適応障害で休職したいけどお金がない!利用できる制度と過ごし方のコツ




適応障害で休職したいけど、お金がなくて生活が不安だと感じていませんか?

休職したくても、物価高が続き生活していくお金が心配になるものです。

日本には、適応障害の休職中に役立つ制度があります。

会社の就業規則や加入している社会保険で違いはありますが、知っておくことは大切です。

この記事では、適応障害の休職でお金がないときに役立つ制度休職中でも支払い義務が続くものについて紹介します。

後半では、休職しないで退職したらどうなるのか休職中にアルバイトをしても大丈夫かなどの疑問にお答えします。今後の生活を考える参考になりますと幸いです。

適応障害の休職の伝え方については下記の記事をご覧ください。

適応障害の休職でお金がないときに役立つ制度

休職でお金がないときは、以下の制度が役立ちます。

それぞれの特徴やどのようなときに支給されるのかについて、詳しく見ていきましょう。

有給休暇

休職期間中は、給料が支払われないケースがほとんどです。

「休職したいけどお金がない」と不安なときは、有給休暇の活用も考えてみましょう。

休職期間にもよりますが、まずは有給休暇を利用し、その後休職手続きを行うことも可能です。

有給休暇をいつ取得するかは、原則として労働者側が決めることができます。[1]

「有給は復職後や今後の息抜きのために残したい」と、今後の生活を想像しながら考えましょう。

まずは、残りの有休日数を確認することから始めてくださいね。

傷病手当金

傷病手当金とは、病気やケガで会社を休み、その間に給料が支払われないときに生活を保障する制度です。

会社の健康保険に加入していて、支給条件に該当すると傷病手当金が支給されます。

支給条件は、以下の4つすべてを満たす必要があります。[2]

  • 業務外の出来事による病気やケガで療養のために休職する
  • 仕事に就くことができない
  • 連続する3日間を含む4日以上仕事に就けない
  • 休職期間に給与の支払いがない

傷病手当金は給料のおよそ3分の2です。協会けんぽの場合は、書類(会社や医師の証明も含む)を提出して不備がなければ約2週間で支給されます。[3]

こころちゃん
こころちゃん

会社が手続きしてくれるのか、自分で手続きするのか確認しましょう!

休業(補償)給付

休業(補償)給付とは、仕事が原因の病気や通勤中のケガなどに対して、会社が加入している労災保険で補償する制度です。

適応障害の原因が労災認定されると、休業(補償)給付を受けることができます。

たとえば、長時間労働や過重労働、上司のパワハラや職場の人間関係による強いストレスなどが原因で適応障害になった場合は労災認定されることがあるのです。

給付条件は以下の3つをすべて満たし、仕事を休んだ4日目から支給されます。[4]

  • 仕事が原因の病気や通勤中のケガによる療養のため
  • 労働ができない
  • 賃金を受けていない

給付額は、給付基礎日額の80%(休業補償給付60%、休業特別支給金20%)が支給されます。[4]

労災保険は「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」に適応されるため、アルバイトやパートタイマーなどの雇用形態は関係ありません。[5]

あなたの適応障害の原因が職場にあるのか、まずは主治医に相談してみましょう。

自立支援医療制度

自立支援医療制度とは、治療のために定期的な通院の必要がある方への、医療費の自己負担を軽くするための公費負担医療制度です。

医療費の自己負担額は通常3割ですが、原則1割に軽減できます。また、個人の負担が増えすぎないように、所得に応じた1か月あたりの上限自己負担額が設けられています。[6]

ただし、自立支援医療制度には審査があるため、住んでいる市区町村に問い合わせが必要です。

申請から結果を受け取るまで約2~3か月かかります。これはあくまで目安のため、医療機関への確認が必要な場合は、さらに期間が長くなるでしょう。[7]

こころちゃん
こころちゃん

診察時に「自立支医療制度の対象になりますか?」と聞いてみましょう。

適応障害で休職中でも支払い義務が続くもの

 適応障害で休職中でも以下の支払い義務は続きます。[8][9]

  • 住民税
  • 健康保険料
  • 介護保険料
  • 厚生年金保険料

住民税は前年度の収入で計算され支払うため、休職期間中も支払い義務が続きます。

所得税は、その月の収入に応じて支払うため休職中で給与がない場合は支払いが発生しません。

休職期間中も、健康保険や年金の資格は継続しているため健康保険料や介護保険料(40歳以上の方)、厚生年金保険料の支払いが生じます。

支払い方法はさまざまで、休職期間中は給料が出ないため一旦会社が立て替えて支払うケースもあります。

その後の支払い方法は会社により異なるため、経理課や事務など担当部署に確認しましょう。

適応障害の休職中お金がないときの過ごし方

休職中は、適応障害の症状で疲れたこころと身体を休めることから始めます。

その後「動けそうかも…」と思えたら、少しずつ活動量を増やしましょう。

以下のような活動を参考にしてください。

  • 人と話す
  • 軽い運動をする
  • 好きなことに集中する

軽い運動とは、ラジオ体操やヨガ、20分ほどのウォーキングです。YouTubeを見るとできるためお金もかかりません。他にも、腹式呼吸を意識するとリラックス効果が得られます。

