PTSDになりやすい人の特徴|診断テスト・症状や治療法を解説










トラウマによる恐怖や不安が長期間続くPTSD(心的外傷後ストレス障害)。

PTSDとは、命の危険を感じた体験をした後、その記憶が思い出され当時に戻ったかのように不安や恐怖を感じる病気です。

不安や恐怖に悩みながら「なぜ自分だけが」と感じる人もいるでしょう。

実は、PTSDになりやすい特徴にはいくつかあります。精神的に疲れている状態や社会的サポートの不足など、さまざまな要因が関わるのです。P

TSDになりやすい特徴を知れば、あなたがPTSDを発症しているかどうか、判断材料のひとつとなります。

この記事では、PTSDになりやすい人の特徴治療法を紹介します。あなたや大切な人の心を守るための知識として、ぜひ参考にしてください。

PTSDになりやすい人の特徴

PTSDになりやすい人には以下の特徴があります。

具体的に解説するので、あなた自身に当てはまるか考えながらご覧ください。

以下の記事ではPTSDとトラウマの違いについて解説しています。合わせて読むとより、深く理解できるでしょう。

精神的に疲弊している

精神的に疲弊している人は、PTSDになりやすいです。

精神的に疲弊していると心に余裕が持てないため、ストレスに対する耐性が低くなります。すると、些細なことに過剰に反応しやすくなり、PTSDを発症する可能性があるのです。[1]

「ストレスに弱いかも」と気分が落ち込むときは、十分な休養や睡眠を取りましょう

危険を感じた経験がある

危険を感じた経験がある人は、PTSDになりやすい傾向があります。[2]

強い恐怖を感じると、出来事を落ち着いて整理できなくなります。その結果、覚えている部分と覚えていない部分が混ざり、頭が混乱して不安定な状態になるのです。大きなケガや性的暴行などを受けた経験がある人は、PTSDを発症しやすいとされています。

たとえば、過去に恐怖を感じた場所を通りかかったときに、フラッシュバックが起こったり悪夢を見たりします。他にも、手の震えや不眠の症状があらわれるのです。

また、家族や親しい人が危険な出来事に巻き込まれたのを目撃した際にも、PTSDを発症する可能性があります。

こころちゃん
こころちゃん

危険な経験はトラウマになりますね💦

危険な職業に就いている

医療職や消防士など、命の危険がある中で救出活動をする人はPTSDになる傾向があるといわれています。[2]

PTSDを発症するリスクが高い職業は、以下のようなものがあります。

  • 自衛隊
  • 警察官
  • 救急救命士

リスクが高い職業に就くすべての人がPTSDになるわけではありません。危険な事態に直面したり目撃したりする機会が多い人は、トラウマやPTSDを発症しやすいのです。

社会的サポートが足りない

社会的サポートが足りないことは、PTSDになりやすい人の特徴のひとつです。

トラウマを相談できる人がいなかったり、周囲からのサポートが少なかったりすると、ストレスを解消できずトラウマが深刻化します。周囲の理解がないと孤立し、PTSDのリスクが高まるのです。

トラウマに悩み周りからのサポートが受けられない人は、精神科や心療内科に相談し、ひとりで抱え込まずに治療を始めてみてください。

アドレナリンの分泌が大きい

PTSDになりやすい人の特徴には、アドレナリンの分泌が大きいことが挙げられます。

アドレナリンは、ストレスを感じたときに分泌されるホルモンです。PTSDを発症している状態は常にストレスにさらされているので、アドレナリンが過剰に分泌され過覚醒状態になります。過覚醒状態では、頭痛や不眠、動悸などの症状に悩まされるのです。

また、アドレナリンの分泌量が多いと、危機を感じた出来事を過去のものと捉えられなくなります。[3]つまり、過去の出来事でも、現在起こっている出来事と誤って判断してしまうのです。

PTSDの診断テスト

次のチェックリストを参考に、PTSDの可能性があるかどうかチェックしましょう。

質問に「はい/いいえ」で答えてください。[2][4]

▢ 些細な音や動きに過剰に驚くことが多くある
▢ 出来事を思い出す場所や人、活動を避けている
▢ 出来事を思い出す物事や状況に心理的苦痛を感じる
▢ 楽しいことや興味のある活動への関心が減少している
▢ 自分や他人、世間に対して否定的な感情を持つことがある
▢ 寝つきが悪い、眠りが浅い、悪夢を見るなどの睡眠障害がある
▢ 実際に身体の安全が脅かされる出来事を体験、目撃した経験がある
▢ トラウマ体験が繰り返し思い出され、フラッシュバックや悪夢として出てくる
▢ これらの症状が1ヶ月以上続いている
▢ 症状によって日常生活や仕事、人間関係に支障をきたす

