中学生の不登校の理由がわからない2パターン|気持ちを引き出す方法とは

中学生の子どもが不登校なのですが、理由を聞いてもわからなくて困っているんです

浅田先生

中学生の不登校の理由がハッキリしないときは『自分で理由がわかっているかどうか』に注目しよう。記事の中で解説するね。

この記事を読めば、中学生の不登校の理由として多いもの子どもの気持ちを引き出すポイントがわかり、子どもの悩み・苦しみへの理解を深められるでしょう。

不登校の理由がわからないときに振り返るべきことについても解説しているので、ぜひ最後までお付き合いください。

目次

不登校の理由がわからないときの2パターン

中学生の不登校の理由がわからないときに考えられるのは、以下の2パターンです。

それぞれ解説します。[1]

自分でも理由がわからない

ひとつめは「自分でも不登校の理由がわからない」というパターンです。

具体例として、以下のようなものが挙げられます。

  • なんとなく学校に行きづらい
  • なぜかやる気がおきず学校に行けない
  • 登校しようとするとなぜか体調が悪くなる

学校を休む理由を親や教師に聞かれても、自分でもわからないため答えようがありません。

黙り込んでしまったり思い付きで理由を答えたりするため、周囲の大人を混乱させてしまいます。

「答えなくちゃ」と思ってないことを答えてしまうこともあります

理由がわかっているけど話したくない

ふたつめは「自分では不登校の理由がわかっているけど話したくない」というパターンです。

子どもが周囲に相談しづらい理由として、以下のようなものが挙げられます。

  • うまくいかない自分を認めたくない
  • 学校で困っていると思われたくない
  • 親や周囲の人に心配をかけたくない

子どもは「話せば大げさに心配されたり騒がれたりするかもしれない」「状況が余計に悪くなるかもしれない」という不安も感じています。

これらの理由から周囲に相談できないため、親は子どもが不登校になる理由がわからないと悩むのです。

中学生の不登校の理由として考えられること

中学生が「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」として、以下の5つが挙げられます。[2]

それぞれ解説します。

身体の不調

中学生が最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけとしてもっとも多いのは、身体の不調です。

例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 夜に眠れず身体かだるい
  • 登校する気はあるが朝起きられない
  • 学校に行こうとするとお腹が痛くなる

身体の不調を訴えやすいのは、自分の不安を言葉にできないタイプの子どもです。

学校のストレスから自分を守る方法がわからないため、身体の不調を理由に学校を休もうとします。

勉強がわからない

勉強面のつまずきは、中学生を「学校に行きたくない」という気持ちにさせることがあります。

勉強に関する具体的な訴えは以下のとおりです。

  • 成績が良くない
  • テストの点数が悪い
  • 授業が面白くない

中学校では勉強時間が増えたり学力が順位として現れたりするため「成績の低下=自分の価値の低下」と感じ、学校が嫌になってしまうことがあります。

先生のこと

以下のような理由から、先生が原因で登校しづらくなってしまうことがあります。

  • 先生と合わなかった
  • 先生が怖かった
  • 体罰があった

子どもは「嫌だな」と感じることがあっても、叱責や成績への影響が心配で先生に意見することは難しいでしょう。

中学校では学級担任や教科担任が決まっており「苦手な先生と距離を置く」ことは難しいため、先生との相性が悪いと登校が大きなストレスになるのです。

友達のこと

学校に行きづらくなったきっかけとして「いやがらせ・いじめ」「それ以外」を含めた友人関係が約半数を占めています。

中学生ではまだ「自分は自分、他人は他人」という考えができないため、友人関係のトラブルは自分の存在にバツ印を付けられたようなショックを感じるのです。

とくに、以下のようないじめのサインに注意しましょう。

  • 服や持ち物が汚れている
  • 口数が減り、ぼーっとしている
  • 学校の話をあまりしなくなった
  • ケガをして帰ってくることがある

子どもは「自分がいじめられていると認めたくない」「周囲に心配をかけたくない」という思いから、誰にも相談しないことがあります。

いじめのサインがみられたら「子どもの気持ちを引き出す3つのポイント」を参考に、じっくりと子どもの話を聞きましょう。

不登校の子どもの気持ちを引き出す3つのポイント

不登校の子どもの気持ちを知るためには、以下の3つを意識しましょう。

それぞれ解説します。

何があったか問い詰めない

子どもの気持ちを引き出すためには「何があったの?」とストレートに問い詰めないことが大切です。

子どもにもプライドがあるため「うまくいっていないこと」は積極的に話したくありません。

ただ、誰かに相談したい気持ちは抱えているため、一緒におやつを食べたり子どもの好きな話題を共有したりして「あなたの話を聞く準備はできているよ」という姿勢を伝えましょう。

いきなり本題に入らず安心して会話できる状況を作ることで、子どもの「話してもいいかな」という気持ちを引き出しやすくなります。[1]

