人見知り=発達障害ではない|見分け方や克服のためにできること




うちの子、ほかの子より人見知りが激しいのですが、これって発達障害でしょうか?

浅田先生
浅田先生

人見知り=発達障害とは限らないよ!記事の中で解説するね

生後半年をすぎた子どもが慣れない人に不安を感じたり、恥ずかしがったりすることを「人見知り」と言います。[1][2]

人見知りの時期や程度は個人差が大きく、人見知り=発達障害とは言い切れません

今回は、人見知りと発達障害の見分け方対処法相談できる場所などについて解説します。

この記事を通して人見知りが性格なのか発達障害によるものかを知り、子どもに合った環境でムリなく過ごせるサポートをしましょう。

人見知り=発達障害とは限らない

人見知りは発達障害のサインというわけではありません。

人見知りは個性のひとつであり、健常な発達の子どもにもみられるものです。

一般的な人見知りは「引っ込み思案」「内気な性格」といわれ、以下のような特徴がみられます。

  • 家族とのコミュニケーションはとれる
  • 新しい環境や友達の中に入っていくのは苦手

このような子どもは時間がたてば少しずつ環境になじんでいくため、ムリな働きかけの必要はありません。

以下のような場合は発達障害の可能性があるため、注意深く観察する必要があります。

  • 親が怒ったり悲しんだりする様子に無頓着
  • 親と同じものに注意を向けない(例:親が「見て、虹が出てるよ」と言っても見ない)

より詳しい見分け方を次で解説するので、合わせてチェックしてください。

こころちゃん
こころちゃん

心配な場合は保育園の先生や小児科の先生に相談してみましょう!

人見知りと発達障害の見分け方

人見知りでも日常生活に支障がなければ、発達障害ではなく子どもの個性や性格です。

以下のような様子がみられるときは発達障害の可能性があるため、専門機関に相談しましょう。[3]

乳児期(1歳未満まで)
・目が合わない
・抱っこを嫌がる
・あまり泣かない

幼児期前半(1~3歳)
・人の発言を繰り返して言う
・名前を呼んでも振り返らない
・うなずく、首を振るなど動作による意思表示が少ない
・親が興味をひく声掛けをしても見ない(例:「見て、ワンワンだよ」)


幼児期後半(3~6歳)
・関わりが一方的・受け身でうまくいかない
・保育園や幼稚園でほかの子との会話にズレが目立つ
・集団になじめない(例:お遊戯中にひとりで園庭に出る)


学齢期(6~15歳)
・冗談が通じない
・大人びた言い方をする
・「空気が読めない」と言われる
・コミュニケーションのズレが目立つ
・身振りや視線でのコミュニケーションが取れない

3歳児の発達が気になるときは、下記のチェックリストも参考にして下さい。

発達障害の人見知りは改善する

発達障害の人見知りは一生は続くわけではありません。

人見知りの改善には子どものうちにムリに集団行動をさせたり、コミュニケーション術を教え込んだりしないことが大切です。

ムリをさせて失敗を繰り返すと、人と関わることを避けたり怖がったりするようになる可能性があります。

以下のように子どもの興味を利用し、モチベーションを高めながら人とのかかわりを経験しましょう。

  • 読書が好き:図書館に通う
  • 電車が好き:鉄道のイベントに参加する
  • 身体を動かすのが好き:スポーツクラブに入る

これから出会うすべての人とうまく付き合う必要はありません。

経験を積むうちに分かり合える仲間や環境が見つかるため、子どものペースを尊重しましょう。

こころちゃん
こころちゃん

子どものペースを大切にしましょう

発達障害による人見知りの対処法

発達障害による人見知りの対処法として、以下が挙げられます。

それぞれ解説します。

子ども自身が選択する

気持ちを伝える練習のために、子ども自身が選択する経験を積みましょう。

発達障害をもつ子どもは興味のあることに集中するため、ほかの選択肢に目を向けたり自分の希望を伝えたりすることが苦手です。

「おやつはチョコかクッキー、どっちにする?」のように、子どもが選択を楽しむ機会をつくりましょう。

「苦手な野菜のどちらかを食べる」のように嫌な選択肢では、よい経験として残りません。

希望を伝えてよかったという経験を繰り返すことで、自分の意見を言ったり相談したりするスキルを身につけられるのです。

行事を利用して人とかかわる

人とかかわる機会として、行事を利用しましょう。

例として以下が挙げられます。

  • お正月に年賀状を送る
  • 敬老の日に祖父母へ手紙を書く
  • クリスマスに家族や友人にカードを渡す

発達障害をもつ子どもは人よりも物に関心が向きやすいため、行事を利用して人を思いやる機会を作りましょう。

人見知りでも行事や手紙などのクッションがあることで、やり取りのハードルが下がります。

人に喜んでもらえてうれしいという経験が、人付き合いへのモチベーションになるのです。

こころちゃん
こころちゃん

イベントだと自然と人と関わりやすいですね!

