「最近、なんだか頭がぼんやりする」
「集中できずミスが増えてつらい」
そのように感じながらも「甘えているだけでは?」とあなた自身を責めていませんか。
もしかすると今の状態は、こころや身体の不調が関係しているかもしれません。
仕事に集中できない状態が続くと効率が下がり、終わらせるまでに時間がかかってしまいます。
仕事ができないと感じる状態を抜け出す対処法を知れば、業務の効率を上げられるようになるでしょう。
本記事では、「仕事ができないほど頭が回らない」と感じるあなたが、今日からできる5つの具体的な対処法を紹介します。「これって病気?」と迷ったときのヒントにしてみてください。
この記事を読むことで「ひとりで抱え込まなくてもいいんだ」と気づき、必要なサポートを受けるきっかけにもなります。あなたの状態を正しく理解し、回復への第一歩を踏み出す手助けになれば幸いです。
仕事ができないほど頭が回らない原因
頭が回らず仕事ができない状態が長引いているときは、こころや身体のサインかもしれません。
考えられる原因を以下にまとめました。
- ストレスや疲れの蓄積
- 自律神経やホルモンの乱れ
- 睡眠不足による集中力の低下
- 頭の中に霧やモヤがある感覚
疲れが取れないまま過ごすと思考力や集中力が落ち、仕事の効率が大きく下がってしまいます。
過度なストレスが続くと心身のバランスが乱れやすくなり、眠りが浅く感じられることもあります。
頭のなかに霧やモヤがある感覚があるときは「ブレインフォグ」の可能性も考えられるでしょう。
ブレインフォグとは、思考がはっきりせず集中しづらい感覚を指します。[1]
以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
仕事ができないほど頭が回らないときに疑うべき7つの病気
頭が回らない状態が数週間以上続いているときは、何らかの病気が背景にある可能性もあります。
ここでは、考えられる7つの病気を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
うつ病
うつ病は、仕事ができないほど頭が回らない状態になりやすい病気のひとつです。
脳の働きが低下するため、情報を処理したり物事を判断したりすることがうまくいかなくなります。[2]
以前は簡単にできていた仕事の段取りができなくなったり、簡単な決断にも時間がかかったりします。また、興味や喜びを感じにくくなるため、仕事への意欲も失われるでしょう。
本人の怠慢ではなく、病気のために仕事ができなくなるのです。気分の落ち込みや集中力の低下が2週間以上続いたら、早めに病院を受診しましょう。
以下の記事では、うつ病の初期症状チェックができますので参考にしてください。
適応障害
適応障害は、特定のストレスが原因で心身に不調をきたす病気です。
適応障害の症状では、抑うつ気分や不安感、動悸などが生じます。[3]そのため、仕事ができないほど頭が回らない状態を引き起こすことがあるのです。
とくに、新しい部署への異動や職場の人間関係などのストレスに直面すると、仕事内容が頭に入ってこなくなったり考えがまとまらなくなったりします。
適応障害では、ストレスの原因となっている事柄に触れると症状が悪化しやすく、ストレス要因から離れると症状が落ち着きます。[3]
ただし、根本的な解決のためには病院に相談し、適切な対処法を見つけましょう。
適応障害かセルフチェックしたいときは、次の記事を参考にしてください。
統合失調症
統合失調症は幻覚と妄想などの陽性症状と、意欲や記憶力が低下する陰性症状があらわれる病気です。[4]
症状で思考がまとまりづらくなったり集中力が低下したりすると、情報を適切に処理することが難しくなります。
そのため、仕事ができないほど頭が回らないと感じてしまうのです。
たとえば、指示された内容を理解できなかったり、順序立てて物事を考えられなくなったりします。
統合失調症は、治療を始めるのが早いほど回復も早い病気です。[4]
気になる症状があれば、早めに病院を受診しましょう。
軽度認知障害
軽度認知障害は、仕事ができないほど頭が回らないと感じる病気のひとつです。
認知症の前段階とされており、記憶力や判断力の低下がみられるものの日常生活は今までどおり過ごせます。[5]
加齢によるもの忘れとは異なり、以前と比べて考えるスピードが落ちたり計画性が低下したりするなど、認知機能の低下がみられるのです。
たとえば、複数の作業を同時にこなすのが難しくなったり、新しい仕事の手順を覚えるのに時間がかかったりするでしょう。
軽度認知障害の段階で対策をすれば、認知症を予防できます。

気になる症状があるときは、ひとりで悩まずに気軽に受診してみましょう
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は、原因不明の極度の疲労感が長期間続き、思考力や集中力が低下する病気です。
ただの疲れとは異なり、十分な休息をとっても回復しないため、仕事ができないほど頭が回らない状態を引き起こすことがあります。[6]
ひどい疲労を感じている状態なので、物事を考えるのが億劫になります。頭痛や筋肉痛などの身体症状を伴うこともあるため、仕事の能率が下がるのです。
長引く疲労感と思考力の低下があれば、まずは内科で相談しましょう。
自律神経失調症
自律神経失調症は、ストレスや生活習慣の乱れにより自律神経のバランスが乱れる病気です。[7]
症状にはめまいや肩こり、動悸などがあり仕事ができないほど頭が回らない状態になります。
たとえば、仕事中に頭がぼーっとしたり、考えがまとまらず判断力が鈍りミスが増えたりします。
症状をやわらげるには、生活習慣の見直しやストレス解消などを行いましょう。[7]
以下の記事では、自律神経失調症で病院へ行くべきタイミングを解説しているので参考にしてください。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの不足により新陳代謝が低下する病気です。
無気力や集中力の低下を引き起こすこともあれば、便秘やむくみなどの身体的な症状がみられることもあります。
無気力や集中力の低下により、仕事ができないと感じたり頭が回らないと思ったりすることもあるでしょう。
甲状腺機能低下症は、とくに女性に多い病気といわれています。[8]
適切な治療をするためにも、気になる症状があれば内分泌科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
