発達障害のこどもの偏食はいつから?対応法や見極めのポイントを紹介




「発達障害の場合、偏食はいつから始まるの?」

「こどもが同じ食べ物しか受け付けない」

「偏食の原因が発達障害だったらどうしよう」

わが子に偏食がみられ、このような悩みを抱えていませんか?

幼児期の偏食は、成長とともに改善されていくケースがほとんどです。しかし、偏食の原因が発達障害の場合、適切なアプローチを行わないと食べられる物が少なくなることもあります。

この記事では、こどもの偏食と発達障害の関連性偏食が気になったときの対応方法こどもの偏食との付き合い方についてご紹介します。子育ての不安を少しでもやわらげるためにも、ぜひご覧ください。

発達障害で偏食のこどもとどのように向き合っていくとよいのか、気になる方は下記の記事もご覧ください。

こどもの偏食はいつから?発達障害との関連とは

こどもの偏食は離乳食をあげ始めた頃からみられ、第一次反抗期にあたる2〜5歳のほとんどが経験するといわれています。[1]その原因は発達障害に限りません。以下に、こどもの偏食の原因をまとめました。[2]

  • 食事そのもの関すること(味や匂い、見た目、食感、温度、調理方法など)
  • 使用する食器やカトラリーの影響
  • 食経験の乏しさ
  • 家庭での食習慣
  • 特定の食品を食べて体調を崩したという負の経験

一般的に、こどもの偏食は成長とともに自然に改善していくといわれています。[2]偏食=発達障害とすぐに結びつけるのではなく、原因を見極めながら成長に合わせた対応を検討する必要があります。

こころちゃん
こころちゃん

偏食≠発達障害です

とはいえ「決まったものしか食べない」「お菓子しか食べない」「白いものしか食べない」などの偏食傾向から、発達障害との関連性を疑いたくなる場合もあるでしょう。

わが子の偏食への理解を深めたい方、発達障害かどうか見極めたい方は、次にご紹介する発達障害のこどもが偏食になる原因対応を見て、具体的な対策を試しましょう。

発達障害のこどもが偏食になる原因

発達障害のあるこどもが偏食になる原因は、以下のとおりです。

こころちゃん
こころちゃん

それぞれ、詳しく見ていきましょう

感覚過敏

発達障害によって「味覚」や「触覚」「嗅覚」などの感覚が過敏になり、特定の味や食感の食べ物が苦手になることがあります。

たとえば味覚過敏があるこどもは、苦みや辛みなどの特定の味が食べられません。なかにはその食品を見ただけで吐きそうになったり、強く拒否反応を示したりすることも。[3]

また触覚過敏により、パサパサ・ドロドロなどの食感が苦手だったり、嗅覚過敏により、食べ物が混ざる匂いを嫌がったりする場合もあります。[3]

こうした感覚過敏を好き嫌いの問題として片付けてはいけません。食べられないことや理解されないことによる苦痛を感じてしまいます。偏食がさらに進み、特定の食べ物以外受け付けなくなる可能性もあるでしょう。

食事へのこだわり

発達障害によるこだわりの強さが、偏食の原因になることもあります。

たとえば、想像している食感や温度と違う料理が食べられないことも。[3]また、同じ食べ物でも特定のメーカーしか受け付けない子もいます。好きな料理でも、見た目が変わると食べられないことがあるのです。[4]

こうしたこだわりは、集団生活においてわがままやしつけのせいだと誤解されることがあります。[3]周囲の無理解が、親子を苦しめるかもしれません。

独特の想像力

発達障害の特性による想像力が原因で、特定の食べ物を受け付けないこともあります。

たとえば、イチゴの表面にあるツブツブに対して「怖い」「気持ち悪い」と感じる子もいます。[5]また、食べ物の色合いの組み合わせで気持ち悪くなる場合もあるのです。[3]

一見なんでもないことが恐怖や不快感の対象になるため、原因の除去は難しいでしょう。他の特性と同じく、周囲に受け入れてもらえない可能性もあります。

こどもの偏食が気になったときの対応

こどもの偏食は、成長とともに改善していきます。しかし、バランスよく食べられるようになるには周りのサポートが必要です。

ご自分で調べた方法だけでなく、保育や栄養の専門家に相談することで、お子さんにあった具体的な対策が見つかる可能性があります。こどもの偏食に関する悩みは一人でかかえず、以下の3つの専門家に相談してみましょう。

こころちゃん
こころちゃん

一人で抱え込むと親のストレスになるので、専門家に相談しましょう

保育園や幼稚園の先生

保育園や幼稚園の先生に相談することで、こどもの年齢や性格に合ったアドバイスがもらえます。食育に取り組む保育園や幼稚園では、偏食を治す方法だけでなく食事を楽しむための工夫も聞けるでしょう。

また、偏食で悩んでいることを伝えておくと、給食で気にかけてもらいやすくなります。お子さんをよく知る先生に相談し、具体的な対策に取り組みましょう。

自治体の専用窓口

自治体管轄の育児相談窓口に相談するのもよいでしょう。偏食だけでなく、育児や発達に関する相談もできるため、相談したいことが複数ある場合におすすめです。

自治体の相談窓口のなかで、おもな相談先を3つご紹介します。

・市町村保健センター
保健師や管理栄養士などが在籍。偏食の治し方や子育ての悩みを相談できる[6]

