「障害者手帳がほしいけど、どうしたらもらえるのかな?」
「どんな症状の人が対象なのだろう…」
このように悩むことも多いのではないでしょうか。
とくに、精神疾患や発達障害では目に見えない障害のため判断しにくいことがあります。
生活の大変さを抱えていても、サポートを受ける方法がわからないままでいる人も少なくありません。
障害者手帳を取得すれば、税金の控除や就労面での配慮など、さまざまなサポートを受けられます。
本記事では、障害者手帳はどんな人がもらえるのかや申請方法、医療機関への相談ポイントを解説します。
「自分はもらえないかも…」と諦める前に、参考にしてみてください。
障害者手帳とは
障害者手帳とは、障害のある人が生活のサポートやサービスを受けるための公的な証明書です。
手帳の種類と対象になる人は、以下のとおりです。[1]
- 身体障害者手帳:身体機能の障害
- 療育手帳:知的障害
- 精神障害者保健福祉手帳:統合失調症やうつ病など精神疾患
身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳は、医師の診断書と申請書類を役所に提出した後、審査で認定されると交付されます。
療育手帳は、住んでいる地域の福祉事務所で申請した後、児童相談所や知的障害者更生相談所の判定が必要です。
申請方法は自治体により違うため、詳しくは問い合わせてみてください。
【問い合わせ先・申請先に関する情報一覧】
障害者手帳が認定されると同時に「等級」が決定されます。
たとえば、精神障害者保健福祉手帳なら1~3級の3段階があり、1級がもっとも重度です。[1]
手帳についてや申請方法がわからないときは、かかりつけの病院で相談してみてください。医療ソーシャルワーカーや精神保健福祉士などが詳しく教えてくれるでしょう。

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障害者手帳はどんな人がもらえるのか
障害者手帳がもらえる基準は、診断がついていることに加えて、その障害によって生活が難しくなっている人です。
たとえば、うつ病で憂うつさが続き、サポートがないと身の回りのことや通院を行うのが難しければ取得できる可能性があります。[3]
一方で、症状が軽く通院により安定している状態なら、基準を満たさないこともあるでしょう。
また、「仕事をしているから手帳はもらえない」という誤解もありますが、働いているかどうかは直接関係ありません。実際に、障害者雇用枠で働きながら手帳を持っている人もいます。
厚生労働省の定めている、精神障害者保健福祉手帳の対象者は以下のとおりです。
- うつ病
- 発達障害
- てんかん
- 双極性障害
- 統合失調症 など
精神障害者保健福祉手帳は、初診から6か月以上経過していること、症状や障害が長い期間続くのが見込まれている点が受給条件となります。[2]
大切なのは、診断名でなく障害による生活への影響度です。
障害者手帳をもらえるか悩まれたら、記事の後半にある「障害者手帳をもらうためのポイント」を参考にしてください。
障害者手帳を取得するメリット
障害者手帳を取得すると、あなたの状況に合った支援を受けやすくなります。
具体的なメリットは以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
税金や公共料金などの費用を抑えられる
障害者手帳があると、税金の控除や公共料金の割引など経済的なサポートが受けられます。
とくに、精神障害者保健福祉手帳で受けられる助成や割引は以下のとおりです。[2]
- 税金の控除や減免(所得税や住民税の控除、障害者控除など)
- 公共交通機関の運賃割引(鉄道やバス、タクシーなど)
- 公共料金の割引(水道やNHK受診料、公共施設の入場料など)
- 公営住宅の優先入居
受けられるサポートは市町村によって異なります。
以下は、厚生労働省の出している各都道府県別に受けられるサービス一覧です。
住んでいる地域でどのようなサポートが受けられるのかを調べてみてください。
地方公共団体における精神障害者保健福祉手帳等に基づく主なサービス一覧(厚生労働省)
障害者雇用枠で働きやすくなる
障害者雇用枠で働くには、障害者手帳が必要です。
障害者雇用枠で働くと、仕事内容を調整できたり通院のために休みをもらえたりします。
また、障害者雇用枠での就労を目指すときは、就労移行支援や就労継続支援などの福祉サービスの利用も可能です。
就労移行支援や就労継続支援などの福祉サービスでは、仕事をするための練習や知識を学ぶことができます。
障害者雇用枠で働く人やステップアップの場に通う人にとっても、障害者手帳があるとサービスの利用がスムーズです。
障害者手帳を取得するデメリット
障害者手帳を取得すること自体にデメリットはありませんが、精神障害者福祉手帳は2年おきに更新しなければならないため手間がかかります。[2]
ほかにも、障害者手帳を「手帳を持っていることを人に知られたくない」と心配になることもあるでしょう。
手帳を持っていること自体は、あなたが話さない限り周りの人には知られないため安心してください。
職場に伝えるかどうかは自分で選べ、障害を理由にした差別的な扱いは法律で禁止されています。
障害者手帳は、あくまで必要な支援を受けるための「パスポート」のように考えて、安心して必要な支援を受けましょう。
障害者手帳をもらうためのポイント
障害者手帳をもらうためのポイントは、以下の3つです。
早めに診断書をもらう
障害者手帳の申請に必要な診断書は、作成に1か月程度時間がかかるため期間に余裕を持って主治医に相談することが大切です。
とくに、精神障害者保健福祉手帳は、初めて病院に行ってから6か月以上経過していることが条件です。
通院してから6か月以上経っているなら、診断書を作成できますので早めに相談してみましょう。

診断書作成に時間がかかるので、早めに主治医の先生に相談しましょう
生活上の困りごとを伝える
障害者手帳の判定では、病名だけでなく日常生活への影響が重視されます。
生活でどのように困っているのか主治医に正しく伝え、診断書に記載してもらうことで取得できる可能性が高まるでしょう。
たとえば、以下のように困っている状況や支障のあるできごとを具体的に伝えてみてください。
「パニック発作がある」
→「電車で毎回パニック発作が起きるので乗れない」
「ミスが増えた」
→「集中力が続かず1時間以上作業をするとミスが増える」
気づいたときに困りごとをメモしておくと、診察できちんと伝えられます。
また、家族や周囲からの客観的な意見も参考になるため、可能なら診察に同席してもらうとよいでしょう。
取得できそうか相談してみる
「手帳がもらえるかどうか…」とひとりで悩むより、まず主治医に相談してみることが大切です。
手帳の判定は判定機関の専門委員が行うため、主治医が行うわけではありません。
ただ、医師は判断基準に詳しいので障害者手帳が取得できそうか意見が聞けるでしょう。
もし、障害者手帳がもらえる対象じゃなくても他の制度が利用できることもあります。
たとえば、精神疾患なら就労移行支援や就労継続支援は、手帳がなくても利用できることもあります。
あなたに必要な支援を見つけるためにも、障害者手帳がもらえそうか相談してみてください。
まとめ
障害者手帳は、障害によって生活や仕事に支障があるときにもらえる可能性があります。
手帳を持つことで、お金の負担が減ったり働くときに配慮してもらえたりなど、さまざまなサポートが受けられます。
障害者手帳がほしいと思ったら、早めに病院やクリニックに相談し生活上の困りごとを具体的に伝えることが大切です。
「障害者手帳をもらえるのかな…」「自分はもらえないかも…」と悩むときは、医師の意見をきいてみましょう。
おおかみこころのクリニックでは、どんな小さな悩みでも次の一歩を踏み出せるよう、いつでも相談にのります。お気軽にお問い合わせください。
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【参考文献】
[1]障害者手帳│厚生労働省
[2]障害者手帳・障害年金│こころの情報サイト
[3]精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について│厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000610453.pdf