『学校が怖い』と言って子どもが学校を休みがちなんです
学校が怖いのは『学校恐怖』と『学校不安』に分けられるよ。親にできることを解説するね
子どもに「学校が怖い」と言われると、親は戸惑ってしまいますよね。
どうして学校が怖いのか子ども自身がわかっていないことも多いため、親は途方にくれてしまうかもしれません。
そこで今回は「学校恐怖」と「学校不安」の違いや、子どもが学校を怖がる理由について解説します。
記事の後半では、学校が怖い理由の聞き方についても解説しているため、子どもと対話するときの参考にしてください。
この記事を読んで、子どもがいきいきと学校に通えるようサポートしていきましょう。
「学校が怖い」には2種類ある
学校に対する恐怖感は「学校恐怖」と「学校不安」のふたつに分けられます。[1]
それぞれの詳細は以下のとおりです。
学校恐怖
学校恐怖は、母親(養育者)と離れて学校に行くことに恐怖を感じます。
小学校の低学年に多く、母子分離(子ども自身が心身ともに母親と離れること[2])がうまくできていない状態です。
本人が母親と離れる心の準備ができていない状態のため、学校側に原因があるわけではありません。
学校不安
学校不安とは、学校での問題により恐怖を感じている状態です。
例として、いじめや友人とのトラブル、先生との関係が挙げられます。
子どもは気持ちを言葉にするのが苦手なため、学校に行きたくない理由をうまく伝えられません。
そのため、親は子どもの「怖い」がどのような意味を持つのかを知ることが大切です。
子どもの気持ちを聞く方法は、記事の後半で紹介しています。すぐに読みたい方は、こちらからご覧ください。
なぜ学校が怖いのか、子どもペースに寄り添ってゆっくり聞くことが大切です。
学校が怖いと感じる5つの理由
子どもが学校を怖がる理由として、以下5つが挙げられます。
それぞれの詳細は以下のとおりです。
勉強がわからない
子どもが学校を怖がる1つ目の理由として、勉強がわからないことが挙げられます。[3]
たとえば、以下のような場面です。
- 苦手な教科の宿題を多く出された
- テストの点数が悪くて先生に怒られた
- 発表で答えを間違えてみんなに笑われた
勉強がわからない子どもの中には、LD(学習障害)で読み書きや計算が極端に苦手な子どももいます。
「もっと勉強しなさい」と子どもを責めず、どのような部分でつまずいているのか、子どもと一緒に確認しましょう。
人と関わるのが怖い
2つ目の理由として、人との関わりが挙げられます。
恐怖を感じやすいのは、以下のような場面です。
- 授業中に発表する
- 人に見られながら運動する
- 仲良しではない子と会話する
このタイプの子どもは「否定されたらどうしよう」「失敗して笑われたらどうしよう」という不安が強いため、安心して学校に通えません。[4]
先生との相性が悪い
3つ目の理由は、先生との相性が悪いことです。[3]
子どもが恐怖を感じやすい先生の特徴として、以下が挙げられます。
- 発表を強制する
- 生徒によって態度を変える
- 暴言や体罰などの指導がある
子どもは先生に意見したり逆らったりしづらいため、学校への恐怖感につながるのです。
親と離れるのが怖い
4つ目の理由として、親と離れるのが怖いことが挙げられます。
以下のような不安から、親と離れるのが怖くなってしまうのです。
- もう会えなくなるかもしれない
- 親が事故にあってしまうかもしれない
- 親がどこかに行ってしまうかもしれない
このタイプの子どもは自宅でも親と離れるのを嫌がります。
「ひとりで眠れない」「親と離れる悪夢を見る」などの特徴があるか確認し、気になるときは医療機関に相談しましょう。[5]
友人関係がうまくいかない
5つ目の理由は、友人関係のトラブルです。
子どもは友だちと仲よくして親から離れる不安を解消しているため、友人関係がうまくいかないと学校が怖くなってしまいます。
例として挙げられるのは、以下のトラブルです。[3]
- 友達とのケンカ
- SNSでのいざこざ
- 嫌がらせやいじめ
子どもの世界は狭い人間関係で作られているため、逃げ場がないように感じて恐怖を感じやすくなります。
学校が怖い理由を聞く3つの方法
子どもに学校が怖い理由を聞くときは、以下3つの方法を試しましょう。
それぞれ解説します。
聞き役に専念する
学校を怖がる理由が知りたいときは、親が聞き役に専念しましょう。
子どもが話し始めると、親は「今がチャンス!聞き出さないと!」と焦ってしまいます。
親の焦りや必死さが伝わると子どもは話しづらいため、以下の良い例を参考に聞き役に専念してください。
子どもが話してくれたことを受け止める
「話してくれてありがとう。1人でよくがんばったね」
質問攻めにする
「いじめられてるの?誰に何された?あなたに悪いところはなかったの?」
一度ですべてを聞き出そうとせず、子どもの話しやすいペースを尊重しましょう。
会話しやすい雰囲気を作る
子どもに話してもらうためには、会話しやすい雰囲気作りが大切です。
