白黒思考ってどんな考え方?なりやすい人の特徴や改善する方法を解説




物事を極端にしか捉えられないことを、白黒思考といいます。この思考パターンは、日常生活やメンタルヘルスに影響を与え、人間関係や自己評価を難しくする原因となるのです。

白黒思考は、完璧主義や自己肯定感の低さ、発達障害や精神疾患などとの関連が指摘されています。しかし、誰もが陥る可能性のある思考パターンでもあるのです。

この記事では、白黒思考の原因白黒思考の改善方法について解説します。自分の思考パターンを理解し、より柔軟な考え方を身につけて、ストレスを減らすヒントを見つけていただければ幸いです。

白黒思考とは

白黒思考とは、物事を極端に「良い」か「悪い」、「正しい」か「間違っている」のように二極化して捉える思考パターンのことです。[1]このように考える傾向がある人は、中間的な状態や曖昧さを受け入れるのが難しく、物事を極端に判断してしまいます。

たとえば、テストで100点を取れなければ完全な失敗だと考えたり、相手が自分に同意しなければ敵だと判断したりすることがあります。白黒思考は、曖昧さを受け入れられず、ストレスや不安を引き起こす原因となってしまうのです

白黒思考は、人間関係や自己評価に悪影響を及ぼす可能性があります。柔軟性に欠ける判断は、周囲との衝突を生んだり、自分自身に対して過度に厳しい評価をしたりすることにつながります。

こころちゃん
こころちゃん

自分自身を追い込んでしまうこともあるでしょう

白黒思考になる原因

白黒思考になる原因は、以下のものが考えられます。

  • 幼少期の影響
  • 判断材料の少なさ
  • 発達障害や精神疾患

厳格な家庭環境で育った人は、物事を正解か不正解かという二択で捉える傾向があります。学校教育において正解を求められる機会が多いことが、白黒思考を強める要因となるでしょう。

また、出来事についての情報が不足していると、物事を客観的に捉えるのが難しいです。判断材料が少ない状態では、好きか嫌いといった感情に基づく判断になってしまいます。

発達障害や精神疾患がある人も、白黒思考になりやすいです。中でも、自閉スペクトラム症やうつ病の人は、極端に考えやすいとされています。[2][3]

白黒思考になりやすい人の特徴

白黒思考になりやすい人として、以下の3つが挙げられます。

自分の思考パターンを把握し、より柔軟な考え方を身につけるきっかけにしてみてください。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

完璧主義である

白黒思考になりやすい人の特徴のひとつに、完璧主義が挙げられます。完璧主義の人は、物事を「完璧」か「失敗」の二択で捉える傾向があるのです。

テストで100点を取らなければ失敗だと考えたり、仕事で小さなミスをしただけで自分はダメだと感じたりします。現実的ではない高すぎる基準を設定すると、自分を追い込んでしまう原因となります

完璧主義の人は、中間的な結果や部分的な成功を認めず、常に最高の結果を求めがちです。以下の記事では、完璧主義とうつの関係について紹介しているので、気になる人はぜひご覧ください。

自己肯定感が低い

自己肯定感が低い人は、白黒思考になりやすいです。自分自身に対する評価が低いと、自分の価値を他人の評価から求める傾向があります。

周囲からの評価が良ければ「自分は価値がある人間だ」と感じ、批判を受けると「すべてがダメな人間だ」と考えてしまいます自己評価が外からの要因に左右されると、物事を極端に捉える思考パターンが強化されるのです。

