突然の休職は周囲に迷惑をかけてしまう?対策や相談できる場を紹介










「突然休職したら迷惑がかかるのでは…」と、休職を考えながらも悩んでいませんか。

身体やこころの不調を感じ「休職したい」と思っても、職場のことを考えるとなかなか決断できないかもしれません。

しかし、休職を考えるほどの状態は心身が発するSOSのサインです。

「突然の休職は迷惑」と考えムリを続けるべきではありません。

この記事では、突然の休職を迷惑と感じる理由を解説します。突然休職しても迷惑をかけないための対策も紹介するので、あなたの心身を守り一歩を踏み出すためのヒントにしていただければ幸いです。

突然の休職を迷惑と感じる理由

周囲が突然の休職を迷惑と感じる理由には、次の3つがあります。

それぞれについて見ていきましょう。

業務の負担が増える

周囲が突然の休職を迷惑と感じるのは、業務の負担が増えるためです。[1]

休職者の仕事は、他のメンバーが分担して引き受けなければなりません。とくに専門性が高い業務や本人しか把握していない内容は、特定の同僚に仕事が集中しがちです。

その結果、残業が増えたり本来の業務に支障が出たりする状況になります。

さらに、引き受けた業務への責任感やプレッシャーも加わるため、仕事量の増加は精神的な負担も大きくします。職場全体の雰囲気が悪化したり、ミスが発生しやすくなったりする可能性もあるのです。

人手が足りなくなる

人手が足りなくなることは、突然の休職を迷惑と感じる理由のひとつです。

代わりの人員をすぐに確保するのは難しく、残されたメンバーは限られた人数で業務をこなさなければなりません。とくに、少人数のチームや繁忙期は影響を受けやすくなるでしょう。

たとえば、特定の技術を持つ担当者が突然休職すると、業務が滞る可能性があります。

新しい人材を採用するのにも時間がかかり、その間は既存のメンバーで担当しなければなりません。人手不足が続くと、納期遅れやサービスの質の低下を招き、顧客や取引先にも迷惑がかかります。

引継ぎが十分に行われない

周囲が突然の休職を迷惑と感じるのは、引継ぎが十分に行われないためです。[1]

体調不良による休職は、本人が詳細を説明したり資料を整理したりする余裕がありません。

後任者は何から手をつければよいか分からず、混乱が生じやすくなるのです。業務の進捗状況や手順などが共有されないと、仕事の質が低下したりミスが発生したりするでしょう。

休職者にとっては当たり前の業務内容でも、他の人には未知のことが多くあります。
不明点があっても気軽に確認できず、手探りで業務を進めることになります。

引き継ぎの不十分さからくる業務の負担が「突然の休職は迷惑だ」という思いに繋がる理由のひとつです。

突然休職しても迷惑をかけないための対策

突然休職しても迷惑をかけないための対策には、次の3つがあります。

「突然の休職は迷惑だ」という印象をやわらげるためには、事前の準備と配慮が大切です。

それぞれ詳しく解説します。

上司に進捗状況を共有する

突然休職しても迷惑をかけないために、日頃から上司に業務の進捗状況を共有しておきましょう

自分が担当する業務がどこまで進み、何が残っているかを上司が把握していれば、万が一のときも対応できます。

定期的な報告や共有ツールを活用し情報を記録しておくと、誰でも状況を確認できるようになります。

進捗状況が明確でないと、残されたメンバーは何から手をつけるべきか分かりません。

その結果、作業の重複や抜け、漏れが起きてしまうのです。業務の背景や注意点、関連資料の場所もあわせて伝えておくと引き継ぎがよりスムーズになるでしょう。

普段から情報を共有しておくことで、突然休職してもトラブルや混乱を減らせます。

業務マニュアルを作成する

担当業務のマニュアルを準備しておくことは、有効な対策です。

口頭での説明では情報が正確に伝わらないこともありますが、文書化されたマニュアルがあれば後任者は内容を自分で確認できます。

業務の手順や注意点、連絡先などを整理して記載しましょう。

マニュアルは一度作ったら終わりではなく、業務内容の変更に合わせた更新が必要です。専門用語を避け、図やスクリーンショットを活用するなど分かりやすさを心がけてください。

