「仕事で何か失敗してしまったら…」
「自分の発言が相手を怒らせてしまうかも…」
このように、まだ起こっていないことに対して不安を感じたことはありませんか?まだ見ぬ未来を想像して、事前に対策したいと考えるのは自然なことです。
ですが、あまりにも不安感が強いと「自分は何かおかしいのでは」とさらに不安がふくらむかもしれません。
そんなときは、とても簡単な5つの対処法を試してみてください。
一度に完璧を目指さなくても大丈夫。あなたの不安が少しずつ小さくなるのをイメージして、できることから取り組んでみましょう。きっと心が軽くなります。
起こってもいないことが不安になる4つの理由
現実になっていないことを想像して不安を感じるのは、以下のような理由があります。
順番に見ていきましょう。
ストレス
日常のストレスが蓄積すると、まだ見ぬ未来への不安が高まります。
仕事が忙しい、人間関係に悩んでいる…など、私たちは日々、多くのストレス要因に囲まれています。
たとえば業務量が多く、納期に追われているときなどは「間に合わなかったらどうしよう」と不安が増すでしょう。その不安が新たにストレスとなって心を縛りつけてしまうのです。
不安感を軽減するため、まずストレスの原因が何かをじっくり考えてみましょう。
完璧主義
完璧主義の人も、起こっていないことに対して不安を抱きがちです。
なにごともきちんと事前準備をする人は、さまざまな失敗パターンを想像し、対策を練ります。つまずきたくない、間違えたくないという思いが強いためです。
さらに、完璧主義の人は自分にも他人にも求めるレベルが高く、小さなミスも大きくとらえてしまう傾向にあります。
その結果、人よりも「失敗した」と感じる回数が多くなり、不安感を抱く頻度も高まります。
どれほど備えを完璧にしても、ものごとのすべては自分の想像通りに進んでくれないものです。何か起こったとしても「そのときはそのとき」と割り切るのも大切です。
心配性な性格
もともと心配性な人も、起こってもいないことへの不安を感じやすいでしょう。
心配性の人は、ものごとに対して楽観的に考えるのが苦手な傾向にあります。そのため、ついネガティブな未来を想像してしまうのです。常に最悪のシナリオを考えて行動することもあるでしょう。
たとえば「子どもを買い物に行かせたら迷子になるかもしれない」「転んでけがをするかもしれない」など、さまざまなリスクを考えます。
少し難しいかもしれませんが、今よりもほんの少し肩の力を抜いてみてください。「きっと大丈夫」と、自分に伝えるところから始めてみましょう。
「きっと大丈夫」と思うクセをつけていくと、いつか自然とそう思えるようになることもあります。
過去のトラウマ
人間関係のトラブルや仕事で大きな失敗をしたトラウマがあると、ものごとを悪い方に考えて不安を抱くことがあります。二度と同じ悲しみを味わいたくないという気持ちが強いためです。
上司からミスを指摘されて叱られた、お客様からクレームを受けた…など、つらい思い出は誰にもあります。
「またあのときと同じような事態になったら……」と思うと、不安を感じるのは当然といえるでしょう。
しかし、過去と同じような問題が起こるとは限りません。悲しい記憶はひとりで抱え込まず、誰かに聞いてもらいましょう。
自分では思いつかなかった視点で、トラウマと向き合えるかもしれません。
話す相手をお探しでしたら、おおかみこころのクリニックに相談して大丈夫ですよ。あなたの心が軽くなるお手伝いをさせていただきます。
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まだ起こってもいないことに不安になったときの対処法
もし先々のことが不安になったら、以下の方法をためしてみてください。
1つずつ解説します。
生活習慣を改善する
もしも、今あなたの生活習慣が乱れがちだとしたら、見直しが必要かもしれません。
睡眠や栄養が不足していると、自律神経が乱れて心身のバランスが崩れてしまいます。
以下のように、小さなことから取り組んでみましょう。
- 眠る時間を1時間のばす
- 5分間ストレッチやヨガをする
- カップ麺をご飯とインスタントのお味噌汁にする
一気に生活を変えようとする必要はありません。大切なのは、あなた自身を癒してあげることです。
軽く運動したり、温かいものを食べたりと、自分の心と体が喜ぶものを見つけましょう。
心の休憩も大切ですよ♪
家族や友人に打ち明ける
不安をひとりで抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらうのもおすすめです。誰かに共感してもらうだけでも気持ちが楽になります。
このとき話すのは、あなたが心を許せる相手にしましょう。親しい相手なら、普段口にできない不安も打ち明けやすいのではないでしょうか。
わかりやすく伝えようとしなくてもかまいません。
ここで意識して欲しいのは、自分の思いを声に出すこと。頭の中で複雑化した不安を外に出すことです。話していく中で「ここが不安だったんだ」と気付きが得られるでしょう。
ポジティブな未来を想像する
いつも失敗するイメージが浮かんで不安になってしまうときは、逆に大成功した状態を想像するのをおすすめします。