自己肯定感が低いと、自分の長所や成功体験を客観的に評価できず、失敗や短所ばかり見てしまいます。これが、白黒思考を助長する要因となるのです。

こころちゃん
こころちゃん

白黒思考がさらに自己肯定感を下げちゃいますね💦

自分にも他人にも厳しい

白黒思考になりやすい人は、自分にも他人にも厳しい態度を取ります。高い基準を設定し、それを満たせないと厳しい評価をするのです。

自分が少しでもミスをすると自分を強く責め、同じように他人の小さな失敗も許せませんこの厳しさは、物事を「正しい」か「間違っている」かの二択の判断につながります。

他人への厳しさは、人間関係にも影響を与える可能性があります。他人への要求や批判的な態度は、周囲との関係を難しくし、社会生活に支障をきたしてしまうのです。

白黒思考のチェックリスト

以下のチェックリストを使って、自分が白黒思考になっていないか確認してみましょう。

▢ 他人の些細なミスを許せない
▢ 自分の失敗を極端に重く受け止める
▢ 中間的な選択肢を考えることが難しい
▢ 完璧でなければダメだと考えてしまう
▢ 「全て」や「全く」という表現をよく使う
▢ 自分の価値観や信念を曲げることに抵抗がある
▢ 物事を「成功」か「失敗」の二択でしか評価できない
▢ 「絶対に」「必ず」「決して」などの言葉をよく使う
▢ 一度否定的に考え始めると、良い面が全く見えなくなる
▢ 人の意見を「正しい」か「間違ってる」かでしか判断できない

あてはまる項目が多いほど、白黒思考の傾向が強い可能性があります。自分の思考パターンを見直し、より柔軟な考え方を身につけていきましょう。

白黒思考を改善する方法

白黒思考を改善するには、3つの方法があります。

それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

自分に自信を持つ

まず大切なのは、自分に自信を持つことです。白黒思考の人は自己肯定感が低く、自分の価値を認めるのが難しい傾向にあります。

たとえば、「昨日よりも早起きできた」といった小さな成功体験を積み重ねていけば、自己肯定感を高められます。毎日の生活の中で、自分ができたことや頑張ったことをノートに書き留めてみましょう

また、自分の長所や得意に目を向けるのも効果的です。徐々に自分に自信を持てるようになり、物事を極端に捉える傾向が和らいでくるでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

自信があると心に余裕ができて柔軟に対応できますね!

他の考え方がないか探す

白黒思考を改善するには、他の考え方がないか探してみましょう。白黒思考の人は、ひとつの視点にとらわれがちですが、物事にはさまざまな側面があるため、複数の解釈ができるのです。

考え方のバランスをとる「コラム法」では、状況・気分・考えを紙に書くため、他の考え方がないかを探しやすいです気分と考えが、自分の中でどのくらいの割合を占めるかも書くといいでしょう。[4]

状況仕事で大きな失敗をした
気分焦り80%、悲しみ50%
考え自分は仕事ができない 70%
上司に嫌われてしまう 40%

また、友人や家族に意見を聞くのも効果的です。他者の視点を取り入れると、自分とは異なる考え方に気づけます。

グレーゾーンを受け入れる

グレーゾーンを受け入れることは、白黒思考の改善に大切です。

白黒思考の人は、中間的な状態や曖昧さを受け入れることが苦手です。しかし、現実の世界はグレーな部分が多いです。「100点か0点か」ではなく「80点でも十分良い結果だ」と考えられるようにしていきましょう。[1]

また「完璧にできなくても、努力した過程に意味がある」と捉えることも大切です。グレーゾーンを受け入れる練習を続ければ、より柔軟で現実的な思考ができるようになります。

まとめ

白黒思考は、物事を極端に「良い」か「悪い」、「正しい」か「間違っている」のように二極化して捉える思考パターンです。

白黒思考になりやすい人の特徴には、完璧主義や自己肯定感の低さが挙げられます。改善するためには、自分に自信を持ったり、グレーゾーンを受け入れたりしましょう

自分の思考傾向に気づき、改善のために取り組めば、より柔軟で健康的な思考を身につけられます。もし自分だけで改善するのが難しいと感じたら、おおかみこころのクリニックにご相談ください。カウンセラーとともに、白黒思考を改善していきましょう。

【参考文献】
[1]悩み・不安・怒りを小さくするレッスン 「認知行動療法」入門,中島 美鈴,光文社
https://amzn.asia/d/fb0iErD

[2]自閉スペクトラム傾向と「0か100か」思考の関係を解明 ~不確実な状況への耐えにくさを介する可能性~|名古屋大学研究成果情報
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2023/10/0100.html

[3]心理学ワールド 104号 空間認知の科学 最前線 メンタル不調とリスク認知ー行動経済学のアプローチ|日本心理学会

[4]うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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