人の話が頭に入らなくなったのはうつ病が原因?考えられる要因と対処法を解説







「人の話が頭に入らなくなった」と頻繁に感じたら、自分はうつ病ではないかと心配になるでしょう。現代の日本では、うつ病を含む精神疾患を有する患者総数が年々増加するなど、決して珍しい病気ではありません。[1]

人の話が頭に入らない原因はさまざまです。原因のなかには、うつ病をはじめとする精神疾患が隠れている可能性もあります。

周りから「話を聞いていない」と言われるのを改善するには、その原因を知ることが大切です。

この記事で紹介する「人の話が入ってこないときの対処法」原因を合わせて理解することで、具体的にどう行動すればいいかがわかるでしょう。

人の話が頭に入らなくなったと感じるのはうつ病かも

「人の話が頭に入らなくなった」という状況が起こるのには、さまざまな原因が考えられます。心身の疲労を感じていると、誰しも集中できなかったり人の話が頭に入ってこなかったりする場面があるでしょう。

一方で、その状態が何日も続き「気分が落ち込む」「不安が強い」などの気になる症状がある場合は、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症している恐れがあります。長期間に渡りこのような状態が続くと、日常生活や社会活動にも支障をきたすことも。

まずは原因を明確にして、自分にできることから対策してみましょう。

うつ病で人の話が頭に入らなくなる原因

うつ病により人の話が頭に入ってこない原因には、以下のパターンが考えられます。

それぞれの原因について、見てみましょう。

うつ病の症状による影響

うつ病は、程度によって心身ともにあらゆる症状があらわれる精神疾患です。なかには、人の話が頭に入らなくなる状態に陥る可能性もあります。

うつ病では、集中力の低下や注意力の散漫など、認知機能に関わる症状があらわれます。そのため、人の話に集中できなくなり、「会話が続かない」「内容を覚えていない」といった問題を引き起こすのです。そのほかにも、周囲への興味や関心が持てなくなることも、話が入ってこない要因として考えられるでしょう。[2]

結果、周りの人と話が嚙み合わず、人間関係や社会活動において支障をきたすおそれがあります。

抗うつ薬による影響

抗うつ薬を使用している場合、薬の副作用によって人の話が頭に入らなくなる可能性も考えられます。

抗うつ薬は、脳の神経伝達物質に作用し、うつ病によるつらい精神症状を抑えるお薬です。一方で「眠気」や「不眠」「吐き気」などの副作用を引き起こすリスクもあります体の不調や眠気によって集中力や注意力が低下すると、話を聞いていても頭に入ってこないこともあるでしょう。[3]

抗うつ薬による副作用が著しいときには、薬を減らしたり違う薬に変えたりしなければなりません。ただし、薬を中止するかは個人で判断せず、まずは主治医に相談してみましょう。

こころちゃん
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どんな副作用に悩んでいるのかを先生に相談して、薬の調整をしましょう

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うつ病以外で人の話が頭に入らない原因

人の話が頭に入らなくなるのは、うつ病だけではありません。ほかには以下のものが考えられます。

うつ病以外の原因についてそれぞれを解説します。

ストレス

仕事や人間関係での悩みや困りごとがある場合には、ストレスで頭の中はぐちゃぐちゃに。話している内容がまったく頭に入らないこともあるでしょう。不安で頭の中がいっぱいになると他のことを考えられないようになり、思考力や集中力が低下してしまうのです

また長い間ストレスを受け続けると、脳の前頭前野に影響を及ぼします。前頭葉は、人とのコミュニケーションに関わる役割を持つ部分。刺激を受けると、人との会話のみならず、判断力が低下したり行動の抑制がきかなくなったりなどの症状が見られることも。日常生活や仕事に支障が出るおそれがあるため注意が必要です。[4]

疲労や睡眠不足

疲労や睡眠不足は、脳の認知機能を一時的に低下させるといわれています。人の話を理解する力が弱り、頭に残りにくくなるのです。

こころちゃん
こころちゃん

疲れてるときや眠いときに人の話聞くのツラいです💦

疲労や睡眠不足の原因は、一般的に以下の通りです。

  • 不規則な生活習慣
  • 仕事や育児による過労
  • 日々のストレス
  • 加齢や運動不足による代謝の低下
  • 精神疾患による不眠

厚生労働省による日本人の睡眠調査では、2割程度の方が睡眠による休養が十分にとれておらず、この割合は年々増加しているとのことです。[5]