子どもが自分から話せる準備をする

不登校の中には「理由を知ってどうするつもりだろう」「怒られたらどうしよう」と不安を感じている子どもがいます。

子どもが安心して話せるように、以下の3点を伝えましょう。

  • 学校であなたの心と身体が傷つけられていないか心配していること
  • 甘えやなまけではなく、学校に行けない理由があるとわかっていること
  • 話す気になったらいつでも聞くし、必要なら手助けをしたいと思っていること

「どうして不登校の理由を知りたいのか」「知ってどうするつもりなのか」がわかると、子どもは大人への相談に警戒心を持たなくなります。

「何でも聞くよ」という気持ちを言葉や態度で示すことで、子どもが相談しやすくなるでしょう。[3]

「学校に連絡しないから」と約束して話を聞くのもよいでしょう

相談されるのは嬉しいことだと伝える

以下のようなメッセージで「相談されるのは嬉しいこと」と子どもに伝えましょう。[3]

  • 相談することもされることも、お互いにとって負担ではないんだよ
  • 相談されると「信頼されてる」と感じてうれしい気持ちになるんだよ
  • どのような話を聞いてもあなたが大事な存在であることは変わらないよ

親の気持ちを伝えておくことで、子どもに「相談しても親は困らない」「離れていかない」と理解してもらえます。

子どもに安心して話をしてもらうために、まずは親が自分の気持ちを伝えましょう。

子どもの不登校の理由がわからないときに振り返るべき3つのこと

「親が働きかけても何も話してくれない」「どうしても子どもの不登校の理由がわからない」というときは、以下の3点を振り返ってみましょう。

それぞれ解説します。[1]

親が自分を責めている

「子どもの不登校は自分のせい」と親が自分自身を責めていないか確認しましょう。

以下のように考えていないかチェックしてください。

  • 甘やかしすぎた
  • 愛情が足りなかった
  • 夫婦仲が悪くて子どもに負担をかけた
  • 仕事を優先しすぎてさみしい思いをさせた
  • 子どもの悩みに気づけないなんて親失格だ

子どもは親が自分自身を責める様子を敏感に感じ取り「自分は親を困らせるダメな人間だ」「親を落ち込ませないような『いい子』になれない」と自信を失ってしまいます。

子どもの気持ちを楽にするためには「親として自分なりに一生懸命やってきた」と現状を認め、子どもと一緒にがんばっていこうと切り替えることが大切です。

子どもに期待しすぎている

親が子どもに過剰な期待をしていると、子どもは本当の気持ちを話しづらくなります。

親に期待されて育った子どもは「優等生」「いい子」タイプが多く、親の期待に応えようと一生懸命です。

このタイプの子どもは不登校に強い罪悪感を持ち、これ以上親をがっかりさせたくないという思いからなかなか相談できません。

心身ともに疲れている子どもが安心して休めるように「よくがんばってきたね」「休む経験も大事だよ」とありのままを認める言葉をかけましょう。

子どもが「できない自分も認めてもらえた」「親が離れていかなかった」と思える経験をつくることが大切です。

過干渉な関わりをしている

子どもに対して過干渉になっていないか振り返ってみましょう。

以下のような関わりに心当たりがある場合は注意が必要です。

子どもを否定する

「あなたにも非があるんじゃない?」

「そんなことで休むなんて甘えてるよ」

「スマホの使いすぎなんじゃない?しばらく禁止にするからね」

子どもの問題に関わりすぎる

「いじめられてるの?誰に?何をされた?」

「一緒に学校に行くように○○ちゃんにお願いしようか?」

「今度お父さんとお母さんが学校に行って先生と話をするからね」

親が余裕をなくしてしまうと、子どもは「親に話すと面倒なことになる」と感じて親を信頼できなくなります。

子どもの心の余裕を作るために、子どもの問題と適度な距離感を保ちましょう。

まとめ

中学生の不登校の理由がわからないときは、以下のふたつのパターンが考えられます。

子どもが自分の気持ちと向き合い周囲に相談するためには、大人のサポートが必要です。

「問い詰めない」「相談されるのは嬉しいことだと伝える」などの事前準備をすることで、子どもの「話してみてもいいかも」という気持ちを引き出しやすくなります。

親が自分を責めていないか、過干渉になっていないかなどの親の態度も振り返りながら、子どもが話しやすい環境を整えてみましょう。

おおかみこころのクリニックでは、不登校の子どもの気持ちを整理するお手伝いをしています。不登校の理由がわからずこまっているときは、お気軽にご相談ください。

【参考資料】
[1]登校しぶり・不登校の子に親ができること 下島かほる 講談社

[2]文部科学省 令和年2度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要 最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ②
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318-2.pdf

[3]学校では教えてくれない自分を休ませる方法 井上祐紀 KADOKAWA

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