「休職したら終わり」は誤解!不安の対処法と退職を選ぶ際の判断基準










「休職したら、もうキャリアは終わりかもしれない」

そんな不安から、心身の不調を感じながらもムリに働き続けていませんか。

将来のキャリアや収入、職場への迷惑を考えると「わたしが休むわけにはいかない」と自分自身を追い込んでしまいます。

もしかすると「休職したら終わり」という考えは、思い込みかもしれません。

休職は心身を休ませ、再びあなたらしく働くための大切な時間です。

休職への不安を理解し適切に対処できれば、休職を前向きな選択肢として考えられるようになります。

この記事では「休職したら終わり」とされる理由不安への対処法を解説します。あなたにとってよい選択をするヒントを一緒に見つけていきましょう。

「休職したら終わり」とされる理由

「休職したら終わり」という不安が生まれるのには、次の2つの理由があります。

  • 休職中の経済的な不安がある
  • 人事評価やキャリアに関係する

1つ目は、経済的な不安です。

休職期間中は会社から給料が支払われないケースが多いため、生活ができなくなることへの不安が大きくなります。

2つ目は、休職が人事評価やキャリアに関係するのではないかという心配です。

ブランクができてしまうと、仕事の感覚を取り戻すのに時間がかかったり、重要なプロジェクトから外されたりする可能性を考えてしまいます。

この2つの理由から「休職したら終わり」という考えにつながりやすいのです。

下記の記事では「休職したい疲れた」と思う原因やサインを解説しているので、あわせてご覧ください。

休職しても終わりではない

休職はキャリアの終わりではありません。

実際に、休職後に職場復帰を果たしている人は多くいます。

2013年に行われた独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、メンタルヘルスの不調で休職した人の復職率は平均で45.9%です。[1]

およそ2人に1人は復職している計算になります。

また、スムーズな復職を支援する「リワークプログラム」という制度もあります。リワークプログラムでは専門の施設に通い、生活リズムの調整や軽作業、コミュニケーションのトレーニングを行うのです。

心身の調子をととのえ、再び働くための準備が進められます。

下記の記事ではリワークについて解説しているので、あわせてご覧ください。

「休職したら終わり」と感じる不安への対処法

「休職したら終わり」という考えが頭から離れないときは、次の5つの対処法を試してみましょう。

すぐに実践できるものもあるので「これならできそう」と思うものから取り組んでください。

趣味の時間を作る

まずは仕事から意識的に離れ、趣味の時間を確保しましょう

「休職したら終わり」と感じるときは「仕事での役割が自分のすべてだ」という考えが隠れている可能性があります。

仕事以外に没頭できる時間をつくることは、あなた自身の価値を見つけるきっかけになるのです。

たとえば、読書や映画鑑賞、運動などあなたが楽しいと思える活動に時間を使ってみてください。もし「楽しい」と感じられなくても、ムリに楽しもうとする必要はありません。

ただぼーっとしたり、ラジオを聴き流したりするなど、仕事のことを考えない時間を少しでも作ることが大切です。

まずは好きなことに時間を使い、仕事から離れてみましょう。

6時間以上睡眠をとる

「休職したら終わり」と考えてしまうときは、6時間以上の睡眠をとりましょう

睡眠不足は、精神的なバランスを崩す要因となります。

1日に4時間半ほどの睡眠不足が5日間続くと、不安や混乱が強まる傾向があると報告されています。[2]

そのため、睡眠時間が足りていないと、物事を否定的に捉え「休職したら終わり」という考えに陥りやすくなるのです。

心身の健康を保つためには、最低でも6時間以上の睡眠をとるように心がけましょう。

寝室の環境をととのえたり、就寝前のスマホをやめたりするなど、質のよい睡眠をために小さな工夫を試してみてください。

こころちゃん
こころちゃん

身体とこころの疲れをやわらげましょう!

