自分は大人の発達障害だと思っていたのですが、医師から違うと言われました。自分が社会でうまくいかない理由は発達障害だと思ったのに…
発達障害と症状が似ている精神疾患があるから、自分で見分けるのは難しいんだ。他の理由も記事の中で解説するね
発達障害では、以下3つの特徴が現れます。[1]
- 社会的なやりとりが苦手である
- 想像力が乏しく、こだわりがある
- コミュニケーションがうまくとれない
うつ病や躁うつ病などでも発達障害に似た症状が現れるため、自分で見分けるのは簡単ではありません。
今回は、発達障害だと思ったら違った大人の3パターンや、発達障害と診断されなかった理由について解説します。
記事の後半では、生きづらさを感じたときの対処法についても解説するため「自分に合った方法はどれかな?」と考えるときの参考にしてください。
あなたが生きづらさの原因と向き合い、ラクになるお手伝いができれば幸いです。
発達障害だと思ったら違った大人の3パターン
「大人の発達障害だと思ったら違った」というときに考えられるのは、以下の3パターンです。
それぞれ説明します。
他の精神疾患が隠れていた
1つ目は、他の精神疾患が隠れているパターンです。
発達障害と間違えられやすい病気として、以下が挙げられます。
- 気分障害(うつ病や躁うつ病)
- 睡眠障害
- 社交不安障害
これらの病気になると集中力が続かなくなったり気力が低下したりして、仕事や対人関係などに支障が出ます。
発達障害とこれらの精神疾患は似た症状が出るため、自己判断で見分けるのは難しく「自分では発達障害だと思ったけどうつ病と診断された」ということがあるのです。
病院で先生に診てもらいましょう
不適切な養育環境で育った
2つ目は、厳しすぎるしつけや虐待など不適切な環境で育ったパターンです。
子どものころに心が傷つく体験をした方は、大人になってから以下のような生きづらさを感じるようになります。
- 気分の浮き沈みが激しい
- 集中力が続かなくてミスが多い
- 相手と自分の気持ちを大切にできない
これらの症状は、PTSDや愛着障害などでもみられます。
正しい診断を受けるために、幼少期の様子や家庭の環境などを医師に伝えましょう。
セルフチェックの影響を受けた
3つ目は、セルフチェックの影響を受けたパターンです。
「自分は絶対に発達障害だ」という気持ちでセルフチェックを行うと、すべてが当てはまる気がして発達障害という結果が出やすくなります。
セルフチェックは自分の状態を知るために役立ちますが、自覚症状だけでは発達障害の診断はできません。
診断のためには、幼少期の様子や日常生活への影響などを含めた医師の総合的な判断が必要です。
自覚症状だけを重視してしまうと「セルフチェックでは発達障害だったけど医師には違うと言われた」という状態になってしまいます。
すごく気持ちがわかります!
セルフチェックすると病気になった感じがするんですよね💦
発達障害だと思っていたのに「違う」と言われる理由
発達障害は「血液検査で数値が○○以上だったら診断する」というような絶対的な数値はありません。
日常生活への影響や幼少期の様子、心理検査などを総合的に見て診断されます。
本人が自分の困りごとを言葉にできなかったり、幼少期の様子を覚えていなかったりすると、情報不足により「発達障害ではない」と診断される可能性があるのです。
また、発達障害の診察が専門ではない病院では、正しい診断ができず「ストレスによるもの」と判断されることもあります。
「医師には発達障害ではないと言われたけど、納得できない」というときは、発達障害を専門に診ている医療機関を受診しましょう。
その際、困っていることや日常生活への影響、自分が発達障害だと感じている理由をメモしておくと、自分の状態をスムーズに伝えられます。
幼少期の様子を家の人に聞いておいたり母子手帳を用意したりするのも、診察に役立つためおすすめです。
発達障害ではないとわかったときに大切なこと
発達障害ではないとわかったときには「どんなときに生きづらさを感じるのかな?」と考えることが大切です。
「自分は発達障害かも」と思い始めたきっかけを思い出してみてください。
- 人付き合いが苦手
- ミスや忘れ物が多い
- 約束の時間を守れない
このように、自分の困っていることが明確になるでしょう。
発達障害でも発達障害ではなくても、目指すところは「生きづらさを小さくして、ラクに生きられること」です。
