承認欲求が強い人とうまく付き合うには?特徴と背景にある心理を解説










「あの人の言動、もしかして承認欲求が強いから…?」

「どう接したらいいかわからなくて、いつも疲れてしまう」

身近に承認欲求が強い人がいると、知らないうちにあなた自身がこころをすり減らしてしまうことがあります。

一方で、相手の行動の背景にある心理や適切な付き合い方がわかると、程よい距離感を保てるようになるでしょう。

本記事では、承認欲求が強い人の特徴や心理上手な付き合い方を紹介します。

今の関係を保ちつつ、あなたも穏やかにかかわるための参考になれば幸いです。

承認欲求が強い人の特徴

承認欲求が強い人は、どのような特徴があるのでしょうか。

以下の3つの特徴について解説します。

承認欲求についてや承認欲求が強くなる原因については、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

ミスを素直に認めない

承認欲求が強い人は、ミスをしたときに自分の非を認めずに他人や環境のせいにすることがあります。

「ミスをする自分は価値がない」と考えやすく、自分の非を認めず否定的な態度をとってしまいがちです。

ミスを認めず失敗を正当化するような言動は、自分のプライドが傷つくことを避ける無意識的な防御反応といえます。

功績をアピールしがち

承認欲求が強い人は、学歴や職歴、過去の成功体験などの功績を繰り返しアピールして、自分を大きく見せようとしがちです。

一見すると自信があるようにみえますが、実はその背景には劣等感が隠れていることもあります。

劣等感が強いため、功績をアピールして自分が優れていると思いたいのかもしれません。

ある研究では、他人よりも優れていると認められたい欲求が強く劣等感も抱えている人は、身近な人と比較することで有能感を得がちな傾向がみられました[1]。

自分の功績をアピールする承認欲求の強さは「自分に価値がないのではないか」という不安から自分を守ろうとしているのでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

アピールすることで自分を守っているのですね

SNSでの反応を気にしている

「いいね」やコメントの数を頻繁にチェックしたり、充実した生活を演出して投稿したりするのも、承認欲求が強い人の特徴です。

「承認欲求が強い人ほどスマホやSNSに触れる頻度が高い」という研究結果もあり、SNSの反応を気にしやすい傾向があります。[2]

承認欲求が強い人がSNSの反応を気にするのは、SNSが他人からの評価がわかりやすい場所だからでしょう。

目に見える評価を得ることで安心しようとするためです。

承認欲求の満たし方については下記の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

承認欲求が強い人に対するNG行動3選

承認欲求が強い人との関係をこじらせず、あなた自身を守るにはどのような点に気をつければよいのでしょうか。

承認欲求が強い人に対するNG行動には、以下の3つがあります。

それぞれ詳しく解説します。

何でも肯定する

相手の大げさな話に「すごいね!」と、こころにもないのにほめたり何でも肯定したりすることにも注意が必要です。

一見すると、その場をやり過ごす方法に思えるかもしれません。

ただ、相手はあなたのことを「何でも受け入れてくれる人」と認識し、依存度が高まってしまうことがあります。

何かあるたびにあなたを頼るようになり、かえって距離を置きにくくなってしまいます。

自慢話に対抗する

相手の自慢話に「自分はもっとすごいよ」と対抗してしまうと、相手はあなたのことを「ライバル」だと認識してしまいます。

相手はさらに優位に立とうとして、自慢話がエスカレートしてしまう可能性があります。

結果としてかかわる時間が長くなり、あなたの労力が増えてしまうことになりかねません。

こころちゃん
こころちゃん

気分がよくなって、もっと話てきちゃいます💦

相手の話を否定する

相手の話を「でも」「いや、それは違うよ」とさえぎってしまうと「否定された」と思われる可能性があります。

また、面倒に感じて連絡を返さないのも、同じく相手に否定的なメッセージを与えかねません。

承認欲求が強い人は否定されると、直接文句を言ったり対立したりするのではなく、回りくどい方法で不満をあらわすことがあります。[3]