傷病手当金を申請する

休職中の経済的な不安には、傷病手当金の申請が有効です。

傷病手当金は業務外の病気やケガの療養で仕事を休み、会社から十分な給与を受けられないときに支給される公的な制度です。[3]この制度を利用すれば、経済的な負担を減らし、療養に専念できます。

支給されるには、下記のような条件があります。[3]

  • 病気やケガで休んでいる
  • 仕事に就ける状態ではない
  • 休んだ期間の給与が支払われていない
  • 連続して3日間休み4日目以降も休んでいる

金銭的な心配が少しでもやわらぐと、こころにも余裕が生まれるでしょう。まずは申請の対象になっているかを、加入している健康保険組合のホームページで確認してください。

産業医に面談を依頼する

あなたの判断だけで休職を決めるのが難しいときは、産業医への相談が役立ちます。

産業医とは、労働者が健康に働けるように指導や助言をする医師です。[4]

勤務先に産業医がいるときは、面談を依頼してみましょう。

産業医には守秘義務があり、相談内容があなたの同意なく会社に伝わることはありません

安心して、今のあなたの状況を話してみてください。

現在の心身の状態や職場環境を話すと、休職の必要性について一緒に考えてもらえます。産業医と話すだけでも気持ちが整理され、漠然とした不安がやわらぐでしょう。

「休職すべきか」とひとりで悩み続けると、視野が狭くなってしまいます。会社の制度として利用できる医師の力を借りてみてください。

1日のできたことを記録する

「休職したら終わり」と考えてしまうときは、1日の小さな成功体験を記録する習慣をつけましょう。

心身が疲れていると自己肯定感が低下し、全てうまくいかないように感じやすくなります。その結果「休職したら終わり」といった将来への不安につながることがあるのです。

たとえば「ちゃんと起きられた」「朝ごはんを食べられた」など、些細な行動をノートやスマホのメモアプリに書き出してみてください。

できたことを書き続けると、あなたが思っている以上に多くのことができていると気づけます

記録したことの積み重ねが、少しずつ自信を取り戻すきっかけになるのです。

休職と退職のどちらを選べばよいか

まず休職が向いているのは、今の会社とのつながりを保ちながら回復に専念したいケースです。具体的には、下記のような状況が挙げられます。

休職が向いている例
・転職に迷いがある
・復職後に部署変更をすれば解決が見込める
・会社の就業規則に休職制度が定められている

一方で、環境を根本的に変える退職が適しているケースもあります。新たなスタートを切りたいと考えていたら、下記の点を判断材料にしてみてください。

退職が向いている例
・休職期間内で回復する見込みが立たない
・休職しても職場環境の改善が期待できない
・会社に籍を置くこと自体が精神的な負担になっている

ひとりで抱え込まず、医師や信頼できる家族、友人に相談して意見をもらうのもひとつの方法です。

最終的にどちらを選ぶにしても、あなたの心身の健康を優先して考えましょう

まとめ

「休職したら終わり」という考えは、キャリアや経済面、周囲への罪悪感からくる不安です。しかし、実際には休職後に復職している人は多く、経済的な支援制度や復職を後押しするプログラムも存在します。

休職はこころと身体を休ませて、再び自分らしく働くための大切な時間です。

十分な睡眠や趣味の時間を確保し、必要であれば傷病手当金の申請や産業医への相談も検討してみてください。

ひとりで抱え込まず、利用できる制度や専門家の力を借りながら次の一歩を考えてみてください。

おおかみこころのクリニックでは毎日夜22時まで診察を受け付けています。来院予約は24時間受け付けているので、お気軽にお問い合わせください。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]~「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」調査結果~|独立行政法人労働政策研究・研修機構
https://www.jil.go.jp/press/documents/20130624.pdf

[2]睡眠不足で情動不安定や抑うつに|Science Portal
https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20130215_01/index.html

[3]病気やケガで会社を休んだとき|全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139

[4]産業医とは|公益社団法人 東京都医師会

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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