「精神障害者手帳3級に落ちたらどうすればよい?」
「再申請したいけどまた同じ結果になったらどうしよう…」
精神障害者手帳3級の審査結果を受けて、今後どうすべきか分からず不安や焦りを感じていませんか。
しかし、諦める必要はありません。
診断書の準備や手帳がなくても利用できる支援を知れば、次の一歩を踏み出せるようになります。
この記事では、精神障害者手帳3級に落ちた理由や再申請の対策を解説します。
あなたの状況を整理し、前向きに進むためのヒントとしてぜひ参考にしてください。
精神障害者手帳3級に落ちた理由
精神障害者手帳3級の審査に落ちた理由には、次の3つがあります。
- 審査基準を満たしていない
- 初診日から6か月以内に申請している
- 診断書が申請者の日常生活の困難さを伝えきれていない
まず、症状が審査基準を満たしていないと判断されたケースです。申請者の症状が3級の基準に達していないと判断されると、交付の対象外になります。
次に、初診日から6か月以内に申請しているケースです。精神障害者手帳の申請は、病院で初めて診察を受けた日から6か月以上が経過している必要があります。[1]
さらに、医師が作成した診断書の内容が、日常生活や社会生活で抱える困難さを伝えきれていないケースです。
病名が記されているだけでなく「どのような場面で、どの程度の支障があるか」が記載されていることが大切です。
精神障害者手帳3級の審査基準
精神障害者手帳3級に認定されるには、国の定める基準を満たす必要があります。
審査は各都道府県の精神保健福祉センターが診断書をもとに行い、日常生活や社会生活への支障の程度を判断するのです。
厚生労働省の基準をもとに、病気ごとの基準を一部紹介します。[2]
- 気分障害:気分の落ち込みや意欲の低下が、継続的または頻繁に繰り返される
- 統合失調症:思考がまとまりにくかったり、幻覚が見えたりする症状が残っている
- 発達障害:コミュニケーションの困難さに加え、不安や抑うつなどの症状がある
仕事や生活に一定の支障が出ていることが精神障害者手帳3級の目安です。
申請に落ちてしまったのは、症状が基準を満たすほどではないと判断された可能性があります。
精神障害者手帳3級を取得すると受けられるサービスは、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
精神障害者手帳3級を再申請するときの対策
申請に落ちたとしても再申請は可能で、回数に制限はありません。
精神障害者手帳3級を再申請するときの対策には次の3つがあります。
次回の申請で認定される可能性を高めるために、前回の反省点を踏まえて準備をしましょう。
困難日記をつける
再申請の準備として、まずは困難日記をつけてみましょう。
困難日記とは、心身の不調で困ったことやできなかったことを具体的に記録するものです。
たとえば、次のような具体的なエピソードを書き留めておきましょう。
- 気分の落ち込みが激しく数日間食事が作れていない
- イライラがとまらず友人との約束をキャンセルしてしまう
- ひとりで外出はできるが電車が遅延した際にパニックになる
「誰かの助けがないとできない」「以前はできていたのに今はできなくなった」という視点で記録すると、生活の支障がより明確になります。
この困難日記が、診断書を作成してもらうための大切な資料となるのです。

生活にどのように困っているのかをハッキリと伝えるために必要です
主治医と現状を共有する
精神障害者手帳3級を再申請する前に、主治医にあなたの現状を共有しましょう。
診断書は審査結果を左右する大切な書類です。主治医があなたの状況を正確に把握できるよう、具体的な情報を提供しましょう。
たとえば「週に3日ほど強い不安感で外出できない」「金銭管理が苦手で公共料金の支払いを何度も忘れそうになる」など頻度や具体的な状況を伝えるのが有効です。
日常生活での困難さを具体的に伝えることで、医師は診断書に「労働に著しい制限を受ける」といった所見を書きやすくなります。
あなたから情報を提供していく姿勢が、診断書の作成につながります。
初診日から6か月間は待つ
精神障害者手帳を申請する際には、初診日から6か月以上の経過が必要です。
もし前回の申請が、この期間を満たしていなかったために対象外となったのであれば、まずは6か月が経過するのを待ちましょう。
6か月という期間は「症状が一時的なものではなく、継続して支援が必要か」を判断するために設けられています。
焦って申請しても要件を満たさなければ審査の対象になりません。
初診日の証明は診断書に記載されるか、初診日証明書を病院に発行してもらう必要があります。あなたの初診日がいつかを確認し、6か月の期間を満たしたうえで改めて申請の手続きを進めましょう。
精神障害者手帳なしでも利用できる支援・制度
精神障害者手帳なしでも利用できる支援・制度には、次の3つがあります。
手帳がなくても活用できるサポートを知っておくと、選択肢が広がり不安の解消につながります。
就労移行支援
就労移行支援は、障害のある人が一般企業への就職を目指すために利用できるサービスです。
65歳未満が対象で、精神障害者手帳がなくても医師の診断書や定期的な通院の証明があれば利用できます。[3]
就労移行支援では、職業訓練や就職活動など一貫したサポートが受けられます。ビジネスマナーの習得や模擬面接など、個々の状況や目標に合わせた計画もつくられます。
ひとりで就職活動を進めるのが不安な人にとって、心強い味方となる制度です。
まずはお住まいの役所にある担当窓口や、利用を検討している就労移行支援事業所に問い合わせてみましょう。

よさそうだな…と思う支援があったら相談してみましょう♪
自立支援医療制度
自立支援医療制度は、精神疾患の治療でかかる医療費の負担を減らす制度です。
医療保険による自己負担は3割ですが、自立支援医療制度を利用すると1割に減らせます。
精神障害者手帳の有無にかかわらず申請でき、対象となるのは全ての精神疾患です。[4]
制度の対象となるのは、下記の医療費です。
- 通院治療
- 訪問看護
- 精神科デイケア
- 処方される薬代
申請する際は役所の担当窓口に行き、医師の診断書と健康保険証などを用意しておきましょう。通院は経済的な負担も大きいため、活用を検討してみてください。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、仕事と日常生活に関する悩みを相談できる支援機関です。[5]
精神障害者手帳の有無にかかわらず、障害のある人やその家族が無料で相談できます。
就業面では、ハローワークと連携しながら就職相談や就職後のフォローなどを行います。
一方、生活面では金銭管理や体調管理に関するアドバイス、年金や手当に関する情報を提供するのです。
仕事と生活は密接に関わっているため、両方の側面から支援を受けられるのが特徴です。どこに相談すべきか迷った際に、最初の窓口としても活用できます。
まとめ
精神障害者手帳3級の審査に落ちたとしても、諦める必要はありません。落ちた理由を考え、次回の申請に向けた対策を立てましょう。
再申請をするまでの期間は日常生活での困難さを記録し、主治医にあなたの現状を共有してください。
そうすることで、本当に困っている状況が伝わり、ありのままが記載された診断書を作成してもらえます。
今回の結果に落胆しすぎず、あなたのペースで次の一歩を踏み出してみてください。まずは、お住まいの役所にある窓口に相談してみることから始めてみましょう。
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おおかみこころのクリニック
【参考文献】
[1]障害者手帳・障害年金|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/support_certificate.php
[2]精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について(◆平成07年09月12日健医発第1133号)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4615&dataType=1&pageNo=1
[3]就労移行支援事業|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/shingikai01/pdf/5-2i.pdf
[4]自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/dl/03.pdf
[5]障害者就業・生活支援センター概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001242593.pdf