3歳児の発達障害を見分けるチェックリスト|対処法も紹介




我が子の成長を見守っているうちに、「3歳のわりに口数が少ない」「周りの子どもよりも成長が遅いかも」と思ったことはないでしょうか?

3歳児の時期は言葉や運動、社会性などさまざまな成長が見られる時期です。そのため、ほかの子と成長具合を比べてしまうこともあるでしょう。なかには「もしかしたら発達障害かも……」と不安の原因になることも。

この記事では、発達障害の有無を確認できるチェックリストを紹介します。3歳ごろから疑われる発達障害の特徴対処法についても解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

3歳児の時期に見られる発達障害の兆候

総務省のデータによると、平成26年度において3歳児健診で発達障害が疑われた割合は8.2%とのことです。市区町村ごとの割合では0.5〜36.7%と大きな幅があり、地域によってバラつきが見られます。なお、青森県では令和2年時点での発達障害児(1〜6歳の乳幼児)は1039人と発表しており、うち医師から診断を受けた児は313人とのことです。[1]

3歳ごろになると知能や運動機能が発達し、自分でできることが増えます。周りの子どもと比べてできないことや苦手なことが多く見られる場合、発達障害を疑うきっかけになるでしょう

こころちゃん
こころちゃん

3歳ぐらいは成長差も大きいため、あくまでも「きっかけ」と考えてくださいね

実際に3歳児の時期に見られやすい、発達障害の兆候は以下のものがあります。[2]

言語発達
・言葉の遅れがある
・発音がはっきりしない、どもる
・受け答えのズレがある
・会話が成り立たない
他者との交流
・あまり友だちと遊ばない
・グループに入らず孤立している
・人見知りが極端にあらわれる
知的発達
・集中力が続かない
・数を数えられない
・物の特徴や関係性などを理解するのに時間がかかる
運動能力
・手先が極端に不器用
・ふらつく、転倒する
・基本的な運動スキルが習得しにくい
・力を加減することが苦手
性格や気質
・急に泣いたり怒ったりする(癇癪を起こす)
・何度注意しても同じことを繰り返す
・こだわりが強い
・落ち着きがない
・新しい場所を避けたり、不安に感じたりする
・行動の予測がしにくい

発達障害の子どもを育てていく場合、障害の種類や特性を理解し、どのように子どもと接していくべきかを学ぶことが大切です。発達障害の兆候にあてはまる場合や、気になる特徴がある方は、3歳児健診の際に相談してみましょう。

3歳児の発達障害やグレーゾーンの特徴とチェックリスト

発達障害はいくつかの種類があり、代表的なのは下記の3つです。

この章では各障害の特徴を解説しながら、発達障害の傾向があるか判断するためのチェックリストをご紹介します。[3]

さらにこのチェックリストは、特定の障害の傾向がある「グレーゾーン」を把握するのにも役立ちます。

ただしチェックリストは目安であり、診断を確定するものではありませんあてはまる項目が複数ある場合には、精神科や専門機関で検査を受けましょう。

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ASD(自閉症スペクトラム障害)

ASDを持つ方の特徴は、他人とのコミュニケーションが苦手なことです。物事への興味関心が薄いため、人付き合いを避ける傾向にあるとされています。[4]

具体的には、以下のような特性が見られます。

▢ 人の動きや表情を真似しない

▢ 人と視線を合わせない

▢ 親や友だちのしていることに関心がない

▢ 特定の遊びばかりする

▢ 言葉で意思を表現できない、口数が少ない

▢ 突然大きな声を出したりする

3歳児によく見られるのは、友だちとの交流の少なさや、興味の偏りなどです。言葉でなかなか意思を伝えられず、突然大きな声を出し周囲を驚かせることも珍しくありません。

ADHD(注意欠陥多動性障害)

ADHDのある子どもには「注意欠如」や「多動症」「衝動性」などの行動が見られます。たとえば、物事に集中して取り組むのが苦手だったり、玩具をなくしやすかったりするのが特徴的

具体的には以下のような特性が見られます。

▢ 常にそわそわしていて落ち着きがない

▢ ひとつのことに集中できない

▢ 興味のあるものを見ると急に動き出す

▢ 順番を待つことが苦手

▢ 注意してもしゃべり続けてしまう

突発的・衝動的に行動することも多く、事故やケガにつながる恐れがあります。ADHDの特徴がある子どもに対しては、外出時には目を離さない工夫が必要でしょう。[5]

LD(学習障害)

LDは、読み書きや計算など特定の能力を苦手とする発達障害です。知能発達には遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」といった学習に遅れが生じます。

具体的には、以下の特性が見られます。

▢ 聞き返しが多い

▢ 言葉を一言ずつ区切って話す(二語文が出ない)

