「なんだか最近、気持ちが晴れないな」
「体が重くて、朝起きるのがつらい」
そんなふうに感じながらも、「これくらいで病院に行ってもいいのだろうか」と迷っている方は、案外多いものです。
「自分よりつらい人はもっといるはず」「これはただの甘えかもしれない」
そんな言葉が頭をよぎると、受診という選択肢がとても遠いものに感じられてしまうかもしれません。
この記事では、病院に行くか行かないかの正解を出すのではなく、今のあなたの状態をそっと見つめ直すための、いくつかの視点を一緒に整理していければと思います。
今のあなたが感じているその「迷い」も、大切なこころの声のひとつかもしれません。
迷ってしまうのは、よくあることです
「病院に行こうかな」と思った次の瞬間に、「でも、まだ頑張れるし……」と思い直してしまう。
その迷いは、あなたがこれまで周囲の期待に応えようとしたり、自分の役割を全うしようとしたりしてきた、責任感の裏返しでもあるといえます。
私たちは無意識のうちに、自分と誰かを比べてしまうことがあります。
テレビやSNSで見かける「もっと大変そうな状況の人」と自分を比較して、「自分の悩みなんて小さいものだ」と蓋をしてしまうこともあるでしょう。
けれど、つらさの感じ方は人それぞれで、誰かとの比較で測れるものではありません。
特に、普段から「頑張ること」が当たり前になっている方ほど、自分の限界に気づくのが少し遅くなってしまう傾向があるようです。
迷うということは、それだけ今の状態が「いつもの自分」とはどこか違う、とあなたのこころが教えてくれているサインなのかもしれません。
「行く・行かない」ではなく、今の状態を見てみる
「病院に行く」という決断は、とても勇気がいることです。
白か黒か、行くか行かないか。そんなふうに二択で考えてしまうと、どうしてもハードルが高くなってしまいますよね。
一度、その二択から離れてみませんか。
今は「答え」を出すタイミングではなく、ただ「今の自分の状態を眺めてみる」時間だと考えてみてください。
地図を確認するように、今の自分の立ち位置をいくつかの角度から眺めてみる。
そうすることで、「あ、自分は今、このあたりにいるんだな」と少しだけ客観的に自分を見つめられるようになるかもしれません。
まずは、いくつかの視点から、今の生活を振り返ってみましょう。
迷ったときの目安(診断ではありません)
ここで挙げるのは、あくまで「自分の状態を知るためのヒント」です。
これがいくつ当てはまったから病気、といった判断をするためのものではありません。
「そういえば、最近こうなっているかもな」と、静かに振り返る材料として使ってみてください。
どれくらい続いているか
一日のうちでも、気分の波はあるものです。
夕方になると少し元気が出るけれど、朝は絶望的な気持ちになる、という方もいらっしゃるでしょう。
ただ、その「しんどさ」を感じる時間が、以前に比べて長くなっていないでしょうか。
あるいは、一時の落ち込みではなく、何週間も霧の中にいるような感覚が続いてはいないでしょうか。
「時間の経過」という視点で自分を見てみると、今の状態が一時的な疲れなのか、少し根深いものなのかが見えてくることがあります。
日常生活への影響(仕事・家事・人との関わり など)
以前は当たり前にできていたことが、妙に億劫に感じられることはありませんか。
例えば、メールの返信をするのに何時間もかかってしまったり、献立を考えるのがどうしても難しくなったり。
あるいは、大好きだった趣味に手が伸びなくなったり、友人と会う約束を負担に感じてキャンセルしてしまったり。
「生活のリズムが少しずつ崩れているな」と感じることは、こころのエネルギーが少なくなっている目安の一つになるかもしれません。
休んでも戻りにくい感じがあるか
「一晩ぐっすり眠れば、翌朝にはスッキリしている」
そんな回復の感覚が、最近は薄れていないでしょうか。
週末にどれだけ休んでも、月曜日の朝には鉛のように体が重い。
休んでいるはずなのに、頭の中ではずっと仕事や悩みのことが回っていて、休まった気がしない。
そんな「休息の質の変化」も、今のあなたの状態を教えてくれる大切な指標となります。
一人で抱えるのがつらいと感じているか
誰かに今の気持ちを話したいけれど、誰に話せばいいかわからない。
あるいは、話しても理解してもらえないのではないかという孤独感。