家庭内で「ありがとう」を言う

家庭内で「ありがとう」を伝え合う機会をつくりましょう。

発達障害をもつ子どもは感謝やあいさつによって人間関係を築くのが苦手です。

親が積極的に実践することで、感謝やあいさつがコミュニケーションのきっかけになるという見本を見せられます。

「ありがとう」以外にも以下のようなちょっとした言葉かけができます。

  • どうぞ
  • いいね
  • すみません
  • よかったね
  • 失礼します

日常会話に取り入れ、少しずつ感謝やあいさつをする習慣をつくりましょう。

発達障害の人見知りを相談できる場所

人見知りにより日常生活に支障が出ているときや気になる様子がみられるときは、以下の窓口に相談できます。

それぞれ解説します。

こころちゃん
こころちゃん

気になることがあったら相談してみましょう

市町村の福祉課

1つ目に挙げられるのは、市町村の福祉課です。

相談内容に応じて、必要なサービスや専門機関の情報を教えてもらえます。

市町村についてよく理解しているスタッフが対応するため、幼稚園や学校、療育など個別性の高い相談にも対応可能です。

発達障害の判定が難しい乳幼児や、親が子どもの状態を受け止めきれていないときには、保健センターや子育て相談窓口につないでもらえます。[4]

住んでいる地域の窓口について知りたい方は、こちらからご確認ください。

発達障害者支援センター

2つ目に挙げられるのは、発達障害者支援センターです。

発達障害に関する専門的な相談ができます。

発達障害の診断がなくても利用でき、家族や学校の先生による相談も可能です。[4]

相談内容に応じて医療機関や事業所などを紹介してくれるため「どこを頼ったらいいかわからない」というときは連絡してみましょう。

国の事業として運営されているため、無料で相談できます。

住んでいる地域の発達障害者支援センターは、こちらからご確認ください。

児童精神科やかかりつけの小児科

3つ目に挙げられるのは、児童精神科や小児科です。

児童精神科では、発達障害の知識を持つ医師に子どもの状態を相談できます。

近隣に児童精神科が見つからないときや予約が取れないときは、かかりつけの小児科に相談しましょう。

発達障害の診断がつくことで、幼稚園や学校への説明や配慮のお願いがしやすくなったり、行政のサービスを受けやすくなったりします。

診断がつかないときは本人の得意・苦手の傾向に基づき、対処法を教えてもらえます。

どの病院を受診すればいいかわからないときは「都道府県+発達障害+病院」で検索してください。

都道府県によっては発達障害に対応できる病院の情報を公表しているため、参考にしてください。

例:東京都

日常に支障がある人見知りは相談しよう|まとめ

すべての人見知りが発達障害とは限りません。

引っ込み思案や内気な性格という個性の場合もあるため、日常生活に支障がない場合は子どものペースを尊重しましょう。

ただ、人見知りにより幼稚園や学校に行けない、新しい環境になじめないなどの支障があるときは、専門機関への相談が必要です。

人見知りは「子ども自身が選択する」「行事を利用して人とかかわる」などの経験の積み重ねにより少しずつ改善します。

日頃の何気ないやり取りの中でムリなく練習を積み、かかわれる人や範囲を少しずつ広げていきましょう。

【参考資料】
[1]人見知りに関わる要因に関する研究
-出生順位及び親和動機の観点からの分析-

[2]赤ちゃんの「人見知り」行動
単なる怖がりではなく「近づきたいけど怖い」心の葛藤
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20130606/index.htm

[3]自閉症スペクトラムの子のソーシャルスキルを育てる本|本田秀夫 日戸由刈 講談社

[4]発達障害ナビポータル
https://hattatsu.go.jp/supporter/welfare/consult-2/welfare-consultation

この記事の執筆者
とだ ゆず
メンタルヘルスの記事を中心に執筆する看護師・保健師ライター。 精神科勤務での患者さんとの関わりや自身のうつ病経験から「人の心についてもっと知りたい」と思い、上級心理カウンセラーの資格を取得。 エビデンスに基づいた読者の心に寄り添う記事を心がけている。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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