「いつでもあなたの話を聞く準備ができているよ」と子どもに声をかけましょう。
良い例と悪い例を紹介するので、参考にしてください。
親を主語にして声をかける
「この頃元気がないように見えて心配だよ。いつでも話を聞くからね」
子どもを主語にして声をかける
「この頃学校に全然行けてないけど、何かあったの?」
学校に行けない理由をストレートに聞かれると、子どもは責められているように感じます。
親を主語とした声かけをして、子どもが話しやすい雰囲気を作りましょう。[5]
子どもが感じているままを受け止める
子どもの感じていることを受け止め、否定しないことが大切です。
子どもの「怖い」が親には理解できないときがあるかもしれません。
以下の例を参考にしながら、わからなくても理解しようとする姿勢を子どもに見せましょう。
子どもの感じ方を受け止める
「学校に行きたくないと思うほど、○○が怖いんだね」
子どもの感じ方を否定したりアドバイスしたりする
「そんなことが怖いの?もっとこうすればいいんじゃない?」
親が自分の気持ちをただ受け止めてくれるだけで子どもは落ち着き、安心して相談できるようになります。
学校が怖いときに親ができる3つのこと
学校を怖がる子どもに親ができることとして、以下3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
気持ちの整理を助ける
子どもが学校を怖がっているときは、気持ちの整理ができるようサポートしましょう。
子どもはまだ、自分の気持ちを言葉にする力が十分にありません。
そのため「学校が怖いのは①勉強 ②友だち ③先生 ④その他のどれに近い?」と、具体的な質問をしましょう。
このときの注意点は「こうすればいいでしょ!」「いい加減にしなさい!」と親の意見を押し付けないことです。
根気よく対話を重ね、子ども自身が自分の気持ちを理解できるようサポートしましょう。[6]
紙に書き出してみるのも良いかもですね!
子どもの不安に寄り添う
学校に行けない期間を心と身体の充電期間と考え、子どもの不安に寄り添うことが大切です。
一緒におやつを食べたり趣味につきあったりして、子どもが自分で不安を乗り越える力を蓄えましょう。
子どもは学校を怖がる自分に情けなさを感じ、心と身体の元気をなくしています。
子どもの不安にそっと寄り添うことで「親が一緒に乗り越えようとしてくれている」という心強さを与えられるでしょう。[7]
子どものがんばりを認める
子どもが学校を怖がっているときは、がんばっている部分に注目してください。
子どもは親に怒られるかもしれないという不安を持ちながら、勇気を出して学校が怖いと打ち明けています。
「もう少しがんばりなさい」ではなく、「がんばったね、えらかったね」という声かけが必要です。
現状のがんばりに注目することで、子どもは「ダメな自分も認めてもらえる」「大切にしてもらえる」と感じ、元気を取り戻すことができます。
まとめ
子どもは自分の気持ちを言葉にする力が不十分なため、なぜ学校が怖いか自分でもわからないことがあります。
気持ちを整理したり不安な気持ちに寄り添ったりして、長い目でサポートをしましょう。
いつでも親が味方でいてくれるという安心感があることで、子どもは親を頼りやすくなります。
親は早く学校に行ってほしいという焦りや不安が強いかもしれませんが、もっとも大切なのは子どものペースを最優先にすることです。
学校を休んでいる期間を心と身体の充電期間ととらえ、親がゆったりした気持ちで過ごしましょう。
おおかみこころのクリニックでは、学校を怖がる子どもをご家族と一緒にサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。
【参考資料】
[1]学校拒否の診断学
https://www.hcc.keio.ac.jp/ja/research/assets/files/research/bulletin/boh1996/14-2-7.pdf
[2]愛着 と気質が母子分離に及ぼす影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/51/1/51_96/_pdf
[3]文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318-2.pdf
[4]Ⅰ.不安又は恐怖関連症群に含まれる疾患
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1240060409.pdf
[5]厚生労働省 こころもメンテしよう
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/parent/mental/ftf/ftf_02.html
[6]登校しぶり・不登校の子に親ができること 下島かほる 講談社
[7]不登校・登校しぶり 藤枝静暁 ナツメ社
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