「このままで大丈夫なのかな」
「デイケアって、行ったほうがいいのかな…」
このように感じながら、日々を過ごしていませんか。
こころの調子を崩し仕事や家事が手につかなくなると、自分を責めてしまったり先のことを考えるのが怖くなったりしますよね。
精神科デイケアとは、こころの病気を抱える方が、自分のペースで日常生活の安定や社会復帰に向けて、生活リズムや人とのかかわりを取り戻していくための場所です。[1]
この記事では、精神科デイケアの内容や対象者、費用のほか、メリット・デメリットやプログラム内容などもわかりやすく解説します。
「精神科」「デイケア」と聞いて、ちょっとこわいな…と感じているあなたの不安がやわらぐきっかけになりますと幸いです。
精神科デイケアとは
精神科デイケアとは、こころの病気を抱える方が、日常生活の安定や社会復帰を目指して通う通所型の施設です。[1]
精神科デイケアに通う目的は一人ひとり異なりますが、おもな目的は以下のとおりです。[2]
- 居場所づくり
- 対人関係スキルを学ぶ
- 再発や再入院を予防する
- 生活リズムをととのえる
- 社会復帰への準備をする
決まった時間に通所することで、規則正しい生活習慣を取り戻すことができます。
また、グループ活動やプログラムを通じて、コミュニケーションスキルを高めたり「自分だけじゃないんだ」と思えるきっかけをつくったりもできるのです。
ほかにも、長くこころの病気を患っている方の居場所としての役割もあります。
精神科デイケアに通うことで、何か気になる症状やできごとがあると「次のデイケアのときにスタッフさんに相談してみよう」とすぐに相談しやすくなるでしょう。
「何かあったら相談できる場所がある」と思えることは、こころの安定につながり再発や再入院の予防にもつながるのです。

気になることは気軽に相談しましょう
対象者
精神科デイケアの対象者は、精神疾患の診断を受けており日常生活において困りごとや心配のある方です。
具体的には、以下のような方が対象となります。[3]
- 精神疾患の診断がある方
- 主治医から利用の必要性が認められた方
- 症状が比較的安定して通院・服薬ができている方
ただし、施設によっては復職希望や進学希望などで年齢制限が設けられている場所もあります。[4]自宅から近い場所や主治医に紹介された施設など、気になるデイケアがあれば直接お問い合わせください。
時間・通所頻度
精神科デイケアの利用時間や通所頻度は、施設によって異なりますが一般的には以下のとおりです。[2]
- 精神科デイ・ケア:1日6時間程度(例:9:00~15:00)
- 精神科ショートケア:1日3時間程度(午前または午後)
- 精神科ナイト・ケア:午後4時以降の4時間程度
- 精神科デイ・ナイト・ケア:1日10時間程度(朝から夜まで)
まずは、ショートケアから始めて慣れてきたらデイ・ケアに変更したり、週1回の通所から始めて週3回に調整したりなどもできます。
主治医やスタッフと相談しながら、ムリのない範囲で通所することが大切です。
各施設や施設規模によって、どのサービスを行っているのかは異なるため、詳細については気になっている施設に直接お問い合わせください。
料金
精神科デイケアの利用料は、保険診療の対象となります。自己負担額は通常3割ですが、「自立支援医療制度(精神通院医療)」を利用することで、自己負担が1割に軽減されます。
具体的な料金は施設や利用時間によって異なりますが、おおよその利用料は以下のとおりです。[5]
通常保険適応(3割負担):2,300円~2,500円
自立支援医療(1割負担):750~850円
食事代や交通費は別途必要となる場合があります。デイケアによって利用料は異なりますが、料金についてはパンフレットや見学時に説明されることが多く、事前に確認することができます。
精神科デイケアのメリット・デメリット
施設によっては、リワークを併設しているところもあります。リワークについては下記の記事をご覧ください。
メリット
精神科デイケアには、以下のようなメリットがあります。
- 生活リズムがととのいやすくなる
- 同じような悩みをもつ仲間と出会える
- 人とのかかわり方を少しずつ練習できる
- 悩みごとを気軽に相談できる場所ができる
- こころの安定や回復につながる支援が受けられる
たとえば、朝起きて身支度をしてデイケアに出かけることで、体調が悪くて朝起きられなかった方でも、生活リズムをととのえるきっかけになります。
ほかにも、誰にも言えずにひとりで悩んでいたことを、同じ境遇の人に話せてホッとすることもあるでしょう。
精神科デイケアに通うことで、少しずつ日々の過ごし方や気持ちに変化があらわれることがあります。ムリのないペースで、あなたに合った利用目的を見つけましょう。
デメリット
精神科デイケアには、次のようなデメリットもあります。
- 費用がかかる
- 通所に時間がかかる
- グループ活動が苦手な人には負担になることもある
- 施設によって雰囲気が異なり、合わないと感じる場合もある
最初は通うだけで疲れてしまうこともあるでしょう。
