精神障害者手帳3級で受けられるサービスを一覧で紹介!手続き方法も










「精神障害者手帳3級を取得したけど使い方がよく分からない」

「税金や公共料金が安くなるみたいけど具体的にどうすればよい?」

精神障害者保健福祉手帳で受けられるサービスは、税金の控除や公共交通機関の割引などさまざまです。

しかし、手帳を持っているだけではサービスにつながりません。

税金の控除なら年末調整や確定申告、公共料金の割引なら申請など、サービスごとに手続きをする必要があります。利用できるサービスを正しく知ることで、経済的な負担を軽くできるのです。

この記事では、精神障害者手帳3級で受けられるサービスを一覧で解説します。利用できる制度を知り、暮らしの安心材料を増やすため助けとなれば幸いです。

精神障害者手帳3級とは

精神障害者手帳は、一定の精神障害の状態にあると認定された際に交付される手帳です。

正式名称は「精神障害者保健福祉手帳」といいます。

手帳には障害の程度に応じて1級から3級までの等級があります。

3級は必要に応じて周囲のサポートを受けながら、自立した生活が可能な状態です。[1]

ここでは精神障害者保健手帳3級について、次の2点から解説をします。

それぞれ見ていきましょう。

対象者

精神障害者保健福祉手帳の対象となるのは、精神疾患により長期にわたって日常生活に支障をきたしている人です

対象となる病気には、下記のものが含まれます。[1]

  • てんかん
  • 気分障害
  • 発達障害
  • 統合失調症
  • 薬物依存症
  • 高次脳機能障害
  • そのほかの精神疾患

手帳を申請するときは、初めて医師の診察を受けた日から6か月以上が経過している必要があります

継続的な治療実績を確認するための基準となるのです。

精神障害者手帳3級を申請して落ちたときは、下記の記事を参考にしてください。

3級と2級の違い

精神障害者保健福祉手帳の3級と2級の違いは、日常生活や社会生活での支障の程度によって区分されます。[2]

  • 3級:精神障害の状態が、日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、または日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
  • 2級:精神障害の状態が、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級は必ずしも周囲からの援助を必要としませんが、社会生活を送るために一定の制約を受けます。

たとえば、ひとりで外出はできても、ストレスのかかる状況にうまく対処できないようなケースです。

2級はまわりの助けがなければ、生活をするのが難しい状態です。

ひとりでの食事や入浴、着替えなど日常の動作に手助けを必要とするケースが挙げられます。

こころちゃん
こころちゃん

日常生活でどのように困っているかによって変わってきます

【一覧】精神障害者手帳3級で受けられるサービス

精神障害者手帳3級で受けられるサービスを5つに分けて紹介します。

どのようなサービスがあるのか確認していきましょう。

税金

精神障害者手帳3級の所持者は、税金の負担が減る制度を利用できます。代表的なのが、所得税や住民税などの障害者控除です。[1][3][4]

内容
所得税27万円控除
住民税26万円控除※地域による
相続税(85歳-相続時年齢)×10万円控除
贈与税心身障害者扶養共済制度でもらえる給付金は非課税

控除を受けるために会社員の人は年末調整で、自営業の人は確定申告で申請が必要です。

申告を忘れると控除は適用されないため、忘れずに手続きをしましょう。

こころちゃん
こころちゃん

サービスを利用するためには申請をしましょう

医療

精神障害者手帳3級の対象者は、医療費の負担を減らせる「自立支援医療制度」を利用できます。

具体的には、医療費の自己負担額が3割から1割に減ります。

たとえば、医療費全体が10,000円のときは、通常は3,000円の負担が1,000円になるのです。[5]

自立支援医療は、精神障害者保健福祉手帳の有無にかかわらず申請ができます。申請には、申請書や医師の診断書などが必要です。

また、独自に医療費を助成する制度を設けている自治体もあります。ただし、3級は対象外となるケースもあるため、お住まいの自治体でどのような助成が受けられるか、担当窓口に確認しておくとよいでしょう。

