リワークに通っていると、ふと「意味があるのかな?」と思う瞬間はありませんか?
本気で復職を目指しているからこそ「このままでいいのか」「何も変わっていない気がする」と不安になることもあるでしょう。
ただ、リワークの意味はすぐに実感できるものばかりではありません。
焦らず自分のペースで通い続けることで、あとから「あの時間があったから今がある」と思える人も多くいます。
この記事では「リワークは意味ない」と感じる背景やプログラムの目的について解説します。
あなたがもう一度、安心して働ける自分に近づくためのヒントになれば幸いです。
この記事の内容
「リワークは意味ない」と感じるのはあなただけじゃない
「リワークに通っているけど、意味があるのかわからない」
そのように感じるのは、あなただけではありません。
自分だけ遅れている気がしたり、プログラムの内容に違和感を覚えたりすると「こんなことをしていて意味があるのかな」と不安になるのもムリはないでしょう。
ただ、それは「この時間を意味のあるものにしたい」という前向きな力が今のあなたに備わっている証拠でもあります。
その気持ちを大切にしながら自分のペースで取り組んでいくことが、結果として復職後の安定につながっていくのです。
リワークの目的やメリットについては、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
リワークプログラムには意味がないのか
リワークプログラムには「復職後も安定して働ける状態をつくる」という、実践的な準備としての意味があります。
精神疾患は薬で気分が落ち着いても、人とのかかわりや職場の環境がストレスとなり再発や再休職につながることも少なくありません。
そのため、診察やカウンセリングだけでは補えない「人とのかかわりを通して自分を見直す場」として、リワークは大きな意味を持つのです。
たとえば、以下のようなことを振り返ります。[1]
- 自分に合った働き方を考え直す
- 今までの仕事や働き方を振り返る
- 仕事でつまずきやすいポイントを整理する
- 不安やストレスを軽くする方法を見つける
このように「なぜ働くのか」「どんな働き方ならムリなく続けられるか」を見つめ直すことで、再休職を防ぎ安定して働ける力を育てていくのです。
リワークなしで復職するときのリスクについて知りたいときは、こちらの記事を合わせてご覧ください。
リワークは意味ないと感じる理由
リワークは意味ない?と感じる理由として、以下の3つが挙げられます。
ひとつずつ解説します。
復職できる気がしないまま時間が過ぎる
リワークに通っていても「本当に復職できるのだろうか」と不安が強くなることがあります。
以下のような焦りや違和感が、こころを追い詰めてしまうときもあるでしょう。
- 周囲の雰囲気にうまくなじめない
- 通っているのに何も変わらない気がする
- 周囲は復職に向けて動いているのに自分だけ進まないように感じる
とくにプログラムの中でうまく話せなかったり、仕事に直結している実感が持てなかったりすると、時間が過ぎていくだけのように感じるかもしれません。
ただ、こうした焦りや立ち止まる感覚も、回復に向かうプロセスの一部といえます。
すぐに効果が見えないかもしれませんが「ただ通っているだけ」と感じる中でも、生活リズムとこころをととのえ社会に踏み出す準備が進んでいるのです。
表面的に元気なフリをすることで疲れがたまる
リワークの面談やグループワークで「本当は不安でいっぱいなのに、つい『大丈夫です』と答えてしまう」という人は少なくありません。
本音を隠したまま通い続けると、以下のようなモヤモヤした気持ちからリワークに通う意味がわからなくなってしまいます。
- 本当の自分を出せないまま治療して意味があるのか
- 自分に嘘をついたまま前に進んで本当によくなるのか
- 誰にも気づかれないまま取り残されているようで不安になる
ただ、リワークは元気な自分を演じる場所ではなく「しんどい」「不安」という気持ちを素直に伝える練習をする場所でもあります。
ムリのない範囲で自分の気持ちを伝える経験を重ねながら、自分らしく働く準備につなげましょう。

「頑張らないこと」にチャレンジしてみませんか?
ムリしない練習をリワークでしてみましょう。
プログラムが復職にどう役立つのかわからない
リワークで行われるプログラムの中には、卓球やピラティス、塗り絵など「遊び」のように感じられるものがあります。
とくに「早く働かなきゃ」「もっと成果を出さないと」と焦りが強い時期ほど、以下のような不安を感じやすいでしょう。
- ただ時間をつぶしているだけでは?
