自律神経失調症とは、身体の病気がないのに全身のだるさやめまい、頭痛、動悸などを感じる病気です。[1]ストレスや生活習慣の乱れにより、身体を活動させる「交感神経」と休ませる「副交感神経」のバランスが乱れて症状が現れます。
自律神経失調症の症状が出ていても「どのレベルになったら病院に行くべき?」と悩んでしまうでしょう。
そこで今回は、自律神経失調症のセルフチェックを交えながら、病院に行くべきタイミングなどについて解説します。
自律神経失調症が病院に行くべき理由や受診すべき診療科についても知り、治療への第一歩を踏み出しましょう。
この記事の内容
自律神経失調症が病院に行くべき理由
自律神経失調症が病院に行くべき理由は、以下の3つです。[2]
それぞれ解説します。
病状の悪化を防げる
1つ目の理由は、病状の悪化を防ぐためです。
病状が悪化した実例として、以下が挙げられます。
- 数年前に症状が出始めたが、市販薬を飲んで様子を見ているうちにこじらせてしまった
- 自律神経失調症だと思っていたが、症状が悪化したため受診したら実はうつ病だった
「いつか治るだろう」「きっと自律神経失調症だろう」と自己判断せず、医師の診察を受けることが大切です。
まずはあなたが通いやすい病院を受診して、つらさから解放された日常生活を送れるようにしましょう。
間違われやすい病気と区別できる
2つ目の理由は、間違われやすい病気と区別できるためです。
自律神経失調症と間違われやすい病気として、以下が挙げられます。
- 下痢や便秘を繰り返す「過敏性腸症候群」
- 天井がグルグル回るようなめまいがする「メニエール病」
- 気持ちが落ち込み日常生活に支障が出る「うつ病」や「不安障害」
自律神経失調症と他の病気を見分けるためには、専門の知識や経験が必要なため、自己判断で特定することはできません。
「きっと自律神経失調症だろう」と思い込まず、早めに病院を受診しましょう。
受診して適切な診断を受けましょう
心・身体・生活すべての面から見直せる
3つ目の理由は、心・身体・生活すべての面から病状を見直せるためです。
自律神経失調症の治療では、心、身体、生活すべての面からのアプローチが必要になります。
具体的には、以下のようなアプローチです。
■心
ストレスとうまく付き合うために、カウンセリングや心理療法を受ける
■身体
薬を飲んだりマッサージを受けたりして、身体のつらさを軽減させる
■生活
生活リズムや食生活の指導を受けながら、原因となっている生活環境を改善する
すべての面を専門家と二人三脚で見直すことで根本から治療ができ、再発のリスクを低くできます。
自律神経失調症のセルフチェック
ここでは、自律神経失調症のセルフチェックをしましょう。
以下のあてはまる項目をチェックしてください。[3]
【からだのチェック】
▢ 腰が痛い
▢ よく肩がこる
▢ めまいがする
▢ 手足が震える
▢ 手足がしびれる
▢ 下痢や便秘になりやすい
▢ のどがつまる感じがする
▢ 全身がだるい感じがする
▢ よく頭痛がする、頭が重い
▢ 胸が圧迫されるようで苦しい
【心のチェック】
▢ 根気が続かない
▢ 集中力がなくなる
▢ 人に気軽に会えない
▢ 朝、早く目がさめる
▢ これから先の自信がない
▢ 朝、気分がすっきりしない
▢ 物事がなかなか決断できない
▢ なんとなく不安でイライラする
▢ 仕事にとりかかる気分になれない
▢ ふと死にたくなる
●チェックが 10 個以上の人は治療が必要です。
かかりつけ医に相談し、適切な治療を受けてください。
●5〜9個の人も要注意です。ストレス対策をし、規則的な生活を心掛けましょう。
●5個未満の人でも気掛かりなことがあれば、かかりつけ医に相談してください。
参考文献:日本臨床内科医会
自律神経失調症が病院に行くべきタイミング
以下に心当たりがあるときは、病院を受診しましょう。[2]
- 症状がどんどんひどくなるとき
- 日常生活に支障が出ているとき
- 体調不良が2週間以上つづいているとき
自律神経失調症は症状が捉えにくいため、以下をまとめて医師に伝えるのがおすすめです。
- どんな症状があるか
- 症状が出たときの気分はどうか
- 家族に同じような症状の人はいるか
- いつ、どんな場所で起こりやすいのか
- いつごろから、どんなきっかけで始まったのか
症状をまとめたメモを医師や受付に渡すのもよいでしょう。
おおかみこころのクリニックも、ご相談をお待ちしております。あなたが伝えやすい方法でご相談ください。
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【症状別】自律神経失調症の受診先
自律神経失調症は、自分がもっともつらいと感じる症状にあわせて受診先を選びましょう。[2]
以下を参考にしてください。
■疲れやすさ、だるさ、微熱
→内科
■息苦しさ、息切れ、動悸
→呼吸器内科
■胃の不快感、便秘や下痢、吐き気
→消化器内科
■手足のしびれ、関節の痛み
→整形外科
■耳鳴り、耳のつまり感、めまい
→耳鼻科
■他科で異常なしと言われた、気分の落ち込みや不眠、イライラがある
→心療内科
受診のポイントは「1度の受診で症状が改善されなくても、すぐに受診を止めないこと」です。
自分に合う治療法を探すために、最低でも3か月は通院を続けましょう。
自律神経失調症が治る期間について知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
Q:自律神経失調症は血液検査でわかりますか?
自律神経失調症は、血液検査だけではわかりません。
症状に合わせて身体的な検査や心理的な検査を行い、総合的に身体の状態を見ていく必要があります。
いくつかの原因が重なって自律神経失調症を引き起こしている場合があるため、いくつかの検査を組み合わせながら、慎重に診断していきます。
Q:自律神経失調症は自力で治せますか?
自律神経失調症を自力で治そうとするのは危険です。
病院を受診して、他の病気が隠れていないか、本当に自律神経失調症か医師に判断してもらいましょう。
自律神経失調症は心・身体・生活すべての面からの治療が必要な病気です。
自分では気づいていないストレスが原因になっているケースも多いため、専門家と一緒にこれまでの人生や生活を振り返り、根本的な治療をしましょう。
まとめ
自律神経失調症は、以下の3つの理由から病院に行くべき病気です。
- 病状の悪化を防ぐため
- 他の病気がないかチェックするため
- 心・身体・生活すべての面から見直すため
自律神経失調症のセルフチェックを行い、必要に応じて病院を受診しましょう。
まずは、いちばん困っている症状に合わせて診療科を選んでください。
自律神経失調症は心と身体が頑張りすぎた結果、身体がSOSを出している状態です。
これ以上ひとりで頑張らず、私たち専門家を気軽に頼ってください。おおかみこころのクリニックでは、24時間あなたの予約をお待ちしております。一緒に心と身体がラクになる方法を探していきましょう。
24時間予約受付中
【参考資料】
[1]こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1591/
[2]自律神経失調症の治し方|福永伴子 ナツメ社
[3]日本臨床内科医会
https://www.japha.jp/doc/byoki/019.pdf
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
メンタルヘルスの記事を中心に執筆する看護師・保健師ライター。 精神科勤務での患者さんとの関わりや自身のうつ病経験から「人の心についてもっと知りたい」と思い、上級心理カウンセラーの資格を取得。 エビデンスに基づいた読者の心に寄り添う記事を心がけている。