公共料金

精神障害者手帳3級を持っていると、公共料金で割引や減免の対象となるサービスがあります。

内容備考
郵便料金郵便料金の割引窓口で手帳を提示する
NHK放送受信料全額免除手帳所持者が世帯におり、世帯全員が住民税非課税である

割引は自動的に適用されるわけではないため、事前の申請が必要です。

NHKの放送受信料は、まず市区町村の窓口で証明書を発行してもらい、書類をNHKに提出する手順があります。

お住まいの自治体のホームページや担当窓口で、対象となるサービスと申請方法を確認しましょう。

交通機関

精神障害者手帳3級を提示すると、公共交通機関の運賃割引を受けられます。

内容
JR・私鉄運賃が5割引
バス運賃が5割引、定期券が3割引
タクシー運賃が1割引
航空会社(国内線)運賃が割引

2025年4月1日からJR各社で精神障害者割引が始まりました。

介護者と一緒に利用するときは、同一区間であれば適用されます。しかし、ひとりで電車を利用するときは、片道が100kmを超えるときのみ運賃が半額になります。

バスやタクシーの割引は地域により異なるため、お住まいの自治体のホームページや利用する交通事業者に事前に問い合わせてみましょう。

公共施設

精神障害者手帳3級を提示すると、全国のさまざまな公共施設やレジャー施設で入場料の割引が受けられます。

内容
映画館チケットが1,000円・TOHOシネマズ
・109シネマズ
・イオンシネマなど
博物館・美術館入館料が無料または割引・国立科学博物館
・国立西洋美術館・東京都美術館など
動物園・水族館入館料が無料または割引・上野動物園
・よこはま動物園ズーラシア
・すみだ水族館など
レジャー施設入場チケットが割引・東京ディズニーリゾート
・USJ
・富士急ハイランドなど
展望施設入場料が割引・東京タワー
・スカイツリー
・横浜ランドマークタワーなど
カラオケ室料が割引・ビッグエコー
・カラオケ館

割引内容や同伴者の扱いは施設により異なります。民間施設は料金変更もあるため、お出かけ前に公式サイトで最新情報を確認しましょう。

精神障害者手帳のサービス受ける手続き方法

精神障害者手帳3級に関連するサービスを受けるための手続きは、下記のとおりです。[1]

  1. お住まいの自治体の障害福祉担当窓口に行く
  2. 手帳を発行してもらう
  3. サービスを受ける施設に手帳を提示する(※NHKには申請書を送る)

まず、手帳の交付を受けるために、お住まいの市区町村の担当窓口で申請手続きをします。

申請には、申請書や医師の診断書、顔写真などが必要です。

申請から手帳が交付されるまでには、約2か月かかるのが一般的です。手帳を受け取った後は利用したい施設や窓口で提示すれば、サービスが受けられます。

映画館や博物館ではチケット購入時に、公共交通機関では運賃支払い時に提示しましょう。ただし、NHKのように別途申請書の提出が必要なサービスもあります。

手帳には交付日から2年間の有効期限があるため、期限が切れる前に更新手続きを忘れないようにしましょう。

まとめ

精神障害者保健福祉手帳3級を持っていると、公共料金や交通機関の割引などさまざまな場面でサービスを受けられます。

サービス内容は全国一律のものもあれば、自治体や事業者によって異なるものがあります。

まずはこの記事を参考に、どのようなサービスがあるかを知りましょう。

次にお住まいの自治体の担当窓口や、利用したい施設のウェブサイトで具体的な内容を確認してください。

制度を積極的に活用し、より充実した生活の実現にお役立てください。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]障害者手帳・障害年金|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/support_certificate.php

[2]精神障害者保健福祉手帳制度の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vnm9-att/2r9852000001vota.pdf

[3]障害者と税|国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/03_2.htm

[4]よくあるご質問(FAQ):心身に障害のある方の所得税・住民税の控除制度について教えてください。|千葉市
https://www.city.chiba.jp/faq/hokenfukushi/koreishogai/jiritsu/3127.html

[5]自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/dl/03.pdf

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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