「一人でこの重荷を背負い続けるのは、もう限界かもしれない」
そんなふうにふと感じる瞬間があるのなら、それは専門家という「新しい相談相手」を検討してみる時期なのかもしれません。
「甘えているだけかも」と感じるときに
ご自身を責めてしまう方の多くが、「これは自分の努力が足りないせいだ」「甘えだ」という言葉を自分に投げかけてしまいます。
けれど、本当に甘えている人は、自分が甘えているのではないかと悩んだり、わざわざ病院に行くべきか迷ったりはしないものです。
「甘え」という言葉は、自分を守るための防衛反応として出てくることもあります。
「病気だ」と認めるよりも「自分の努力不足だ」と思うほうが、まだ自分の力でコントロールできる余地があるように感じられ、安心できるからかもしれません。
自分を責める声が聞こえてきたら、「それだけ自分を厳しく律して頑張ってきたんだな」と、まずはその頑張りを認めてあげてほしいのです。
自分を責める思考パターン自体が、こころの疲れから生じている場合も少なくありません。
今できる、小さな整え方
もし、今すぐ病院に行く決断ができないとしても、それはそれで構いません。
今のあなたが、無理のない範囲で試せる「小さな整え方」をいくつかご紹介します。
「これならできそう」と思えるものがあれば、試してみてください。
- 「今、つらいんだな」と声に出してみる
誰かに言う必要はありません。独り言で、あるいはノートの端に書いてみるだけでもいいのです。自分の状態を否定せず、ただ認めてあげる時間を作ってみてください。 - 五感の刺激を少しだけ減らしてみる
こころが疲れているときは、外からの情報が刺激になりすぎることがあります。スマホを別の部屋に置く、照明を少し暗くする、静かな音楽を流すなど、刺激をコントロールしてみましょう。 - 温かい飲み物をゆっくり飲む
喉を通る温かさをじっくり感じる。それだけのことが、少しだけ、こころが落ち着くきっかけになるかもしれません。 - 予定に「何もしない時間」を書き込む
「休む」ことも一つの予定だと考えてみてください。30分だけでいいので、誰の期待にも応えなくていい時間を確保してみましょう。 - 今の状態をメモしておく
もし、いつか相談に行こうと思ったときのために、今の体調や気持ちを箇条書きでメモしておくと、後で役に立つかもしれません。
相談する、という選択肢について
精神科や心療内科に相談に行くことは、決して「特別なこと」ではありません。
風邪をひいたときに内科へ行くように、こころの健やかさを保つためのメンテナンスの一つだと考えていただければと思います。
初めて受診される際、「何を話せばいいかわからない」と不安になる方も多いですが、話はまとまっていなくて大丈夫です。
医師やカウンセラーは、まとまっていないお話を一緒に整理していくプロでもあります。
うまく話そうとせず、今のありのままを伝えてみてください。
先ほど書いたメモを持っていくのも、一つの良い方法です。
口で説明するのが難しければ、そのメモをそのまま見せてもいいのです。
最近は、お仕事帰りや買い物のついでに立ち寄りやすい、新宿のような交通の便が良い場所にクリニックを構えるところも増えています。
「通いやすさ」という視点で、ご自身に合った場所を探してみるのも、第一歩になるかもしれません。
まとめ
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
「これくらいで病院に行っていいの?」という問いへの、今のあなたなりの答えは見えてきたでしょうか。
最後に、いくつかのポイントを整理しておきます。
- 迷うこと自体が、今の自分を大切にしようとしている証拠であること
- 「行く・行かない」の二択ではなく、今の自分の変化を眺めてみること
- 「甘え」ではなく、こころのエネルギーが少なくなっているサインかもしれないこと
今のあなたが感じている違和感やしんどさは、あなただけの大切な感覚です。
病院に行くことも、もう少し様子を見ることも、どちらも間違いではありません。
「迷っている今の状態」もまた、ひとつの大切なプロセスです。
この記事が、あなたのこころが少しでも軽くなるような、そんなきっかけになれば幸いです。
もし「一度、誰かに話してみようかな」と思えたときには、私たちはいつでもここでお待ちしています。
今のあなたのままで、どうぞ安心してお越しください。









