近年、不登校の児童生徒数が増加傾向にあります。「不登校は何人に一人なのか」という疑問を持つ方もいるでしょう。
学校の段階によって、不登校の割合は異なります。小学生は約59人に1人、中学生では約17人に1人、高校生では約50人に1人が不登校の状態にあるのです。
この記事では、不登校の割合、サポート方法について解説します。子どもの不登校に悩む方にとって、学校復帰のために役立てれば幸いです。
不登校の割合
不登校の割合は、学校の段階によって異なります。文部科学省の調査によると、近年不登校の児童生徒数は増加傾向にあります。
それぞれの学校段階における具体的な割合を見ていきましょう。
小学生の割合
文部科学省が行った最新の調査によると、2022年度の小学生における不登校の割合は1.7%でした。2018年度は0.7%だったので、5年間で増加傾向にあります。[1]約100人に1人の割合で、不登校の小学生がいるということです。
小学生における不登校の人数は、2018年度は44,841人でしたが、2022年度は105,112人となり過去最高でした。
小学生の不登校の特徴として、学年が上がるにつれて増加する傾向があります。[1]とくに高学年になると、勉強が難しくなったり、人間関係が複雑になったりするため、不登校になるケースがあるのです。
身近に少ないだけで、全体で見ると多くの不登校の子どもがいます。
中学生の割合
最新の調査によると、2022年度の中学生における不登校の割合は6.0%です。2018年度は3.7%だったため、5年間で中学生の不登校は増えています。
小学生における不登校の人数は、2018年度は119,687人でしたが、2022年度は193,936人となり、約2倍となっているのです。[1]
中学生の不登校の割合は、小学生と比べて大幅に増加します。中学生の時期は、身体的・精神的な変化が大きく、勉強も難しくなる時期です。部活動や受験のプレッシャー、いじめなどの問題が不登校のきっかけになることもあるでしょう。
高校生の割合
文部科学省の調査によると、2022年度の高校生における不登校の割合は2.0%でした。2018年度は1.6%だったため、5年間でやや増加しています。
高校生における不登校の人数は、2018年度が52,723人、2022年度が60,575人でした。[1]
高校生の不登校の特徴として、学業不振や人間関係の問題などがおもな要因として挙げられます。また、中学校までとは異なり、長期欠席が続くと単位の取得が難しくなり、退学につながるケースもあります。
不登校になる原因
2022年度に行われた文部科学省の調査では、不登校になるおもな原因は以下のような結果となりました。[1]
【小学生】
主な原因 | 割合 |
無気力・不安 | 50.9% |
生活リズムの乱れ・あそび・非行 | 12.6% |
親子の関わり方 | 12.1% |
【中学生】
主な原因 | 割合 |
無気力・不安 | 52.2% |
生活リズムの乱れ・あそび・非行 | 10.7% |
いじめを除く友人関係をめぐる問題 | 10.6% |
【高校生】
主な原因 | 割合 |
無気力・不安 | 40.0% |
生活リズムの乱れ・あそび・非行 | 15.9% |
いじめを除く友人関係をめぐる問題 | 9.2% |
どの学校の段階でも、本人の無気力や不安が不登校になりやすい原因となります。本人の性格、発達障害などが影響すると考えられるでしょう。コミュニケーションが苦手な子ども、身体的な不調がある子どもは、学校生活に適応するのが難しくなってしまうのです。
不登校が多い県ランキング
不登校の割合は、地域や人口によって差があります。2022年度の文部科学省の調査をもとに、不登校が多い県のランキングを見ていきましょう。[1]
【小学校】
都道府県 | 人数 |
東京都 | 10,911人 |
神奈川県 | 8,076人 |
愛知県 | 7,408人 |
【中学校】
都道府県 | 人数 |
東京都 | 18,335人 |
大阪府 | 13,651人 |
愛知県 | 13,367人 |
【高等学校】
都道府県 | 人数 |
大阪府 | 6,452人 |
東京都 | 5,568人 |
神奈川県 | 4,381人 |
人口が多い都道府県は、不登校の人数も多くなる傾向があるでしょう。文部科学省では、不登校の子どもや家庭への支援をするために、学校・家庭・関係機関が連携した地域ぐるみのサポートシステムを整備しています。[2]
各都道府県、市区町村で相談窓口があるので、問い合わせてみてください。
不登校の子どもへのサポート方法
不登校の子どもへのサポートは、個々の状況に応じて適切に行うことが重要です。ここでは、効果的なサポート方法を3つ紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
専門機関に相談する
不登校の問題に直面したときは、専門機関に相談してみましょう。
専門機関には、教育委員会が設置する「教育相談センター」「ひきこもり地域支援センター」「児童相談所」などがあります。[3]これらの機関では、経験豊富な専門家が子どもや親の悩みに耳を傾け、適切なアドバイスをしてくれます。
教育相談センターでは、1対1の学習支援を行うのが特徴です。全国の教育相談センターのうち約90%は相談やカウンセリングを、約36%が家庭訪問を実施しています。[4]
児童相談所では、18歳未満の子どもや家族を対象とし、発達障害や子どもの行動上の問題などについて相談できる機関です。ひきこもり地域支援センターでは、本人や家族からの相談を受け付け、関係機関と連携した支援をしています。[3]
学校や役所にどこに相談したらよいのか聞いてみるのもおすすめです。
家庭を安心できる場にする
不登校の子どもにとって、家庭が安心できる場所であることは重要です。
まず、家族が子どもの気持ちを理解し、受け入れる姿勢を示してあげましょう。学校に行けないのを叱ったり、登校を強制したりしてはいけません。子どもの話に耳を傾け、共感的な態度で接すれば、子どもは安心して話ができるようになります。[5]
また、家庭内でのコミュニケーションを増やし、子どもの興味や関心に寄り添ってみてください。一緒に趣味の活動を楽しんだり、家族で外出したりすれば、子どもの心の安定につながります。
学校以外でできる勉強の場を設ける
不登校の子どもが勉強できる機会を確保するために、学校以外での勉強の場を設けましょう。
2020年度に文部科学省が行った調査では「最初のきっかけとは別の学校に行きづらくなる理由」について、「ある」と回答があった生徒のうち「勉強が分からない」(小学生31%、中学生42%)との回答が最も高い割合となりました。[6]
フリースクールや通信制高校、オンライン学習サービスなど、現代ではさまざまな選択肢があります。これらの場所では、子どものペースに合わせた学習が可能で、学校とは異なる環境で勉強することが可能です。
まとめ
2022年度の調査によると不登校の割合は、小学生は約59人に1人、中学生では約17人に1人、高校生では約50人に1人です。
不登校になる子どもには、本人の健康状態や友人関係などが関係します。子どもが学校に通えるように、専門機関に相談したり、家庭を安心できる場を心がけたりしてみましょう。
おおかみこころのクリニックでは、16歳以上の方に限り受診を行っています。カウンセラーもおりますので、悩みや不安を話したい方はぜひ相談にお越しください。
【参考文献】
[1]令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について|文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf
[2]不登校への対応について|文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121505/004.htm
[3]不登校やいじめ、ひきこもりなどの相談窓口|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/consultation/window/window_02.html
[4]「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果|文部科学省
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/20/1416689_002.pdf
[5]傾聴とは|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/listen/listen001
[6]令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要|文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318-2.pdf
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