休職中の過ごし方7選|やってはいけないことや活用できる手当










「休職中って、何をして過ごすといいんだろう?」

毎日の通勤や業務から解放されたものの、こころはなかなか落ち着かず「このままでいいのか」と不安に感じていませんか?

休職期間は、あなたのこころと身体をととのえるための大切な「治療の時間」です。

休職中の過ごし方を知れば、今の状態よりも不安を抱えにくくなるでしょう。さらに、症状の回復が進みやすくなり、復職後のこころと身体の安定にもつながるのです。

この記事では、休職中の過ごし方気をつけたいこと不安や焦りとの向き合い方について解説します。

休職中の過ごし方7選

休職中の過ごし方を7つ紹介します。

それぞれ詳しく解説します。

休養する

休職の過ごし方のひとつに、休養が挙げられます。

休養には以下の2つの側面があります。[1]

  • 心身の疲労を回復し、活力ある状態に戻す
  • 明日への鋭気を養い、身体的・精神的な健康を高める

休職直後は「何かしなきゃ」と焦ってしまいますよね。しかし、こころや脳が疲れている状態では、思考も体力も回復しづらくなるのです。

まずは次のような方法で、ゆっくり休養することから始めましょう。

  • 眠る
  • ぼーっとする
  • 好きなものを食べる

こころと身体が求めていることに耳を傾けて過ごしてみてください。

こころちゃん
こころちゃん

ゆったりまったり休みましょう

運動する

休職中に適度な運動をすると憂うつな気分の解消に役立ち、こころや身体のリズムがととのいます

運動にはネガティブな気分を発散したり、心身をリラックスさせ睡眠リズムをととのえたりする働きがあるのです。

ただし、運動といってもムリにランニングや筋トレをする必要はありませんたとえば朝に15〜20分程度、近所を歩くだけでもすっきりした気持ちになり、こころや身体のリズムがととのいます。[2]

趣味を楽しむ

休職中に趣味を楽しむことは、メンタルの回復やストレス軽減に有効です。

本を読んで泣いたり映画や動画を観て笑ったりするなど、自分の感情が動く瞬間を大切にしましょう。

「何かに夢中になる感覚」はリラックスやリフレッシュとなり、メンタル回復のためにも役立ちます。

定期的に病院を受診する

精神科や心療内科などかかりつけの病院を受診し、心身の状態を医師に確認してもらいましょう。

医師に定期的に診察してもらうと、客観的な判断を得られ自己理解も深まります。

また、制度を使ったり休職を申請したりするためには定期的な受診が必要です。自分の判断で通院をやめることはしないようにしてくださいね。

生活リズムをととのえる

生活リズムをととのえると、昼夜逆転やこころや身体の負担軽減につながります。

休職してすぐは昼夜逆転することもあるかもしれません。

少しずつ「午前中に起きて、朝日を浴びる」を意識して、睡眠と気分の安定につなげましょう。起床時間を一定にすることはメンタル回復だけでなく、復職のためにも大切です。

また、起床後に日光を浴びると体内時計がリセットされ、睡眠・覚醒リズムがととのいます。[3]

適度な運動と組み合わせて、生活リズムをととのえていきましょう。

リラックス方法を見つける

落ち込みや不安軽減のために、リラックスすることは大切です。とくにリラクセーションは、不安や抑うつ状態に有効であるとされています。具体的なセルフケアは、下記のとおりです。

  • ヨガ
  • 音楽鑑賞
  • アロマテラピー

臨床心理士や公認心理師と行うなら、呼吸法や身体の緊張をほぐすリラクセーション法もあります。[4]

あなたにとって「安心する」「落ち着く」と感じられるものがひとつでもあると、不安になったときの支えになります。

こころちゃん
こころちゃん

リラックス方法を見つけると復職後にも役立ちます

復職に向けた準備をはじめる

調子が戻ってきたら、少しずつ復職を意識した準備を始めましょう。具体的には、次のものを試してみてください。

  • 脳の作業をする [5]
  • 通勤時間帯に電車に乗る
  • 毎日決まった時間に作業をする習慣をつける

脳の作業とは、次のような作業のことをいいます。

  1. 新聞を読む
  2. 感想を書く
  3. 文字を写す
  4. 内容をまとめる

脳と身体のリハビリを通して、復職のための準備をしていきましょう。

休職中にやってはいけないこと

休職中の過ごし方には「した方がいいこと」もあれば「やってはいけないこと」もあります。

休職中にやってはいけないことは次のとおりです。

それぞれ詳しく説明していきます。

通院や服薬をやめる

休職中に通院や服薬をやめることは避けましょう。

「もう大丈夫かも」と自己判断で通院や薬をやめると、症状が再発するリスクが高まります。

調子に多少の波があることは自然なことです。復職後に再発しないためにも、医師と相談しながら治療を継続してください。

こころちゃん
こころちゃん

治療を続けることは大切です!
自己判断でやめないようにしましょう

焦って転職を決意する

休職中に退職や転職を決めるのは控えましょう。

休職中は「自分はまわりと違って仕事ができない人間だ」と悩むこともありますが、こころが不安定なときは正確な判断が難しくなります。

復職や転職について考えるのは、こころや身体が安定し冷静に自分と向き合えるようになってからでも遅くありません。落ち込んでネガティブな考えばかり思い浮かぶときは、人生の決断をしないようにしましょう。[6]