たとえば、皮肉や嫌みをいわれたり頼まれたことを忘れたふりをしたりするようなこともあるでしょう。

承認欲求が強い人の「認めてほしい」という気持ちを刺激し、かえってあなたへの執着を強めてしまう可能性があります。

そのため、否定したり無視したりするのは避けてください。

承認欲求が強い人と上手に付き合う5つのコツ

相手を刺激せず、あなた自身のこころの消耗を防ぐために付き合い方の工夫が必要です。

承認欲求が強い人との上手な付き合い方として、以下の5つを意識してみましょう。

それぞれ詳しく解説します。

具体的な行動をほめる

承認欲求が強い人をほめるときは、以下のように具体的な行動や事実を伝えることが大切です。

NG:「すごいですね」

OK:「先ほどの資料、〇〇という視点がとても分かりやすかったです」

相手の「認めてほしい」という気持ちをピンポイントで満たすことで、それ以上のアピールや話が長引くことを防げます。

相手の思いを汲みとる

自慢話が始まったときは、話の内容(事実)よりも背景にある相手の気持ちに寄り添ってみましょう。

たとえば、「あるプロジェクトで〇〇な成績を残した」と自慢をする人に対しては次のように返します。

「プロジェクトには、本当にたくさんの時間とエネルギーを注いだんですね。〇〇さんにとってそれだけ大切なできごとだったのですね」

相手の言葉に隠れた「頑張りを認めてほしい」という思いを汲みとって返すことで、承認欲求を満たす効果があります。

もし共感的に返すのが難しいと感じるときは、次のように感想を述べるだけでもよいでしょう。

  • 「勉強になります」
  • 「そういう考え方は興味深いです」

相手が「何を話すか」ではなく「何を望んでいるか」に注目して、返す言葉を考えることが大切です。

相手との境界線を意識する

相手の言動に振り回されないためには、こころの中で相手との境界線を引いて距離を取ることが大切です。

具体的には、以下のように接触を減らすことが有効です。

  • SNSではミュート機能を活用する
  • かかわる時間を意識的に短くする
  • プライベートな話題に深く踏み込まないようにする

このように、物理的に接触する頻度を減らすことで、少しずつ承認欲求が強い人に振り回されることが少なくなります。

こころちゃん
こころちゃん

距離をとってあなた自身を守りましょう

自分の捉え方を変えてみる

承認欲求が強い人とかかわる状況を、少し違う角度から捉えてみる方法もあなたのこころを守るために役立ちます。

状況を違う視点から捉えることは「リフレーミング」と呼ばれ、ストレスマネジメントにも有効です。[4]

リフレーミングとは、できごとや状況の枠組み(フレーム)を変えて新しい視点を持たせることをいいます。

たとえば、相手の自慢話が始まったときに「相手の話を上手に受け流すスキルを鍛えるトレーニングだ」と考えることです。

リフレーミングを意識することで、客観的な視点から気持ちを楽にして相手と向き合えるでしょう。

自分の感情や時間を大切にする

もっとも大切なのは、あなた自身のこころと身体をケアすることです。

相手のことで悩んだときは「疲れているんだな」と、ありのままの自分を認めてあげることが大切です。

また、相手の機嫌や評価にあなたが責任を感じる必要はありません。相手のことを考えていた時間をあなた自身のために使ってみましょう。

そして、あなたの好きなことをしたりひと息ついたりして、あなた自身をいたわることを最優先にしてみてください。

まとめ

身近にいる承認欲求が強い人とのかかわりに疲れや生きづらさを感じてしまうのは、決してあなたのせいではありません。

今回紹介した付き合い方のヒントで大切なのは「相手を変えようとせず適切な境界線を保つこと」です。

相手にかける言葉を変えてみたり状況を捉え直したりするなど、できることから少しずつ試してみてください。

もし、人間関係のストレスで心身に不調を感じるほどつらいときは、ひとりで抱え込まず相談してみましょう。

おおかみこころのクリニックでは、夜22時までの診察やオンライン診療を行っております。

人間関係に疲れてしまい日常生活に支障をきたしているときは、いつでもご相談ください。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]仮想的有能感と自尊感情との関連:優越承認欲求と劣等感の観点から│日本青年心理学会大会発表論文集
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsyapp/19/0/19_72/_pdf/-char/ja

[2]承認欲求とソーシャルメディア使用傾向の関連性│情報教育
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rrie/1/0/1_18/_pdf/-char/ja

[3]仮想的有能感における攻撃行動に承認欲求が与える影響│日本心理学会大会発表論文集https://www.jstage.jst.go.jp/article/pacjpa/79/0/79_3AM-005/_pdf/-char/ja

[4]出来事の視点を変えてポジティブに考える~リフレーミングを活用したストレスマネジメント│情報の科学と技術https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/67/3/67_121/_pdf

この記事の執筆者
片桐 はじめ
公認心理師、臨床心理士として精神科病院・クリニックで精神疾患を抱える方のカウンセリングや心理検査に従事。臨床経験をもとに、身近な例からわかりやすく説明する文章を心がけています。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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