▢ 学習の中(読み書き、計算、話すなど)で極端に苦手なものがある

▢ 言葉をあまり話さない

3歳時点では、単に学習が遅れているだけなのか、LDなのか判断しにくい傾向にあります気になる特性が見られる場合には、専門家に相談することを検討しましょう。[6]

3歳の我が子が発達障害かも?と感じたらするべきこと

子どもの特性の中に疑わしいものがあったり、乳幼児検査で発達障害を指摘されたりした場合には、専門家のアドバイスを聞いてみるとよいでしょう。

この章では発達障害についての相談先や、受けられるサポートについて解説します。[7]

こころちゃん
こころちゃん

ひとりで悩むより専門の先生に相談してみましょう

小児科・精神科で診断を受ける

発達障害は、小児科や児童精神科で診断可能です。精神科医による専門的な検査を受けることで、発達障害の有無や程度を把握できます発達障害と診断された場合には、適切な教育方法や接し方などのアドバイスを受けられます。

また3歳児の時期は「基準を満たさないものの、発達障害の兆候が見られる」いわゆるグレーゾーンにあたる子どもも珍しくありません。専門家によるサポートを受けることで、障害との向き合い方や教育に対する不安・負担を軽減できるでしょう。

発達障害の専門機関に相談する

お子さまの行動や今後の育児についての不安があるなら、各都道府県に設置されている以下の専門機関に相談するのも方法です。

  • 発達障害者支援センター
  • 特別支援教育センター
  • 療育センター
  • 教育センター

施設では発達障害に関する情報提供や、発達検査などを実施しています。

こころちゃん
こころちゃん

はじめから精神科を受診するのに抵抗がある方も、気軽に相談できますよ♪

3歳児のうちから発達障害の療育を始めるメリット

3歳で発達障害の診断を受けた場合、できる限り早く開始すべきなのが「療育」です。

療育ではリハビリテーションを実施し、生活するうえで必要となる能力を身につける目的があります早期に療育を受けることは社会に出たときに感じる生きづらさを軽くし、将来の進学や就職に対する不安の解消につながるでしょう。

また親の精神的負担を軽くしてくれます。具体的な内容については、発達障害支援センターや精神科医に相談してみてくださいね。

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発達障害を持つ3歳児との接し方

各障害の特性や発達障害に対しての接し方を理解することで、育児への負担や不安を軽減できます。

たとえば、ASDの子どもと接するときはシンプルな言葉を使ったり、ADHDの子どもに対しては刺激の少ない落ち着いた環境で話すなど工夫しましょう。子どもの特性に合わせ、個別性を考慮した接し方を意識することがポイントです

発達障害の子どもとの接し方については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

まとめ

発達障害は、脳の機能の発達に関する障害です。今までの育て方や接し方でなるものではありません。我が子に発達障害の疑いがあると知って、今後の子育てに対して不安になる方もいるでしょう。

我が子の性格を考えながら、障害の特性や接し方のポイントを理解することで、子どもの過ごしやすい環境を整えることは可能です。

まだまだ成長段階の3歳児。今の段階での発達障害の診断は難しく、今回紹介したチェックリストにあてはまったからといって必ずしも断定できるものではありません

発達障害の疑いがある場合や療育について知りたい方は、一人で抱え込まずに専門機関を頼ってみてください。医師による詳しい診断やアドバイスを受けたい方は、精神科への受診も選択肢のひとつです。

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【参考文献】

[1]
・総務省/発達障害者支援に関する行政評価・監視-発達障害者の早期発見https://www.soumu.go.jp/main_content/000458765.pdf

・青森県健康福祉部障害福祉課/発達障害児の早期発見・早期支援の取組についてhttps://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/syofuku/files/R4hattatu_siryo1.pdf

[2]
・政府広報オンライン/発達障害って、なんだろう?
https://www.gov-online.go.jp/featured/201104/

・滋賀医科大学 小児発達支援学部門/子どもの発達とその支援について
https://www.shiga-med.ac.jp/~hqpeddev/pg12.html

[3]
・厚生労働省 e-ヘルスネット/発達障害(はったつしょうがい)

・厚生労働省/発達障害の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633453.pdf

[4]
・国立精神・神経医療研究センター/自閉スペクトラム症(ASD)
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease06.html

・厚生労働省e-ヘルスネット/ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について

[5]文部科学省/学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症についてhttps://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1396626.htm

[6]厚生労働省e-ヘルスネット/学習障害(限局性学習症)

[7]大塚製薬株式会社/お子さんの発達が気になる方へ

https://www.smilenavigator.jp/asd/content/

この記事の編集者
Yusa
大学病院にて約10年間病棟看護師として勤務。耳鼻科(周手術期管理)、腎臓外科(腎移植)、循環器小児科、脳神経外科・SCUの現場で培った経験と知識を活かし、現在は看護師ライターとして活動中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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