目が覚めた瞬間からこころが重く、不安な気持ちを抱えながらなんとか仕事に向かっていませんか?
もし「仕事に行きたくない」という気持ちを通り越して「仕事が怖い」と感じているなら、こころが限界を知らせているサインです。
この記事では「仕事が怖い」と感じる原因やムリを続けたときに起きる心身への影響について解説します。
今すぐ実践できる対処法もお伝えするので、少し立ち止まってこころに耳を傾けるきっかけとなりましたら幸いです。
仕事が怖いのは甘えではない
「仕事が怖い」という思いに恥ずかしさや罪悪感を覚えてしまうかもしれませんが、その気持ちは決して甘えではありません。
仕事が怖いと感じるのは、日々の緊張やストレスの積み重ねによってこころが疲れ、悲鳴をあげている状態です。
このサインに気づいていながらもムリを続けると、適応障害やうつ病などになるリスクが高まります。
大切なのは、仕事が怖いと感じている自分を否定しないことです。
「弱音を吐いてはいけない」と自分を追い詰めるのではなく、まずは「こんなにつらいのに今日までよく頑張ってきたね」とあなた自身をねぎらってください。

あなたは十分頑張っています。
たまには自分を褒めてあげてください。
仕事が怖い3つの原因
仕事が怖いと感じる代表的な原因として、以下3つが挙げられます。
ひとつずつ見てみましょう。
他者の期待への反応
他者からの期待に応えようとしすぎると、自分の感情や限界に気づけなくなり、いつの間にか「過剰適応」という状態になることがあります。
過剰適応とは、周囲に合わせすぎるあまり、自分の本音やつらさを後回しにしてしまうこころのクセです。
例として、以下のような状況が挙げられます。
- 本当はつらいのに仕事を引き受けてしまう
- 疲れていても「迷惑をかけたくない」と休めない
- 確認したいのに「面倒だと思わるかも」と言い出せない
このように、自分の気持ちよりも「どう思われるか」を優先する場面が増えるのが過剰適応です。
「ちゃんとしなきゃ」「迷惑をかけたくない」と頑張りすぎてしまうと、こころが疲れ切って不安や抑うつなどの不調につながってしまうのです。[1]
安心できない職場環境
職場で信頼関係が築けていないと、「こんなことを聞いていいのだろうか」「どう思われるか不安」といった気持ちが強まり、日常的なコミュニケーションにも緊張を感じやすくなります。
こうした状態が続くと、職場が安心できる場ではなくなり、次第に「仕事が怖い」と感じるようになるのです。[2]
安心できない職場環境の例として、以下のような状況が挙げられます。
- 上司の態度が気になり常に顔色をうかがってしまう
- 雑談やちょっとしたやり取りにも入りづらく孤立している
- 質問するとため息をつかれたりや不機嫌な反応を返されたりする
このような職場環境では「ここにいていいのかな」と感じる時間が増え、仕事そのものを怖いと感じるのです。

怖くて仕事に行けなくなっちゃう💦
不適切な仕事の量や質・ミスの発生
仕事の負担が多すぎたりミスに対して必要以上に厳しく叱られたりすると、次第に「仕事=怖いもの」と感じることがあります。
仕事の量や質、失敗や責任の発生は、男女を問わず強いストレス要因です。とくに男性は、このような場面で強いストレスを感じやすいことがわかっています。[3]
例として、以下のような状況が挙げられるでしょう。
- 小さなミスでも強く叱責され「報告するのが怖い」と感じてしまう
- 上司や周囲がミスをカバーしてくれず人間性まで否定されるように感じる
- 自分にだけ負担が集中し「終わらない」「誰にも助けを求められない」と孤立感を抱く
こうした環境が続くと「誰も助けてくれない」「また怒られるかも」という不安や孤立感が積み重なり、仕事が怖いと感じます。
ムリを続けるとこころの不調に
「仕事が怖い」と感じながらムリを続けると、こころや身体に以下のような不調が現れるため注意が必要です。
- 眠れない
- 食欲がない
- 涙が止まらない
- 朝になると吐き気がする
- ミスを恐れて何も手につかなくなる
このような症状は、適応障害やうつ病といったこころの不調の可能性があります。
「疲れているだけ」と我慢せず、一度立ち止まって自分の状態を見つめてみましょう。
適応障害のセルフチェックをしたときは、こちらの記事をご覧ください。
