子どもが不登校になってから、仕事の遅刻や早退、欠勤が増えました。このまま仕事を続けるか悩んでいます。
難しい問題だけど、できるだけ続けるのがおすすめだよ。記事の中で解説するね。
子どもが不登校になると、これまでのように働くのが難しくなりますよね。
実際に不登校により約70%もの親が「仕事に影響が出た」と感じているため、悩んでしまうのは自然なことです。[1]
今回は、不登校の親が仕事を続けてよい理由や、子どもが不登校でも選択できる働き方について解説します。
記事の後半では、働き方を見直した方がよいサインや、絶対にNGな行動についても紹介しているので、今後の働き方を考えるときの参考にしてください。
不登校により「仕事に影響が出た」親は約70%
不登校の親を対象とした調査では、約70%の親が「仕事に影響が出た」と答えています。
具体的な内訳は以下のとおりです。[1]
- 早退・遅刻・欠勤が増えた:31.5%
- 退職した:14.8%
- 雇用形態を変えた:14.5%
- 休職した:6.0%
- 休職・退職を検討している:3.7%
収入面では約40%の家庭で「収入が減った」と回答されています。[1]
子どもが不登校になると「家にひとりで残しておけない」「送迎をしなければいけない」などの事情により、親が働き方に悩むのは自然なことです。
収入への影響も大きいため、仕事の継続については母親(父親)だけで解決できる問題ではありません。
仕事を続けるか検討しながら、家族全体で不登校への向き合い方を考えていきましょう。
仕事をどうするのかを家族で話し合うことが大切です。
不登校の親が仕事を続けてよい3つの理由
不登校の親が仕事を続けてよい理由として、以下3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
収入を確保できる
1つ目として、収入の確保が挙げられます。
不登校の子どもをサポートするには、以下のような場面でお金が必要です。
- フリースクールに通う
- 家庭教師をお願いする
- 放課後等デイサービスを利用する
経済的な不安が少なければ、利用するサービスの選択肢を増やしやすくなります。
サービス利用により第三者の力を借りられるため、本人や親の孤独感も軽減されるでしょう。
フリースクールの利用で必要なお金については、こちらの記事を参考にしてくださいね。
子どもと適度な距離感を保てる
2つ目の理由は、子どもと適度な距離感を保てることです。
不登校の親が求めるものとして「子どもと離れる時間」が挙げられます。[2]
仕事を辞めて子どもと過ごす時間が増えると、距離が近くなりすぎるリスクがあるためです。
子どもの不登校を経験した親の体験談は、以下のとおりです。
『いつ行けるようになるの?将来どうなるの?』と言いたくなっちゃう。
親が仕事をしていてお互いがひとりになれる時間があるのは必要だと思う。
仕事を続けると自然と子どもと離れる時間を作れるため、お互いにとっての余裕につながります。
親が世間とのつながりを保てる
3つ目の理由は、親自身が世間とのつながりを保てることです。
不登校の子どもを持つ親は、親同士や地域のコミュニティから孤立しやすくなります。[3]
親同士や地域のイベントがあっても「子どもが不登校なのに自分だけ参加するなんて、どう思われるのだろう」という不安を抱きやすくなるためです。
親が孤立すると周囲に相談したりサポートを受けたりする機会が減るため、家族全体が孤立しやすくなります。
親が仕事を通して世間とのつながりを保ち続けることで、不登校の相談や支援につながる機会を逃しづらくなるのです。
不登校の親が選択できる働き方3選
不登校の親が選択できる働き方として、以下3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
勤務時間を減らす
働き方の選択肢として、勤務時間や勤務日数を減らす方法があります。
具体例は、以下のようなものです。
- 午前中の勤務にして、仕事の間は家族や実家に様子を見てもらう
- 15時までの勤務にして、日中は放課後等デイサービスを利用する
- 週2回の勤務にして、仕事の日は家族や放課後等デイサービスに預ける
勤務時間を減らすことで、適度な距離感を保ちながら子どもをサポートすることが可能になります。
ひとりで抱え込まず、家族や不登校支援サービスの力を借りながら子どもを支えていきましょう。
まずは、職場に相談してみましょう。
在宅勤務へ切り替える
在宅勤務への切り替えが可能な方は、職場に相談して在宅勤務をする方法があります。
通勤時間がなくなり朝の余裕ができるため、不登校の子どもに多い朝の不調に対応しやすくなるでしょう。
急な送迎にも対応できるため、子どものサポートと仕事のバランスが取りやすくなります。
別室で仕事をすれば適度な距離感を保てるため、息が詰まりすぎることもありません。
在宅勤務への切り替えが可能な方は、職場に相談してみましょう。
介護休暇を取得する
時短勤務や在宅勤務が難しい方や家族の協力が難しい方は、介護休暇を取得するという方法があります。
介護休暇は、不登校が病気(発達障害や分離不安症など)によるものであり、家族が世話をしなければ子どもの日常生活に支障をきたすときに取得できます。[4][5]