診断の有無にこだわらず、困っていることに対処する力を身につけましょう。
対処法については次の項目を参考にしてください。
生きづらさを軽減させる対処法
生きづらさを軽減させる対処法として挙げられるのは、以下3つです。
それぞれ解説します。
自分の苦手を知る
以下について考え、苦手を感じやすいパターンを把握しましょう。
- 自分が困りやすい場面
- 人とうまくいかない場面
- 気持ちが落ち込みやすい場面
苦手なパターンを知ることで、以下のように役立ちます。
■飲み会に誘われると「断りたいのに断れない」「かといって断り続けるのも罪悪感がある」と困ってしまう
→「今月は〇日と〇日なら大丈夫だよ」と事前に伝え、指定した日に誘われた飲み会だけ参加する
自分の苦手を明らかにして実行しやすい対策を考えることで、生きづらさが少しずつ減っていきます。
「対策を考えたいけど、ひとりでは考えられない」「自分の苦手な部分と向き合うと憂うつになる」という方は、おおかみこころのクリニックにご相談ください。
診察室で医師とふたりになると緊張してしまう方や、遠方や家庭の事情で受診が難しい方は、オンライン診療の利用がおすすめです。あなたがリラックスできる空間で、ラクになる方法を一緒に考えていきましょう。
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適切な目標を設定する
自分が達成できそうな適切な目標を設定しましょう。
「すべての人とうまくやっていける自分になる」と高すぎる目標を設定すると、自分の生きづらさが強まってしまいます。
以下を参考に、少し頑張れば達成できそうな目標を設定しましょう。
- 挨拶だけは自分からする
- 店員さんの目を見て話す
- 3回に1回は自分の意見を言う
「人付き合いはうまくすべき」というような「べき思考」にとらわれていると、あなたの生きづらさを強めてしまいます。
「べき思考」を見直して生きやすくするための方法は、こちらの記事をご覧ください。
人付き合いの自信をつける
生きづらさを抱えている方に多いのは「人付き合いに自信が持てない」という悩みです。
過去のいじめ経験から対人関係に恐怖感を抱くようになったり「~と思われたらどうしよう」「沈黙が怖い」などの理由で人付き合いを避けたりする方も多いでしょう。
ただ、人付き合いの自信は練習と経験次第で高められます。
たとえば、テレビ番組や漫画の中で「この言い方、いいな」と思うフレーズをメモしておいたり、日頃から話のネタをストックしておいたりして、会話の準備を整えておくのも効果的です。
ひとりでもできる会話力トレーニングの方法が知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
発達障害だと思ったら違ったときには、以下の3パターンが考えられます。
- 他の精神疾患が隠れていた
- 不適切な養育環境で育った
- セルフチェックの影響を受けた
発達障害の診断には「血液検査で数値が○○以上だったら陽性」のような明確な基準がありません。
本人の訴えや日常生活への影響、幼少期の様子などを医師が総合的に判断して発達障害と診断されます。
発達障害の診断の有無にかかわらず大切なのは、自分に合った対処法を身につけて社会に適応しやすくなることです。
苦手な場面について理解を深めたり、自分に合った適切な目標を立てたりして、生きづらさを軽減させましょう。
ひとりで考え込むと憂うつになってしまう方は、おおかみこころのクリニックにご相談ください。
遠方の方や対面での受診が難しい方はオンライン診療をご利用いただけます。一緒に生きづらさを軽減させる方法を考え、あなたらしく生きられる毎日を目指しましょう。
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【参考文献】
[1]女性の発達障害|宮尾益知 河出書房新社
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
メンタルヘルスの記事を中心に執筆する看護師・保健師ライター。 精神科勤務での患者さんとの関わりや自身のうつ病経験から「人の心についてもっと知りたい」と思い、上級心理カウンセラーの資格を取得。 エビデンスに基づいた読者の心に寄り添う記事を心がけている。