仕事が怖いときにできる対策
仕事が怖いときにできる対策として、以下が挙げられます。
ひとつずつ解説します。
自分を責めない
仕事が怖いときは、自分を責めないようにしましょう。
「怖い」と感じる背景には、以下のようなものが影響する場合が少なくありません。
- 重すぎる責任
- 周囲との関係性
- 長く続くストレス
たとえば「自分の頑張りが足りない」と感じていても、実際にはサポートが少ない職場環境で多くの仕事を抱えていたり、相談しにくい空気の中で緊張が続いていたりする場合があるのです。
そのような状況でこころが疲れてしまうのは、ごく自然なことです。
「何が負担になっているのか」「どうすれば休めるか」と考える視点を持ち、自分を責めすぎないようにしましょう。
期間限定だと考える
仕事が怖いときには「この状態がずっと続くわけじゃない」と考えましょう。
人間関係や職場環境、業務の負荷などは、時間とともに変化するものです。
あらかじめ自分の中で区切りの時期を設定しておくと、気持ちが整理しやすくなります。
以下を参考に、自分なりの区切りを考えてみてください。
- 「〇月には異動を希望しよう」と考える
- 繁忙期が終わったら一度しっかり休む時間を作る
- 「〇月まで続けてムリなら退職を相談しよう」と計画を立てる
心身の健康よりも大切な仕事はありません。
大きな負担を抱えながら働いているなら、環境を変えることも前向きな選択です。
つらい環境でムリを続けて心身を壊さないように、自分で区切りを決めましょう。
心穏やかに過ごせる仕事の特徴について知りたいときは、こちらの記事を合わせてご覧ください。
信頼できる場所に相談する
仕事への恐怖感をひとりで抱え込まず、信頼できる人や場所に相談することが大切です。
職場に話せる人がいないときは外部の相談窓口や専門機関を利用し、気持ちを整理しましょう。
・こころの健康相談統一ダイヤル
各都道府県の公共施設(例:精神保健福祉センター)につながり、こころの悩み全般について相談できます。
・こころの耳
仕事によるストレスや心身の不調について、電話・チャット・メールで相談できます。
・よりそいホットライン
電話・ファックス・チャットでこころの悩みを相談できます。
人と話すことに負担を感じるときは、アプリを通して気持ちの整理をするのも選択肢のひとつです。アプリ相談については、こちらの記事をあわせてご覧ください。
まとめ
「仕事が怖い」と感じているときは一度立ち止まって、今の自分の状態を確認したり、こころの負担を軽くする対処法を試しましょう。
- 自分を責めない
- 期間限定と考える
- 信頼できる場所に相談する
ムリのない範囲でできることから始めると、自然とこころが整理されていきます。
もし「自分では難しい」と感じたときは、医療機関や専門家に相談することも、こころを守るための大切な手段です。
おおかみこころのクリニックではあなたの気持ちに寄り添いながら自分らしく働ける方法を一緒に考えます。ひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。
24時間予約受付中
おおかみこころのクリニック
【参考文献】
[1]成人用過剰適応傾向尺度の開発と信頼性・妥当性の検討|水澤慶緒里
https://j-aap.jp/JJAP/JJAP_402_82-92.pdf
[2]風通しのよい職場づくりの3要素|長谷川晃大
https://files.microcms-assets.io/assets/919db704cddc4f58ba845152944f8cb8/1d7cb89651054bf5860b15c084ebfd61/hasegawa_jinjijitsumu.pdf
[3]職場環境とメンタルヘルス|塗師本彩
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2022/08/pdf/014-024.pdf
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
精神科看護師としての経験を活かし、メンタルヘルスを中心とした記事を執筆。こころと身体のつながりを大切にしながら、そっと寄り添う文章を心がけています。
保有資格:看護師、保健師、上級心理カウンセラー、漢方養生指導士