寝ても疲れが取れないのはうつ病?疑われる病気と治療・対策とは?

こころちゃん
こころちゃん

寝ても疲れが取れないなー。
先生、これって病気のせい?

浅田先生
浅田先生

寝ても疲れが取れないのは病気の可能性もあるね。
分かりやすく説明するから、安心してね。

現代では、仕事や育児に忙しく、疲れが取れないと悩んでいる方も多いでしょう。寝ても寝ても疲れが取れないと「何かの病気なの?」と不安になりますよね。

眠ってエネルギーを充電しようと思っても、目覚めた時に疲れが取れておらずスッキリしない日々が続いてはいませんか?

疲れが溜まった身体では、体調をうまくコントロールできずに日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。

この記事では「疲れが続く原因となる病気があるのか」「症状に対する治療法や対策はあるのか」について、詳しく紹介します。

疲れの原因を理解して、適切な対策を取れるようにしておきましょう。

寝ても疲れがとれないときに考えられる2つの病気

寝ても疲れがとれないときに考えられる2つの病気

十分な睡眠をとっているのにいつまでも疲れが取れない場合は、病気の可能性があります。

主に疑われるのは以下の2つの病気です。

寝ても疲れがとれない場合に考えられる病気2つを以下に説明します。

寝ても疲れが取れない病気①うつ病

寝ても疲れが取れない病気①うつ病

なかなか疲れが取れないのは「うつ病」が原因かもしれません。ここでは、うつ病の症状や対策について解説します。

 うつ病とは

うつとは、日常生活に支障をきたすほどの強い悲しみを感じたり、興味や喜びが低下している状態をいいます。悲しいできごとの直後に生じることがあり、できごとの程度以上に強い悲しみを感じ、その状態が長く続きます。

うつ病の原因

うつ病はストレスや心身の病気、環境の変化など、さまざまな要因によって発症すると言われています。ただし、その原因ははっきりしていません。

以下はうつ病のリスク要因です。

  • 家系(遺伝)
  • つらいできごと(とくに喪失体験)
  • 女性であること(ホルモン量の変化が関係)
  • 特定の身体疾患
  • 特定の薬の副作用

上記の中にあてはまるものがある方は、とくに症状の変化に注意する必要があります。

うつ病の症状

うつ病になると「悲しみ」「楽しみ」「喜び」といった気持ちを感じにくくなります。また、強い罪悪感や自己否定の考えにとらわれ「絶望感」「孤独感」「無力感」「無価値感」が生じることもあるでしょう。

大半は寝つきが悪く、眠っても何度も目を覚ましてしまいます。とくに明け方などにその傾向が強まり、睡眠時間自体は通常より多くなる傾向があるようです。他にも「だるさが取れない」「落ち込みやすい」「イライラする」「強い不安を感じる」などの症状が挙げられます。

うつ病になりやすい人

うつ病になりやすい人の性格には以下のような特徴があります。

  • まじめで責任感が強い
  • 意欲的でまっすぐ取り組む
  • ストレスを感じやすい

うつ病になってしまう人は上のような性格が人よりも強く、仕事や人間関係に対してより多くのエネルギーを使ってしまうのです。

中でもうつになりやすい性格3つを紹介します。

循環性格

社交的で人付き合いがよいが、その半面で情動的で気分に浮き沈みがある。

執着性性格

こだわりが強く、責任感が強いのが特徴的。完璧主義者であるため、他の人よりもエネルギーを消費しやすく、精神がすり減ってしまう傾向がある。

メランコリー親和性性格

自分よりも他人のために行動する傾向が強く、秩序を保つことに執着する傾向がある。

うつ病の治療方法

うつ病になると、その後の社会生活に大きな影響を与えてしまうでしょう。なるべく早く治療を開始することが大切です。

うつ病の治療方法を以下にご紹介します。

十分な休養

身体面、心理面の体調の回復を促すために重要です。うつ病の方は休むことに罪悪感を感じてしまい、休息をとらない方が多い傾向にあります。しっかり心と身体を休めることが治療においても重要です。

薬物治療

適切な薬物により治療をすることで、心理面の不安定さのバランス回復を促し、十分な休息も併用することでうつ病の回復スピードが上がります。日常生活や社会生活の改善も早くなるといわれています。

このときに使う薬には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬です。これらは脳内伝達物質の働きを回復させるのに効果的です。(以下の記事が参考になります)

認知行動療法

困ったできごとにぶつかった時に起こりがちな悲観的なものごとの捉え方・考え方の傾向を改善することで、うつ状態を悪化させる悪循環を断ち切る方法を学びます。

うつ病の対策

うつ病に対して治療をする他、自分で対策できる方法もあるため、ご紹介します。

軽い運動

十分な休養がとれてある程度回復された方には、軽い運動が効果的です。気持ちのよい運動をすると心が楽になり、心身のバランスがとれて睡眠が深く、長くなります。歩くことやヨガなど、1日10分でも構わないので運動を取り入れましょう。