- もっと復職につながることがしたい
- こんなことをしていて意味があるの?
ただ、こうした活動にはストレス耐性や集中力の回復、感情の安定など「働き続けるための土台」をととのえる役割があります。
たとえば、卓球は体力の回復や他者とのコミュニケーションにつながり、塗り絵は思考の整理やリラックスにつながります。
目に見える成果がすぐに出なくても、安定して働く力はこのような取り組みの中で育まれていくのです。
【実例あり】通った人の経験からわかるリワークの意味
厚生労働省の研究では、リワーク支援が再休職の予防に有効であることがわかっています。[2]
実際にリワークプログラムに参加した人の6〜7割が復職に成功しており、そのうち78.4%が1年後も仕事を続け、2年後も働き続けている人は64.7%です。[1]
さらに心理検査の結果では、抑うつ感や不安感、社会適応の面でプログラム前後に大きな改善が見られたことも報告されています。[1]
実際にリワークに通ったBさんの事例は以下のとおりです。[3]
Bさん(30代男性、営業職)
転勤をきっかけにうつ病を発症したBさんは、約3か月の休養で症状は落ち着いたものの「本当に復職できるのか」という不安を抱えていました。
そこで地域のリワークに12週間(週5日)通い、ストレス対処法や認知行動療法のプログラムを受けながら、生活リズムの安定や対人スキルの練習に取り組みました。
同じ悩みを持つ仲間との交流で得た気づきが働き方や生き方を見つめ直すきっかけになり、安定して就労できるようになったのです。
このようにリワークでは、生活リズムの安定や対人スキルの回復、自己理解の深まりなど、復職後も安定して働くための基礎が育まれます。
効果はすぐに実感できないかもしれませんが、あとになって「あの時間が転機だった」と振り返る人も少なくありません。
焦らず自分のペースで向き合き合うことが、再休職を防ぎ長く働き続ける力につながるでしょう。
それでも「リワークは意味ない」と感じるときは
どうしてもリワークの意味が感じられないときに大切なのは、ムリをしすぎないことです。
リワークにも相性があり、プログラムや雰囲気があなたに合っていない可能性も考えられます。
たとえば、プログラムの内容が苦手だったり人間関係がストレスになったりするときは、焦りや疲れがたまるかもしれません。
ムリに我慢を続けるよりも、いったん立ち止まって「今のリワークは自分に合っているかな?」と見つめ直してください。
必要であれば一度休んだり、通う場所を変えたりすることもひとつの選択肢です。
辞める・休むという選択は決して逃げではありません。
主治医やリワークのスタッフに「このプログラムに負担を感じている」「こういう形で通えたらいいな」と伝えることで、新たな対応や工夫が見つかることもあります。
「意味がない」と感じる違和感は、今のあなたに必要なものを問い直すサインでもあります。
その気持ちを否定せず、自分なりのペースで次の一歩を考えましょう。

ゆっくりあなたのペースで大丈夫です
まとめ|意味ないかもと思ったらリワークとの向き合い方を見直そう
リワークに通っていると「意味があるのかな」と不安になる瞬間があるかもしれません。
すぐに実感できる変化がなくても、生活リズムの安定や人とのかかわりを積み重ねることで、復職やその後の安定につながります。
それでも自分に合わないと感じるときは、ムリをせず信頼できる医療機関やスタッフに相談してください。
おおかみこころのクリニックでは、リワークプログラムを通じて「もう一度安心して働ける自分」を取り戻すためのお手伝いをしています。
「本当にこのまま復職できるのかな」と迷ったときこそ、一度ご相談ください。
おおかみこころのクリニックのリワークの詳細は、こちらからご覧いただけます。
24時間予約受付中
おおかみこころのクリニック
【参考資料】
[1]心理尺度の変化からみたリワークプログラムの効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/utsurework/1/0/1_26/_pdf/-char/ja
[2]職場復帰支援の実態等に関する調査研究
https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/inflk800000002rf-att/04chihou_okinawa.pdf?utm_source=chatgpt.com
[3]心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き
https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf?utm_source=chatgpt.com
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
精神科看護師としての経験を活かし、メンタルヘルスを中心とした記事を執筆。こころと身体のつながりを大切にしながら、そっと寄り添う文章を心がけています。
保有資格:看護師、保健師、上級心理カウンセラー、漢方養生指導士