「嫌な夢ばかり見るのが怖くて眠れない」
「嫌な夢を見た日は一日気分が落ち込む」
上記のような悩みを抱えている方はいませんか?
嫌な夢ばかり見るのにはいくつかの原因が考えられますが、共通していえることは眠りが浅い可能性が高いということです。
ストレスや不安などの精神的負担や生活習慣が要因となる場合や、特定の精神疾患が原因となり、嫌な夢を見やすい状態を引き起こしている場合もあります。
この記事では、嫌な夢ばかり見る原因や対処法を解説します。悪夢に悩んでいる方や、寝ることに強い不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
また、同じ内容の動画も用意しています。動画の方が分かりやすい方は下記からご覧ください。
嫌な夢ばかり見る3つの原因
嫌な夢ばかり見るときには、睡眠が浅い可能性が考えられます。
睡眠のリズムは、眠りの浅い状態の「レム睡眠」と眠りの深い「ノンレム睡眠」が、約90分の周期で繰り返されています。そのうち夢として記憶する状態は、レム睡眠といわれているのです。[1]レム睡眠が増えると夢を見やすくなるため、嫌な夢や悪夢を見る頻度も必然的に増えます。
この章では、嫌な夢ばかり見る原因や睡眠が浅くなる背景を解説します。
ストレスや身体的疲労
日常生活や仕事などによるストレスや、身体的疲労は睡眠の質を下げるとされています。悩みがあったり過度な疲労を感じていたりするとなかなか寝つけず、寝ても疲れがとれにくいといった不眠症状が見られることも。
睡眠の質が下がると眠りが浅くなり、結果として夢を見る可能性が高くなります。さらに寝る前のネガティブな思考や不安は強く頭のなかに記憶され、夢に影響しやすくなります。
その日あった楽しかったことや嬉しかったことを考えながら寝るといいかもですね♪
生活習慣
寝る前にテレビやスマートフォンを見たり、コーヒーやアルコールを摂取したりすると、脳が覚醒状態となり深い眠りが得られにくいとされています。
とくに寝る前のアルコールは眠りが浅くなり、中途覚醒するケースも珍しくありません。夜中に目覚めてしまうと、なかなか寝つけなかったり嫌な夢を見たりするおそれがあるため注意が必要です。[2]
精神疾患
うつ病や統合失調症、不安障害などの精神疾患を抱えている場合は、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるなどの不眠症状が見られやすいとされています。ほかにも、治療のための向精神薬や抗うつ薬などの薬剤を服用していると、副作用として悪夢を見ることがあるとのデータもあります。[3]
薬剤が原因として考えられる場合には、薬を変更したり中止したりすることで悪夢は起こりにくくなるので、まずは医師へ相談してみましょう。
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嫌な夢ばかり見るときに考えられる病気
うつ病や不安障害などの精神疾患が不眠の原因となることがありますが、嫌な夢ばかり見てしまうことが症状として出現する精神疾患もあります。
この章では、嫌な夢を見やすいとされる代表的な精神疾患を3つご紹介します。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
まず考えられる疾患は「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」です。
心的外傷後ストレス障害とは、トラウマが原因で、日常生活に支障をきたすほどの強く不快な反応を引き起こす病気です。きっかけとなるトラウマは、命の危険を感じるほどの出来事や、重篤な病気・ケガなどが考えられ、精神的苦痛を長期間に渡って感じた場合に発症しやすいとされています。
トラウマとなった出来事が、自分の意志に反してフラッシュバックすることが特徴であり、なかには夢にあらわれることも。強くトラウマになっているほど過去の出来事が鮮明に記憶されるため、大きな苦痛を感じる方もいるでしょう。[4]
悪夢障害
嫌な夢を頻繁に経験し睡眠に影響を与えている場合は、悪夢障害の可能性があります。悪夢障害は、嫌な夢の内容を鮮明に記憶していることが特徴です。「悪夢を見るから寝るのが怖い」「悪夢のせいで常に気分が落ち込んでいる」など、日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。
悪夢障害は小児期に多く見られ、成長とともに消失するとされています。成人に見られる場合は、うつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患に起因することもある疾患です。[5]
起きても覚えている「怖い夢」はツラいですね💦
レム睡眠行動障害
レム睡眠行動障害は睡眠障害のひとつであり、特発性にあらわれることがあります。睡眠中に以下の症状が見られることが特徴です。
- 大声の寝言や奇声
- 暴力的な行動
- 立ち上がって動き回る等の異常行動
上記の症状により、周囲の人にケガを負わせてしまうケースも珍しくありません。「人に追いかけられる」「人との争いごとに巻き込まれる」などの嫌な夢を自覚することが多く、夢の中の行動が実際の言動としてあらわれることもあります。