今まで自宅で過ごしていたため人と会う機会が少なければ「周りと話すのがしんどい」と思うこともあります。「人とのかかわりを学ぶ場所だから話さないと」と思う必要はありません。
実際に「話すの苦手なんだ」「自分は静かに過ごしたいです」「集団活動は苦手。ひとりでいたい」と言われる方もいます。
一人ひとり慣れるまでのペースは異なるため、あなたのペースを大切にしましょう。
精神科デイケアのプログラム
精神科デイケアでは、利用者の心身の回復や社会復帰を支援するため、さまざまなプログラムが提供されています。施設によって内容は異なりますが、以下の例を参考にしてください。[2]
- 卓球
- 園芸
- 編み物
- 勉強会
- SST(ソーシャルスキルトレーニング)
- クラフト
- ストレッチ
- ウォーキング
- バドミントン
精神科デイケアでは、編み物やクラフトなど個人でもできる文科系のレクリエーションや体力づくりのための運動系レクリエーションがあります。
レクリエーションを通して、人とのかかわりを学んだり作業に集中して取り組んだりすることで社会復帰の練習を行うのです。
ほかにも、勉強会やSSTで病気についてや対人関係スキルを学ぶこともできます。SSTとは、ロールプレイングを通して社会生活で必要なスキルを学ぶことです。
デイケアプログラムは、一般的に週単位や月単位でプログラムが組まれています。[6]
精神科デイケアの活動形態はさまざまで、デイケア全体で活動することもあれば、4~5人の小グループで活動したりすることもあります。
また、グループ活動に参加していない時間は、本を読んだり手工芸をしたりなど個人活動も可能です。
デイケアに参加しているからといって、必ず全体活動やグループ活動に参加する必要はありません。何もしたくなかったりグループ活動に参加したくない場合は、ゆっくりと過ごすこともできます。

あなたのペースで大丈夫ですよ
精神科デイケアを利用するまでの流れ
精神科デイケアを利用するまでの一般的な流れは以下のとおりです。[4]
- 主治医へ相談する
- デイケアへ見学に行く
- 申し込む
- デイケアスタッフとの面談を受ける
- 体験通所を行う
- デイケア管理医の診察を受ける
- デイケアからの利用可否の連絡を待つ
- 利用可能の場合は通所を開始する
デイケアスタッフとの面談は、就職の面接のようなものではありません。
あなたが今何に困っているのか、どのようなことをしてみたいのかなど、あなたの希望を聞いたり今後の流れを説明したりします。
また、見学に行ったら必ず入所しないといけない訳ではありません。見学に行って断ることもできます。あなたが「ここに通ってみようかな」と思えるデイケアを探しましょう。
まとめ|あなたのペースで、一歩ずつで大丈夫
精神科デイケアは、こころの不調を抱える方が「自分のペース」で日常生活の安定や社会とのつながりを取り戻していく場所です。
通う目的も通い方も、一人ひとり異なります。人と話せない日や、何もできない日があっても大丈夫です。大切なのは「回復したい」という気持ちです。
もし「このままでいいのかな」と不安を抱えているなら、主治医に相談してみてください。
見学だけでも大丈夫です。あなたのこころが少しでも軽くなる場所が、きっと見つかります。
おおかみこころのクリニックでは、今後デイケアを行っていきます。
精神科デイケアが気になっているなら、まずはお気軽にお問い合わせください。
24時間予約受付中
おおかみこころのクリニック
【参考文献】
[1]2 精神科デイケアの効果と特徴|埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/b0606/reha/deikea2.html
[2]精神科デイ・ケア等について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/06/dl/s0604-7b.pdf
[3]精神科デイケアのご紹介|埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/b0606/reha/deikea1.html
[4]精神科デイケアの利用について|東京都
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shisetsu/jigyosyo/chusou/seishinka_deikea/riyo
[5]精神科デイケア診療報酬の自己負担額|東京都
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/r6sinryohoshu
[6]精神科デイケア|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/daycare/seishin.html
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士。精神科16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。