たとえば「仕事で大失敗して恥ずかしい思いをしたら…」と不安になったとします。これを「仕事で同僚と協力できた!」と、ポジティブなイメージに置き換えてみてください。
起こってもいないことに不安を感じるのは、最悪の結果をリアルに思い浮かべてしまうことも理由の1つです。
最初は難しいかもしれませんが、明るい自分を想像するだけでも気持ちが前向きになっていくでしょう。
リラクゼーション法を実践する
身も心もリラックスできる時間を作るのもよいでしょう。不安を感じやすいのは、常に気を張っている傾向にあるからです。
緊張した状態が続くと、心に余裕がなくなります。以下のような方法を、暮らしの中に取り入れてみてください。
- ヨガ
- 瞑想
- 腹式呼吸
- 漸進的筋弛緩法
漸進的筋弛緩法は聞き慣れない言葉かもしれませんね。
「筋肉にぐっと力を入れる→ゆるめる」を繰り返す方法です。
親指を握り込みながらこぶしを作って10秒キープし、ゆっくり手を広げるなど、部位によって手軽におこなえます。
深い呼吸を意識するだけでも、体の力が抜けてリラックスできますよ。
不安の内容を1つずつ紙に書き出す
頭の中にある不安を書き出すと、頭の中が整理できます。
ひとりで考え込んでいても、不安の種がいくつも出てきて思考がまとまらない、ということはないでしょうか?
そんなときは、思い浮かんだ不安をそのまま紙やパソコン、スマホにアウトプットしましょう。
きれいに書こうとしなくても大丈夫です。思いつくままに文字にしてみてください。
漠然とした不安が形になると、具体的な対応策が見えてくるでしょう。
起こってもいないことに不安になる4つの障害
不安を感じやすい病気にはさまざまなものがあります。ここでは4つに絞ってまとめました。
症状 | 治療法 | |
パニック障害 | 急に不安や恐怖を感じ、身体症状も見られる ・めまいが起こる ・汗が出る ・ふるえが出る ・動悸が激しくなる ・呼吸が苦しくなる など | ・薬物療法 ・認知行動療法 上記2つを併用しつつ、不安の原因を取り除くためのアプローチをおこなう |
社会不安障害 | 人が多い場所など、特定の状況に不安を感じる | ・薬物療法 ・認知行動療法 上記2つを併用しつつ、不安の原因を取り除くためのアプローチをおこなう |
強迫性障害 | 何度も同じことを繰り返さないと不安になる ・手を洗い続ける ・何度も戸締りを確認する など | ・薬物療法 ・認知行動療法 上記2つを併用しつつ、不安の原因を取り除くためのアプローチをおこなう |
全般性不安障害 | さまざまなことへの不安が半年以上続く ・集中力が低下する ・疲れやすい ・イライラする ・睡眠不足になる | ・薬物療法 ・認知行動療法 上記2つを併用しつつ、不安の原因を取り除くためのアプローチをおこなう |
不安障害の主なおもな治療法は、薬物療法と認知行動療法です。
認知行動療法は「ある状況に対してどうとらえるか」に着目した治療法で、カウンセリングも含まれます。もし当てはまる症状があったら、医療機関に相談してみてもよいでしょう。
以下の記事では認知行動療法について詳しく解説しています。
よければ以下の記事も参考にしてみてください。
まとめ
まだ起こってもいないことに対して不安を感じるのは、程度の差こそあれ、誰もが持つ自然な感情です。しかし、あまりにも不安感が強いと心が疲れてしまいます。
心が弱ると周囲を見る余裕がなくなり、本来ならできていたはずのことが難しくなることがあります。するとさらに不安が増す可能性があります。
そんなときは、今回ご紹介した対処法を試してみてください。
できる範囲で大丈夫です。あなたの負担にならないものを、1つでいいので実践してみてくださいね。
それでもつらいときは、カウンセリングで話を聞いてもらうのもよいでしょう。大切なのは自分を守る行動を続けることです。不安感をそのままにせず、少しずつ小さくしていきましょう。
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参考文献
1)厚生労働省 こころもメンテしよう「不安障害」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_02.html
2)国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 こころの情報サイト「不安症」
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=BLA9JV0KhiWPIMzX
3)公益社団法人 日本精神神経学会
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=1
4)e-ヘルスネット 「不安症/不安障害」
5)e-ヘルスネット 「パニック障害」
6)e-ヘルスネット 「認知行動療法」
7)MSDマニュアル「全般不安症」
- この記事の編集者
- 佐藤恵美
介護福祉士・社会福祉士保有。リハビリ病棟にて介護職を7年経験し、デイサービスや介護老人保健施設の相談職に従事。現在はフリーのWebライターとして活動中。