異常行動は20〜30分ほどのレム睡眠が終わると消失し、声をかけたり刺激したりすると比較的容易に覚醒するとされています。[5]
嫌な夢ばかり見ることでの影響
嫌な夢ばかり見る日々が続くと、日常生活やメンタルに大きな影響を与えます。具体的には以下の影響が考えられるでしょう。
- 嫌な夢を見ること自体に恐怖を感じ不眠を引き起こす
- 嫌な夢のせいで精神的負担を感じ気分が落ち込む
- 嫌な夢の内容が日中の行動に影響する
嫌な夢を見るのが怖くてなかなか寝つけない日々が続くと睡眠不足となり、日中の眠気や意欲の低下などの不調につながるおそれがあります。さらに、嫌な夢の内容を鮮明に記憶していると、気分が落ち込み憂うつ状態を引き起こすきっかけとなることも。
嫌な夢を見た日は、どんより気分な一日になっちゃいます
ほかには「正夢ではないか」との不安を抱き、あらゆることが気になったり物事に集中できなかったりといった状態に陥り、結果的に日常生活に支障をきたす可能性も考えられます。最悪の場合、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症するおそれがあるため注意が必要です。
嫌な夢ばかり見るときに自分でできる3つの対処法
嫌な夢を見ないためには、睡眠の質を高めて深い眠りを実現することが大切です。
この章では、嫌な夢ばかり見るときに自分でもできる対処法を3つご紹介します。
睡眠の質を高める
深い眠りを実現するには、睡眠の質を高める必要があります。睡眠の質を高めるには、以下の方法を意識してみましょう。
- 規則正しい生活を送る
- 寝る前にリラックスする
- 睡眠環境を整える
不規則な生活を送っていると自律神経が乱れ、スムーズに入眠できない原因となります。毎日決まった時間に起床、入眠し、体内リズムを整えることがポイントです。
ほかには、睡眠環境を整えることも有効です。寝る前にはストレッチやアロマテラピーなどを取り入れ、心身ともにリラックスしましょう。自分に合った寝具を使用するのも、快適な睡眠を得るために効果的です。
睡眠と自律神経の関係については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
ストレスや不安の原因と向き合う
悩みや不安を感じる場合には、背景にある問題と向き合い解決することで、嫌な夢を見にくくなるかもしれません。寝る前にいろいろと考え込んでしまう、ネガティブな思考が頭に溢れているといった方は、悩みやストレスの原因となることから離れてみましょう。
さらに、適度にストレスを発散してため込まないことも重要です。日中は自分の好きなことをしたり気分転換したりしてうまくストレスを発散しましょう。
大きすぎるストレスは適度に発散しましょうね
精神科を受診する
嫌な夢ばかり見る場合には、夢を見ないことや悪夢に焦点が当たりやすいですが、生活習慣や背景にあるストレスや疾患と向き合うことが大切です。
ストレスや不安が強い場合や、精神疾患を抱えている方は、精神科や心療内科などの医療機関を受診することを検討してみましょう。精神的負担が大きい場合には、専門のカウンセラーによるカウンセリングを受けてみるのも選択肢のひとつです。
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まとめ
嫌な夢ばかり見るときには、背景にある原因を考えてみましょう。ストレスや身体的疲労、生活習慣が原因で眠りが浅くなっているのかもしれません。眠りが浅くなると睡眠の質が下がり、嫌な夢や悪夢を見やすくなります。
ほかにも、嫌な夢を見やすいとされる精神疾患も存在します。この記事でご紹介した精神疾患の特徴に当てはまる方や、嫌な夢が原因で不眠や不安を引き起こしている方は、一度精神科や心療内科などの医療機関を受診してみましょう。専門家に相談することで、有効な対処法が見つかるかもしれません。
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【参考文献】
[1]眠りのメカニズム|厚生労働省 e-ヘルスネット
[2]お酒と睡眠~「眠るための飲酒」は避けましょう~|横浜市https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/kokoro/kokorojyouhou/column/20211013162348942.html
[3]24.悪夢を起こす薬剤|公益社団法人 福岡県薬剤師会
https://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/24.pdf
[4]PTSD/心的外傷後ストレス障害|厚生労働省 e-ヘルスネット
[5]睡眠時随伴症|国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所https://www.ncnp.go.jp/nimh/sleep/sleep-medicine/parasomnia/index.html
- この記事の編集者
- Yusa
大学病院にて約10年間病棟看護師として勤務。耳鼻科(周手術期管理)、腎臓外科(腎移植)、循環器小児科、脳神経外科・SCUの現場で培った経験と知識を活かし、現在は看護師ライターとして活動中。