適応障害に向いてる仕事とは?向いていない仕事や探し方を解説










「今の仕事がつらい」

「転職してもまた向いていない仕事だったらどうしよう」

頑張り屋で真面目な人ほど、環境の変化や人間関係にストレスを感じやすく、適応障害というこころの不調を抱えることがあります。

適応障害とは環境やできごとに気持ちがなじめずに、気分の落ち込みや不安などの症状があらわれる状態です。[1]

「今の仕事が合っていない」と感じるのは、環境との相性が原因かもしれません。
あなたに合う仕事を見つけることで、ストレスを減らしながら働き続けることができます。

この記事では、仕事の選び方適応障害の人に向いてる仕事などについて解説します。
あなたが安心して働ける場所を見つける助けになれば幸いです。

適応障害の人が向いてる仕事の選び方

適応障害の再発を防ぎながら働き続けるためには、苦手な環境やストレス要因を避けられるかどうかが大切です。

仕事選びの際には、以下の点に注目しましょう。

  • 人間関係のストレスが少ない職場を選ぶ
  • 在宅勤務や時短勤務など柔軟な働き方ができるかを確認する[4]
  • 対人対応や変化の多い仕事など苦手な環境や作業をあらかじめ把握しておく[5]

事前にあなたの特性や希望を整理し、ムリのない働き方ができる職場を選ぶことが、安定した就労への第一歩となります。

こころちゃん
こころちゃん

「どんなことがストレスかな?」と、あなた自身と向き合ってみましょう

適応障害の人に向いてる仕事

適応障害の人にとって、働く環境や仕事の内容は症状の回復や再発防止にかかわります。比較的ストレスが少なく、安心して取り組みやすい仕事の例を3つご紹介します。

それぞれの性格やストレスへの感じ方によって、仕事が向いているかどうかは異なります。
今のあなたにムリなく続けられる仕事かどうか見極めましょう。

ストレスが少ない仕事

適応障害の人には、ストレスが少ない仕事が向いています。とくに転勤や異動、転職といった環境の変化は、ストレスの引き金になりやすいため注意が必要です。

一般的にストレス要因が少ないとされる仕事の例は、以下のとおりです。

  • データ入力
  • 工場のライン作業
  • ルーティン業務(おもに事務作業)

データ入力やルーティン業務のように、業務内容があらかじめ決まっていてイレギュラー対応が少ない仕事は、精神的な負担が少なく取り組みやすいでしょう。

ただし、単調な作業が苦手な人にとっては、かえってストレスになることもあります。

ストレス要因が少ないとされている仕事でも、あなたに合う仕事かどうか十分に考えましょう。

以下の記事は、心穏やかに過ごせる仕事の特徴を解説しているので参考にしてください。

人間関係の負担が少ない仕事

職場の人間関係によるストレスがきっかけで適応障害を発症したときは、対人関係の負担が少ない仕事への転職を検討してみましょう。

以下のようにひとりで黙々と取り組める作業や自分のやり方で仕事を進められる職場であれば、心身への負担も少なくなります。

作業内容
・検品
・梱包
・データ入力
・請求書の作成
職種
・図書館業務(貸出や返却の管理、蔵書点検など)
・清掃スタッフ(ビルや病院の清掃、ごみ回収など)
・在宅ワーク(動画編集やホームページ制作、ライターなど)

完全にひとりで働ける環境だけを求めるのではなく、関係性が穏やかで安心できる職場を選びましょう。人間関係が良好な職場を選ぶことは、長く働き続けるための選択肢のひとつです。

自分のペースで取り組める仕事

ノルマやプレッシャーに強いストレスを感じる人には、自分のペースで進められる仕事が向いています。

以下の仕事は作業の進め方やタイミングをある程度自分で調整でき、突発的な対応も少ないため、気持ちにゆとりを持って働けます。

  • 動画編集
  • ポスティング
  • ビルメンテナンス
  • 軽作業(倉庫内作業や製造補助など)
  • エンジニア(社内SEやWebデザイナー)

業務がルーティン化されているため、急な変更や電話対応が少なく仕事に集中しやすいのも特徴です。

ただし、中には自由に見えて納期が厳しかったり、在宅でも常に連絡が来たりするなどペース管理が難しい仕事もあります。就職や転職の際は、どう仕事を進めているかを会社側に確認しておきましょう。

適応障害の人に向いていない仕事

適応障害の人にとって、ストレスの大きい職場や業務内容は症状の悪化や再発につながります。とくに以下のような仕事は、注意が必要です。

  • 適性に合わず希望していない業務を強いられる仕事
  • 成果やノルマの達成を厳しく求められる仕事(営業、テレアポなど)
  • クレーム対応や感情労働が多い仕事(接客業、コールセンターなど)

たとえば、製造部門での作業を得意とした人が、海外赴任後に管理職に異動したことで強いストレスを感じ、適応障害を発症したケースがあります。[2]

また別のケースでは、大学で学んだ分野と異なる仕事に配属され、慣れない業務で不安を抱え続けた結果、適応障害になってしまったのです。[3]