過度な飲酒や喫煙をする

過度な飲酒や喫煙は、治療の妨げとなります。

気分転換やストレス解消で、アルコールやタバコに頼りすぎるのはこころや身体によくありません。とくに睡眠がうまく取れない人は要注意です。ニコチンの量が多いほど、不眠といった睡眠障害となりやすいと報告されています。[7]

ひとりでアルコールやたばこをやめるのは難しいため、休職中の過ごし方7選」を参考にしながら医師と協力していきましょう。

休養期に仕事のことを考える

休職し始めたばかりの時期に、仕事のことを考えないようにしましょう。

「このまま復職できなかったらどうしよう」「みんなに迷惑をかけているかも」と考えてしまう気持ちは自然なことです。しかし、心身を休ませるためには仕事を考えることから離れる必要があります。

とくに休職し始めの1〜2週間は、意識的に仕事を忘れて「何もしない時間」を大切にしましょう。

復職のために調子がよいと取り繕う

早く仕事に復帰したいからといって、まだ本調子ではないのに「調子いいです」と振る舞わないようにしてください。

休職中にまわりの理解を得れば、復職後も安定して働き続けられます。「大丈夫」「これくらい平気」と思うのは自分を追い詰めることにもつながります

休職中こそ自分を労わることを大事にしてください。

休職中に感じる不安や焦りとの向き合い方

不安や焦りなどネガティブな思いにとらわれすぎると回復の妨げになります。気持ちがモヤモヤするときは、次の方法を試してみてください。

  • 散歩など外へ出かける[2]
  • マインドフルネスに取り組む
  • 休職しなかったらどうなっていたか考える

マインドフルネスとは「今、ここ」に意識を向けることです。ストレスや不安、抑うつ状態の症状をやわらげる効果が期待できます。[8]呼吸を意識してみたり、ゆっくり味わってご飯を食べたりしてみましょう。

また、「もし休まずにいたら、今ごろどうなっていただろう?」と考えることも大切です。考えた結果、あなたにとって休職は必要な選択だったと実感できるでしょう。

休養中に罪悪感がある人は、以下の記事も参考にしてください。

休職から復職までの流れ

休職期間は、以下のようなステップで進んでいきます。[9]

  1. ゆっくり休む
  2. 起きる時間を増やす
  3. 趣味や運動を始める
  4. 復職に向けた準備を始める
  5. 主治医と復職に向けた具体的な話をする

すべて焦らず、段階的に行うことがポイントです。早く復職したいからとムリをすると、症状を悪化させる可能性があります。

あなたのペースでできることから進めていきましょう。自宅でどう過ごしたらよいか知りたいときは、下記の記事もあわせてご覧ください。

休職中に活用できる手当や制度

休職時には、お金のサポートをしてくれる手当や制度を利用しましょう。たとえば、次の制度が役立ちます。

  • 傷病手当金
  • 休業(補償)給付
  • 自立支援医療制度

ほかにも、有給が残っている人は活用するのもひとつの選択肢となります。

詳しくはこちらの記事で紹介しているので、参考にしてみてください。

まとめ

休職を勧められても、休職中の過ごし方を教えてもらうことは少ないかもしれません。

今回は休職中の過ごし方を7つ紹介しました。休職初期はゆっくり休むことを大切にし、少しずつ元気を取り戻してきたら趣味や運動などの活動も始めましょう。

治療に専念して、復職後も安心して働けるこころと身体をととのえることが大切です。

おおかみこころのクリニックは、あなたの休職期間と復職後を支えます。お気軽にご相談ください。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]3 休養・こころの健康づくり|厚生労働省 3-3
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/pdf/b3.pdf

[2]体を動かす|こころと体のセルフケア|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_01.html

[3]健康づくりのための睡眠ガイド 2023
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

[4]厚生労働省eJIM | リラクゼーション法[各種施術・療法 – 一般]
https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c02/11.html

[5]職場復帰、成功に向けて|こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/video/files/slide_takano.pdf

[6]うつ病の治療中に転職活動を始めてかえって不安が大きくなった事例|こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/case/613

[7]喫煙と睡眠 | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/sleep-column23.html

[8]厚生労働省eJIM | 瞑想[各種施術・療法 – 医療者]
https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c02/07.html

[9]職場復帰支援の手引き|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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