「コンサータを飲んでいるのに、なんだか効いている気がしない」
「周りの人は効果を感じているのに、わたしだけ効かないのかな?」
このように不安を抱えている方も少なくありません。
治療を始めたにもかかわらず、思うような変化がなく「このまま飲み続けて意味があるのかな」と悩んでしまうこともあるでしょう。
コンサータに限らず、薬の効き方には個人差があり「効かない」と感じたときは、見直しや相談をするタイミングです。
この記事では、コンサータが効かないと感じる理由や見直しポイントについて解説します。
原因が分からないまま悩み続けるのではなく、あなたのこころと身体に合った治療を考えるきっかけになりますと幸いです。
コンサータが効かないと感じる理由
コンサータに限らず、薬の効果や副作用には個人差があり一人ひとり感じ方が違います。
ADHDの薬は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの働きに関係しています。[1]
そのため、どのくらい効果が出るのかや薬への感受性には個人差があるのです。
たとえば同じコンサータ18mgを飲んでいても「すごく集中しやすくなった」と感じる人もいれば、「あまり効果を感じない」という人もいるでしょう。
また、ADHDの薬物療法のみを行った成人の20~50%は効果がみられなかったり副作用がみられたりするという報告があります。[2]
コンサータには、以下のような副作用が生じることがあります。[1]
- 頭痛
- 不眠
- 体重減少
- 食欲不振
このような副作用が強く出ているときは、コンサータの効果があっても、副作用がつらく効果を感じるこころの余裕を持てないかもしれません。
たとえば「集中力は増した気がするけど、頭痛がひどくて仕事にならない」「食欲がなくて身体がしんどい」のようなときは、薬の効果よりもつらさが先に立ってしまうでしょう。
「効かない」と感じても不安になりすぎず、治療法を見直すことが大切です。
また、「ADHDの薬はよくない」と言われることもあります。その理由については下記の記事をあわせてご覧ください。
コンサータが効かないと感じたときの考え方
効果のあらわれ方や持続時間には個人差がありますが、コンサータは服用後1〜2時間ほどで薬が効きはじめ、約12時間作用が続くとされています。[1]
「薬が効かないのかな」と感じていても、実は突発的な行動が落ち着いたり、集中しやすくなったりしていることがあります。
こうした変化は目立ちにくいため、効果に気づきにくいだけかもしれません。
とくに、コンサータは薬の効果が出ていても、自分では実感しづらいことがあるという報告もあります。[3]
そのため「自分だけ効いていないのかも」と落ち込む必要はありません。
以下のような小さな変化がないか考えてみてください。
- 最後まで会議に集中できた
- 以前よりミスが少なくなった
- 人の話に割り込まずに聞けた
このような変化に気づくために、工夫をすることも大切です。
たとえば、日々の行動や気分をメモしてみたり、周りの人に「最近わたし変わった感じする?」と尋ねてみたりしてください。
「今日は落ち着いて資料作成ができた」「突発的に話しかけることが少なかった」など、あなた自身の小さな変化に気づくことで、薬の効果を実感しやすくなるでしょう。
ADHDの薬で性格が変わったように感じたら、下記の記事をご覧ください。
コンサータが効かないと感じたときの見直しポイント3選
コンサータが効かないと感じたときの見直しポイントは以下の3つです。
それぞれ見ていきましょう。
主治医に相談する
服薬を始めて数日〜数週間たってもまったく効果を感じられないときは、薬の量や種類が合っていない可能性もあります。
たとえば、以下のようなときは主治医に相談してみましょう。[1]
- 副作用が気になる
- 集中できる時間が延びない
- 気持ちが落ち込みやすくなった
このように感じたら、自己判断でやめたり減らしたりせず、主治医へ伝えることが大切です。
相談することで、薬の量を調整したりストラテラやインチュニブなどの他の薬を検討したりするきっかけになります。
また、環境調整や心理教育などの治療をあわせて行うように提案されることもあるでしょう。
主治医に相談することで、あなたに合った治療について考えるきっかけになります。
「効いているのか分からない」と感じるときはひとりで抱えこまず、小さなことでも相談してみることがよりよい治療につながる一歩です。

小さなことでも悩んだら先生に相談しましょう
環境や習慣をととのえる
コンサータの効果を感じにくいときは、薬だけに頼らず日常生活の環境や習慣を見直すことも大切です。
とくにADHDの特性が目立ちやすい生活習慣や作業環境をととのえることで、薬の効果を実感しやすくなることがあります。
例として以下のような工夫が役立つでしょう。
- 生活リズムをととのえる
- 作業スペースを整理し気が散りにくい環境にする
- タスク管理アプリやリマインダーを使い予定を「見える化」する
日常生活でこのように取り組むことで、うっかりミスや集中が切れるなどの日常的な困りごとを減らす助けになります。
また、家族や職場の人に理解してもらうと、必要な配慮をしてもらいやすくなります。[4]
環境や生活習慣をととのえることで、日常生活の困りごとへの対処がしやすくなるでしょう。
薬だけに頼らず心理教育を受ける
薬物療法のみで効果を感じないときは、心理教育を併用することも考えてみてください。[2]
心理教育では、以下のようなことを学びます。
- ADHDの特徴や症状のあらわれ方
- 忘れ物や衝動的な行動が起こる理由
- 日常生活をスムーズに送るための対処法
ADHDについて学ぶことで、自分の困りごとを整理し、日常生活をよりスムーズに送るためのヒントが見つかるかもしれません。
今まで上手くいかずに悩んでいたのは、ADHDの症状によるものだったと気づくことで「わたしがダメなんだ」と自分を責めていた気持ちが少しやわらぐでしょう。
薬の効果を感じにくいときこそ心理教育を取り入れることで、あなたらしく過ごすためのヒントや工夫を見つけるきっかけになるのです。
まとめ|「効かない」と感じたときは治療法を見直すよい機会
コンサータを飲んでいて「本当に効いているのかな?」と不安になることはあります。
コンサータに限らず、薬の効果があらわれるタイミングや感じ方には個人差があり、見えにくい変化が起きている可能性もあるでしょう。
副作用がつらいときや変化が感じられないときは、ムリせず主治医に相談することが大切です。
また、生活習慣や環境をととのえたり心理教育を受けたりすると、ADHDの症状による困りごとを減らすきっかけになるでしょう。
「効かない」と感じるときは、あなたに合った治療法を考えるタイミングかもしれません。
今後の治療について不安になったときは、おおかみこころのクリニックへお気軽にご相談ください。
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【参考文献】
[1]メチルフェニデート塩酸塩徐放錠 コンサータ|ヤンセンファーマ株式会社
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/800155_1179009G1022_1_19
[2]大人の注意欠如多動症の認知行動療法|中島 美鈴
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjghp/36/3/36_200/_pdf/-char/ja
[3]メチルフェニデート反応の客観的評価と主観的評価
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18058019
[4]ADHD(注意欠如・多動症)|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease07.html
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士として精神科で17年の臨床経験を積み、現在は訪問リハビリに従事。経験を生かしメンタルヘルスを中心に、やさしく寄り添う文章を心がけて執筆しています。