・地域子育て支援センター
保育士や児童厚生員が在籍。育児全般の悩み相談や子育て講座への参加が可能。こどもが遊べるスペースを併設している施設もある[7]

・児童相談所
児童福祉司や児童心理司、医師などが在籍。偏食に限らず、こどもの養育や家庭状況に関する悩みなどの相談が可能。[8]

上記の専門機関では対面で相談が可能です。自治体によっては、電話やチャットで相談を受け付けていることもあります。気になる方はお住まいの地域のホームページをチェックしてみてください。

児童精神科のある病院

偏食だけでなく、こどもの成長発達が気になる場合は、児童精神科がある病院を受診するのも手です。児童精神科では、こどもの成長発達や心の不調に対する診療を行っています。偏食の相談はもちろん、食べられないこどもへの支援や発達障害の検査なども受けられます。

偏食だけでなく、友人関係や成長発達の悩みがある場合は、こうした専門機関を活用しましょう。なお、児童精神科は混んでいて予約が取りにくい場合もあります。受診したい病院が決まったら、予約可能か事前に問い合わせましょう。

こどもの偏食との付き合い方

ここでは、こどもの偏食との付き合い方を3つご紹介します。

さっそくみていきましょう。

食べることを強要しない

偏食を治そうとして、こどもに食べることを強要してはいけません。食べ物への苦手意識が強まり、食事自体が辛くなる可能性があります。

親が叱ったり、言い聞かせたりしても、食べられるようにはなりません。大きくなるにつれて、こどもはさまざまな食材を食べられるようになります。長い目で成長を見守りましょう。

こころちゃん
こころちゃん

「今食べれなくても、ある日突然食べだす日が来るかもしれない」とポジティブに考えてみるのもいいでしょう

こどもに合った方法で関わる

こどもに合わせた方法で関わると、食べられる食材を増やせるはず。

たとえば、保育園や幼稚園でよく食べるレシピを試したり、苦手な食材の味付けをこどもの好みに合わせたりするのも手です。また、買い物や料理を一緒に行って、食への興味関心を高めるのもよいでしょう。

さまざまな方法を試すうちに、意外なきっかけで食べられるようになるでしょう。こどもに寄り添ったアプローチで、無理なく偏食を克服しましょう。

食事中は楽しい雰囲気を心がける

こどもとの食事では、楽しい雰囲気を心がけることも大切です。

幼稚園児を対象とした調査では「食べることが楽しいと感じる園児は食事を積極的に食べていた」という報告が聞かれています。[1]食事中の雰囲気が、こどもの食欲を左右することもあるのです。

こどもが好きな食器を使ったり、友人と一緒に食べたりすることでも、楽しい雰囲気は演出できます。忙しい時は手を抜きながら、お子さんと一緒に楽しみましょう。

こころちゃん
こころちゃん

楽しいお食事タイムで食欲アップです♪

まとめ

こどもの偏食は離乳食を食べ始めた頃からみられ、2〜5歳のほとんどが偏食を経験します。[1]偏食になる原因は発達障害に限らないため、偏食=発達障害と考える必要はありません。

こどもの偏食は成長とともに改善していきます。悩んだ時は通園先の先生や自治体の専用窓口に相談し、こどもに合わせた方法を試しましょう。

なお、偏食以外にも日常生活や友人関係で困りごとがある場合は、医療機関への受診の検討が必要です。こどもが健やかに成長できるように、必要に応じてサポート体制を整えましょう。

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【参考文献】

[1]偏食の観点からみた幼稚園児の 食習慣に関するパス解析|日本家政学会誌(2021
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/72/4/72_187/_pdf

[2]食に関する指導の手引き 第6章 個別的な相談指導の進め方|文部科学省
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/04/19/1293002_9_1.pdf

[3]発達障害プロジェクト 困りごとのトリセツ(取扱説明書)|NHK
https://www1.nhk.or.jp/asaichi/hattatsu/torisetsu/cat_taste-smell.html

[4]自閉症児の食嗜好の実態と偏食への対応に関する調査研究|立山清美,宮嶋愛弓,清水寿代
https://www.urakamizaidan.or.jp/research/jisseki/2010/vol20urakamif-16tateyama.pdf

[5]発達障害のある子どもの“偏食” その実態と解消へのヒント | NHKハートネット
https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/281/

[6]地域保健関係機関の業務について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/dl/s0120-8a02.pdf

[7]地域子育て支援センター|独立行政法人福祉医療機構https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguideworkplace/jobguide_wkpl20.html

[8]児童相談所・一時保護所|独立行政法人福祉医療機構https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguideworkplace/jobguide_wkpl29.html

この記事の編集者
小林おすし
正看護師。大学病院やクリニック、小学校などで勤務。小児科勤務や子育ての経験を活かし、看護師ライターとして執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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