一方で、仲良くないのに一歩踏み込んだことを聞くこともあります。

ASDの方は、人との付き合いが苦手とされていますが、距離感をつかめないため逆に近くなるケースがあります。

相手がこの距離感を受け入れてくれる場合は問題になりませんが、距離感をつかめない人として避けられる恐れもあるでしょう。

同じミスを繰り返す

ADHDの方はうっかり忘れたり、物を無くしたりといったミスをしがちです。

また、ASDの方は自身のこだわりを大切にして、何が重要なのかを考えることが苦手です。

結果として、同じミスを繰り返します。そのため、会社のなかで上司からミスを責められたり、約束を守れず友人との関係が悪化したりなど生きづらさを感じる可能性があります。

ADHDとASDを併発に悩んだときの対処法

ADHDとASDを併発したときの対処法を紹介します。症状とうまく付き合いながら対処することが大切です。

併発したことをプラスに活かす

ADHDの気が散りやすい特性は「好奇心が旺盛」「決断力がありスピーディーに物事を判断できる」と言い換えられます。

ASDのこだわりがある特徴は「物事に熱心に取り組める」「周りに流されにくい」などと言えます。

ADHDとASDを併発した場合、それぞれの特性を長所として捉えられるとストレスを感じにくくなるでしょう

こころちゃん
こころちゃん

みる方向を変えると長所がたくさんあります!

家族や友人にサポートしてもらう

家族や友人にADHDやASDについて正しく理解してもらうことが、ADHDとASDを併発した方をサポートするためには欠かせません。

というのも、ADHDとASDを併発した方が悩んでいることや不安に感じていることを考え、過ごしやすい環境に整えることが大切だからです。

具体的には、傷つく言葉を言われたときも「悪気はない」と友人が理解したり、約束をするときには口頭ではなくメモを書いて伝えたりします。

特性を理解したうえで家族や友人からサポートをしてもらえると、ADHDやASDを併発した方は、生活を送るなかでストレスを感じにくくなるでしょう。

心療内科や精神科を受診する

ADHDにはメチルフェニデートが不注意や多動・衝動性の症状を軽くする薬として使われます。[3]一方で、ASDは薬で治すことできません。[4]

ただし、ADHDやASDによって症状があらわれている場合は、症状に合わせた薬を使用できます

たとえば、「眠れない」「気分がすぐれない」などの症状があれば、睡眠薬や抗うつ薬などを使うこともあるでしょう。

さらに、ASDにはさまざまな併存症があるといわれ、約70%以上の方が1つ、約40%以上の方が2つ以上のこころの病気があるとされています。[2]

そのため、精神科や心療内科を受診して、それぞれの症状に合わせた治療を受けることが重要です。

24時間予約受付中

公的なサポートを活用する

公的なサポートを活用できると、ADHDとASDを併発している方の症状に合った支援を受けられるでしょう。利用できる相談窓口や支援制度は、以下のとおりです。

相談窓口特徴や注意点
発達障害支援センター・窓口は都道府県や政令指定都市の自治体
・発達障害者とその家族に対する「相談支援」「発達支援」「就労支援」など
・社会福祉士や臨床心理士、言語聴覚士などの専門スタッフがサポート
障害者就業・生活支援センター・就業や自立に関するサポート
・福祉や教育、医療などの機関と協力しながら、地域のなかで生活できるように支援
ハローワーク(公共職業安定所)・各都道府県に設置されており、利用は無料
・休職中の発達障害の方に対するサポート
・発達障害に関する知識を持つ相談員が対応

出典元:発達障害者の就労支援|厚生労働省自立支援医療制度の概要|厚生労働省ハローワーク|厚生労働省などをもとに作成

支援制度特徴や注意点
自立支援医療制度・医療費の負担を軽減
・原則1割の医療費の負担
・世帯の収入や発達障害の程度などによって、月ごとの負担金の上限が決定
障害者手帳による支援・サービス・自治体の障害福祉窓口で申請
・発達障害は「精神障害者保健福祉手帳」の対象
・申請には医師の診断が必要

出典元:自立支援医療制度|厚生労働省障害者手帳・障害年金|厚生労働省をもとに作成

これらの相談窓口や支援制度を活用できると、ADHDやASDを併発した方の症状や費用の負担を軽減できるでしょう。

24時間予約受付中

まとめ

ADHDとASDは併発する可能性があり、その割合は成人の発達障害の26.8%とされる調査結果があります。

実際には、うまく説明できなかったり空気が読めずに相手を傷つけたりしやすいため、人間関係でトラブルを抱えストレスや生きづらさを感じる可能性もあるでしょう。

ADHDとASDを併発した際に早く対処できると、症状が軽くなります。おおかみこころのクリニックでは、LINEでも相談できるため、ひとりで悩まずに使ってみてくださいね。

参考サイト・文献

[1]ADHD(注意欠如・多動症)|e-ヘルスネット厚生労働省

[2]成人の発達障害に合併する精神及び身体症状・疾患に関する研究|令和元年度厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業 発達障害の原因,疫学に関する情報のデータベース構築のための研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2019/192131/201918004A_upload/201918004A0008.pdf

[3]メチルフェニデート e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-061.html

[4]ASD e-ヘルスネット|厚生労働省

この記事の編集者
西川正太
看護師、保健師、保育士。 2009年大学を卒業後、大学病院や総合病院で勤務経験あり。現在はフリーライターとして医療を中心に執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




関連記事一覧

予約方法