マニュアルの作成は、突然の休職による業務の混乱を防ぎ周囲の負担を減らします。

余裕のあるスケジュールを組む

余裕のあるスケジュールを組むことは、突然の休職への備えとなります。

納期ギリギリで作業していると、予期せぬ事態に対応できません。

たとえば、実際の締め切りより数日前に、自分の中での締め切りを設定しておきましょう。

突然の休職で作業できなくなっても、他の人がスケジュールに余裕を持って対応できます。

ゆとりあるスケジュール管理は業務の優先順位を明確にし、計画的に作業を進める習慣にもつながります。
慌てて作業するとミスが増えますが、時間があれば見直しやチェックの時間を確保できるのです。

休職を考えたいときに相談できる場所

休職を考えたいときに相談できる場所は、次の3つがあります。

相談先に頼ることで悩みを解消し、休職に向けた準備を進められます。

人事担当者

まず休職を相談する候補となるのが、勤務先の人事担当者です。

会社の就業規則や休職制度に詳しいため、手続きや条件について具体的な情報を教えてくれます。休職期間の上限、休職中の給与や診断書の提出の必要性など知っておくべきことを確認しましょう。

休職に至る経緯や現在の状況を伝えることで、個別の事情に応じたアドバイスを受けられます。休職制度を正しく理解することで見通しが立ち、不安をやわらげてくれるでしょう。

「突然の休職で迷惑をかけるのでは」という心配も、正直に伝えてみてください。

会社の産業医

休職を考えたいときの相談の場には、会社の産業医があります。

産業医は医学的な専門知識を持ち、従業員の健康管理を支援します。心身の不調が原因で休職を検討していれば、医師の立場から労働と健康のバランスについて専門的なアドバイスを受けられるのです。

現在の状態を客観的に評価してもらい、必要に応じて医療機関の受診を勧められたり、休職の必要性について意見をもらえたりします。[2]

「突然の休職は迷惑をかけるかもしれない」という不安から休職に踏み切れなくても、専門的なサポートを受けながら判断できるようになります。ムリを続ける前に、早めの相談を検討しましょう。

おおかみこころのクリニック

総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーは、休職を考えたいときに相談できる場のひとつです。[3]

労働問題に関する無料相談を受け付けており、専門の相談員が面談や電話で対応してくれます。休職に関する相談も可能で、一般的な事例に基づいたアドバイスが期待できます。

総合労働相談のメリットは、会社の関係者ではない第三者に相談できる点です。会社の休職制度に疑問があるときや、会社側の対応に不満があるときでも、気兼ねなく相談できます。

あなたの状況を客観的に整理し、適切な対応方法を見つける手助けとなります。ひとりで悩まず、専門家の知見を活用してみてください。

まとめ

突然の休職によって業務の負担が増えたり、引継ぎが行われなかったりすると、周囲が迷惑と感じる可能性があります。

日頃から上司への進捗共有やマニュアル作成を心がけることで、周囲の負担を減らせるのです。休職を検討するときは、人事担当者や総合労働相談コーナーなどへの相談も有効です。専門家の意見は不安をやわらげ、適切な準備につながるでしょう。

「迷惑をかける」という思いからムリをせず、必要なときには休む勇気も大切です。休職を回復と再出発の機会と捉え、前向きに進んでいきましょう。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]メンタルヘルス不調による休職が発生した際に休職者の同僚が体験する主観的プロセスー連鎖的不調に至った同僚の体験に着目してー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/35/3/35_351/_pdf/-char/ja

[2]中小企業事業者の為に産業医ができること|独立行政法人労働者健康安全機構
https://www.mhlw.go.jp/content/000501079.pdf

[3]総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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