方法は以下のとおりです。最初は3分間続け、少しずつ長くしましょう。[10]

  1. 両手を重ねてお腹の前に当てて、少し背中を丸める
  2. おなかがへこむまで肺の空気を口からゆっくり吐く
  3. ゆっくり空気をお腹が膨らむまで鼻から吸う(頭の中で4秒かぞえる) 
  4. ゆっくり空気をお腹がへこむまで口から吐く(頭の中で8秒かぞえる)

本やマンガを読んだり、音楽を聞いたり好きなことに集中する時間も大切です。図書館や市民センターなど公共の施設を活用しましょう。

楽むことはこころが健康なサインです。「休職しているのに楽しんでよいのかな」と考えず「症状が落ち着いて、楽しめる気持ちが出てきたんだな」と考えてくださいね。

ムリをすることも、頑張りすぎる必要もありません。あなたが「してみようかな?」と思えることから始めてみましょう。

こころちゃん
こころちゃん

お金をかけなくてもできることはたくさんあります♪

Q:休職しないで退職したらどうなる?

 休職せずに退職した場合は、雇用保険から基本手当(いわゆる失業給付)が給付されます。[11]

雇用保険とは、失業しても安定した生活を送りつつ、1日でも早く就職することを目的としています。

給付金額は、年齢や雇用保険の被保険者期間、離職理由によって異なります。

また、雇用保険は必ずもらえるものではなく「離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要」「倒産・解雇が理由の場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上必要」などの受給条件を満足さなければいけません。[12]

雇用保険についての問い合わせ先はハローワークです。住んでいる地域のハローワークをこちらから探して確認してくださいね。

適応障害で休職することへの罪悪感をどうにかしたいときは下記の記事をご覧ください。

Q:傷病手当金を受給しているけどアルバイトをしても大丈夫?

休職中は、病気やケガによって就労できない状況なのでアルバイトはできません。

傷病手当の申請書類には、医師が「病気により就労できません」と書いており、傷病手当金の受給条件にも「仕事に就くことができない」とあります。

適応障害の場合は、職場がストレス因子だと職場から離れると体調がよくなるかもしれません。しかし、アルバイトをするために休職しているのではないため、会社が認めてくれないケースがほとんどです。

会社に内緒でアルバイトをしてバレた場合、信用がなくなり復職しにくい状況になるためやめましょう。

役立つ制度を活用して治療に専念しよう|まとめ

 適応障害で休職すると、お金が心配になるものです。

日本には休職中の生活を支える下記の制度があります。

  • 有給休暇
  • 傷病手当金
  • 休業補償給付
  • 自立支援医療制度

それぞれの支給条件や申請方法を確認することが大切です。健康保険料や厚生年金などの支払い義務が続くため、事前に会社の経理や事務に相談しておきましょう。

休職中は、ウォーキングやヨガなどお金がかからない過ごし方で治療に専念し、こころと身体を整えることが大切です。

お金に関する不安もひとりで抱えていては、こころが疲れてしまいます。おおかみこころのクリニックはあなたの悩みを一緒に考えます。お気軽にご相談ください。

【参考文献】
[1]第11回 休職手続き前に会社側が有給休暇取得を促すことはできるの?|厚生労働省 こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/mental-health-qa/mh-qa011/

[2]病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会 協会けんぽ
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139

[3]傷病手当金について(制度説明)|全国保険協会 岩手支部
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/iwate/20130830010/R4kamikikensyukai_syobyoteatekin1.pdf

[4]労災保険 休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続き|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001233426.pdf

[5]労災補償|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/index.html

[6]自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000885728.pdf

[7]自立支援医療(精神通院医療)の申請方法について|北九州市
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/ho-huku/321_00040.htm

[8]がんと仕事 p70|国立研究開発法人国立がん研究センター
https://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/pdf/cancer-work.pdf

[9]治療が必要になったときに知りたい情報 ④休んでいる間に貰えるお金、払うお金は?|京都産業総合支援センター
https://www.kyotos.johas.go.jp/archives/health_information/health_information-23729

[10]セルフメンタルヘルス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000881325.pdf

[11]雇用保険手続きのご案内|ハローワーク
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_guide.html

[12]Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html

この記事の執筆者
柚木ハル
作業療法士。精神科16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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