仕事ができないほど頭が回らないときのサイン
「ただの疲れ」だと思っていても、不調がしばらく続くときは心身の不調のサインかもしれません。
以下のような状態が続いていないか、振り返ってみましょう。[3][4][5]
▢ ミスが増えた
▢ 集中力が続かない
▢ 計画を立てられない
▢ 記憶力が低下している
▢ 不安や焦りを感じている
頭が回らない状態は、気合でどうにかなるものではありません。
このようなサインが2週間以上続いたら、病院への受診を検討しましょう。
仕事ができないほど頭が回らないときの対処法5選
仕事ができないほど頭が回らないときの対処法を5つ紹介します。
ひとつずつ詳しく解説します。
睡眠の質を高める
睡眠の質を高めることは、仕事ができないほど頭が回らない状態をやわらげるのに有効です。
質の高い睡眠は疲れた脳を休息させ、記憶の整理や定着を促すからです。[9]
具体的には、次のことを試してみましょう。
- 寝室を快適な環境にととのえる
- 毎日決まった時間に起床・就寝する
- 寝る前のカフェインやアルコールを控える
- 就寝1時間前からはスマートフォンを避ける
質の高い睡眠を確保すると頭がすっきりとし、仕事のパフォーマンス向上も期待できます。
医療機関へ相談する
仕事ができないほど頭が回らない状態が続いたら、医療機関に相談しましょう。
仕事ができない原因には病気が隠れている可能性があり、早期の発見と治療が回復につながるからです。
うつ病や適応障害、甲状腺機能低下症などの病気が原因であるときは、医師による診断と治療が必要です。何科を受診すべきか迷ったら、まずはかかりつけ医に相談し紹介状をもらいましょう。
治療を受けることが、つらい状態から抜け出すための一歩となります。

かかりつけ医で「どこを受診したらよいのか分からなくて」と相談すると適切な受診先を紹介してくれるでしょう。
仕事量を調整してもらう
仕事ができないほど頭が回らないときは、仕事量を調整してもらいましょう。
あなたのキャパシティを超える業務は心身を疲れさせ、仕事のパフォーマンスを低下させます。
まずは直属の上司に、現在の体調や業務への支障を相談してください。
たとえば、業務の優先順位を見直したり業務を分担したりしましょう。
あなたの健康を守り業務に取り組むためにも、ムリをせずに周囲に協力を求めてください。
心身をリラックスさせる
心身をリラックスさせることは、仕事ができないほど頭が回らない状態に役立ちます。
ストレスや緊張は自律神経のバランスを乱します。
そのため、意識的にリフレッシュする時間を作りましょう。
たとえば、次のことを取り入れてください。[10]
- 瞑想をする
- 趣味を楽しむ
- 好きな音楽を聴く
- 自然の中で過ごす
- ぬるめのお湯に浸かる
- アロマテラピーを取り入れる
1日5分からでもよいので、毎日意識して心身を休ませる時間を作りましょう。ストレスをやわらげることで頭の中をクリアにできます。
スマホに触る時間を減らす
スマホに触れる時間を減らすことは、仕事ができないほど頭が回らない状態をやわらげるのに有効です。
長時間スマホを使い続けると、集中力の低下につながると言われています。[11]
たとえば、就寝前の1時間はスマートフォンを見ない、SNSやニュースアプリの使用時間を20分までに制限するなどのルールを自分で設けましょう。
スマートフォンから離れる時間を持つことで脳を休ませ、考えを整理する余裕が生まれます。
まとめ
「仕事ができないほど頭が回らない」と感じる状態は、こころと身体が発するSOSの可能性があります。
原因がはっきりしないときこそ、ムリせずあなた自身をいたわることが大切です。
生活習慣の見直しや環境調整、必要に応じて医療機関に相談することで、少しずつ回復に向かうことができます。
気になる症状があるときは、ひとりで抱え込まず早めに精神科や心療内科を受診しましょう。
おおかみこころのクリニックでは、夜22時まで診察をしています。
仕事で帰りが遅くなるときにも受診できるので、お気軽にご相談ください。
24時間予約受付中
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【参考文献】
[1]COVID-19の後遺症「ブレインフォグ」が生じるメカニズム
https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/59/5/59_438/_article/-char/ja
[2]2 うつ病の主な症状と原因:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002
[3]3.ストレス,適応障害,新開 隆弘
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jser/84/1/84_1/_pdf/-char/ja
[4]統合失調症|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=tQtLd1xVUp1wHJMQ
[5]あたまとからだを元気にするMCIハンドブック|国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
https://www.mhlw.go.jp/content/001272358.pdf
[6]慢性疲労症候群|MSDマニュアル家庭版
[7]自律神経失調症|日本臨床内科医会
https://www.japha.jp/doc/byoki/019.pdf
[8]甲状腺機能低下症|一般の皆様へ|日本内分泌学会
https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=38
[9]健康づくりのための睡眠ガイド 2023
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
[10]リラクゼーション法|厚生労働省eJIM
https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c02/11.html
[11]中学生のスマートフォン使用習慣が学力へ影響を与えるメカニズムの脳科学的検証,榊 浩平
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K22236