「仕事が合っていない」と感じながらムリを続けると、心身の限界を超える原因になります。

仕事の向き不向きを考えるのは甘えではなく、健康を守るうえで大切な視点です。

今の仕事に強い違和感やつらさを感じているなら、一度立ち止まって働き方を見直してみましょう。

こころちゃん
こころちゃん

ストレス抱え込みすぎないようにしてください💦

適応障害の再発を防ぎながら働き続けるポイント

適応障害は、職場や働き方の見直しによって回復が期待できる一方で、環境やストレスによって再発するリスクもあります。

長く安定して働き続けるためには、回復後の過ごし方や職場選び、サポートの受け方にも注意が必要です。

再発を防ぐためのポイントは、以下のとおりです。

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

復職後にしんどいときは、下記の記事をご覧ください。

仕事の復帰を焦らない

適応障害の再発を防ぎながら働き続けるには、仕事の復帰を焦らないようにしましょう。

症状が落ち着いてくると「早く仕事に戻らなければ」と焦る気持ちが湧いてくることがあります。

しかし、メンタルヘルス不調からの回復には時間がかかることが多く、半年〜1年以上の休養が必要になることもあります。[6]

焦って職場復帰をすると再発し、より長い休養が必要になるケースも少なくありません。

復帰のタイミングは、ひとりで判断せず主治医や産業医とよく相談しながら慎重に決めることが大切です。

こころと身体の回復を優先して考えていきましょう。

周囲のサポートを得る

適応障害の再発を防ぐためには、ひとりで抱え込まず周囲のサポートを受けることが大切です。

復職後は、短時間勤務や業務量の調整、産業医や主治医との連携など働き方に配慮しましょう。

適応障害は復職後の再発リスクが高いとされており、復職後1年以内には57.4%、2年以内に76.5%が再び休職しているというデータがあります。[7]

また、家族の理解や支えも大きな力になります。焦らずにゆとりを持った職場復帰を目指しましょう。[8]

働き続けるためにはひとりで悩まず、医師や家族に相談してサポートを受けるようにしてください。

こころちゃん
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周りの人に相談して見ましょう

リワークプログラムを活用する

復職に不安があり再発を防ぎたいときは、リワークプログラムの活用を検討しましょう。

リワークプログラム(復職支援プログラム)は、うつ病や適応障害などで休職中の人が、職場復帰に向けてこころと身体の準備をととのえるリハビリテーションです。

医療機関や専門施設にて、オフィスワークや軽作業、集団生活への慣れなどを段階的に行います。[9]

リワークプログラムを受講して復職した人は、通常の治療のみよりも再休職のリスクが低いとされています。[10]

利用には主治医との相談が必要です。不安を抱えたまま復職を目指すのではなく、段階的にこころの準備ができる選択肢として検討しましょう。

適応障害の人が仕事探しに役立つ支援制度や相談先

仕事探しについて不安を感じたら、仕事探しをサポートしてくれる相談先や支援制度を活用しましょう。

以下のような機関では、適応障害の人が抱える就職活動の不安に寄り添いながら、適性や希望に合った職場選びをサポートしてくれます。

支援機関サポート内容利用方法
就労移行支援事業所障害に理解のある一般企業の紹介や、職場で長く働くためのスキル訓練を提供する。市区町村の障害福祉課へ問い合わせる。
地域障害者職業センター職業適性検査やカウンセリング、職場定着のためのアドバイスを実施する。近くのセンターに連絡し、相談する日付を予約する。
ハローワークの専門窓口障害者雇用枠での求人紹介、職場実習の紹介、履歴書や面接の相談など幅広く対応する。全国のハローワークの障害者支援窓口へ問い合わせる。
転職エージェント(医療や福祉、障害者雇用に詳しいもの)職場の雰囲気や配慮内容を事前に把握しながら、希望に合う企業を提案する。書類作成や面接準備もサポートできる。転職エージェントのWebサイトに登録する。

ひとりで不安を抱え込まず、支援機関を上手に活用しましょう。

相談先と一緒にあなたに合う働き方を見つけることができます。

まとめ

適応障害があるからといって、働くことをあきらめる必要はありません。

しかし、適性に合わない仕事内容や職場環境を選んでしまうと、心身の負担が大きくなり再発のリスクも高まります。

「どんな仕事が向いているのか」「今は働くべきタイミングなのか」といった悩みを整理するには、ひとりで抱え込まず専門医に相談することも大切です。

おおかみこころのクリニックでは、適応障害を含むメンタルヘルスに関する診療を行っています。ご自宅からの受診をご希望であれば、オンライン診療も受け付けています。

気になる症状や不安があるときは、お気軽にご相談ください。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]厚生労働省|適応障害/統合失調症
https://kenkoukyouikusidousyakousyuukai.com/img/file214.pdf

[2]こころの耳|海外赴任を契機に従業員と配偶者の両者にメンタルヘルス不調をもたらした事例
https://kokoro.mhlw.go.jp/case/698

[3]こころの耳|専門職として就職したものの事業撤退により専門外の仕事に従事したため休職に至った新入社員の事例
https://kokoro.mhlw.go.jp/case/664

[4]厚生労働省|メンタルヘルス対策における職場復帰支援 改訂版手引き
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-1.pdf

[5]厚生労働省|職業的アセスメント ハンドブック
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000822240.pdf

[6]こころの耳|メンタルヘルス不調の治療と休業
https://kokoro.mhlw.go.jp/return/return-worker/rw001/

[7]厚生労働省|主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/hojokin/dl/28_14010101-02.pdf

[8]こころの耳|職場復帰のガイダンス(働く方へ)
https://kokoro.mhlw.go.jp/return/return-worker/?utm_source=chatgpt.com

[9]日本うつ病リワーク協会|リワークプログラムとは 

[10]Frontiers|日本におけるリワークプログラムの概要と成果
Frontiers | Re-work Program in Japan—Overview and Outcome of the Program

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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