介護休暇は1日または時間単位での取得が可能なため、子どもの事情に合わせて休みたいときに活用するとよいでしょう。
不登校の親が働き方を見直した方がよいサイン
不登校の親が働き方を見直した方がよいサインとして、以下3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
働くのがつらいと感じるとき
働くのがつらいと感じるときは、働き方を見直しましょう。
子どもが不登校になると、以下のような場面でつらさを感じやすくなります。
- 子どもが気になって仕事に集中できない
- 仕事を優先しているようで罪悪感がある
- 子どもを家に残して働く自分を責めてしまう
働くのがつらいと感じるときは、親の心も疲れている状態です。
親が無理して働いている様子は子どもにも伝わり、子どもが「自分のせい」と感じてしまうこともあります。
一度立ち止まって周囲に相談し、どうしたら自分が楽になるのかを考えてみましょう。
おおかみこころのクリニックでは、不登校の子どもを持つ親の相談をお待ちしております。
ひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。
職場の理解が得られないとき
職場の理解が得られず働きにくいときは、働き方を見直しましょう。
子どもが不登校になると、朝の対応や急な送迎などで遅刻や早退が増えます。[1]
不登校に理解のある職場ばかりではないため、遅刻や早退を責められることもあるでしょう。
職場の理解がないと気持ちの余裕がなくなり、調子の悪さを訴える子どもに強くあたってしまう可能性があります。
「ここでは気持ちよく働けないな」と感じたときは、勤務時間や勤務日数を減らすことを視野に入れて働き方を見直しましょう。
「そばにいてほしい」と言われたとき
子どもに「そばにいてほしい」と言われたときは、できる範囲で子どもの要望に応えましょう。
「そばにいてほしい」という訴えは甘えではなく、子どもが勇気を出して伝えたSOSです。
現実的にはすぐに働き方を変えるのは難しいため、まずは1日だけでも休みを取って子どもに寄り添いましょう。
すべてを母親(父親)が背負い込まず、家族と相談しながら少しずつ働き方を見直していくことが大切です。
子どもに黙って仕事を辞めるのはNG
不登校の子どもに黙って仕事を辞め、事後報告するのは避けましょう。
子どもに以下のようなショックを与える可能性があります。
- 自分はよっぽど信用されていないんだ
- 自分のせいで親の人生を邪魔してしまった
- 親の仕事を奪うほど自分は悪いことをしているんだ
「仕事を続けるメリット、デメリット」と「仕事を辞めるメリット、デメリット」を整理し、親自身が辞める理由をはっきりさせることが大切です。
その上で「仕事を辞めるのはあなたのせいじゃない、お母さん(お父さん)が辞めたいから辞めるんだよ」と子どもに説明し、子どもが自分を責めないように配慮しましょう。
まとめ
子どもが不登校になっても、以下のような理由から仕事を続けるのがおすすめです。
- 収入を確保できる
- 子どもと適度な距離感を保てる
- 親が世間とのつながりを保てる
子どもの対応や急な送迎などで仕事と子育ての両立が難しいときは、時短勤務や在宅勤務、介護休暇の取得などを考えながら働き方を見直していきましょう。
仕事を辞めることを考えている方は、事前に必ず子どもに伝えてください。
仕事を辞める理由を親自身が整理し「仕事を辞めるのはあなたのせいではない」「自分が辞めたいから辞めるんだよ」ということを伝えましょう。
おおかみこころのクリニックでは、不登校の相談をお待ちしております。
「不登校の子どもと仕事のことで悩んでいて、なんとなく苦しい」「ちょっと話を聞いてほしい」とお気軽にご連絡ください。
【参考文献】
[1]特定非営利活動法人キーデザイン「子どもの不登校が家庭にどう影響を与えるか」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000121890.html
[2]不登校児童生徒の母親の支援方法の検討 4 考察 4.1 情緒的な支援 4.1.1 子どもと2人のみとなる時間以外の時間を確保する
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~scsc/bulletin/vol19/19_17.pdf
[3]不登校児童生徒の母親の支援方法の検討 4 考察 4.1 情緒的な支援 4.1.2 周囲の方から母親にかかわる
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~scsc/bulletin/vol19/19_17.pdf
[4]厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/holiday/index.html
[5]防衛省 隊員・家族のためのワークライフバランス推進ハンドブック https://www.mod.go.jp/msdf/wlb/digitalbook/book/pageindices/index22.html#page=23
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