「最近疲れがたまっている」「夜あまり寝れていない」という悩みがあれば、生活リズムを見直して、十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。

そのほかの精神疾患

人の話が頭に入らなくなる症状は、うつ病以外の精神疾患でも起こります。

たとえば、以下の通りです。

  • ADHD(注意欠陥多動性障害)
  • 統合失調症
  • 不安障害
  • アルコール依存症
  • アルツハイマー型認知症

それぞれの疾患に特徴はあるものの、共通するところもあり、はっきりと区別するのは難しいでしょう。

人の話が頭に入らないといった精神症状を放置してしまうと、症状が悪化したり回復に時間がかかったりするおそれがあります。少しでも異変を感じたら、気軽に精神科に相談に来てくださいね。

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人の話が頭に入らなくなったときに自分でできる対処法

「人の話が頭に入らない」と悩んでいるなら、以下の4つの方法を試してみましょう。

こころちゃん
こころちゃん

自分にできることから対策してみてくださいね♪

メモを取る

大事な内容や約束事は、意識的にメモするようにしましょう。口頭による伝達では情報を見逃しやすく、大事な内容や約束事を忘れてしまう可能性があります。

メモすることを意識すると、自然と会話に集中しやすくなります。さらに相手の話が記憶に残りやすくなるでしょう。また、文字を書くことで、無意識のうちにほかのことを考えるのを避けられるでしょう。

気が散って人の話が頭に入らないのを防ぐためにも、いつでもペンとメモを持ち歩くと安心です。

相手に伝える

事前に相手へ「人との話を覚えてられない」と伝えておくのも効果的です。いくら自分で努力しても、周りに迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。

集中しやすい環境を整えてもらったり、短時間で話を済ませてもらったりと、相手側の協力を得ることも可能です周囲に協力してくれる人が存在するだけで、自分一人にかかる負担も軽くなります。

周囲の協力を得ながらコミュニケーションを取ることで、トラブルを回避できるでしょう。

ストレス要因から離れる

ストレスが原因の場合には、まずストレスのもとから離れることが大切です。ストレス要因が解消されることで、心にゆとりが生まれ、人との会話に集中できるようになる可能性もあります

具体的な方法としては、趣味や運動に没頭してストレスを発散するのもよいですし、リラックスできる環境に身を置くことも有効です。また家族や友だちなど相談できる人がいれば、悩みや不安を聞いてもらうことで気分も晴れるでしょう。

ストレス要因から離れるための方法は、状況や環境によって一人ひとり異なります。自分なりのストレス発散方法を見つけることがポイントです。

専門家に相談する

今までの方法を実践しても「効果が見られない」「ほかにも気になる症状がある」といった場合には、専門家に相談するのも方法のひとつです。

精神科や心療内科では、カウンセリングや心理療法を受けられます。症状によっては、治療薬を処方してもらうことも可能です。

自分なりの対処法を試しても改善せず、日常生活に支障をきたすほどの状態であれば、まずは専門家に相談してみるとよいでしょう。

精神科と心療内科のどちらを受診すればよいか迷っている方は、こちらの記事もご確認ください。

まとめ

人の話が頭に入らなくなることには、さまざまな原因が考えられます。このような状態が続くことで、日常生活や社会生活に支障をきたすおそれがあります。まずは、原因をはっきりさせることが大切です。

原因が解消されることで、相手の話をしっかり聞ける状態に戻るでしょう。今回紹介した方法のなかから、自分で実践できることから始めてみましょう。

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【参考文献】

[1]厚生労働省/13回 地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会 参考資料https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000940708.pdf

[2]厚生労働省/うつ病
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html

[3]
・J-STAGE/抗うつ剤の種類・特徴とその限界https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/53/7/53_663/_pdf

・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構/トリプタノール錠10・トリプタノール錠25
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179002F1068_3_09/

[4]東邦大学/ストレスと脳
https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/029758.html

[5]厚生労働省/良い目覚めは良い眠りから知っているようで知らない睡眠のこと
https://e-kennet.mhlw.go.jp/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/leaf-sleep.pdf?1699920000117

この記事の編集者
Yusa
大学病院にて約10年間病棟看護師として勤務。耳鼻科(周手術期管理)、腎臓外科(腎移植)、循環器小児科、脳神経外科・SCUの現場で培った経験と知識を活かし、現在は看護師ライターとして活動中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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