ストレスのコントロール

うつ病はストレスが蓄積されて発症します。うつ病を回復させるためには、ストレスをコントロールすることが大切です。ストレスをコントロールする方法はさまざまです。

具体的には「あるできごとに対して柔軟な受け取り方をする」「リラクゼーション法を学んで身体をリラックスさせる」「呼吸を安定させる」などが挙げられます。

寝ても疲れが取れないときの病気②慢性疲労症候群

寝ても疲れが取れないときの病気②慢性疲労症候群

続いて、慢性疲労症候群について説明します。

慢性疲労症候群とは

慢性疲労症候群とは、診察や臨床検査において客観的な異常が認められない状況で、日常生活を送れないほどの重度の疲労感が続く状態のことをいいます。

慢性疲労症候群の原因

身体的・精神的なものを含め、慢性疲労症候群の原因は明らかになっていません。過度のストレスが影響している可能性があるとも考えられています。

慢性疲労症候群の症状

慢性疲労症候群は多くの場合、ストレスとなるできごとの後に突然発症します。その主な症状は「疲労」です。日常生活に支障があるほど重度で、疲労感が6か月以上にわたり続きます。たとえば、朝起きた時から一日中ひどい疲労を感じるほどの症状です。また、症状が重度であるか、悪化しつつあるときに、抑うつが見られることもあります。

慢性疲労症候群になりやすい人

慢性疲労症候群になりやすい人の性格には以下のような特徴があります。

  • まじめ
  • 常に努力する
  • 正義感が強い
  • ストレスを抱えやすい

発症時に睡眠のとりかたの変化、人間関係のトラブル、生活環境の変化などでストレスを抱えている方が多いです。このような精神的ストレスの他、過重労働といった身体的ストレスを抱えている方も多く、慢性疲労症候群になりやすいといえます。

慢性疲労症候群の治療方法

慢性疲労症候群の症状は、時間の経過につれて軽減します。しかし、消失するまでには何年もかかることが多いといわれています。また、全ての症状が消失するとは限りません。

どの機能を取り戻せるかという点を意識して治療をした方が回復の度合いが上がる可能性があります。

薬物療法

慢性疲労症候群の治療の中心は薬物療法です。そのなかでも主になるのが、漢方薬を用いて、身体の免疫力を高める治療です。そして、体内の活性酵素による細胞の障害を防ぐため、抗酸化作用をもつビタミンCを服用します。うつ病向けの薬が効果を発揮することがあり、抗うつ剤、精神安定剤が使われることもあります。

認知行動療法

将来に対する前向きな見通しを損ねるような後ろ向きの思考を転換することを目的とした短期間の精神療法です。

慢性疲労症候群の対策

慢性疲労症候群に対して治療をする他、自分で対策できる方法もあるため、ご紹介します。

段階的運動

休養を長くとりすぎると、慢性疲労症候群の症状を実際に悪化させることがあります。

「ウォーキング」「水泳」「サイクリング」「ジョギング」などの有酸素運動を徐々に始めて定期的に続けることにより、疲労感を改善して身体機能を高めることが期待できます。

寝ても疲れがとれない病気以外の原因

寝ても疲れがとれない病気以外の原因

寝ても疲れがとれない時に2つの病気の可能性があると説明しました。病気以外の原因も考えられるため、以下にご紹介します。

  • 運動による疲労
  • 女性特有の疲労
  • 心の疲れ
  • 脳の疲れ

運動による疲労

激しい運動をしてクタクタになってしまうと、筋肉を動かすためのエネルギーが足らなくなり、疲労物質が蓄積されることで起こります。

女性特有の疲労

月経中はホルモンバランスの変化に伴い、腹痛や頭痛、だるさや疲労感が出やすくなります。人によっては、強烈な眠気に襲われることもあります。

心の疲れ

人間関係や仕事などで強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
すると、眠りが浅くなったり、イライラしやすくなり、疲労感が溜まります。

脳の疲れ

脳の疲れは、脳や神経の緊張状態が続くことで起こる疲労です。

スマホやパソコンから膨大な情報を絶えず取り込んでいて、脳が情報処理のために常に働いている状態になっています。
情報処理が追いつかないほど脳が酷使され、物忘れが増えたり、気持ちが落ち込んだりします。

朝までぐっすり寝るためのポイント

朝までぐっすり寝るためのポイント

朝までぐっすり眠れるように、まずは生活習慣を見直して、睡眠環境を整えましょう。
寝る前は、眠りを邪魔する刺激は避けて、自分なりのリラックス法を進めることも効果的です。

  • 午後のカフェイン(コーヒーやお茶)を控える
  • アルコールを控える
  • 寝る直前の食事を控える
  • 夕方に適度な運動をすすめ、強い運動は控える
  • できるだけ同じ時間に起きるようにする
  • 朝起きてから太陽の光を浴びるようにする

上記のような生活習慣の他、寝るときの睡眠環境を整えること(部屋の明るさを調整して、寝具を身体に合ったものにするなど)も重要です。

それでも症状に改善が見られない場合は専門の医療機関での治療が必要な可能性もあります。気になる症状があれば、相談しに来てくださいね。

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参考

慢性疲労症候群 – 26. その他の話題 – MSDマニュアル家庭版

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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