あてはまる項目が多いほど、PTSDの可能性があります。

とくに、トラウマ体験を思い出し日常生活に支障がある人は精神科や心療内科を受診し、適切な治療を受けましょう。

過去のトラウマを克服する方法

PTSDを治療するには、過去のトラウマを克服する必要があります。過去のトラウマを克服するには、次の3つが大切です。

あなたに試しやすいものから始めて、少しずつ克服していきましょう。

今の自分を受け入れる

過去のトラウマを克服するには、今の自分を受け入れることが大切です。

恐怖や不安を否定せず大切な人の話を聴くように「不安だったね」と後ろ向きな感情を受け止めることが、トラウマを克服する第一歩となります。

恐怖を感じる経験をすると、自分自身や過去の出来事に対して否定的な感情を持ってしまいます。しかし、それは悪いことではありません。大切なのは、その出来事やあなた自身を受け入れることです。

もしひとりで受け止めきれないときは、信頼できる人に相談してみるのもよいでしょう。カウンセリングや専門の病院で相談を受けなくても、誰かに話すだけでも心が落ち着きます。

こころちゃん
こころちゃん

今の自分を好きになれると生きやすくなりますよ

病院で治療を受ける

トラウマが解消されないときは、病院を受診し治療を受けることも検討してください。病院で行われる治療法には以下のものがあります。

  • 薬物療法
  • 認知行動療法
  • 眼球運動脱感作療法

薬物療法では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)といった抗うつ薬が有効です。一方で、抗不安薬はPTSDの長期的な治療には効果はなく、続けて服用すると依存することがあります。処方される薬は医師の判断によって異なりますので、精神科や心療内科で診断を受けてから服用しましょう。

認知行動療法(CPT)は、PTSDに対する治療法のひとつです。集団または1対1で面談を行い、考え方の偏りをなくしストレスに上手に対応できるようになります

眼球運動脱感作療法(EMDR)は、トラウマとなる記憶を処理しやすくする治療方法です。EMDRで行われる眼球運動は情報処理を促し、記憶を整理するとされています。また、リラックスさせる働きもあるため、トラウマの症状をやわらげるのです。[5]

呼吸法を取り入れる

トラウマを解消するために、リラックスできる呼吸法を取り入れてみましょう。

意識してゆったりとした呼吸を繰り返すと、副交感神経が働きます。副交感神経はリラックスするときに働く神経です。呼吸法によって、緊張や疲労感が和らぎリラックスできます

次の手順に沿って、呼吸をしてみてください。[6]

  1. お腹に手をあてる
  2. 息を吐く
  3. 鼻からゆっくりと4秒かけて息を吸う
  4. いったん息を止める
  5. 口からゆっくりと8秒かけて息を吐く
  6. 3から5までの動作を3~5分繰り返す

もし途中で関係のない考え事をしてしまったら、また最初から呼吸を始めてください。何も考えずに呼吸を繰り返すと気分が落ち着き、緊張がほぐれるでしょう。

深呼吸する際は、肩の力を抜いて背筋を伸ばし目を閉じると効果的です。[7]

とくに呼吸法はすぐにできる方法なので、ぜひ気が付いたときに実践してみてください。

まとめ

この記事では、PTSDになりやすい人の特徴やPTSDの治療法についてお伝えしました。

PTSDの診断テストであてはまる項目が多い人は、精神科や心療内科を受診して相談するとよいでしょう。犯罪によってトラウマが生じたら、警察に相談すると専門医を紹介してもらえます。

PTSDはとてもデリケートな問題ですので、信頼できる医師を見つけて治療を受けることが大切です。

PTSDやトラウマに対する治療を検討している人は、「おおかみこころのクリニック」にご相談ください。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]心的外傷後ストレス障害|ROYAL COLLEGE OF PSYCHIATRISTS
https://www.rcpsych.ac.uk/mental-health/translations/japanese/post-traumatic-stress-disorder

[2]PTSD|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=iGkwv4PNzgWhQ9xI

[3]心的外傷後ストレス障害|ROYAL COLLEGE OF PSYCHIATRISTS
https://www.rcpsych.ac.uk/mental-health/translations/japanese/post-traumatic-stress-disorder

[4]PTSD(心的外傷後ストレス障害)|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease35.html

[5]EMDRにおける両側性交互刺激の効果について,山内美穂
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/95660/lasd_28_011.pdf

[6]こころの耳 5分研修シリーズ|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/fivemin

[7]腹式呼吸をくりかえす|こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_03.html

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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